DV彼氏の特徴とは?弁護士が対処法を解説|チェックリスト
DV彼氏の特徴としては、彼女を自分のモノのように扱う、束縛する、普段は優しいなどが挙げられます。
DV彼氏との交際を続けていると、最悪の場合、命にかかわることにもなりかねません。
しかし、DV彼氏にコントロールされ、DVを自覚することができずに、彼氏から離れられなくなっている被害者の方も少なくありません。
そこで、ここでは、DV彼氏の特徴や、DV彼氏への対処法などについて解説していきます。
相手がDV彼氏かどうか診断するためのチェックリストも紹介します。
ぜひ参考になさってください。
DV彼氏の特徴
DV彼氏とは?
DV彼氏とは、交際相手(彼女)に対して暴力を振るう人のことをいいます。
DVとは、ドメスティック・バイオレンス(domestic violence)の略であり、一般に、配偶者や恋人など親密な関係にある人から振るわれる暴力のことを指します。
恋人から振るわれる暴力は、特に「デートDV」と呼ばれています。
言葉や態度、セリフからDV彼氏を診断する方法
DV彼氏は、
- 彼女を自分のモノのように扱う
- 束縛する
- 外面が良い
- 普段は優しい
といった特徴を持っていることが多いです。
しかし、DV被害者の方は、彼氏から「お前が悪い」と言われ続けることなどから、相手がDV彼氏なのかどうか判断できなくなっている場合も多いです。
そこで、ここでは、DV彼氏に見受けられることの多い行為、態度、セリフなどを紹介します。
彼氏に当てはまるものが一つでもある場合は、DV彼氏である可能性があります。
DVに当たる行為のすべてを網羅するものではありませんが、参考までにチェックしてみてください。
DVの種類
DVには、身体的DV、精神的DV、性的DV、経済的DVといった種類があります。
それぞれの内容と具体例を簡単にまとめると次のようになります。
種類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
身体的DV | 身体に危害を及ぼす |
|
精神的DV | 言葉や態度によって精神的に追い詰める |
|
性的DV | 性的に危害や苦痛を与える |
|
経済的DV | お金の自由を奪うことなどによって苦痛を与える |
|
DV彼氏からくる被害の実態とその影響
DV被害の状況
内閣府の調査によると、女性の約6人に1人(女性全体のうちの16.7%)が彼氏から暴力被害を受けたことがあると回答したとのことです。
また、年代別に見た場合、20代と30代ではそれぞれ25%以上の女性が被害を受けたことがあると回答しているとのことで、比較的若い世代に多いことがわかります。
引用元:内閣府男女共同参画局|男女間における暴力に関する調査
DV被害による影響
DVは、被害者の心身に大きな影響を及ぼします。
殴る・蹴るなどの身体的DVは、被害者の身体に直接傷をつけ、命を奪うこともあります。
また、暴力は、どのような形態であっても、被害者の精神に大きなダメージを及ぼします。
精神的なダメージは、頭痛、不眠、消化器系の疾患などの身体的な不調や、不安障害やうつ病などのメンタル不調を生じさせ、最悪の場合、被害者を自殺に追い込むこともあります。
加害者と別れて被害を受ける状態から脱した後も、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみ、外出ができなくなる、人が信じられなくなるなど、日常生活に支障をきたすケースもあります。
DV彼氏への対処法
相談する
彼氏に恐怖を感じている場合や、彼氏との関係性に疑問を感じる場合は、一人で抱え込まずに相談をするようにしましょう。
相談をすることで、彼氏の行為がDVであることに気づき、DVから脱出するきっかけをつかむことができるようになります。
相談は、信頼できる友人や家族にするのでもよいですが、デートDVに理解のある人にすることがポイントです。
周囲に安心して相談できる人がいないという場合、公的な相談窓口(配偶者暴力相談支援センターや警察)や、弁護士に相談されるとよいでしょう。
相談窓口の詳細は後ほどご紹介いたします。
彼氏と物理的な距離を置く
彼氏からDVを受けている場合、あるいは、相手がDV彼氏なのではないかと疑問を抱いた場合は、まず彼氏と物理的な距離を置くようにしてください。
具体的には、彼氏と直接会うことは避け、同棲している場合は別居を検討する必要があります。
