後遺障害等級とは?等級別の賠償金額をわかりやすく解説|一覧表付

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

後遺障害等級とは、事故による後遺症をその種類と症状の程度に応じて設定した等級のことをいいます。

後遺障害等級に認定された場合には、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができるため、賠償額が大きく増額されることになります。

また、後遺障害等級には1級~14級があり、等級の軽重によって賠償額は大きく変動するため、適切な補償を受けるには適切な後遺障害認定を受けることが必須です。

以下では、後遺障害等級について詳しく解説していますので、ご参考にされてください。

後遺障害等級とは

後遺障害等級とは、痛みや関節の動かしづらさ、視力の低下、認知機能の低下などの後遺症に対し、その程度に応じて認定される等級のことです。

後遺障害等級は、1級〜14級まで定められており、数が少なくなるほど重い障害となっています。

後遺障害等級に認定された場合には、その等級に応じた後遺障害慰謝料を請求することができます。

また、後遺障害等級に認定されているということは、その障害によって働きづらくなり、収入が落ちてしまう可能性がありますが、その補償として、後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害逸失利益は、数十万円から数千万円の金額になります。

このように、後遺障害等級に認定されているかどうかで、賠償金の総額は大きく変わってくるのです

 

後遺障害と後遺症の違い

後遺症とは、事故により負傷したことで、何らかの症状が残ってしまっていることをいいます。

後遺障害は、後遺症の中でも労働能力が下がってしまうものであり、後遺障害等級に当てはまるものを指します

つまり、後遺症という大きな枠組みの中に後遺障害があるというイメージです。

 

後遺障害等級は誰が決めるの?

後遺障害等級は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所によって審査が行われ、等級が決定されます

損害保険料率算出機構は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立されています。

損害保険料率算出機構の会員は、損害保険会社で構成されているため、保険会社に有利な判断をするのではないかと疑念をもたれる方もいるかと思いますが、損害保険料率算出機構は、制度的には損害保険会社から独立した中立的な団体です。

後遺障害認定は、損害保険料率算出機構が行うことになりますが、その認定に必ず従わなければならないわけではありません。

認定が不服である場合には、訴訟提起をして裁判所に判断してもらうことも可能です。

裁判官は、損害保険料率算出機構の判断にかかわらず、別の等級の認定をすることができます。

したがって、主張が認められれば、自賠責損害調査事務所が認定した等級とは異なる等級を裁判所が認めてくれる可能性があります。

ただし、自賠責損害調査事務所において、しっかりと調査をした上で等級の判断をしているため、裁判で認定を覆すには、説得的な証拠と主張をしなければ難しいでしょう。

紛争処理機構への申請

自賠責損害調査事務所の認定結果に納得がいかない場合には、紛争処理機構への申請をすることもできます。

正式名称は、一般社団法人自賠責保険・共済紛争処理機構といいます。

紛争処理機構では、自賠責保険の後遺障害の認定が適切なものであるかを審査してもらうことができます。

あくまで自賠責保険の判断が適切であるかどうかを判断するので、追加の資料の提出はできず、すでに自賠責保険に提出している資料のみを検討資料として判断されることになります。

紛争処理機構の申請費用は無料ですが、審査機関は4〜6ヶ月程度を要します。

自賠責保険の判断に納得がいかない場合には、裁判の前に紛争処理機構に申請をしてみるのも選択肢の一つです。

 

 

後遺障害等級表

交通事故の後遺障害等級は、「交通事故損害賠償法施行令」によって規定されています。

等級は1級から14級まであり、各等級はさらに号で分類されています(14級9号といった感じです)。

また、1級と2級は、介護が必要な場合とそうでない場合で分けられています。

それぞれの該当基準は、抽象的で難解な言葉が使われているので、下記表の後に症状別で分かりやすい簡単な説明をしています。

 

介護を要する場合の後遺障害等級表【別表第1】
等級 後遺障害
第1級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

