後遺障害が複数あるとき等級はどうなる?併合と相当の違いを解説
複数ある後遺症の等級は、最初に、同じ障害のグループに分類される後遺症の等級を比較し、重い方の等級を繰り上げて評価します。
このように、同じ障害のグループに分類される障害の等級をまとめて評価した場合「〇〇級相当」と表記されるのが通常です。
同じ障害のグループを評価した後、異なる障害グループに分類される後遺症の等級を比較し、重い方の等級を繰り上げて評価します。
この記事では、障害グループについて、併合と相当の違い、等級の計算方法について弁護士が解説していきます。
障害のグループとは
障害認定基準では、身体部位・障害態様によって、グループ分けがなされています。
このグループ分けは、自賠責保険後遺障害等級表の「障害系列」に従って分類されています。
下肢の運動障害は、右足と左足とで別の系列になり、右には26、左には30と異なる系列番号を付けられています。
この系列番号が異なることから、右足の機能障害と左足の機能障害は別々の障害グループに分類されます。
具体的な計算方法
今回の相談者は右足に1つ、左足に2つの怪我が交通事故による後遺障害として残存しました。
以下の3段階に分けて解説いたします。
②同じ障害のグループの等級をまとめる
③異なるグループに分類される後遺症の等級
①グループに分ける
今回の事例の場合は、右膝と左膝・左足首の2つの障害のグループに分かれます。
②同じ障害のグループの等級をまとめる
今回の事例の場合、右足の障害グループは右膝の障害1つしかないので、等級は12級のままです。
一方、左膝と左足首の等級はそれぞれ12級です。
そこで左足の障害グループの等級をまとめます。
等級をまとめる際は、以下のルールに従います。
「1~8級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を2つ繰り上げる」
「1~5級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を3つ繰り上げる」
今回の事例の場合、左足の等級は最も重い等級が12級、次に重い等級も12級です。
「1~13級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる」というルールを当てはめると、等級が1つ繰り上がり、11級になります。
後遺障害の評価としては、「11級相当」と評価されることになります。
③異なるグループに分類される後遺症の等級
次に異なるグループに分類されている右足の障害等級と左足の障害等級をまとめます。
今回の事例の場合、右足の障害グループの等級は12級、左足の障害グループの等級は「11級相当」でした。
ここでも、「1~13級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる」というルールを当てはめます。
そうすると、左足の障害グループの等級の方が、右足のよりも重いので、11級を1つ繰り上げ、10級とします。
異なるグループの障害等級をまとめて評価したものですので、後遺障害の評価としては「併合10級」と評価されます。