レンタカーで事故にあったら|保険はどうなる?自己負担はある?
レンタカーで事故にあったら、基本的にはレンタカー会社が加入している保険で対応することになります。
レンタカー会社によって適用される保険が異なることがありますので、レンタカーを借りる契約をする際には注意が必要です。
万一、何らかの事情でレンタカー会社が加入している保険が適用できない場合には、自分の保険が利用できる場合もあります。
また、レンタカーの保険には免責金額が設定されていることがあり、一部自己負担が生じる可能性がありますので免責金額の設定の有無についても確認したほうがいいでしょう。
レンタカーで事故にあった場合の対応や注意点について、弁護士が詳しく解説します。
目次
レンタカーで事故にあったらレンタカーの保険で対応!
レンタカーの保険で対応
レンタカーで交通事故が起きた場合には、レンタカー会社が加入している保険で対応することになります。
レンタカー会社では、多くの場合、以下の保険に加入されています。
対人賠償保険 | 他人にケガを負わせてしまった場合の賠償をカバーする保険です。治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の人身損害が賠償されます。 |
対物賠償保険 | 他人の財物を破損していしまった場合の賠償をカバーする保険です。 |
車両保険 | レンタカーが破損した場合の修理費用等をカバーする保険です。 |
人身傷害保険 | レンタカーに搭乗していた者が負傷した場合の損害(治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の心身損害)が補償される。 |
レンタカー会社によって、適用される保険が異なることがありますので、レンタカーを借りる契約をする際に、どのような保険に加入されているか確認しましょう。
上記の保険に加入されていれば、ほとんどのケースをカバーすることができるでしょう。
自分の保険が利用できる場合もある
万一、何らかの事情でレンタカー会社が加入している保険が適用できない場合には、自分が加入している保険が適用できないか確認されてください。
使用できる可能性があるのは、他車運転特約と呼ばれる保険特約です。
他車運転特約とは、自分の自動車以外の自動車を運転している場合でも、自分の自動車を運転しているときと同じ自動車保険を使用することができるようにする特約です。
この特約は、独立の特約として締結する場合以外に、保険約款の条項の中に「他の自動車を運転中の補償内容」として組み込まれていることもあります。
レンタカー会社の加入する保険を使用できない場合には、自分の加入する保険会社に連絡して、事情を説明し、保険適用できるかどうか確認されてください。
ただし、レンタカー会社の加入する保険を利用できないような事由がある場合には、他車運転特約も使用できないケースが多いと考えられます。
レンタカーで事故にあったら必ずすべきこと
レンタカーで事故にあったら、まずは以下の4つを必ず行いましょう。
負傷者がいる場合は救護活動
交通事故を起こし負傷者がいる場合には、負傷者を救護する義務があります(道路交通法72条1項)。
当然のことながらレンタカーを運転している場合にもこの義務は生じます。
負傷者を安全な場所に移動させる、必要に応じて救急車を呼ぶなど適切な救護活動をしなければなりません。
救護活動をせずに、事故現場を立ち去ると救護義務違反として、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑に科される可能性があります。
したがって、レンタカーで事故を起こした場合には、まず負傷者がいないか確認し、負傷者がいる場合には、適切な救護活動をする必要があります。
警察に届出
レンタカーを運転中に交通事故を起こした場合には、必ず警察に届出ましょう。
交通事故を起こした場合、警察に届け出る法的な義務があります(道路交通法72条1項)。
この義務に違反して届出をしなかった場合には、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、保険を使用するにあたっては、交通事故証明書が必要となりますが、警察に届出をしていないと交通事故証明書が発行されず、レンタカー会社の加入している保険を使用できなくなる可能性があります。
したがって、レンタカーを運転中に交通事故を起こした場合には、必ず警察に届け出をする必要があります。
レンタカー会社へ報告
レンタカーを運転中に交通事故を起こした場合には、レンタカー会社へも連絡しましょう。
多くのレンタカー会社は、交通事故が起きた場合には、指定の電話番号に連絡して事故の報告をするよう求めています。
指定の番号に電話することで、レンタカー会社が、事故処理及びレンタカー会社が加入している保険を適用するために必要なことを説明してくれるでしょう。
レンタカー会社の加入する保険を確実に使用できるように、基本的にレンタカー会社の指示に従って対応しましょう。
ケガをした場合には病院に行く
レンタカーで事故に遭いケガをしてしまった場合には、必ず病院に行きましょう。
レンタカーを借りている場合には、旅先や遠方に来ていることが多いかと思いますが、ケガをされている場合には迷わず病院に行かれるべきです。
治療が遅れることで、ケガの治癒が長引く可能性もありますし、保険会社に事故とケガの因果関係を争われる可能性も出てきます。