介護を要しない場合の後遺障害等級表【別表第2】
等級 後遺障害
第1級
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級
  1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級
  1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級
  1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級
  1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級
  1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失つたもの
  10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級
  1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手のこ指の用を廃したもの
  7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの

引用元:自動車損害賠償保障法施行令 – e-Gov法令検索

 

 

後遺障害が複数ある場合の等級は?〜併合ルール早見表〜

後遺障害が複数ある場合には、「併合」して後遺障害等級を決定することになります。

併合方法は、以下のとおりです。

  • 5級以上が2つ以上ある場合 → 最も重い等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上ある場合 → 最も重い等級を2級繰り上げる
  • 13級以上が2つ以上ある場合 → 最も重い等級を1級繰り上げる
  • 14級が2つ以上ある場合 → 14級のまま

下記の早見表は、上記の考え方を分かりやすくまとめたものです。

1番重い等級
1〜5級 6〜8級 9〜13級 14級
2番目に重い等級 1〜5級 1番重い等級を3級繰り上げ
6〜8級 1番重い等級を2級繰り上げ 1番重い等級を2級繰り上げ
9〜13級 1番重い等級を1級繰り上げ 1番重い等級を1級繰り上げ 1番重い等級を1級繰り上げ
14級 1番重い等級 1番重い等級 1番重い等級 14級

後遺障害の併合の考え方について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

症状別の等級と認定基準

以下では、症状や傷病名ごとにどの等級に該当する可能性があるかを説明します。

 

むちうち等(捻挫など)で痛みが残っている

むちうち(頚椎捻挫、頚部捻挫、外傷性頚部症候群)、腰や関節の捻挫によって痛みや痺れなどが残った場合には、14級9号に認定される可能性があります

12級13号の認定の可能性もありますが、認定される可能性はかなり低いです。

等級 認定基準
14級9号 ◯局部に神経症状を残すもの
→症状が残っていることを医学的に説明できることが必要
12級13号 ◯局部に頑固な神経症状を残すもの
→症状が残っていることを医学的に証明できることが必要

14級9号の場合は、症状が残っていることを医学的に「説明」できれば認定されます。

一方で、12級13号の場合には、医学的に「証明」できなければ認定されません。

12級13号の認定について

症状が残っていることを医学的に「証明」するためには、レントゲンやCT、MRIなどで骨や筋肉などに異常があることが分かり、それが原因で痛みや痺れが生じていることが明確に分かることが必要です。

むちうち捻挫の場合には、基本的にレントゲンやCT、MRIに異常が見つかる可能性は低く、12級13号の認定は難しいといえます。

14級9号の認定について

14級9号に認定されるには、症状の存在を医学的に「説明」できる必要があります。

「説明」できるかどうかは、事故に関する以下のような事情を総合考慮して判断されます。

  • 事故の規模・態様
  • 治療の内容・経過
  • 治療期間・頻度
  • 症状の一貫性・連続性
  • 神経学的検査の結果
  • 画像所見の有無など

従って、上記の事情が分かる資料を提出することは認定にあたって重要となります

例えば、事故の規模・態様を示すには、実況見分調書(警察が作成している事故の状況図)や、破損した車両の写真や見積もりなどが考えられます。

こうした資料は、後遺障害の申請にあたって必須の資料ではありませんが、提出することで認定に有利になることがあります(破損状況によっては不利にもなります)。

 

