解決事例
更新日2019年7月9日

後遺障害非該当から、異議申立てで後遺障害が認定された事例

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Xさん

受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫)
等級非該当→14級9号(腰部痛)
ご依頼後取得した金額
325万円

内訳
主な損害項目 弁護士によるサポート結果
休業損害 48万円
傷害慰謝料 80万円
後遺障害慰謝料 100万円(裁判所の基準90%)
逸失利益 97万円(年収×5%×5年)
結果 325万円

 

状況

Xさんは、青信号で横断歩道を渡っているときに、右折してきた自動車にはねられる交通事故にあいました。

Xさんは救急車で病院に搬送され、 レントゲン検査を受けました。

検査の結果、幸いに骨折はなく、全身打撲と診断されました。

そして、交通事故の翌週から自宅近くの整形外科に通院することになりました。

ただし、Xさんは仕事の都合もあり、なかなか整形外科に頻繁に通院することができなかったため、保険会社に連絡して整骨院にも通院をしながら治療を行っていました。

治療を行っていく中で、腰と足の痛みとともにシビレも出てきていたため、通院していた整形外科から紹介状をもらい、MRI検査も受けました。

交通事故から5か月ほど経過した段階で、保険会社からそろそろ治療を終了してほしいとの連絡が入りました。

腰の痛みがなかなか取れていなかったXさんとしては今後のことが不安になり、交通事故の専門家である弁護士に相談しようと考え、デイライト法律事務所にご相談されました。

弁護士の対応

弁護士は、Xさんから事故態様やその後の治療状況、現在の症状の聞き取りを行いました。

その上で、腰の痛みが交通事故当初から続いていることから後遺障害の申請を行うべきであるとアドバイスをし、Xさんから依頼を受けました。

依頼を受けた弁護士は早速、保険会社に受任通知を送付して、それまでの事故資料一式を取得し、Xさんの詳細な治療状況を確認するとともに、保険会社と治療の終了時期を巡って協議をしました。

弁護士はXさんは歩行者として加害者の車にはねられているのであり、Xさんの現状を踏まえると、少なくとも交通事故から半年間は治療費の支払いを継続してほしいと伝え、保険会社もこれを了承しました。

そこで、交通事故から半年間、Xさんは保険会社の支払いで整形外科と整骨院に通院をし、整形外科の医師に後遺障害診断書を作成してもらいました。

作成してもらった後遺障害診断書と保険会社から取り寄せた診断書といった書類を整理して、Xさんに代わって、弁護士が自賠責保険に対して後遺障害の申請を行いました。

その結果、自賠責保険はXさんに残っている腰の痛みは後遺障害には該当しないとして、非該当であると回答してきました。

しかしながら、弁護士としてもXさんの治療状況や事故態様からすれば、このケースでは後遺障害が認められてもおかしくないと考えていました。

実際Xさんは、保険会社による治療費の支払いが終了した後も腰の痛みがどうしても取れないため、自費で病院に通院を続けていました。

そこで、弁護士は自賠責保険の非該当との判断は不当であるとして、異議申立てをすることにしました。

ただし、やみくもに異議申立てをしても時間がかかるだけなので、Xさんのカルテを病院から取得し、現在も通院していることを証明する領収書を新たな資料として添付し、腰の痛みが一貫して継続していることを主張して、後遺障害が認定されるべきであると異議申立てを行いました。

その結果、自賠責保険は1度目の非該当の結論を変更し、Xさんの腰の痛みが一貫して継続していることから、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当するとして後遺障害の認定を行いました。

Xさんも後遺障害が認定されたという結果に納得され、そのまま保険会社との示談交渉へと移りました。

保険会社との示談交渉は、最初から弁護士が代理人として入っていたこともあり、裁判所の基準を前提とした話で進みました。

しかしながら、保険会社はむちうちによる腰の痛みは3年間で消失すると主張して、3年間しか補償しないと主張していました。

そこで、弁護士は、ここでもXさんが症状固定となって以降も整形外科に通院していることを根拠として、3年間で痛みがなくなるという主張に合理性はないと主張し、最低でも5年間は補償すべきと回答しました。

その結果、保険会社も弁護士の主張を受け入れ、示談が成立しました。

異議申立てにより後遺障害が認定されたことで、後遺障害慰謝料と逸失利益をあわせて200万円ほどの違いが生じ、Xさんは自賠責保険とあわせて325万円を補償してもらうことができました。

 

弁護士のアドバイス

交通事故によりXさんのように痛みが残っても、必ずしもその全てが後遺障害として認定されるわけではありません。

ただし、後遺障害が一度認定されなかったからといって、絶対にその結果が変わらないわけではありません。

今回のXさんのように異議申立てを行うことで、一度は非該当との結果が出ていても、その後に後遺障害が認定されることもあります。

ただし、単に納得いかないと主張しても結果は変わりません。

異議申立てにより後遺障害を認定してもらうためには、いかに後遺障害の認定基準に合致しているかを主張し、その根拠となる資料を示す必要があります。


なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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