「彼氏と別れる決意ができるまで我慢しよう」、「彼氏の言動がDVであることを確信するまでは待とう」と思わずに、できる限り早く離れることが大切です。
DV彼氏と過ごす時間が長くなればなるほど、被害は深刻化し、DV彼氏と離れることも難しくなっていきます。
面会を避けたり、別居したりするのに、彼氏の承諾を得る必要はありません。
しかし、DV彼氏は、彼女に距離を置かれたことに逆上し、更なる暴力を振るってくる可能性があるので注意する必要があります。
彼氏が自宅や職場に押しかけ暴力を振るってきた場合や、「別れるなら殺してやる」などと脅迫されたりした場合は、すぐに警察に通報するようにしてください。
このような危険が予測できる場合は、事前に警察に相談しておいたり、保護命令やストーカー規制法による対処を検討する必要もあります。
DV問題に詳しい弁護士に相談し、加害者とのやり取りの窓口となってもらうことを検討してもよいでしょう。
彼氏と別れる
DVを根本的に解決するには、DV彼氏と別れることを検討する必要があります。
恋人の関係は、一方の意思によって解消することができ、別れるのに彼氏の承諾は必要ありません。
しかし、DV彼氏は、彼女が別れを切り出したことに逆上して、更に暴力を振るってくる恐れがあります。
そのため、別れ方や、別れ際の安全確保には特に注意する必要があります。
別れ話は二人きりの空間ではせず、電話やLINEを利用する、信頼できる第三者(友人や上司など)に立ち会ってもらうなど安全な方法を選ぶようにしてください。
弁護士に依頼して、代理人として彼氏と交渉してもらうという方法もあります。
また、「別れるなら殺してやる」と言われたことがあるなど、危険性が高い場合は、予め警察に相談しておくとよいでしょう。
DV彼氏と別れた後も、彼氏と一切接触しないように注意し、安全に気を配るようにしてください。
復縁には慎重になるべき
DV彼氏は、彼女から別れを切り出されると、「二度と暴力は振るわないと約束する」「俺にはお前が必要」などと言って関係維持を求めてくることも多いです。
また、別れた後に復縁を迫ってくることも多いです。
このような場面で、復縁を考える被害者の方は少なくありません。
しかし、復縁には慎重になるべきです。
DV彼氏は、被害者を自分の支配下にとどめておきたいだけであり、自分の非を認めて改善しようとは思っていないことがほとんどです。
復縁すると、あなたへの支配を強めようと、更に激しい暴力を振るってくる可能性もあります。
保護命令の申立てを検討する
保護命令とは、被害者の申立てにより、裁判所が加害者に対し、被害者への接近を禁止することなどを命ずるものです。
命令に違反した場合は、刑罰が科されます。
そのため、保護命令が発令されれば、彼氏は容易にあなたに接近することができなくなり、安全を確保することができます。
ただし、デートDVで保護命令を申し立てることができるのは、次のような条件をみたす場合に限られます。
- 加害者と一緒に住んでいる
- 身体に対する暴力又は生命・身体に対する脅迫を受けた
- 更なる暴力により生命・身体に重大な危害を受ける恐れがある
したがって、彼氏と一緒に住んでいない場合は、保護命令を申立てることはできません。
その場合は、次に説明するストーカー規制法による対処等を検討する必要があります。
ストーカー規制法による対処等を検討する
彼氏からつきまとわれたり、嫌がらせのLINE等を大量に送られたり、復縁を迫られたりした場合は、ストーカー規制法による対処等を検討する必要があります。
ストーカー規制法は、「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」を規制する法律です。
具体的には、つきまとい、待ち伏せ、住居等への押しかけ、面会・復縁の要求、乱暴な言動、メール等の大量送信、位置情報の取得などを取り締まっています。
このような被害を受けた場合は、警察に申し出て、警察署長等から加害者に対し、これらの行為をやめるよう警告を出してもらうことができます。
警告への違反があった場合は、公安委員会に禁止命令を出してもらうこともできます。
その他、防犯に関する助言を受けたり、パトロールを強化してもらうなど、警察に対し、被害防止のために必要な援助を求めることもできます。
参考条文:ストーカー行為等の規制等に関する法律
DV彼氏のことを相談する窓口
DV彼氏に関する相談を受け付けている窓口には、次のようなものがあります。
相談窓口 | 支援内容等 | 相談方法等 |
---|---|---|