骨折等で関節が動かしづらい

骨折などが原因で、関節が動かしづらくなることがありますが、こうした障害を機能障害といいます。

上肢(上半身)の関節は、手関節(手首の関節)、肘関節、肩関節が3大関節です。

下肢(下半身)の関節は、足関節(足首の関節)、膝関節、股関節が3大関節です。

これらの関節が動かしづらくなった程度と、動かしづらくなった関節の数によって後遺障害等級は決まっています

上肢(上半身)の機能障害

上肢(上半身)の機能障害の後遺障害等級と内容は下表のとおりです。

下表では、等級表に規定されている後遺障害の内容とその認定基準を記載しています。

等級 認定基準
1級4号 両腕の手関節、肘関節、肩関節の全てが強直(関節が動かない、あるいは、ほとんど動かない状態)し、かつ、手指の全部の用を排したもの
5級6号 片腕の手関節、肘関節、肩関節の全てが強直し、かつ、手指の全部の用を排したもの
6級6号 関節の用を排したもの:以下のいずれかに該当する場合
①関節が強直したもの
②関節の完全弛緩性麻痺又は、自分で動かす場合にケガをしていない方の可動域の10%程度以下になったもの
③人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節の内、その可動域がケガをしていない方と比べて可動域が2分の1以下になっているもの
8級6号 手関節、肘関節、肩関節のいずれかが、「関節の用を排したもの」に該当するもの
10級10号 以下のいずれかに該当する場合
①ケガをしていない方と比べて可動域が2分の1以下になっているもの
②人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、「関節の用を排したもの」の③以外のもの
12級6号 ケガをしていない方と比べて可動域が4分の3以下になっているもの
関節の機能障害のポイント

関節の機能障害の後遺障害では、単に関節が動かしづらいという状況だけでは認定されません。

その動かしづらさを裏付ける骨の異常や神経の損傷などが画像(レントゲン、CT、MRIなど)から見てとれることが必要です。

また、可動域の制限の程度によっても等級が変わってくるので、医師に適切に測定してもらうことが大切です。

 

下肢(下半身)の機能障害

下肢(下半身)の機能障害の後遺障害等級と内容は下表のとおりです。

下表では、等級表に規定されている後遺障害の内容とその認定基準を記載しています。

等級 認定基準
1級6号 両足の足関節、膝関節、股関節の全てが強直(関節が動かない、あるいは、ほとんど動かない状態)したもの
5級7号 片足の足関節、膝関節、股関節の全てが強直したもの
6級7号 関節の用を排したもの:以下のいずれかに該当する場合
①関節が強直したもの
②関節の完全弛緩性麻痺又は、自分で動かす場合にケガをしていない方の可動域の10%程度以下になったもの
③人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節の内、その可動域がケガをしていない方と比べて可動域が2分の1以下になっているもの
8級7号 足関節、膝関節、股関節のいずれかが、「関節の用を排したもの」に該当するもの
10級11号 以下のいずれかに該当する場合
①ケガをしていない方と比べて可動域が2分の1以下になっているもの
②人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節
12級7号 ケガをしていない方と比べて可動域が4分の3以下になっているもの

 

骨折によって痛みが残っている

骨折をした部位に痛みが残っている場合には、12級13号あるいは14級9号に認定される可能性があります

上記したように、12級13号は、痛みが残っていることを医学的に「証明」できる場合に認定される等級です。

医学的に証明するためには、レントゲン、CT、MRIなどの画像所見に異常(骨が変形してくっついているなど)があることが必要です。

一方で14級9号は、痛みが残っていることを医学的に「説明」できる場合に認定されます。

具体的には、事故の規模・態様、治療の内容・経過、治療期間・頻度、症状の一貫性・連続性、神経学的検査の結果、画像所見の有無などを総合考慮して、医学的に説明できるかどうかが判断されることになります。

 

脳挫傷、くも膜下出血、高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、交通事故により脳に外傷を負った被害者が記憶や認識に異常をきたしたり、コミュニケーションが取れなくなったり、行動障害や人格の変化が起こったりする障害をいいます。

高次脳機能障害が比較的軽い場合には、外見上は全く健康で少し会話したくらいでは何の障害も残っていないように見えることがありますが、実際は、認知障害や行動障害などが残っており、生活する上で支障が出ているというケースもあります。

こうしたケースでも、後遺障害認定の対象になりうるので、脳挫傷などの頭部外傷を負われた場合には、家族の方が注意深く事故前後の変化を感じ取るように努めてあげる必要があります。