後々、後悔しないためにも速やかに病院を受診されることをお勧めします。
レンタカーの保険の注意点
免責金額が設定されている
レンタカー会社が加入されている保険を利用するにあたって、免責金額が設定されていることがあります。
免責金額とは、交通事故の損害について、自分自身で自己負担しなければならない金額のことです。
例えば、対物無制限の保険で免責金額3万円が設定されている場合、他人の車両に15万円の損害を与えてしまったケースでは、3万円分の他人の損害については自己負担しなければなりません。
思わぬ負担が生じないように、レンタカー借りる際には、免責金額の設定の有無についても確認するようにしましょう。
レンタカーの休車損害は適用外
レンタカー会社が加入している上記の保険は、交通事故によって他人に損害を生じさせた場合や、自分がケガをしてしまった場合に適用される保険です。
休車損害とは、交通事故によって修理が必要となり、その間、レンタカーとして稼働できなかったことにより利益をあげることができなかったレンタカー会社の損害です。
したがって、上記の保険を使用してレンタカー会社の休車損害をカバーすることはできないのです。
多くの保険会社が、ノンオペレーションチャージ(レンタカーを稼働できない期間の補償金額)として、自走できる場合は2〜5万円程度、自走できない場合は5〜10万円程度の金額を設定しています。
もっとも、レンタカー会社によっては、一定額を支払うことでノンオペレーションチャージを免除する契約内容にできる場合もあります。
レンタカーの保険が利用できない例も
レンタカーで事故を起こした場合でも一定の場合にはレンタカー会社が加入する保険を使用することができない場合があります。
例えば、以下の事故の場合には、一般に補償の対象外となります。
- 酒気帯び運転で発生した事故
- 無免許運転で発生した事故
- 警察に事故の届け出を実施しなかった場合の事故
- 借受期間を無断で延滞して使用していた場合の事故
- 出発時に申出た者以外が運転して起こした事故
- 契約違反があった場合
レンタカーの保険適用等で疑問がある場合には弁護士に相談
酒気帯び運転や無免許運転については、言い訳の余地はありませんが、契約違反などで保険適用を拒否されたような場合には、状況によっては交渉の余地があるケースもありえます。
保険適用を拒否されたことについて、納得がいかない場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。
レンタカー利用にあたっての注意点
補償の内容を確認する
レンタカー会社が加入している保険内容については、しっかりと確認しておきましょう。
多くのレンタカー会社では必要十分な保険がかけられていると考えられますが、少しでも不安を感じたら、補償内容についてレンタカー会社に確認しましょう。
また、レンタカー会社によっては、追加の費用を支払うことで免責金額の負担をなくしたり、ノンオペレーションチャージの負担をなくす契約にすることもできます。
自分の運転技術や事故への不安などを踏まえて、契約内容を決められることをお勧めします。
車両の状況の確認
レンタカーを借りるにあたって、出発前にレンタカーに傷や凹み等がないか確認することが一般的です。
レンタカーを借りる前にできた傷なのか、借りた後にできた傷なのかを確認するためです。
出発前に、レンタカーに傷や凹みがある場合には、必ずレンタカー会社の従業員に伝えて記録してもらいましょう。
無用なトラブルを避けるためにも、十分に確認されることをお勧めいたします。
レンタカーで被害事故にあった場合
レンタカーを運転している最中に追突されるなど被害事故に遭うこともあります。
被害事故にあった場合にも、警察への通報とレンタカー会社への連絡は必ず行いましょう。
被害事故の場合には、加害者側の車の保険を使用して賠償してもらうことになります。
もっとも、加害者が任意保険会社に加入していないような場合には、レンタカー会社の加入する人身傷害保険を利用して一定の賠償を受けることもできます。
被害事故の場合には、慰謝料などの賠償額が特に問題になりますので、示談交渉や後遺障害の申請などで不安があれば、弁護士に相談されることをお勧めします。
まとめ
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- レンタカーで事故を起こした場合には、レンタカー会社の加入する保険を使用できるように、必ず警察に通報の上、レンタカー会社にも連絡しましょう。負傷者がいる場合には、適切な救護活動をした上で、レンタカー会社と警察に連絡しましょう。
- レンタカーで事故にあってケガをした場合には、速やかに病院を受診しましょう。
- レンタカーの保険には免責金額が設定されており、一部自己負担が生じることがあります。また、ノンオペレーションチャージをレンタカー会社に支払わなければならない場合もあります。
- 追加費用を支払うことで免責金額やノンオペレーションチャージを支払わなくてもよい契約内容にできる場合もあります。
- レンタカーを借りる際には、出発前にすでにレンタカーに傷や凹みがないか十分に確認して、傷や凹みがある場合にはレンタカー会社の従業員に確実に伝えましょう。
- 被害事故にあった場合には、加害者側の保険を使用することになりますが、加害者が任意保険会社に加入していないような場合は、レンタカー会社の加入する人身傷害保険を使用して一定の賠償を受けることができます。