離婚に伴う慰謝料額が決まった後、確実に払ってもらう方法は?

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士

慰謝料を確保する方法についての質問です

離婚に伴う慰謝料を確保するには、どのような方法がありますか?

 

 

弁護士の回答

お金のイメージ画像離婚に際し、慰謝料を決めたとしても、実際に支払ってもらわないと絵に描いた餅になりかねません。

そこで、慰謝料を確実に払ってもらうための方法を考える必要があります。

具体的には、主として次の4つの方法が考えられます。

 

具体的な方法

①合意書を作成する

実印のイメージイラスト慰謝料の額を明示したうえで、署名捺印を行い、合意書を作成しましょう。

できれば、後々の紛争に備えて、実印で押印しておく方が良いでしょう。

ただし、合意書だけでは、強制的に慰謝料の支払いをさせることはできませんから、強制的に慰謝料を支払わせるためには訴訟を提起することが必要です。

訴訟を提起した場合に、この合意書が重要な証拠となります。

すなわち、合意書を作成した後に、支払ってもらえなかった場合には、訴訟を提起することになるが、その際の証拠とするために、合意書を作成しておくということになります。

合意書については、こちらでダウンロードが可能ですので、ご参考にされてください。

 

②公正証書を作成する

執務中のイメージイラスト内容は①の合意書と同じものでも、公正証書と合意書には効力の面で大きな違いがあります。

それは、公正証書は訴訟を起こさなくとも強制的に慰謝料の支払いをさせることができるようになる(法的には債務名義といいます)というものです。

裁判をせずに支払いをさせることができる点において、合意書よりも公正証書の方が支払いを受ける方にとっては有利なので、書面を交わす際には、公正証書による方が望ましいといえます。

公正証書は公証役場で作成します。

公証人が作成した公正証書に当事者及び公証人が署名押印することで公正証書が完成します。

その際、必ず、債務者が支払いを怠った場合には直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行受諾文言といいます)を条項に盛り込むことが大切です。

公正証書をどういう内容にするかは、どうすれば効力を発揮することができるのかできるのかの判断が必要となりますので、離婚問題に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

公正証書については、こちらをご覧ください。

 

③仮差押え

差し押さえのイメージイラスト合意書だけしかない場合、強制執行をするには裁判を起こす必要があることはすでに、ご説明しました。

しかし、裁判を起こすのは、時間がかかります。

その間に、資産を隠されてしまうと、差し押さえることもできなくなってしまいます。

強制執行が功を奏しなくなってしまいます。

強制的に慰謝料を支払わせるためには、差し押さえることのできる財産があることが前提になるからです。

そこで、強制執行を確保するために、仮差押えという手続をとることが考えられます。

仮差押えとは、裁判の結果が出るまでの間、差押えしようと思っている財産を動かすことができなくなるようにする手続をいいます。

仮差押えを行うことにより、資産を隠したり、現状を変更したりができなくなります。

仮差押えについては、法的な判断を伴うため、弁護士に相談すると良いでしょう。

 

④履行の勧告

調停履行の勧告は、調停で慰謝料額を取り決めた場合に、有効な手段です。

具体的には、調停を行った家庭裁判所が相手方に電話や書面で支払を促すもので、手数料もかかりません。

もっとも、強制執行のように法的に強制力があるものではありません。

飽くまでも事実上の履行(支払)を促すにとどまります。

したがって、確実に支払わせる効力があるものではありませんが、差押えをする前にまず試してみる方法としては、有効でしょう。

慰謝料について、詳しくはこちらからどうぞ。

 

まとめ

弁護士以上の方法をまとめると、以下のような方法が考えられます。

  • 合意書を作成したうえで、裁判を起こして、財産を仮差押えする方法
  • 公正証書を作成したうえで、執行の申立をする方法
  • 資産を隠されてしまう前に、仮差押えという手続をとる
  • 調停で慰謝料額を取り決めたうえで、履行勧告や履行命令を出して貰う方法

慰謝料を確実に支払ってもらうためには、合意書や公正証書で合意しておくこと、または、調停等の裁判所の手続きをつかって慰謝料の合意をしておく方法が有効といえます。

離婚の慰謝料の取り決めの方法および、取り決めた慰謝料の支払いがなされない場合の支払い方法の確保については、具体的な状況によっても有効な手段が異なってくるため、一概にこの手段がいいと言うことはできません。

そのため、お悩みの場合には是非一度、離婚に詳しい弁護士にご相談ください。

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