※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
状況
Cさん
相談者 | Cさん(亡きAさんの弟) |
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相続人 | 配偶者(妻・Bさん)ほか兄1名(Cさん) |
被相続人 | 73歳で死亡(夫・Aさん) |
遺産 | 不動産(自宅・時価 4000万円) |
相談の経過
Aさんが亡くなり、CさんはAさんの遺産を相続しました。
しかし、他の相続人のうち、Aさんの妻Bさんは、高齢のため、介護施設に入居しており、判断能力がありませんでした。
そのため、Cさんは、遺産分割を行うことができず、弁護士に相談しました。
弁護士の関わり
受任後、Bさんについて、成年後見の申立てを家庭裁判所へ行い、成年後見人を選任してもらいました。
そして、成年後見人をBさんの法定代理人として、遺産分割調停を申し立てました。
調停では、遺産である不動産を売却し、売却代金を法定相続分(Cさんは4分の1)どおり分けるという内容で合意が成立しました。
後日、Bさんは、約1000万円を取得することができました。
補足説明
成年後見とは?
高齢になると、認知症などによって、判断能力が不十分となる方々がいます。
このような方々は、悪徳な業者から騙されて不必要な品物を高額で購入させられたりすることがあります。
また、認知症が進むと、契約の締結などの法律行為を自分自身ではできなくなることもあります。
成年後見とは、このような方々を保護するための制度をいいます。
成年後見制度を利用すると、遺産分割などの法律行為を行うことが可能となります。
後見人がつくため、この者が被後見人(本人)に代わって、遺産分割を行うことができるからです。
ただ、後見が開始すると、被後見人自身は法律行為ができなくなったり、資格が制限されるなどのデメリットがあります。
そのため、成年後見を申し立てるか否かは、専門家の助言をもらいながら慎重に判断した方がよいでしょう。
誰が後見人となる?
法定後見制度については、後見人を選ぶのは裁判所です。
後見人となるのは、通常、親族(身の回りの世話をしている方)、弁護士、司法書士などが考えられます。
ただ、遺産分割で争いがある場合など、複雑な事案については弁護士が選任される可能性が高いと思われます。
成年後見人について、実務の傾向についてはこちらのページで詳しく解説しています。
遺産分割はどうなる?
遺産分割の際、重要となるのは具体的な遺産の取り分です。
通常の遺産分割のケースでは、法定相続分に拘らずに分割することが可能です。
法定相続分について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
相続人全員が納得さえすれば、必ずしも法定相続分に固執する必要などないからです。
しかし、成年後見人がいる事案では、少なくとも当該被後見人の遺産の取り分は、法定相続分を下回ることはほとんどないと考えられます。
なぜならば、成年後見人は、被後見人の財産を適切に管理しなければならないからです。
例えば、上記の事例のように、法定相続分が4分の1の事案において、8分の1しか取得しない場合、損をするのは被後見人です。
このような行為は、被後見人を保護するどころか、財産を侵害することとなるため許されません。
成年後見人の仕事についてはこちらのページで詳しく解説しています。
遺産分割を適切に解決するためには、相続法に関する専門知識やノウハウが必要です。
また、認知症の方が相続人にいる場合、成年後見の申し立てなどを判断しなければなりません。
そのため、相続に精通した弁護士に助言を求め、適切な解決となるよう注意すべきです。
当事務所の相続対策チームは、最新の相続法・裁判例を踏まえ、親身になって解決方法をご提案いたします。
当事務所のご相談の流れについてはこちらのページをご覧ください。