交通事故により、以下の脳外傷を負った場合には、高次脳機能障害を発症する可能性があります

  • 脳挫傷
  • びまん性軸索損傷
  • 外傷性くも膜下出血
  • 急性硬膜下血腫 など

後遺障害に認定されるには、こうした脳外傷を負っていることに加えて、事故後に意識障害があったこと、高次脳機能障害の症状(認知障害、行動障害、人格変化など)が生じていることが必要になります。

後遺障害認定される条件
  1. ① 脳外傷の画像所見があること
  2. ② 事故後に意識障害があること
  3. ③ 認知障害、行動障害、人格変化などの症状があること

いずれの等級に認定されるかは、被害者の症状の程度によって判断されます

下表は、いずれの等級に認定されるかの判断基準を示したものです。

等級 認定基準 補足的な考え方
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができないもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題があるもの
高次脳機能障害の認定のポイント

高次脳機能障害の後遺障害認定にあたっては、「日常生活報告書」を作成する必要があります。日常生活報告書では、事故前と事故後の生活状況や、性格の変化などについて、記載します。

作成するのは、被害者本人ではなく、ご家族など被害者の生活状況を把握している方が作成します。

この日常生活報告書の内容を参考にして、症状の程度が審査されるため、日常生活報告書の記載内容はとても大切です。事故前と事故後の被害者の変化を具体的なエピソードを交えて、記載する必要があります。

単に、「記憶力が悪くなった。」と記載するのではなく、例えば、「仕事の作業手順が思い出せなかったり、新しい仕事を覚えることができなくなり、仕事を辞めざるを得なくなった」というように、なるべく具体的に記載することが大切です。

 

遷延性意識障害 介護を要する障害

介護を要する場合の後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級 認定基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
1級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

介護を要する上記の等級に認定された場合には、将来介護費用を請求することができます

将来介護費用は、被害者の平均余命の年数分を請求することとなる(ライプニッツ係数により中間利息は控除されます)ため、高額になる傾向があります。

遷延性意識障害とは

遷延性意識障害とは、3か月以上にわたり、以下の状態が続く場合をいいます。

  1. ① 自力で移動することができない
  2. ② 自力で食事をすることができない
  3. ③ 糞便を失禁する状態
  4. ④ 意味のある言葉を発することができない
  5. ⑤ 簡単な従命以上の意思疎通不能
  6. ⑥ 追視あるいは認識不能

交通事故による外傷によって遷延性意識障害となった場合には、介護を要する1級1号に認定されます

 

顔の傷痕、体の傷痕

交通事故によって、顔や体に傷跡が残った場合には、その傷の大きさに応じて後遺障害に認定されます

顔の傷痕、体の傷痕の後遺障害等級は下表のとおりです。

▼顔の傷痕

等級 後遺障害の内容 説明
7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの 「外貌」とは?
頭部、顔面部、首のように上肢や下肢以外で日常的に露出している部分のこと
「著しい醜状」とは?
次のいずれかで人目につく程度以上のもの
①頭部に手のひら大以上の瘢痕又は頭蓋骨に手のひら大以上の欠損
②顔面に、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円硬貨大以上の組織陥没
③首に、手のひら大以上の瘢痕
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの 「相当程度の醜状」とは?
原則、顔面部に長さ5cm以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの
12級14号 外貌に醜状を残すもの 「醜状を残すもの」とは?
①頭部に、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
②顔面に10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3cm以上の線状痕
③首に、鶏卵大面以上の瘢痕

▼体の傷痕

等級 後遺障害の内容 説明
14級4号 上肢の露出面にてのひら大きさのひどいあとを残すもの 「露出面」とは?肘関節以下を指す
14級5号 下肢の露出面にてのひら大きさのひどいあとを残すもの 「露出面」とは?膝関節以下を指す

 

傷痕の後遺障害は逸失利益が認められない?