配偶者暴力相談支援センター | 被害についての相談、カウンセリング、一時保護、関係機関への連絡調整など | 内閣府男女共同参画局|相談機関一覧
相談先がわからない場合は、DV相談ナビダイヤル(#8008)にかけると最寄りのセンタ―に自動転送されます |
DV相談+(プラス) | 電話相談(24時間)の他、メールやチャットによる相談 | 内閣府|DV相談+ |
警察署 | 被害についての相談、ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令・援助を求める申出、被害届の提出など |
|
弁護士 | 法律相談、加害者との交渉、保護命令の申立て、慰謝料請求などの法的サポート |
|
DV問題に強い弁護士
相談窓口で迷われた場合は、DV問題に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士であれば、具体的状況をお聴きした上で、適切な相談窓口について助言することもできます。
また、弁護士は、依頼者の代理人として、DV彼氏と直接交渉をすることができます。
そのため、弁護士に依頼すれば、ご自身で彼氏と直接やり取りすることなく、安全を確保しながら、関係解消の話などを進めることができます。
弁護士が間に入って、関係解消や、今後接触しないことについての約束を取りつけ、合意書等の形にしておくことができれば、今後のトラブル防止にもつながります。
また、弁護士には、保護命令の申立てや、慰謝料請求(※)などの法的サポート全般を依頼することもできます。
(※)DV被害によって受けた精神的損害について、慰謝料請求ができる場合があります。ただし、暴力の程度や被害の状況等によりますので、具体的な見通しについては弁護士にご相談ください。
DV彼氏についてのQ&A
DVした後、彼氏が優しいのはなぜ?
DV彼氏が優しくなるのは、被害者を自分の支配下に留めておくためであることがほとんどです。
優しくすることで、彼女に「本当は優しい人なんだ」「私が悪かったのかも」「愛されている」「やっぱり彼を愛している」などと思わせ、自分から離れて行かないようにしているのです。
DVにはサイクルがあるという説もあります。
DV加害者は、イライラを募らせ(緊張の蓄積期)、それを爆発させて激しい暴力を振るい(暴力の爆発期)、その後は一転して優しくなり、謝ったり反省を示したりする(ハネムーン期)、しかし、また緊張の蓄積期がやってくるというサイクルです。
そして、サイクルを繰り返すうちに、暴力はどんどんエスカレートしていきます。
全てのDV彼氏がこのパターンに当てはまるとは限りませんが、DVの後に彼氏が優しいのは、この一時的なハネムーン期であると考えることもできるでしょう。
いずれにせよ、DVの後に彼氏が優しくなったとしても、それでDVが根本的に解決したと考えてしまうのは危険です。
再びDVをされる前に、DVがエスカレートしないうちに、彼氏から離れる・別れるといった対処が必要になります。
物に当たる彼氏はDVですか?
イライラして物に当たってしまうということは、誰にでもあり得ることかもしれません。
しかし、DV彼氏でない場合は、物に当たったとしても、彼女を怖がらせたり、威嚇したりするほどの乱暴な態様ではしないでしょう。
仮に多少行きすぎな行為があったとしても、あなたが「怖いからやめて欲しい」と伝えればやめてくれますし、今後もそのような行動をとらないように配慮してくれるでしょう。
他方で、あなたがやめて欲しいと伝えてもやめない場合、彼氏の行為はDVであると考えられます。
あなたの気持ちをないがしろにしたり、あなたを怖がらせる行為をわざとするというのはDVです。
まとめ
以上、DV彼氏について、特徴や、DV彼氏への対処法などを解説しましたが、いかがだったでしょうか。
あなたが彼氏に対して恐怖や不安を抱いていたり、彼氏との関係性に疑問を抱いている場合は、DV彼氏である可能性があります。
DV彼氏と交際を続けていると、重大な被害を受ける恐れもあります。
相手がDV彼氏である疑いがある場合は、早めに相談機関や専門に相談し、適切な対処をするようにしてください。
当事務所には、DV問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、DV問題にお困りの方を強力にサポートしています。
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