むちうちはレントゲンでわかる?MRI検査が必要?|弁護士解説
むちうちはレントゲンではわからない場合があります。
むちうちによる症状のうち、手先のシビレや感覚異常が続く場合には、神経を圧迫している可能性があるため、MRI検査を受けるべきでしょう。
むちうちはレントゲンでわかる?
むちうちはレントゲンでは分かりません。
むちうちは、首の神経が圧迫されたり、傷つくことで痛みやしびれが生じるものですが、レントゲンでは、こうした神経等の損傷については発見することはできません。
レントゲンでは、骨折の有無や骨の状態を確認することはできますが、首の靭帯や神経の異常については確認できないのです。
むちうちについては骨と骨の間にある椎間板も影響している場合もあります。
こうした骨以外の部分の状態を確認するためにはMRI検査が必要です。
むちうちでMRIを受けた方が良い理由
むちうちでMRIを受けた方が良い主な理由は以下の3つです。
- 痛みやしびれの原因が判明する可能性がある
- 原因が分かれば有効な治療ができる
- 12級13号の認定には必須
MRIとは磁力の力を用いて、身体の状態を撮影する検査方法であり、首の椎間板や靭帯の状態を確認することができます。
したがって、むちうちの痛みやしびれなどの症状の原因を確認することができる可能性があります。
原因がわかれば、それに応じた治療をすることができ、症状を軽減できる可能性があります。
また、後述するように、12級13号に認定されるにはMRI検査が必須となります。
むちうちと後遺障害
むちうちによる症状は上記のとおり、その内容や程度が被害者に応じて異なります。
そのため、交通事故でむちうちになった場合、治療をある程度継続したにもかかわらず、首の痛みや手先のしびれが改善されずに残ってしまうこともあります。
これがむちうちの後遺症です。
しかしながら、交通事故の賠償実務では、後遺症があると被害者が訴えればその全てが補償されるというわけではありません。
後遺症を賠償してもらうためには一定の基準を満たす必要があるのです。
この一定の基準が後遺障害というものです。
実は、むちうちの症状についても、後遺障害が認定される可能性があり、
- 後遺障害12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」
- 後遺障害14級9号の「局部に神経症状を残すもの」
という後遺障害が認定される可能性があります。
このように、むちうちでも後遺障害が認定されることがあるのです。
むちうちとMRI
それでは、後遺障害の申請に当たって、MRI検査を受けるべきなのでしょうか?
この点、自賠責保険の後遺障害の申請手続きでは、絶対にMRI検査を受けなければならないというわけではありません。
しかしながら、以下の場合には、MRI検査を受けた方がよいでしょう。
シビレや感覚異常がある場合
首や肩が痛いという症状だけでなく、手先がしびれたり、感覚がおかしいと感じる場合には、首の椎間板にヘルニアがある可能性があります。
椎間板ヘルニアがあるとヘルニアの部分が首の後ろにある神経に当たってしまい、その神経がつながっている手先にしびれが出るということがあるのです。
したがって、症状が一時的なもので、すぐにおさまれば問題ないでしょうが、一定期間しびれがあったり、手先の感覚がおかしいと思えば、首のMRI検査を受けて椎間板の状態を確認しておいた方がよいといえます。
後遺障害診断書に「手先のしびれ」と自覚症状が記載されているのに、MRI検査を受けていないという場合、後遺障害の認定を行う自賠責損害調査事務所としても、本当にしびれがあるのだろうかと疑問をもってしまう可能性があります。
被害者の方も症状の原因が何かがわかれば、原因がわからないままというよりは安心できると思います。
MRI検査を受けた場合には、後遺障害の申請の際に、この画像が必要となるので、病院からCDRにコピーしてもらう必要があります。
12級13号の認定にはMRI検査は必須
また、むちうちの後遺障害のうち、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」という基準には、症状について、画像上の根拠が認められることが必要とされています。
むちうちはレントゲンでは異常が見られないので、ここでいう画像上の根拠とはMRIになります。
したがって、むちうちによる症状が重い方の場合には、MRI検査は必須といえ、MRI検査をした上で、明らかに椎間板ヘルニアが神経を圧迫しているといった所見が確認できることが12級13号の認定にあたって、重要なポイントになってきます。
椎間板ヘルニアと因果関係
椎間板ヘルニアが確認された場合でも、その全てが交通事故で生じたものといえるわけではなく、事故との因果関係が保険会社との示談交渉で問題になることがあります。
椎間板は20代以降、少しずつ機能が低下していき、交通事故にあっていなくても椎間板ヘルニアになる方もいるためです。
この場合には、交通事故の前に整形外科に通院していたかどうか、ヘルニア除去の手術を受けていたかどうかといった点がポイントになってきます。
交通事故の前から整形外科に通院していた場合やヘルニアの手術を受けていた場合には、素因減額といって、過失相殺と同じように賠償額が減額されるリスクがあります。
MRIが通院している病院にない場合
被害者の方が通院している病院にMRIがある場合には、問診のときに主治医に症状を伝えれば、そのままMRI検査を受けましょうということになってきます。
他方で、通院している病院にMRIがない場合にはどうすればよいでしょうか。
この場合には、通院している病院の医師に相談して、MRIのある病院への紹介状を作成してもらいましょう。
医師の紹介を受けずに、被害者の方が自らの判断で別の病院でMRI検査をした場合、その費用を相手方の保険会社から支払ってもらえない可能性があります。
また、主治医との関係性も悪くなってしまいます。
MRI検査は、レントゲン検査よりも検査時間がかかるため、費用は高額になります。
健康保険を利用しても最低でも1万円弱はかかります。
したがって、紹介状をもらった上でMRIのある病院を受診するようにしましょう。
そして、今まで通院していた病院とは違う病院を受診することになるため、相手方の保険会社にも連絡して、病院名と連絡先、MRI検査を受ける旨を伝えておかなければなりません。
保険会社に事前に連絡しておくことで、MRIの検査費用を保険会社が直接病院に支払ってもらうことができるようになります。
まとめ
このように、むちうちの症状のうちでも、手先のしびれや感覚がおかしいといった症状が続く場合には、後遺障害の申請に当たって、MRI検査が必要になってきます。
治療方針を決めていくに当たってもMRI検査は有効な検査の一つですので、交通事故にあって症状が続くようであれば、医師に相談してみた方がよいでしょう。
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