骨折の後遺症とは?症状・後遺障害認定の基準・慰謝料相場

交通事故や労災などで骨折のけがを負った方は、後遺症として折れた周辺が腫れたり、痛みが出ることがあります。
骨折の治療後も引かない痛みや関節の曲がりにくさは、後遺障害として認定される可能性があります。
骨折の後遺症は、痛みやしびれ(神経障害)、関節の可動域制限(機能障害)、骨の変形障害、脊柱骨折による運動障害、欠損障害、足の短縮障害の6つに大別されます。
後遺症が後遺障害として認定されれば、110万円〜2800万円の慰謝料を受け取れる可能性があります。
このページでは、人身事故に注力する弁護士が骨折の後遺症の特徴、後遺障害認定の可能性、慰謝料などの賠償金を得るポイントについて解説していきます。
目次
骨折の後遺症でよくある部位別の症状
手首の骨折
手首の骨折の場合、以下の症状が残ることがあります。
- 手関節の可動域制限
- 骨折部分の痛み
- 指先などのしびれ
手関節の可動域制限は、健側(骨折していない側)と比べて4分の3以下に制限されていれば可動域制限の後遺障害に認定される可能性があります。
痛みや痺れも、14級9号、12級13号に認定される可能性があります。
腕の骨折
腕の骨折の場合、以下の症状が残ることがあります。
- 肘関節や肩関節の可動域制限
- 骨折部分の痛み
- 変形して骨がくっつく
関節の可動域制限や、痛みの症状は、手首と同様に後遺障害認定の可能性があります。
上腕骨(じょうわんこつ)、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)などが変形してくっついてしまった場合、12級8号の変形障害に認定される可能性があります。
足の骨折
腕の骨折の場合、以下の症状が残ることがあります。
- 足関節や膝関節、股関節の可動域制限
- 骨折部分の痛み(歩行時の痛み)
- 変形して骨がくっつく
- 足の長さに差が出る
関節の可動域制限や、痛みの症状は、腕や手首の骨折と同様に後遺障害認定の可能性があります。
脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、大腿骨(だいたいこつ)に変形が生じた場合には、12級8号に認定される可能性があります。
また、骨折により、左右で足の長さに差が生じた場合にも後遺障害に認定される可能性があります。
指の骨折
腕の骨折の場合、以下の症状が残ることがあります。
- 指関節の可動域制限
- 骨折部分の痛み
- 巧緻性(こうちせい)が低下する (指を使った細かい作業ができなくなる)
指の可動域制限の後遺障害等級は、手指は、7〜14級、足の指は、9〜13級の等級が定められています。
背骨・腰の骨折
背骨・腰の骨折の場合、以下の症状が残ることがあります。
- 腰や背中の痛み
- 背骨の変形
- 腰が曲げづらくなる
圧迫骨折をしている場合には、変形障害の等級が認定される可能性があります。
骨折の後遺症はいつまで続く?治し方と症状固定の考え方
骨折の後遺症は、骨折の程度や部位によって変わってきます。
骨折の程度が軽い場合には、数カ月で特に問題なく日常生活を送れることもありますが、骨折の程度が重大だと、一生涯、後遺症に悩まされる可能性もあります。
後遺症を治す方法は、医師と相談しながら、適切な治療を継続していくことが重要です。
症状は残っているものの、それ以上、治る見込みがない場合には、症状固定となり、後遺障害申請をすることになります。
症状固定は、医学的な判断が必要になるので、主治医の意見が重要です。
【骨折の後遺症別】後遺障害等級と認定基準

