解決事例
更新日2021年1月19日

同乗中の事故で死亡したAさんの遺族が弁護士に依頼し増額した事例

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Aさん

受傷部位頭部(脳挫傷、多発性外傷、外傷性出血性ショック)
ご依頼後取得した金額
6000万円

内訳
損害項目 保険会社からの提示額 弁護士によるサポート結果
傷害慰謝料 7万円 20万円
付添費用 0円 10万5000円
近親者交通費 0円 15万円
死亡慰謝料 1000万円 2350万円(裁判基準)
死亡逸失利益 2167万円(年齢別平均給与×(1−50%)×48年) 4260万円(賃金センサス×(1−50%)×48年(67歳まで)裁判基準)
葬儀費 150万円 150万円
過失相殺 自賠責基準のためなし 10%
結果 3175万円 6000万円

 

状況

Aさんは、同じ学校の友人たちとドライブに出かけていました。

その際、運転していた友人がハンドル操作を誤って、電柱にぶつかってしまう自損事故を起こしてしまいました。

Aさんは後部座席にシートベルトをせずにいたため、車内の前方に投げ出されてしまい、頭部を強く打ってしまいました。

Aさんは、すぐに救急車で病院に運ばれました。

しかしながら、搬送時点で意識はなく、検査の結果脳挫傷と多発性外傷と診断されました。

出血が大量にあり、輸血をするなど医師たちも最善の治療を行っていましたが、集中治療室での2週間の治療の甲斐なく、交通事故から2週間後にお亡くなりになりました。

その後、Aさんのご遺族であるご両親が保険会社と交渉をはじめました。

事故から半年ほど経って落ち着いた頃に、保険会社から示談案がAさんのご両親宛に届きました。

届いた内容を見て、Aさんのご両親はこの示談案が妥当なものかどうか、弁護士にご相談に来られました。

 

 

弁護士の対応

弁護士は、Aさんのご両親から、把握している事故の内容やAさんの当時の状況をおうかがいするとともに、保険会社からの示談案を確認しました。

すると、保険会社の示談案は自賠責保険基準によって算出されていることがわかりました。

加えて、死亡逸失利益についても、学生であったAさんの年齢別の平均給与を基礎収入として算出しており、将来的な補償としては不十分な内容でした。

そこで、弁護士は、Aさんのご両親に対して、保険会社の示談案で示談すべきではないことを説明し、ご依頼をいただきました。

そして、弁護士は、相談時にうかがった事情を踏まえて、適切な賠償額を算出して交渉を開始しました。

具体的な弁護士の対応については以下の通りです。

家族が病院に付き添った費用の請求

2週間の期間中、家族が病院に付き添った費用が全く補償されていなかったため、その部分を請求しました。

 

家族がAさんの病院に駆けつけるためにかかった交通費の請求

同じく、家族がAさんの病院に駆けつけるためにかかった交通費についても、全く補償されていなかったため、遠方の兄弟の飛行機代なども請求しました。

 

近親者慰謝料も含めて2000万円以上の補償をしてもらうという方針を立てる

慰謝料についても1000万円では到底許容できるものではなく、若い命が失われたことに対する補償として、近親者慰謝料も含めて2000万円以上の補償をしてもらうという方針を立てました。

 

逸失利益を算出しなおすべきと主張

 逸失利益についても、専門学校生でこれから社会に出て活躍するはずであったAさんに対して、20代前半の収入を基礎収入として一生の収入を検討するのは不合理な状況でした。

そこで、少なくとも短大卒を前提とした賃金センサス、男性、年齢合計の金額を基礎収入として逸失利益を算出すべきと主張しました。

保険会社は、今回の交通事故に対する事故資料を精査して、シートベルトを着用していなかったことを主張して過失相殺を行ったものの、賠償額については弁護士が主張する計算根拠をもとに代案を提案してきました。

この代案の時点で、5600万円の補償という内容であり、最初にAさんのご両親が提案を受けていた内容よりも2500万円近く増額していました。

しかしながら、弁護士は粘り強く交渉し、10代という将来がある子の命が失われたことやそれによって愛する我が子を失った両親の悲しみやこれからの苦しみは計り知ることができないほど大きなものであると主張し、さらなる増額を目指しました。

 

弁護士の交渉の結果

 

その結果、保険会社はさらに慰謝料額を400万円ほど増額し、最終的には2350万円を慰謝料とすることで示談が成立しました。

Aさんのご両親は6000万円の賠償を受けることになりました。

これは当初保険会社から受けていた示談内容の2倍近いもので、2825万円を増額することができました。

 

 

弁護士のアドバイス

今回のAさんの事案では、シートベルト未着用という点や乗車定員をオーバーする状態で発生した自損事故ということもあり、一定程度の過失相殺が問われると見込まれました。

しかしながら、弁護士は、そうした過失を前提にしても自賠責基準での賠償では全く不十分であると相談時に判断できました。

そのため、弁護士費用特約がなかったAさんの場合でも絶対に弁護士に依頼すべきであるとアドバイスをすることができました。

実際に、交渉を開始したのちに、2500万円もの増額がなされたのを見て、Aさんのご両親も弁護士の力が本当に必要だったということを強くおっしゃっていました。

最終的に、2825万円の増加という結果に終わり、少しでもAさんの交通事故による痛みや苦しみ、今後のご両親の悲しみや苦しみを補償できたのではないかと思います。

本件では保険会社から主張されませんでしたが、同乗中の事故で乗車定員オーバーがあるような場合では、「好意同乗」による賠償額の減額を主張されることもあります。

お亡くなりになった方がこの世に戻ってくることはありません。私たち弁護士は、そうした尊い命を取り扱っているということを忘れずにこれからも被害者のご遺族の皆様のサポートを続けてまいります。

死亡事故にあわれたご家族の皆様はお気軽にまずはデイライト法律事務所の弁護士までご相談ください。

 

 


なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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