骨折による後遺症のポイント|弁護士が解説
交通事故や労災などで骨折のけがを負った方は、後遺症として折れた周辺が腫れたり、痛みが出ることがあります。
運動障害、変形障害又は痛みの障害がある場合、後遺障害の認定の可能性があります。
このページでは、人身事故に注力する弁護士が骨折の後遺症の特徴、後遺障害認定の可能性、慰謝料などの賠償金を得るポイントについて解説していきます。
骨折のけがを負った方は、ぜひ参考になさってください。
骨折とは
骨折(こっせつ)とは、漢字のとおり骨が折れることをいいます。
骨折には、骨にヒビが入るものや骨の一部が欠けてしまうもの、完全に折れて、ズレてしまうもの、骨がつぶれてしまうものなどがあります。
骨が折れているかどうかは、レントゲン検査をすることでわかります。
レントゲン検査でもわからない場合や骨の折れ方をよく調べるためにCT検査をすることもあります。
骨折の症状
骨折の症状ですが、骨が折れているので折れた周辺が腫れたり、痛みがでたりします。
骨折がひどい場合には、その部分を動かすこと自体ができないこともあります。
また、骨がくっつくまでギプスで固定する場合には、その部分をしばらく動かさないことになります。
日常生活への影響としては、痛みがでて夜眠れなかったり、仕事でも痛みが出たり、ギプス固定している場合には、手足が使えなかったりします。
特に足の骨折の場合には、松葉杖などを使用して普通に歩けないということもあります。
このように骨折については、日常生活への影響は大きくなってしまいます。
骨折の原因
骨は非常に固い組織なので、それが折れるということは、相当強い力が骨にかかったということになります。
交通事故で骨折が起こる原因としては、バイクや自転車での事故や歩行者で車にひかれたりした場合、車を運転していて、衝撃で体をハンドルやドア、コンソールボックスなどに強くぶつけたりすることで生じます。
骨折の後遺症と後遺障害認定
交通事故で骨折をして治療をしても、後遺症が残る場合があります。
この場合、後遺障害の申請をして後遺障害の認定をしてもらうことになります。
以下では、後遺症の内容と後遺障害認定について解説します。
神経障害(痛みやしびれが残った場合)
交通事故で骨折して治療を継続しても、どうしても骨折した周辺の痛みやしびれが取れないということがあります。
こうした場合には、神経障害の後遺障害等級に認定される可能性があります。
等級 | 後遺障害の内容 |
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12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級と14級の主な違いは、レントゲンなどの検査画像で、痛みの原因となる所見が確認できるかどうかです。
例えば、関節の部分が凸凹になっているといったことが画像で確認できて、そこが痛みの原因であるとはっきりと特定できる場合には12級が認定される可能性があります。
機能障害(関節の可動域が制限された場合)
機能障害は、関節の可動域が制限された場合に認定される障害です。
上肢の関節は、肩関節、肘関節、手関節の3つです。
下肢の関節は、股関節、膝関節、足関節の3つです。
後遺障害診断書には、関節の可動域を記載する欄があり、その欄に可動域が記載されていないと機能障害は認定されません。
関節に機能障害が残ってしまった場合には、後遺障害診断書に記載漏れがないか十分注意しましょう。
等級 | 後遺障害の内容 |
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1級 |
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4級 |
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5級 |
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6級 |
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7級 |
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8級 |
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9級 |
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10級 |
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11級 |
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12級 |
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13級 |
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14級 |
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変形障害(骨が変形した場合)
変形障害は、骨折したことによって、骨がきれいにくっつかなかった場合に認定される後遺障害です。
等級 | 後遺障害の内容 |
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6級 |
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7級 |
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8級 |
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11級 |
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12級 |
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運動障害(脊柱の動かせる範囲が狭まった場合)
脊柱の運動障害は、脊柱を骨折することで、骨折した背中や首が動かしづらくなった場合に認定される障害です。
等級 | 後遺障害の内容 |
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6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
欠損障害(上肢、手指、下肢又は足指を失った場合)
欠損障害とは、体の一部を失った場合に認定される後遺障害です。
等級 | 後遺障害の内容 |
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1級 |
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2級 |
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3級 |
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4級 |
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5級 |
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6級 |
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7級 |
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8級 |
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9級 |
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10級 |
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11級 |