交通事故で骨折をして治療をしても、後遺症が残る場合があります。
この場合、後遺障害の申請をして後遺障害の認定をしてもらうことになります。
以下では、後遺症の内容と後遺障害認定について解説します。
神経障害(痛みやしびれが残った場合)
交通事故で骨折して治療を継続しても、どうしても骨折した周辺の痛みやしびれが取れないということがあります。
こうした場合には、神経障害の後遺障害等級に認定される可能性があります。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 290万円 |
| 14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 110万円 |
12級と14級の主な違いは、レントゲンなどの検査画像で、痛みの原因となる所見が確認できるかどうかです。
例えば、関節の部分が凸凹になっているといったことが画像で確認できて、そこが痛みの原因であるとはっきりと特定できる場合には12級が認定される可能性があります。
機能障害(関節の可動域が制限された場合)
機能障害は、関節の可動域が制限された場合に認定される障害です。
上肢の関節は、肩関節、肘関節、手関節の3つです。
下肢の関節は、股関節、膝関節、足関節の3つです。
後遺障害診断書には、関節の可動域を記載する欄があり、その欄に可動域が記載されていないと機能障害は認定されません。
関節に機能障害が残ってしまった場合には、後遺障害診断書に記載漏れがないか十分注意しましょう。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 1級 |
|
2800万円 |
| 4級 |
|
1670万円 |
| 5級 |
|
1400万円 |
| 6級 |
|
1180万円 |
| 7級 |
|
1000万円 |
| 8級 |
|
830万円 |
| 9級 |
|
690万円 |
| 10級 |
|
550万円 |
| 11級 |
|
420万円 |
| 12級 |
|
290万円 |
| 13級 |
|
180万円 |
| 14級 |
|
110万円 |
変形障害(骨が変形した場合)
変形障害は、骨折したことによって、骨がきれいにくっつかなかった場合に認定される後遺障害です。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 6級 |
|
1180万円 |
| 7級 |
|
1000万円 |
| 8級 |
|
830万円 |
| 11級 |
|
420万円 |
| 12級 |
|
290万円 |
運動障害(脊柱の動かせる範囲が狭まった場合)
脊柱の運動障害は、脊柱を骨折することで、骨折した背中や首が動かしづらくなった場合に認定される障害です。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの | 1180万円 |
| 8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの | 830万円 |
欠損障害(上肢、手指、下肢又は足指を失った場合)
欠損障害とは、体の一部を失った場合に認定される後遺障害です。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 1級 |
|
2800万円 |
| 2級 |
|
2370万円 |
| 3級 |
|
1990万円 |
| 4級 |
|
1670万円 |
| 5級 |
|
1400万円 |
| 6級 |
|
1180万円 |
| 7級 |
|
1000万円 |
| 8級 |
|
830万円 |
| 9級 |
|
690万円 |
| 10級 |
|
550万円 |
| 11級 |
|
420万円 |
| 12級 |
|
290万円 |
| 13級 |
|
180万円 |
| 14級 |
|
110万円 |
短縮障害(足が短くなった場合)
短縮障害とは、足を骨折することで足が短くなってしまう後遺障害です。
足の長さに左右差が生じることで、歩行に支障をきたしてしまいます。
| 等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料の相場 (弁護士基準) |
|---|---|---|
| 8級5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの | 830万円 |
| 10級8号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの | 550万円 |
| 13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの | 180万円 |
骨折の後遺症による慰謝料の相場はいくら?
後遺障害慰謝料の相場|自賠責基準と弁護士基準を比較
後遺障害慰謝料は、等級に応じて以下のように定められています。
下表をみて分かるとおり、自賠責保険基準と弁護士基準とでは大きな差があります。
| 等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1150万円 (1650万円) |
2800万円 |
| 2級 | 998万円 (1203万円) |
2370万円 |
| 3級 | 861万円 | 1990万円 |
| 4級 | 737万円 | 1670万円 |
| 5級 | 618万円 | 1400万円 |
| 6級 | 512万円 | 1180万円 |
| 7級 | 419万円 | 1000万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 9級 | 249万円 | 690万円 |
| 10級 | 190万円 | 550万円 |
| 11級 | 136万円 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
※自賠責保険基準の( )内の金額は介護を要する場合の金額です。要介護で被扶養者がいる場合は、1級1850万円、2級1373万円となります。
慰謝料が高額になる可能性のあるケース
後遺障害慰謝料が高額になる可能性のあるケースとしては、以下のようなケースが考えられます。
- 頭蓋骨を骨折して脳挫傷等の障害を負ったケース
- 開放骨折して手術が何度も必要なケース
- 複数の部位を骨折しているケース
- 背骨を骨折して頸髄まで損傷が及んでいるケース
上記のようなケースでは、重い後遺障害等級が認定される可能性があり、後遺障害慰謝料が高額になる可能性があります。
慰謝料だけじゃない!逸失利益の請求もできる
後遺障害に認定された場合には、後遺障害慰謝料だけでなく、逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、働きづらくなり、将来、収入が減ってしまうことに対する補償です。
逸失利益は、数十万円〜1億円を超える金額になることもあり、最も高額になりやすい損害項目の1つです。
逸失利益について、詳しくは以下をご覧ください。
骨折の後遺症で適切な賠償金を得る5つのポイント