逸失利益は、後遺障害によって将来の収入が減ってしまうことに対する補償です。

傷跡が顔や体に残っていたとしても、体の動きや脳の働きには影響しないので、傷跡の後遺障害の場合には、逸失利益が認められないことが多々あります

もっとも、接客業など就労する上で、外見が重視されるような職業の場合には、逸失利益は認められる傾向にあります。

逸失利益が認められない場合には、後遺障害慰謝料の増額を主張していくべきでしょう。

 

傷痕の後遺障害の審査について

後遺障害の審査は、原則として書面審査であり、面談の審査は原則としてありません。

しかし、例外として傷痕の後遺障害については面談での審査が実施されることがあります

後遺障害の審査は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が行っており、面談の審査もこの調査事務所で行われます。

実際に傷痕の大きさを定規で測ったり、傷の状態を目で見て確認されることになります。

 

骨の変形障害

背骨を圧迫骨折したことで、背骨が変形してしまった場合には、後遺障害に認定される可能性があります。

等級 後遺障害の内容
6級5号 脊柱に著しい変形を残すもの
8級相当 脊柱に中程度の変形を残すもの
11級7号 脊柱に変形を残すもの

鎖骨、肋骨、胸骨、肩甲骨、骨盤骨に変形を残す場合には、12級5号に認定される可能性があります。

この場合、レントゲンで変形が分かるにとどまらず、裸になったときに変形していることが明らかに分かることが必要です。

 

変形障害の逸失利益

変形障害は、「骨の変形」に着目して認定される等級です。

したがって、単に骨が変形しているだけで、痛みも生じず、関節の動かしづらさもないような場合には、仕事に支障がありません

逸失利益は、後遺障害によって仕事に支障が出て、将来の収入が減ってしまうことに対する補償なので、仕事に支障がない場合には認められません。

保険会社は、示談交渉において、この点を強く主張して逸失利益の減額交渉をしてきます。

本当に、痛みも可動域制限もなく、将来の減収の見込みもないのであれば反論は難しいでしょう。

しかし、変形障害の認定を受けている被害者の多くは、痛みも残していることが多いです。

したがって、保険会社との示談交渉では、実際に痛みが残っており、仕事に支障が出ていることを具体的に説明し、適切な逸失利益を補償してもらえるよう交渉すべきでしょう。

 

歯が折れた 歯牙障害

交通事故によって、顔面を負傷して歯が欠損してしまうことがあります。

下表は、歯が欠損してしまった場合の後遺障害等級をまとめたものです。

等級 後遺障害内容
10級4号 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
11級4号 10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
12級3号 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
13級5号 5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
14級2号 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

歯の欠損の後遺障害は、骨の変形障害と同様に逸失利益が制限的に考えられています

歯が欠損していることと、労働能力の喪失は結びつかないと考えられているのです。

歯の欠損によって、仕事に支障がでている時には具体的に主張して逸失利益を求めていくべきですが、特に支障がない場合には、逸失利益ではなく後遺障害慰謝料の増額を求めるということも検討すべきでしょう

 

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある軟骨(椎間板)の一部が飛び出すことをいいます。

飛び出した椎間板が神経を圧迫して痛みや痺れなどを引き起こすのです。

交通事故の衝撃によって、椎間板が飛び出して痛みや痺れが発生している場合には、後遺障害に認定される可能性があります。

椎間板ヘルニアの場合、認定される可能性のある等級は、12級13号、あるいは、14級9号です。

椎間板ヘルニアの存在が確認できて、その原因が交通事故であることが明確に証明できる場合には12級13号に認定される可能性があります

一方で、医学的に証明できなくても、その痛みや痺れが医学的に説明できる場合には、14級9号が認定されます。

ただし、交通事故に遭った後、医師に椎間板ヘルニアと診断された場合であっても、保険会社や自賠責保険は、簡単には事故が原因で椎間板ヘルニアになったと認めてくれません。

椎間板ヘルニアは、交通事故の衝撃によって発症することもありますが、日頃の姿勢や動作、加齢によって発症することが多いからです。

したがって、「椎間板ヘルニア」という傷病名で後遺障害認定を受けることは簡単なことではありません

 

