丁字路交差点での交通事故。過失はどうなる?

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

丁字路交差点での交通事故では、直進路を通行する自動車より、突き当たり路から交差点に進入する自動車の過失が大きくなります。

丁字路交差点では、突き当たり路の交通量より直進路の交通量のほうが多く、そのため、直進路を走行する運転者は突き当たり路から進入する車両が徐行をすることを期待しているのが運転慣行になっています。

一方、突き当たり路から直進路に進入する運転者は、左右確認が十字路交差点より容易である等の理由から、突き当たり路を進行する車両の過失が大きくなっています。

 

丁字路交差点とは

丁字路交差点とは漢字の「丁」またはアルファベットの「T」の形をした三叉路の一種類です。

正式には「ていじろこうさてん」と読みます。

一般的には「ティーじろこうさてん(T字路交差点)」と呼ばれています。

「丁」の「一」にあたる形状の道路を直進路と呼び、「丁」の「|」にあたる形状の道路を突き当たり路と呼びます。

 

 

丁字路交差点における事故の基本過失割合

直進路直進車と突き当たり路右左折車との事故(自動車同士の交通事故)

状況 A:直進路直進車 B:突き当たり路右左折車
直進路・突き当たり路同幅員 30 70
広路直進路、狭路突き当たり路 20 80
直進路規制なし、突き当たり路一時停止規制あり 15 75
直進路優先道路、突き当たり路劣後道路 10 90

以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。

  • 直進車の過失に加算される修正要素
    • 突き当たり路右左折車の明らかな先入
    • 進車の著しい過失・重過失
  • 重過失直進車の過失に減算される修正要素
    • 突き当たり路右左折車の著しい過失・重過失

直進路右折車と突き当たり路右折車との交通事故

状況 A:直進路右折車 B:突き当たり路右折車
直進路・突き当たり路同幅員 40 60
広路直進路、狭路突き当たり路 30 70
直進路規制なし、突き当たり路一時停止規制あり 25 75
直進路優先道路、突き当たり路劣後道路 20 80

以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。

  • 直進車の過失に加算される修正要素
    • 突き当たり路右折車の明らかな先入
    • 直進車の著しい過失・重過失
  • 直進車の過失に減算される修正要素
    • 突き当たり路右折車の著しい過失・重過失

ちなみに直進路右折車と突き当たり路右折車との事故の過失割合は、四輪車同士の事故の十字路交差点での右折車同士の過失割合と同じです。

それは、十字路交差点における右折車同士の事故と区別する事情が特にないためです。

上記の過失割合は、あくまで目安です。

過失割合は、当該事故のすべての事情を総合して判断されることになるので、上記割合と異なる割合になることもあります。

 

 

過失割合


 
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