交通事故で軽症の場合の慰謝料はいくら?症状別の相場と計算方法を解説
交通事故で軽症を負った場合の慰謝料相場は、通院1〜2週間の場合は4万円〜10万円程度、通院1ヶ月の場合は19万円程度が相場です。
慰謝料の金額は通院期間で変わりますが、1日でも通院していれば請求が可能です。
ここでは軽症の慰謝料の計算方法のほか、適切な慰謝料を受け取るためのポイント等について、交通事故に強い弁護士が解説します。
交通事故でお困りの方は、ぜひ参考になさってください。
目次
交通事故で軽症の場合の慰謝料相場〜症状別〜
通院1〜2週間のケガの場合
1〜2週間で治療を完了した場合の慰謝料の相場は以下のとおりです。
自賠責基準の場合 | ||
---|---|---|
相 場 | 1万円〜6万円程度 | |
通院期間 | 1〜2週間 | |
計 算 式 | 2日※ × 4300円 = 8600円 〜 14日 × 4300円 = 6万0200円 ※実通院日数が1日の場合でも最低2日で計算:計算方法は後述 |
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弁護士基準の場合 | ||
相 場 | 4万円〜9万円程度 | |
通院期間 | 1〜2週間 | |
計 算 式 | 1週間:19万円 × 7日 ÷ 30日 = 4万4333円 2週間:19万円 × 14日 ÷ 30日 = 8万8666円 |
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根 拠 | 赤い本 別表Ⅱ「30日の通院で19万円」から日割りで算出 |
通院1ヶ月のケガの場合
1ヶ月で治療終了した場合の慰謝料の相場は以下のとおりです。
自賠責基準の場合 | ||
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相 場 | 3万円〜13万円程度 | |
通院期間 | 1ヶ月 | |
計 算 式 | 8日※ × 4300円 = 3万4400円 〜 30日 × 4300円 = 12万9000円 ※実通院日数を4日と想定したときはその2倍の8日で計算:計算方法は後述 |
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弁護士基準の場合 | ||
相 場 | 19万円程度 | |
通院期間 | 1ヶ月 | |
根 拠 | 赤い本 別表Ⅱ「30日の通院で19万円」から算出 |
軽症で通院日数が1日でも慰謝料はもらえる?
慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。
この内、入通院慰謝料は入院や通院をしたことに対する慰謝料です。
したがって、1日でも通院していればその分の慰謝料を請求することが可能です。
軽症でも通院したほうがいい?
「軽症」であるかどうかは人の価値観によって違うと思いますが、交通事故にあって、体に痛みがある場合には、病院を受診すべきです。
事故当初は、それほど痛みを感じていなくても徐々に痛みが出てくることもあります。
こうした場合、事故直後から病院に通院していないと保険会社に治療費を支払ってもらえない可能性があるのです。
事故が発生して一定期間経過しても病院に受診していないということは、事故によって特にケガはしなかったと判断されるのです。
したがって、事故後、体に痛みがある場合には、必ず病院を受診すべきでしょう。
その後、体の痛みが治まれば、通院を継続する必要はありません。
軽症での適切な慰謝料を受け取るために必要なこと
軽症だから大したことないと思って自分の判断で治療を終了するのは避けましょう。
医師の指示に従って、治療を継続することが大切です。
軽症だからということで、痛みに耐えながら仕事や家事を頑張る方もいらっしゃいます。
しかし、その結果、体が悪くなり症状が悪化することもあります。
そうした場合に、病院に行っても、治療の期間が空きすぎているなどの理由から保険会社に治療費や慰謝料を支払ってもらえない可能性があるのです。
軽症だからと軽視するのではなく、きちんと治療は継続されるべきです。
その結果として、適切な慰謝料を受け取ることができます。
軽症の場合の慰謝料の計算方法
入・通院した場合の慰謝料|入通院慰謝料
入通院慰謝料の賠償の基準は3つあります。
自賠責保険で用いられる自賠責保険基準、各任意保険会社の任意保険基準、弁護士が使用する弁護士基準です。