失明・視力の低下

交通事故によって、眼球が傷ついたり、視神経を損傷することで失明あるいは視力が低下します。

視力の低下の後遺障害は、視力の低下の程度、片目か両目かによって、下表のとおり等級が決まっています。

等級 後遺障害の内容
1級1号 両眼が失明したもの
2級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2級2号 両眼の視力が0.02以下になったもの
3級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
4級1号 両眼の視力が0.06以下になったもの
5級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
6級1号 両眼の視力が0.1以下になったもの
7級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
8級1号 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
9級1号 両眼の視力が0.6以下になったもの
9級2号 1眼の視力が0.06以下になったもの
10級1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
13級1号 1眼の視力が0.6以下になったもの

 

視力の測定方法は?

視力の測定は、原則として万国式試視力表(円の一部が開いている図形の表)によって測定します。

メガネやコンタクトレンズを使用しても、視力の低下が認められる場合に後遺障害認定がなされます。

 

耳鳴り

交通事故による不詳によって耳鳴りが発症した場合には、以下の等級に認定される可能性があります。

等級 後遺障害の内容
12級相当 耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの
14級相当 難聴に伴い常時耳鳴があることが合理的に説明できるもの

耳鳴りが生じていることを証明するためには、ピッチマッチ検査ラウドネスバランス検査を行う必要があります。

これらの計算を実施した上で、その結果を後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。

 

 

 

等級別の後遺障害慰謝料一覧表

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級の重さに応じて決まっています。

ただし、後遺障害慰謝料の基準は3つあり、それぞれの基準で金額が異なります。

基準 内容
自賠責保険基準 自賠責保険に請求した場合に用いられる基準で、最も低い基準。
任意保険会社基準 任意保険会社が内部的に定めている基準で外部には公表されていない基準。金額の水準は、自賠責保険よりも多少高い水準になっている。
弁護士基準(裁判基準) 弁護士が交渉の段階から用いる基準。裁判になった場合に用いられる基準と同じ内容なので裁判基準とも呼ばれている。基準の中では、最も高い基準である。

以下の表は、後遺障害等級に応じて、自賠責基準と弁護士基準の慰謝料の金額をまとめたものです。

自賠責保険基準

等級 後遺障害慰謝料額 自賠責上限額
1級
(介護必要)
1650万円 4000万円
2級
(介護必要)
1203万円 3000万円
1級 1150万円 3000万円
2級 998万円 2590万円
3級 861万円 2219万円
4級 737万円 1889万円
5級 618万円 1574万円
6級 512万円 1296万円
7級 419万円 1051万円
8級 331万円 819万円
9級 249万円 616万円
10級 190万円 461万円
11級 136万円 331万円
12級 94万円 224万円
13級 57万円 139万円
14級 32万円 75万円

 

弁護士基準

等級 弁護士基準
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

 

 

後遺障害逸失利益は等級別の労働能力喪失率で変わる

逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、働きづらくなり、将来の収入が減ってしまうことに対する補償です。

逸失利益は、以下の計算式で算出します。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害等級の重さに応じて下表のとおり目安が決まっており、逸失利益の金額に影響します。

「基礎収入」は、原則として事故前年度の年収額を用います。

「労働能力喪失期間」は、原則として症状固定日から67歳までの期間です。

ただし、14級9号は5年間、12級13号は10年間に制限されることが多いです。

この労働能力喪失期間の年数に対応する「ライプニッツ係数」(中間利息を控除する係数)を乗じて逸失利益を算出します。

労働能力喪失率は、後遺障害等級の重さに応じて下表のとおり目安が決まっています。

等級 労働能力喪失率 等級 労働能力喪失率
1級 100% 8級 45%
2級 100% 9級 35%
3級 100% 10級 27%
4級 92% 11級 20%
5級 79% 12級 14%
6級 67% 13級 9%
7級 56% 14級 5%

逸失利益の詳しい計算方法については、こちらをご覧ください。

 

 

賠償金を自動計算機で簡単に算定!

