手三角骨などを骨折した被害者の傷害慰謝料が10倍近く増額した事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 手三角骨、豆状骨骨折 |
ご依頼後取得した金額 |
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約90万円 治療費等を除く |
損害項目 | 保険会社提示額 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 約6万7200円 | 約73万円(裁判基準満額) |
最終支払額 | 約20万円 | 約90万円(既払い金を除く) |
事故で転倒し、手の三角骨を骨折してしまったKさん
Kさん(20代男性)は、自転車で歩道を走行中、路外から侵入してきた普通自動車に衝突され転倒してしまいました。
転倒して手をついた拍子に手の関節付近の骨である豆状骨・三角骨を骨折してしまいました。
幸いにも骨折の程度は軽度で、ギプス固定をして3ヶ月ほど経過観察したところで骨は癒合し、特に痛みも残らず治癒となりました。
治療が終わった後、保険会社から賠償金の提示を見たKさんは、慰謝料がわずか6万7200円と低額となっていることに疑問を感じ、弁護士に相談することにしました。
相談後、Kさんは弁護士費用特約に加入していたため、弁護士費用特約を利用して当事務所の弁護士に依頼されました。
弁護士の対応により骨折の傷害慰謝料は裁判基準で獲得することに成功
Kさんから保険会社の提示額を見た弁護士は、慰謝料があまりにも低額にとどまっているため、保険会社の慰謝料の計算式を確認しました。
すると、Kさんが3ヶ月の間にわずか16日しか通院していなかったことから、自賠責保険基準で4200円 × 16日分 = 6万7200円という最も低額となる計算式で算定されていました。
Kさんのように、骨折で入院の必要もなく、ギプス固定のみが行われる場合、定期的な経過観察のみが行われ、それほど通院頻度は多くなりません。
むちうちのようにリハビリのために頻繁に通院する必要がないからです。
しかし、通院頻度は少なくても、Kさんは完治までの間ギプスで骨折箇所を固定しなければならず、その間、日常生活や仕事で制限を受けることは明らかです。
弁護士は、骨折という重傷を負い、上記のようにKさんがギプス固定の間、日常生活に制限を受け続けたことを、整形外科の診断書などの客観的資料をもとに丁寧に主張しました。
その結果、Kさんの慰謝料は「赤い本」別表Ⅰ基準により算定され(「赤い本」については補足をご覧ください)、保険会社提示額の10倍である約73万円を獲得することができました。
参考:当センターの刊行物について(青本及び赤い本)|日弁連交通事故センター
最終的、休業損害や通院交通費を含めてわずか20万円と保険会社から提示されていた賠償金は、4倍以上の約90万円となりました。
弁護士のアドバイス
「赤い本」の基準とは
交通事故の慰謝料について調べると「裁判基準」とか「弁護士基準」という基準があることがわかります。
これらの基準は、交通事故の損害賠償を裁判で求めたときの目安となる基準のことを指しています。
では、この裁判基準や弁護士基準がどこに載っているかというと、最も普及しているのが「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準」という書籍で、表紙が赤いことから通称「赤本」、「赤い本」などと呼ばれます。
「赤い本」は公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行しています。
交通事故を扱う弁護士は必ず参照する書籍ですが、一般の書店では手に入れることは困難です。
本来慰謝料は個別の事件ごとの事情を考慮して算定されるものですが、交通事故のようにある程度定型化している訴訟について、統一的な解決を図るためにこのような基準が公表されています。
しかし、弁護士に依頼せずに保険会社と示談交渉をし、「赤い本」の慰謝料基準にしてもらうことは困難です。
保険会社は、弁護士に依頼していなければ、自賠責保険の基準や保険会社独自の基準で賠償金を算定し、その金額はKさんのように裁判基準に比べて極めて低額となってしまうことがあります。
別表Ⅰと別表Ⅱの違いとは
上記の「赤い本」の傷害慰謝料の基準には、別表Ⅰと別表Ⅱの基準があります。
別表Ⅱ基準は、むちうちで他覚所見がない場合、軽い打撲や挫創などの場合に用いられる基準で、別表Ⅰ基準はそれ以外の比較的重症である場合(骨折や脱臼等)に用いられます。
したがって、別表Ⅰ基準の方が別表Ⅱ基準より慰謝料額が高くなる傾向にあります。
別表Ⅰ基準と別表Ⅱ基準のどちらを採用して慰謝料を算定するかについて、明確な基準があるわけではありません。
したがって、診断書やカルテなどを参照し、医学的な根拠をもとに主張しなければ、保険会社により高額な基準で慰謝料を算定してもらうことは不可能です。