弁護士基準は、裁判になった場合に裁判所が使用する基準でもあるため裁判基準とも呼ばれており、最も高い基準です。
自賠責基準で計算
自賠責保険基準での慰謝料の計算は以下の計算式で計算されます。
対象日数 × 4300円 = 慰謝料金額
対象日数は、実通院日数の2倍の日数と通院期間の日数の少ない方の日数です。
例えば、実通院日数20日、通院期間50日の場合で説明します。
20日(実通院日数) × 2 = 40日 < 50日(通院期間の日数)
したがって、40日が対象日数となります。
慰謝料の金額は、下記の計算式のとおり、17万2000円となります。
4300円 × 40日 = 17万2000円
任意保険基準
任意保険基準は、各保険会社が独自で運用している基準で公表されていません。
過去の統一基準はありますが、過去の基準で計算しても、意味がないので計算は割愛します。
参考までに過去の統一基準の表を載せています。
弁護士基準で計算
弁護士基準は、通称「赤い本」(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編))という書籍に記載されている表に基づいて計算します。
骨折や脱臼など、画像(レントゲン、CT、MRIなど)上、異常がない軽症の場合は下記の表が使われます。
引用元:赤い本 別表Ⅱ 入通院慰謝料基準|日弁連交通事故相談センター
通院のみの場合には、一番左の縦列の数字と通院期間の横列が交わる数字が慰謝料です。
入院と通院がある場合には、それぞれの期間の縦列と横列が交わる数字が慰謝料です。
30日を1ヶ月として考えます。例えば90日は3ヶ月です。
具体例①
軽症で、入院0日、通院期間が30日の場合
この場合、表の一番左の縦列と「1月」の横列に交わる「19」万円が慰謝料の金額となります。
具体例②
軽症で、入院0日、通院期間45日の場合
この場合、1ヶ月と15日とみて計算します。
1ヶ月分は19万円です。
15日分については、日割りで計算します。
1ヶ月分は19万円、2ヶ月分は36万円でその差額は17万円です。
この17万円を30日に対する15日の割合で日割り計算します。
計算式は以下のとおりです。
17万円 ×(15日 ÷ 30日)= 8万5000円
よって、この場合の慰謝料額は27万5000円となります。
19万円 + 8万5000円 = 27万5000円
弁護士基準で交渉する方法
弁護士基準は、裁判になった場合に裁判所が用いる基準でもあります。
そのため、被害者個人で弁護士基準により保険会社に請求しても、保険会社から裁判になっておらず、弁護士にも依頼していないのだから弁護士基準では解決できないと一蹴されてしまいます。
したがって、交渉の段階で弁護士基準で解決したい場合には、弁護士に依頼されることをお勧めします。
軽症だと慰謝料よりも弁護士費用の方が高くつく?
弁護士に依頼したほうが良い状況とは
軽症案件の場合、回収する慰謝料よりも弁護士費用のほうが高額になり赤字になることもあります。
したがって、経済的メリットと言う観点からは、こうした場合には依頼されないほうがよいでしょう。
もっとも、赤字になるかどうかは、適切な賠償計算と増額の見通しを立てることができなければ正確に判断することはできません。
赤字になってしまうかどうか、まず弁護士に相談されることをお勧めします。
また、弁護士費用特約がある場合には、弁護士費用による赤字を考える必要はありません。
弁護士費用特約を使用することで弁護士に依頼するための費用を賄うことができます。
300万円という上限はありますが、軽症案件で弁護士報酬が300万円を超えることはまずありません。
したがって、被害者の方で弁護士費用特約に加入されている場合には、弁護士に依頼されることをお勧めします。
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後遺障害の申請をしたほうがいい場合はある?
「軽症」であるかどうかの判断は人によって違います。
自分は軽症だからと思っていても客観的に見ると軽症とは言えない場合もありえます。
後遺障害の申請を検討するにあたっては、治療期間が6ヶ月を超えたかどうかが一つの判断基準と言えます。
6ヶ月を経過しても痛みや痺れなどがある場合には、専門の弁護士に相談して後遺障害の申請を検討されることをお勧めします。
まとめ
- 軽症でも慰謝料は請求できる
- ケガをした場合には必ず早期に病院を受診する
- 治療は自己判断でなく医師に指示に従って通院する
- 軽症と思っていても、痛みが続き6ヶ月通院が継続したら後遺障害の申請を検討する