交通事故の賠償項目は、後遺障害慰謝料や逸失利益だけではありません。

他にも治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料などがあります。

特に休業損害や入通院慰謝料は、ケースによっては金額も大きくなり、示談交渉や裁判の中で重要な損害項目となります。

こうした賠償項目を自分で一つ一つ計算していくのは大変ですし、間違ってしまう可能性が高いです。

また、保険会社から賠償額の提示が適切な金額であるか早く確かめたい、あるいは、後遺障害認定されたのでどの程度の賠償額になるか概算を確認したいといったことがあるかと思います。

下記のサイトでは、必要事項を入力すれば賠償額の概算が計算できる自動計算機を掲載しておりますので、是非ご活用ください。

交通事故賠償金計算シミュレーター

 

 

後遺障害等級認定の4つのポイント

後遺障害の4つのポイント

必要十分な後遺障害診断書の作成

後遺障害診断書は、後遺障害申請にあたって必須の書類であり、最も重要な書類の一つです。

後遺障害等級の審査の対象は、後遺障害診断書に記載されている事項に限られます

従って、症状が残っていたとしても、後遺障害診断書にその症状の記載がなければ審査の対象にならないのです。

よくある記載漏れとしては、以下のような例があります。

  • 関節の可動域の検査結果の記載
  • 痛みがある部位の記載
  • 醜状障害の記載

記載漏れがあると、そもそも審査の対象外になってしまうので、十分に注意しなければなりません。

後遺障害申請前に、ご自身で症状の記載漏れがないか十分に確認されるか、専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

医師の指示に従って治療を継続する

後遺障害等級の中で、最も認定される件数が多いのは14級9号です。

14級9号は、痛みなどの神経症状が残っていることについて、医学的に説明できる場合に認定される等級です。

医学的に説明できるかどうかは、総合考慮して判断されることになりますが、重要なポイントの一つとして、治療期間が挙げられます。

明確に基準が公表されているわけではありませんが、実務上、治療期間が6ヶ月を下回る場合には、14級9号の認定は難しいです。

従って、自分の勝手な判断で治療を終了するのは適切ではありません

また、保険会社は、4ヶ月、5ヶ月程度で治療費の対応の打ち切りを打診してくることも多々あります。

こうした場合に、痛みが残っていなければ治療を終了して構いませんが、痛みが残っており、医師からも治療の継続を勧められているようなときには、治療継続を検討すべきでしょう。

保険会社の担当者によっては、事故から3〜5ヶ月程度の時点で治療費対応を打ち切り、「あとは後遺障害の申請をしてください」といったことを言ってくる担当者もいます。

しかし、3〜5ヶ月程度の治療では14級9号の認定は難しいでしょう。

このような保険会社の話を鵜呑みにすることなく、専門の弁護士に相談するなどして、その後の方針を決められることをお勧めします。

 

適切な認定を得られなかった場合には異議申立てを行う

後遺障害申請の結果が不適切な内容である場合には、異議申立てを行うべきです。

異議申立ては、時効にかからない限りは何回でも申立てることができます。

しかし、何度も同じような主張と証拠を提出するだけでは、等級が覆ることはありません

後遺障害の認定結果は、その認定の理由も一緒に通知されます。

異議申立てにあたっては、その理由を分析する必要があります。

「症状を裏付ける証拠がない」といった理由であれば、裏付ける証拠がないか検討することになります。

例えば、主治医に面談して意見を聞く、医師に医療照会(書面で質問する)をする、画像鑑定をする、カルテなど医療記録を取得するなどが考えられます。

こうした新たな証拠を収集した上で、再度、異議申立てをすることで適切な等級が認定される可能性が高まります。

 

後遺障害に詳しい弁護士に相談する

交通事故の専門の弁護士に相談・依頼することで適切な後遺障害等級が認定されることが期待できます。

 

