ギャンブルで借金を作った母親ではなく、父親が親権取得できる?
ご相談内容
私30歳、妻26歳、長女3歳で現在別居期間半年です。
別居中は日曜の夕方から金曜の夕方まで週5日私の方で子供をみています。
妻の借金、ギャンブルやその事で喧嘩が絶えないことから離婚調停を私の方から申し立て、別居をはじめました。
現在、お互い親権を譲らず調停では当分の間別居すること、日曜の夕方から金曜の夕方までは私の方で子供を監護することと調書に記載してもらい調停が成立として調書を作ってもらいました。
実は一年前にも別居をしていまして、その理由は妻が借金を返すまで別居すると言い二歳にもならない娘を置いて出ていきました、その間も親や姉たちとパチンコには行っていたようです。
その時は私の方から子供の為に戻るように説得して借金が残っている状態で戻ってきました。この別居中、子供は半々で監護していました。
相談の内容はもちろん親権が取れるかということです。
相手は親と姉2人と兄がいてみんなギャンブル好きで親は自己破産、一番上の姉は旦那がうつ病になり離婚、二番目の姉はパチンコで借金、実家と旦那は絶縁状態。兄は県営住宅に不正入居をしていました。
そして末っ子の妻はパチンコの借金、過去に精神科に通っていたと本人が言っていました、調停では否定していましたが、結婚生活中も突然スイッチが切れたように無気力になることが多々ありました。こんな環境で娘を育てさせるわけにはいきません。
私の方は元警察官の父と元保育士の母が全面的に協力してくれています。あと警察官の兄と学生の弟がいます。
私は理学療法士をしており、娘は今私の病院の中にある保育園に1歳になる前から通っています。
こんな環境でもやはり親権を争うとやはり母親が有利なのでしょうか?
ご回答
相談者様
親権に関するご質問ですね。今回は西村が回答させていただきます。
親権については、過去のメール相談でもご相談いただきましたが、親権が争われた際の実務上の判断基準としては、大きく2点あります。
①監護の継続性
親権者を決定するにあたって、これまでお子さんを主に監護していたのはどちらかということがまず問題となります(「主たる監護者」といいます)。これは、主たる監護者の監護状態に問題がなければ、離婚後も引き続き養育させた方がお子さんにとってよいと考えられているからです。
相談者の方のお話では、現在は週に5日相談者の方がお子さんの身の回りのお世話をしており、保育園も相談者の方の勤務先とのことです。そうだとすれば、現在主にお子さんを監護しているのは相談者の方だということになるでしょう。
この事実は、親権を取得するにあたって相談者に有利な事実だと考えられます。
もちろん、主たる監護者というのは、これまでのお子さんの3年間をみて判断するわけですから、過去の養育状況も重要になってきます。
そして、相談者の方が現在、具体的にどのような養育をしているのかも深く関係してきます(例えば、食事の世話や入浴、就寝時間やお子さんとの時間の過ごし方など)。そのあたりの事実について、直接お話しいただければより具体的なアドバイスができると思います。
また、主たる監護者が相談者の方とされた場合でも、その監護に問題があるとされれば親権者を取得できない可能性が出てきますので、今の監護状況について分析してみることも大切です。
なお、相談者の方のお話ですと、相手方の親族にギャンブル志向があるということですが、もちろんこの事実が相手方にとって有利になることはないでしょうが、だからといって、親権者を決めるにあたって、それほど重視されることはないと思います。
というのも、監護補助者の協力体制は確かに重要な事実とされていますが、やはり監護補助者は「補助者」なのであって、肝心なのは監護をする父親、母親とお子さんとの関係性なのです。
相手方自身のギャンブル志向については、どこまで証明できるかが問題になってくると思います。借金に関する資料等は取得されておいた方がよいでしょう。
②母性優先の原則
もう一つの原則が母性優先の原則というものです。「母性」と聞くと、母親が有利という風に聞こえてしまいがちですが、必ずしも母親ということではなく、これまで母性的な役割を果たしてきたのはどちらかという視点です。
ですので、相談者の方のように父親が母性的役割を果たしていることもあるわけです。
これは①とも深く関わっていますが、相談者の方のお話ですと、相談者の方も十分に母性的な役割を果たしていると評価できるのではないかと思います。
親権者を決するに当たっては、もちろん当事者であるお子さんの意思も尊重されますが、相談者の方のケースのようにお子さんが小さく、自分で意思表明ができない場合には、上述の主たる監護者という視点が重要になるでしょう。
したがって、現状を踏まえると、相談者の方が親権者となる可能性は十分にあると思います。
直接弁護士にご相談いただければ、より具体的な事実を聞かせていただき、アドバイスできると思いますので、今回の回答も参考にされてご検討下さい。
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