死亡事故において示談交渉で近親者慰謝料が認められた例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 頚椎骨折に伴う頸髄損傷 |
等級 | 死亡 |
ご依頼後取得した金額 |
---|
約3400万円(約500万円増額) |
損害項目 | 保険会社提示額 | 弁護士介入後 |
---|---|---|
死亡慰謝料 | 1300万円(自賠責基準) | 2350万円(近親者慰謝料込) |
入院雑費 | 2200円 | 3000円(1500円×2日) |
近親者交通費 | なし | 約5万円 |
傷害慰謝料 | なし | 約5万円 |
死亡逸失利益 | 1600万円 | 1600万円 |
過失相殺 | 自賠責基準のためなし | 15% |
結果 | 2900万円 | 約3400万円(約500万円増額) |
状況
Lさんは、原付バイクで青信号に従って交差点を直進していたところ、反対方向から同じく青信号に従って交差点を右折してきた加害者の車両に衝突し、転倒する事故に遭いました。
Lさんは衝突のはずみで首の後ろを地面で強打してしまいました。
そのため、事故直後からLさんは意識がなく、救急搬送された病院で頚椎骨折に伴う頸髄損傷と診断され、懸命の治療も及ばず、事故から約24時間後に他界されました。
その後、しばらくたって加害者の保険会社より賠償金の提示がありました。
Lさんのご家族は最愛の家族を亡くされた悲しみを適切に補償されているのか知りたいという思いで当事務所へご相談に来られました。
弁護士の対応
弁護士は、加害者の保険会社の提示額を確認したところ、死亡慰謝料について自賠責保険の基準に従った補償しかなされていない状態であったため、Lさん家族にそのことを説明しました。
依頼後は、ご遺族の慰謝料である近親者慰謝料も当然補償されるべきであるとして、ご遺族の悲しみを少しでも補償されるように加害者の保険会社と交渉開始しました。
死亡逸失利益について、Lさんが高齢でパート収入者でしたが、相手保険会社は、賃金センサスを(平均年収)を前提に計算していました。
Lさんのパートの年収よりも平均年収の方が高額であったため、死亡逸失利益については、こちらも争うことはせず、死亡慰謝料を中心に交渉することになりました。
また、事故のことを聞いてご家族が駆け付けた際の交通費や傷害慰謝料が含まれていなかったため、その部分の請求も行いました。
本件では、過失割合についても交渉する必要がある事案でした。
そこで、弁護士は、刑事記録を取り寄せて、過失割合についての検証も行いました。
弁護士にご依頼いただいた時点ですでに加害者の刑事裁判は終わっていましたが、Lさんご家族は刑事記録をそれまで見たことがなく、弁護士が取り寄せた後に初めて見ていただきました。
こうした刑事記録やその他資料を踏まえて、弁護士が相手方保険会社と交渉を重ねた結果、最終的に、Lさんご家族の近親者慰謝料も含めて 2350万円の慰謝料を示談交渉で認めてもらいました。
その結果、15%の過失相殺を加えても 500万円以上賠償金が増額することができました。
弁護士のアドバイス
死亡事故においては、最愛のご家族を亡くされた方の悲しみは言葉では簡単に言い表せないほど大きなものです。
そうしたお気持ちについては、最終的には加害者からの賠償という形でしか救済できないのが現実です。
しかしながら、その賠償についても適切になされているかと言われれば、答えは「NO」です。
今回のLさんの事例のように任意保険会社は自賠責保険の基準通りの提示しか行っていないことも多いのです。
被害者が亡くなった場合の死亡慰謝料は、被害者の立場によって金額が変わってきます。
被害者が一家の支柱の場合は2800万円、母親や配偶者の場合は2500万円、それ以外の立場の場合は2000万円〜2500万円の範囲になる傾向があります。
近親者慰謝料は、上記の金額に含まれています。
Lさんのような高齢者の死亡慰謝料は近親者慰謝料も含めて約2000万円が一応の目安として裁判基準となっています。
今回、示談交渉の段階で裁判基準を超える 2350万円を認めてもらうことに成功しました。
Lさんご家族のお気持ちを少しでも賠償に反映させることができよかったと思います。