交通事故の通院付添費はいくら?|付き添いを認めてもらうポイント
この記事でわかること
- 通院付添費の内容
- 通院付添費の補償額
- 通院付添費が認められるためのポイント
交通事故によって負傷した場合、ケガの程度によっては自力で病院に通院することが困難な場合があります。
また、被害者が幼児の場合には、一人で病院に行くことは困難です。
こうしたケースでは、通院の付添費用が被害者本人の損害として賠償の対象となります。
この記事では、通院付添費の内容や補償額、請求するにあたってのポイントを解説しています。
通院付添費とは
通院付添費とは、交通事故によりけがをして、病院に通院する必要があるときに、事故の被害者本人以外の人が通院に付き添った場合に生じる費用のことです。
例えば、足を骨折して歩行できないとき、被害者に高次脳機能障害の症状があるとき、幼児であるため1人では通院できないときなど、社会通念上通院への付添いが必要と認められる場合に通院付添費が認められます。
また、近親者が勤務のためなど被害者の通院に付添うことが困難であるときは、職業付添人による付き添いが認められます。
通院付添費の補償額
ケガの症状または幼児等であるという理由から通院付添いが必要と認められる場合、通院付添費は被害者本人の損害として賠償の対象として認められます。
その金額としては、1日につき3,300円が裁判基準とされています。
もっとも、付添に要する労力の程度によって増額されることもあります。
なお、自賠責保険上の通院付添費は、1日あたり2100円となっています。
したがって、裁判基準とは1000円ほど違いがでることになります。
裁判基準:3300円
自賠責保険基準:2100円
通院付添費の金額の立証
職業付添人について
職業付添人の付添費は、実費が損害として認められます。
職業付添人については、紹介所等の発行する領収書を提出することが必要となります。
実費の補償となる以上領収書がなければ、補償してもらうことはできませんので、きちんと領収書をもらって、無くさないように保管しておくことが必要です。
付添人の交通費について
付添人の通院交通費について、裁判実務で参考にされる赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(基準編)2020年(令和3年)43ページ)では、「看護のための近親者の交通費も被害本人の損害として認められる」とされています。
引用元:日弁連交通事故相談センター|当センターの刊行物について(青本及び赤い本)
近親者の通院付添いについて必要性が認められれば、近親者が付添いのために支出した交通費や宿泊費は、交通事故と相当因果関係のある損害として賠償の対象と認められます。
例えば、一人暮らしの高齢の親が交通事故にあって、骨折したような場合、事故直後しばらくの間、親元に戻って、付添いをした場合には、実家に帰省する際の交通費も請求できる可能性があります。
付添いの交通費は、原則としてバスや電車をなどの公共交通機関の利用した際の運賃や料金が賠償額となります。
遠方であれば、飛行機代や新幹線代も請求の余地があります。
タクシーの使用は、症状の内容、程度からタクシー移動が相当であると判断される場合に認められます。
自家用車の場合は病院までの距離に応じて、1キロあたり15円が損害額として認められます。
交通費を使用した金額の証明は、利用した日時や金額を証明する領収書などで明らかにしていきます。
自家用車の場合には、特にガソリン代の証明は不要ですが、タクシーや飛行機、新幹線代については、領収書が必須になります。
通院付添費を認めてもらうためのポイント
通院付添いしている旨を保険会社に伝える
付添費を認めてもらうためには、付添いをしていることが前提となりますが、保険会社は被害者の方から申告がない限りは、厳密に調査しないこともしばしばです。
したがって、被害者の側から付添いをして、病院の通院をしていることを保険会社にきちんと伝えておくことが必要です。
会社を休んで付添いをしている場合などには、付添人の方も被害者と同じく休業損害証明書を勤務先に記入してもらって客観的な証拠を作成できないか検討しましょう。
通院付添いの理由を明らかにする
通院付添費の請求にあたっては、なぜ付添いが必要なのかを明らかにしなければなりません。
被害者が幼児であれば、保険会社も事故証明書で年齢を確認することができるでしょう。
一般的に小学校低学年くらいまでであれば、通院付添いの必要性を認めてくれることが多いでしょう。
けがの状態を理由として、付添いをする場合には、状態を保険会社に説明し、場合によっては、医師にカルテや診断書に付添いが必要な状態であることを記入しておいてもらうことがポイントです。
付添費用も1日あたりはそれほど大きな金額ではありませんが、日数が多くなれば一定の金額になり、認められるかどうかで補償内容にも影響が出てきます。
付添のために仕事を休んだ場合
被害者の通院に付添うために、仕事を休み、給料が減ってしまった場合には、その分の休業補償を請求することができます。
もっとも、付添費用との二重取りはできません。
実収入から1日単価の金額を算出し、その金額と通院付添費3300円の高いほうが補償されることになります。
ただし、休業の補償額が職業付添人を雇う場合よりも高額になる場合には、職業付添人に要する実費の限度でしか認められないでしょう。
その他付添費用
通院付添費以外にも、以下のような付添費用があります。
入院付添費
被害者が入院中に付添が必要な場合に認められます。
自宅付添費
被害者が自宅療養している際に付添が必要な場合に認められます。
通学付添費
児童等が通学するにあたって付添が必要な場合に認められます。
まとめ
通院付添費は、保険会社の賠償提示から漏れていることがあります。
請求漏れがないように注意しなければならない賠償項目の一つです。