①リハビリ、治療をしっかりと行う
交通事故で骨折のけがを負った場合、最初は骨がくっつくまで安静にして固定というのが一般的ですが、その後にリハビリをしっかりしないと、運動障害が残ってしまう可能性があります。
通院をしっかり行うというのは症状を少しでも改善するためにも必要なことですが、通院慰謝料については、通院した日数も考慮して決定していくものです。
そのため、適切な賠償金を補償してもらうという観点からも通院をきちんと行うというのは大切なポイントです。
②検査による客観的な証拠を踏まえ、医師に適切な後遺障害診断書を作成してもらう
骨折による後遺症で適切な賠償金を得るためには、後遺障害の等級を適切に認定してもらうことがとても重要です。
適切な認定を受けるには、必要な検査を受けておくことが重要です。
特に運動障害(可動域制限)については関節の可動域の測定を実施して、後遺障害診断書に結果を記載してもらう必要があります。
また、肩の腱板断裂や膝の靭帯の損傷などについては、早期にMRIを撮影しておくことも重要です。
これらの傷害は、加齢とともに損傷する可能性があるので、時間が経過して撮影しても事故との関係性が争われてしまう可能性があるのです。
したがって、負傷内容に応じて、事故後、早期に画像検査をしておくことも重要です。
③保険会社任せにしない被害者請求で申請する
後遺障害の申請の方法は、以下の2つの方法があります。
| 後遺障害の申請方法 | 内容 |
|---|---|
| 事前認定 | 相手保険会社が後遺障害申請をする方法 |
| 被害者請求 | 被害者あるいは、被害者が依頼した弁護士が後遺障害申請する方法 |
被害者請求は、自分で資料を集めなければならず、手間がかかることがデメリットです。
しかし、以下のようなメリットがあります。
- 必須資料に加えて、認定に有利になる資料を提出できる。
- 示談前に自賠責基準の賠償金を受け取ることができる。
- 提出している書類が把握できるため、手続きの透明性が高い
このようなメリットがあるため、被害者請求で申請した方が、適切な認定が期待できます。
また、弁護士に依頼した場合には、弁護士が必要書類の収集、認定に有利になる証拠がないか検討とその証拠の収集を行ってくれますので、「手間」というデメリットはなくなります。
④適切な賠償金の金額を算定する
交通事故の賠償金の基準は以下の3つがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自賠責保険基準 | 自賠責保険に請求した場合に使用される法令で定められた基準 |
| 任意保険基準 | 任意保険会社が独自に設定している基準 |
| 弁護士基準 (裁判基準) |
弁護士が交渉時に使用する基準で、裁判になった場合も使用される基準 |
基準の高さの順番は、以下のとおりです。
裁判でも使用される基準である弁護士基準が最も高水準であり、適切な基準といえます。
したがって、弁護士基準に基づく賠償金が適切な賠償金であるといえます。

保険会社からの賠償提示があった場合には、その金額が弁護士基準とどの程度、差があるかを確認しましょう。
自分で算定することは難しいかと思いますので、保険会社から提示が遭った場合には、その提示の書面をもって、弁護士に相談することをおすすめします。
⑤後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談する
交通事故というのはそんなに日常的に何回もあるものではありません。
そのため、交通事故にあって、その後に保険会社とどのようなやりとりが必要になるのか、後遺障害の認定を受けるにはどうすればいいかなど、被害者の方はわからないことだらけだと思います。
骨折というけがを負ってしまい、そのことだけでも仕事や日常生活に支障があり、先々に不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
こうした不安を少しでも解消した上で、先々の後遺障害の申請を適切に行っていくためには、できるだけ後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談しておくことが大切です。
「治療をしているところだから弁護士はまだ早いのでは」と思われる方もいますが、決してそんなことはありません。
早い段階からサポートを受けることで、先々を見越して対応することができ、等級認定や賠償金の額に違いが出る可能性があります。
また、弁護士費用特約に加入されている場合には、治療中の段階で弁護士に依頼しても、ほとんどの場合は特約の範囲の中で弁護士にサポートをしてもらうことが可能です。
骨折の後遺症に関するよくある質問

骨折で後遺障害認定された場合、身体障害者手帳の交付対象になりますか?
自賠責保険の後遺障害認定された場合、身体障害者手帳の交付対象となる可能性はあります。ただし、自賠責保険の後遺障害認定と、身体障害者手帳の交付は全く別の制度です。
身体障害者手帳は、地方公共団体に申請をして認定してもらうものです。
単に痛みがあるといった事情では認定されず、永続的で重度な後遺症が残った場合に認定されます。
したがって、骨折で後遺障害に認定されるものの中で、特に重い障害の場合のみ、身体障害者手帳の交付の対象になる可能性があります。

骨折によるギプス固定で起こりやすい後遺症はありますか?
骨折によるギプスの固定により起こりやすい後遺症としては、以下のような症状が考えられます。- 筋萎縮
筋肉を使わないことで手や足が細くなってしまう症状 - 関節拘縮
長期間固定することで関節が固くなってしまう症状
こうした症状に対しては、リハビリを行い、回復するように治療していくことになります。
まとめ
ここまで骨折と後遺症について、弁護士が解説してきました。
交通事故で骨折した場合には、運動障害や変形障害、痛みの障害が残る可能性があります。
慣れない保険会社とのやりとりなどの不安や負担を取り除いて、治療に専念することが交通事故の被害者の方にとって、とても大切です。
早めに弁護士に相談することをおすすめします。
デイライトでは、交通事故案件を数多く取り扱う人身障害部の弁護士が、相談から事件処理の全てを行います。
初回無料のLINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、骨折のけがでお困りの方は、お気軽にご相談ください。