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12級 |
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13級 |
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14級 |
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短縮障害(足が短くなった場合)
短縮障害とは、足を骨折することで足が短くなってしまう後遺障害です。
足の長さに左右差が生じることで、歩行に支障をきたしてしまいます。
等級 | 後遺障害の内容 |
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8級5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
10級8号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
骨折の後遺症でもらえる慰謝料
交通事故で骨折のけがを負った場合に、慰謝料などの賠償金はどの程度になるでしょうか。
以下では主な賠償項目と相場を解説していきます。
慰謝料
慰謝料には、通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つがあります。
このうち、通院慰謝料については、交通事故により骨折のけがをして、リハビリなどの治療をした期間に応じて金額が変わってきます。
例えば、入院はせず、整形外科でリハビリを半年ほど行った場合、自賠責保険の基準では77万4000円、弁護士基準では116万円となります。
骨折の程度が大きく、ボルトを入れる手術をした、足の骨折でしばらく歩けないために、入院をした場合には、先ほど紹介した通院だけの慰謝料の場合に比べてその金額も高くなります。
また、後遺障害慰謝料については、認定される等級に応じて相場は変わってきます。
例えば、骨折で痛みの障害で14級が認定された場合、後遺障害慰謝料の目安は自賠責保険の基準では32万円、弁護士基準では110万円となります。
後遺障害慰謝料については、認定される等級が重くなるのに応じて、その慰謝料の相場も高くなっていきます。
逸失利益
次に、骨折の場合の賠償項目としては、逸失利益というものが挙げられます。
逸失利益とは、残った後遺症によって、将来得られたはずの収入が減ってしまうことに対する補償のことをいいます。
骨折による後遺障害の場合、痛みで仕事に影響が出たり、運動障害により、手作業ができないといった影響が出ることがあります。
このような収入に対する補償が逸失利益で、慰謝料とは別個に算出されます。
具体例 痛みの障害で14級の場合
【 事故の前年の年収 × 5% × 3年から5年間のライプニッツ係数 】
というのが逸失利益の目安ということになります。
このように逸失利益の計算には、ライプニッツ係数という一般の方には馴染みのない係数などを使用しますので、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談すべきでしょう。
慰謝料や逸失利益の目安が知りたいという方は弊所のシミュレーターも是非ご活用してみてください。
骨折で適切な賠償金を得る4つのポイント
リハビリ、治療をしっかりと行う
交通事故で骨折のけがを負った場合、最初は骨がくっつくまで安静にして固定というのが一般的ですが、その後にリハビリをしっかりしないと、運動障害が残ってしまう可能性があります。
また、後遺障害の申請後に治療を行いたいと考えても、その治療費は保険会社に請求できません(症状固定後の治療となります。)。
そうすると、事故から後遺障害の申請までの間にしっかりと治療を行い、リハビリをしていくことが必要です。
通院をしっかり行うというのは症状を少しでも改善するためにも必要なことですが、通院慰謝料については、通院した日数も考慮して決定していくものです。
そのため、適切な賠償金を補償してもらうという観点からも通院をきちんと行うというのは大切なポイントです。
後遺障害を適切に認定してもらう
骨折による後遺症で適切な賠償金を得るためには、後遺障害の等級を適切に認定してもらうことがとても重要です。
先ほど紹介したとおり、後遺障害の等級に応じて、慰謝料などの賠償金は大きく変わってきます。
つまり、症状に応じた等級を得られなければ、適切な補償を得ることは難しくなってしまいます。
特に骨折による後遺症のうち、運動障害については可動域の測定をきちんと行ってもらって、後遺障害診断書にその結果を書いてもらわないといけません。
変形障害についても変形の状態を後遺障害診断書に書いてもらう必要があります。
こうした後遺障害の手続は被害者の方にとって馴染みがなく、非常に難しいところですので、早めに交通事故に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。
適切な賠償金の金額を算定する
交通事故による骨折のけがを負ったときに、適切な賠償金を獲得するためには、自分のケースで適切な賠償金がどの程度なのかということを判断できなければなりません。
しかしながら、交通事故の被害者の方だけでは、その判断は非常に難しいと思います。
交通事故に何度もあっているという方は多くありません。
そのため、被害者の方はどのくらいが妥当な賠償金なのかがわからないためです。
そのため、保険会社からの提示をそのまま変わらないだろうと受け入れてしまうということもあります。
サインをしてしまってからは手遅れです。
サインをしてしまうと示談が成立して取り消すことはできませんので、くれぐれも焦らないようにしてください。
保険会社も民間の会社ですので、示談できるのであれば少しでも賠償額を低くしたいというのが本音です。
保険会社から提示された示談内容を鵜呑みにしたりせず、まずは専門家である弁護士に相談して、妥当な提示内容といえるのかどうか、専門家の目からチェックしてもらいましょう。
示談はそれからでも決して遅くはありません。
特に、骨折のけがを負った方は、痛みも含めて何らかの後遺症が残る可能性があるため、その後の生活のためにも適切な賠償金を得ることはとても大切です。
後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談する
交通事故というのはそんなに日常的に何回もあうものではありません。
そのため、交通事故にあって、その後に保険会社とどのようなやりとりが必要になるのか、後遺障害の認定を受けるにはどうすればいいかなど、被害者の方はわからないことだらけだと思います。
骨折というけがを負ってしまい、そのことだけでも仕事や日常生活に支障があり、先々に不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
こうした不安を少しでも解消した上で、先々の後遺障害の申請を適切に行っていくためには、できるだけ後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談しておくことが大切です。
「治療をしているところだから弁護士はまだ早いのでは」と思われる方もいますが、決してそんなことはありません。
早い段階からサポートを受けることで、先々を見越して対応することができ、等級認定や賠償金の額に違いが出る可能性があります。
また、弁護士費用特約に加入されている場合には、治療中の段階で弁護士に依頼しても、ほとんどの場合は特約の範囲の中で弁護士にサポートをしてもらうことが可能です。
まとめ
ここまで骨折と後遺症について、弁護士が解説してきました。
交通事故で骨折した場合には、運動障害や変形障害、痛みの障害が残る可能性があります。
慣れない保険会社とのやりとりなどの不安や負担を取り除いて、治療に専念することが交通事故の被害者の方にとって、とても大切です。
早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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