離婚の慰謝料はどういう場合に発生するのですか?

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士

離婚慰謝料どのような場合に発生

離婚の慰謝料が発生するのは、相手方に不貞行為や暴力などの有責行為があった場合です。

もっとも、裁判例上は、不貞行為や暴力が認められないケースでも、個別の事情により有責行為と認定し、慰謝料を認めた例もあります。

不貞行為や暴力以外のケースで慰謝料請求が認められるかは、個別具体的な事情が重要になってきます。

離婚の慰謝料が発生する場合

離婚に伴う慰謝料は、離婚そのものによる慰謝料と離婚原因となった個別の不法行為の慰謝料とに分けられますが、裁判所は、厳密には区別せずに判断する傾向にあります。

もっとも、離婚そのものによる慰謝料を認めた判例でも「離婚の場合における慰謝料請求権は、相手方の有責不法な行為によって離婚するの止むなきに至ったことにつき、相手方に対して損害賠償を請求することを目的とするものであるから、財産分与請求権とはその本質を異にすると共に、必ずしも所論のように身体、自由、名誉を害せられた場合のみに慰謝料を請求しうるものと限局して解釈しなければならないものではない。」と述べているので、相手方の有責性は要求されていることに注意が必要です。

すなわち、慰謝料を請求できる場合というのは、相手方に有責行為がある場合ということになります。

では、有責行為とは具体的にはどのような行為をいうのでしょうか。

有責行為とは、具体的には、不貞行為や暴力がその典型となります。

もっとも、裁判例上は、不貞行為や暴力が認められないケースでも、個別の事情により有責行為と認定し、慰謝料を認めた例があります。

例えば、裁判例としては、通常の性関係をもてないことを理由に離婚せざるを得なくなった場合に、100万円の慰謝料を認めたものがあります(旭川地判昭54・5・10)。

その事例では、結婚後、約1年8ヶ月の同居期間中、一度も性交がなく、その理由が夫の病気による性交不能でした。

また、妻の性交渉拒否により、離婚に至ったとして150万円の慰謝料が認められた裁判例(岡山地津山支判平3・3・29)もあります。

さらに、ポルノ雑誌ばかりに興味を示し、夫婦生活に応じない夫に500万円の慰謝料が認められたという裁判例(浦和地判昭60・9・10)もあります。

これらの裁判例をみても分かる通り、不貞行為や暴力以外のケースで慰謝料請求が認められるかは、個別具体的な事情が重要になってきます。

 

 

離婚の慰謝料を請求する場合の問題点

離婚の慰謝料を請求する場合の問題点

慰謝料が問題となる離婚事案では共通して見られる傾向があります。

豊富な経験を有する離婚弁護士だからこそ実感している慰謝料の問題点について、紹介しますので、ご参考にされてください。

 

法的判断が難しい

離婚の慰謝料を請求するとき、当該行為が慰謝料の発生原因たる「不法行為」に該当するのかが問題となります。

すなわち、不法行為に該当するか否かは法的な評価が必要となります。

例えば、仮に、不貞行為があったとしても、慰謝料が発生するとは言い切れません。

また、暴力行為があったとしても、慰謝料が発生するほどの不法行為と言えるか否かは一概にはいえません。

さらに、不貞行為や暴力以外の事案の場合、相手方の行動が不法行為に該当するのか、法的評価は難しいと考えられます。

次に、相手方の不法行為が認定されて慰謝料が発生したとしても、その具体的な額はいくらなのか、法的に判断しなければなりません。

これらについて、離婚の慰謝料問題に精通した弁護士でなければ適切な判断は困難な場合があります。

当事者同士では話し合いができない

慰謝料が問題となる事案では、当事者双方とも、感情的になってしまい、冷静な話し合いができないことがあります。例えば、不貞行為に基づく慰謝料請求の事案では、配偶者以外にも、浮気の相手方も慰謝料請求の対象となります。

相手方が感情的になったり、不誠実な対応をとったりすると、話し合いでの解決は難しくなります。

また、暴力行為に基づく慰謝料請求の事案では、相手方に対する恐怖心などから、被害者である本人が加害者である配偶者に対して、直接慰謝料を請求するのは事実上困難な場合が多くあります。

調停や訴訟は長期化する

協議での解決ができず、離婚調停や離婚訴訟となると、長期化することが予想されます。

特に、訴訟において、慰謝料が争点となると、泥沼の争いとなって複雑化する可能性があります。

解決まで数年間を要するケースもあり、当事者双方の負担、弁護士費用の高額化などの問題が懸念されます。

もちろん、相手方がまったく反省していないなど、不誠実な対応を取る場合は、法的手段もやむを得ませんが、長期化することの負担を考慮すると、被害者側であっても一定程度、相手方に譲歩するなどの姿勢を取ることも検討してよいかと思います。

譲歩の具体的な内容としては、例えば、賠償額を一定程度減額してあげる、分割払いを認めてあげる、などが考えられます。

慰謝料の問題は、専門知識はもちろん、家裁実務に関するノウハウが必要です。

離婚の慰謝料についてお悩みの方は、離婚問題に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

慰謝料について、詳しくは以下ページをごらんください。

 

 

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