専門弁護士による見通しのアドバイス

そもそも、適切な後遺障害等級は何級なのかという問題があります。

専門の弁護士に相談すれば、認定される可能性のある等級を確認することができます。

等級の見通しを確認することで、不適切な等級を鵜呑みにして不利益を被ったり、あるいは、無駄な異議申立てをせずに早期解決することが期待できます。

 

後遺障害診断書のチェック

上記したとおり、後遺障害診断書の内容はとても重要です。

症状の記載漏れがあると、その症状は審査の対象とはなりません。

専門の弁護士に後遺障害診断書をチェックしてもらうことで、記載漏れを防ぐことができます。

 

後遺障害申請のサポート

後遺障害申請の方法は、事前認定と被害者請求の2つの方法があります。

事前認定とは、相手方の保険会社が後遺障害申請をする場合の方法です。

事前認定の場合、相手保険会社は後遺障害申請に最低限必要な書類は揃えて申請をしてくれますが、認定に有利な証拠を積極的に提出してくれることは期待できません

被害者請求は、被害者側が自ら書類を揃えて後遺障害申請をする方法です。

弁護士に後遺障害の申請を依頼した場合には、被害者請求の方法で後遺障害申請を行います。

専門の弁護士が依頼を受けた場合には、最善の申請書類を検討して申請を行います。

後遺障害申請にあたって必須の書類以外の資料についても、認定にあたって有利な資料は提出します

例えば、事故規模を示すために車両の破損状況のわかる写真や修理見積もり、実況見分調書、カルテなどの医療記録、画像鑑定書、医師への医療照会書や意見書などが考えられます。

こうした資料も合わせて後遺障害申請をするため、専門の弁護士に依頼することで、適切な後遺障害認定を受けることが期待できるのです。

 

賠償額の増額により適切な補償が期待できる

賠償基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)があります。

弁護士が入らなければ、自賠責保険基準あるいは任意保険基準での解決となることがほとんどですが、弁護士が介入した場合には、最も高い基準である弁護士基準での解決が期待できます

そのため、被害者個人で交渉しているときよりも賠償額の増額が期待できます。

特に後遺障害認定がなされている場合には、後遺障害慰謝料、逸失利益についても請求することができ、請求できる損害項目が増えるため、その分さらに増額が期待できるのです。

 

弁護士費用特約の活用

弁護士費用特約とは、弁護士に依頼する費用を自分が加入している保険会社が支払ってくれる保険特約です。

被害者の方から、「保険を使用すると保険料が高くなってしまうのでは?」という質問をよくされますが、弁護士費用特約は使用しても保険料は変動しません

また、弁護士費用特約は保険契約者だけでなく同居している家族や別居している未婚の子供も使用できるなど、適用範囲は広いです。

この記事を読まれている方は、交通事故に遭ってお困りの方と思います。

ご自身の保険内容を確認して、弁護士費用特約に加入されていれば、特約を活用されることをお勧めします。

なお、法律事務所によっては、弁護士費用特約で支払われる弁護士報酬とは別に弁護士報酬が必要となる事務所もあります。

トラブルを避けるためにも、弁護士に依頼するにあたっては、弁護士費用特約からの弁護士報酬の支払いで全ての弁護士費用を賄うことができるか確認しましょう。

 

 

まとめ

このページでは、症状別の後遺障害等級を中心に解説をしました。

認定される後遺障害等級の重さによって、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額は大きく変動します。

適切な後遺障害認定を受けることは、適切な補償を受けることに直結するのです。

後遺障害認定のことでお困りのことがあれば、専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

当法律事務所の人身障害部は、交通事故に精通した弁護士のみで構成されており、後遺障害に悩む被害者を強力にサポートしています。

後遺障害の申請はもちろんのこと、後遺障害の結果に納得いかなかった場合の異議申立てについてもサポートしております。

弁護士費用特約にご加入されている場合は、特殊な場合を除き弁護士費用は実質0円でご依頼いただけます。

LINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、後遺障害でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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