むちうちの後遺症(後遺障害)とは?認定のポイントを解説 

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

むちうちの後遺症とは、症状固定(これ以上治療をしても良くも悪くもならない状態)時において、頸部の痛みや痺れなどの症状が残っている状態をいいます。

むちうちの場合、骨折や脱臼と異なり、症状の原因が画像に写りにくいため、現在の症状や回復具合を示すのが難しいという特徴があります

そのため、痛みが残っているにもかかわらず、むちうちの後遺症が交通事故の後遺障害として認められず、泣寝入りしてしまう場合があります。

この記事では、むちうちの後遺症と認定のポイントについて解説していきます。

この記事を読むことで、むちうちの特徴や、後遺障害の手続きの流れ、むちうちの後遺障害の認定のポイントについて知ることができます。

是非とも、参考になさってください。

むちうちの後遺症とは

むちうちとは

むちうちとは、頚椎捻挫や腰椎捻挫などを総称したもので、交通事故による衝撃により、首が鞭(むち)のようにしなることによって生じる症状のことです。

むちうちの症状としては、以下のものがあげられます。

  • 首の痛み
  • 背中の痛み
  • 上肢のしびれ
  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 吐き気
  • 耳鳴り

むちうちは、交通事故によるケガで、最も多いケガのうちの一つですが、症状の原因が画像に写りにくいという特徴があります。

そのため、現在の症状や回復具合について、患者が医師にしっかりと伝えることが重要となってきます。

 

後遺症とは

「後遺症」と「後遺障害」という言葉は似ていますが、交通事故において、「後遺症」と「後遺障害」では意味が異なります。

「後遺症」とは、症状固定(これ以上治療をしても良くも悪くもならない状態)になったときに、症状が残っている状態のことを示します。

一方で、交通事故における「後遺障害」とは、症状固定(これ以上治療をしても良くも悪くもならない状態)になったときに、症状が残っていることに加え、労働能力の喪失を伴う状態をいいます

  1. ① 身体的、精神的な不具合が残っていること
  2. ② 労働能力の喪失を伴っていること

交通事故における「後遺障害」は、②労働能力の喪失を伴っている点で、「後遺症」とは意味が異なります。

また、後遺障害は、自動車損害賠償法(自賠責法)で最も重い第1級から第14級までの等級で規定されています。

参考:自動車損害賠償保障法施行令|e−Gov法令検索

後遺障害の認定のポイントやデメリットについて、詳しくはこちらをご覧ください。

 

後遺障害と認定されることの重要性

交通事故において後遺障害と認定された場合、原則として、①後遺障害慰謝料、②逸失利益を請求することができます

一方で、後遺障害が認定されなかった場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することは大変難しくなります。

後遺障害慰謝料や逸失利益は、認定される後遺障害等級によっても異なりますが、基本的には認定されなかった場合と比べて、損害賠償額が大きく上昇します

例えば、会社員の男性40歳の方で、年収が500万円の場合、後遺障害等級14級9号の場合と非該当の場合で以下の様な違いがあります。

認定等級 後遺障害慰謝料 逸失利益
14級9号 110万円(裁判基準) 約114万円(労働能力喪失期間5年で計算)
非該当 0円 0円

上記の場合、後遺障害に認定されるかどうかで、200万円以上の差額が生じます。

後遺障害が認定されるかどうかは、損害賠償額に大きく影響するため、非常に重要なものといえます

後遺障害の認定について、詳しく知りたい場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおススメします。

 

後遺障害の等級認定にデメリットはない

後遺障害の認定にデメリットはありません

治療が終了した段階で症状が残っていれば、積極的に後遺障害の申請を行いましょう

また、交通事故の後遺障害の申請には、「事前認定」と「被害者請求」があります。

「被害者請求」とは、被害者が主体となって行う手続きで、後遺障害認定手続きに必要な書類は、被害者自身が収集する必要があります。

「事前認定」とは、加害者側の任意保険会社が主体となって行う手続きで、後遺障害認定手続きに必要な書類は、基本的には加害者側の任意保険会社が収集します。

「事前認定」については、保険会社が後遺障害の申請を行うため、実際に提出された書類を被害者側で十分に吟味できない可能性があります。

また、被害者にとって、積極的に有利な書類を提出できないことがあります。

そのため、事前認定を行う場合については、注意が必要です。

後遺障害の事前認定のメリット・デメリットについて、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

むちうちの後遺障害等級

むちうちの後遺障害等級としては、ほとんどの場合、後遺障害等級14級9号、または12級13号に分類されます。

後遺障害等級14級9号 「局部に神経症状を残すもの」
後遺障害等級12級13号 「局部に頑固な神経症状を残すもの」

 

14級9号と12級13号の認定基準の違い

上述のように、14級9号との違いは、文言だけでいえば、「頑固な」という文言の有無だけです。

14級9号の場合は、事故によって症状が生じたことが、医学的に「説明可能」であれば認められます。

14級9号の認定については、通院期間、症状の連続性・一貫性、事故の態様などが重要となってきます

一方で、12級13号の場合には、神経症状が残っていることが医学的に説明できるだけでは足りず、「医学的に証明」できる必要があります。

「医学的に証明」するには、レントゲンやCT、MRIなどの画像所見、神経学的検査の結果、症状の一貫性が重要となってきます。

例えば、首の椎間板などの異常が画像上明確に判断でき、その異常が神経学的検査の結果と整合的であり、症状の一貫性が認められるような場合には、12級13号が認定される可能性があります。

しかし、むちうちの場合、レントゲンやMRI等で交通事故が原因であると明確にいえる異常所見が認められることは稀です。

首や腰の椎間板の変性は、日頃の活動あるいは加齢によっても生じるため、交通事故が原因と断定することは難しいのです。

したがって、むち打ちで12級13号の認定を得ることは容易ではありません。

後遺障害等級14級について、詳しくはこちらをご覧ください。

後遺障害等級12級について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

むちうちの後遺障害等級認定の流れ

後遺障害の申請

後遺障害の申請とは、症状固定後にも残っている症状について、後遺障害として認定してもらうための申請の手続きになります。

申請の方法には、被害者請求、事前請求の2つの方法があります。

被害者請求は被害者側、事前認定は加害者側(任意保険会社)が被害者に代わって申請を行うことになります。

それぞれのメリット、デメリットは下表のとおりです。

メリット デメリット
事前認定
  • 必要資料を集めるための手間がほとんどかからない。
  • 必要資料を集めるための費用が安く抑えられる。
  • 必要最低限の資料しか提出されない。
  • 任意保険会社と示談が成立するまでは、賠償金を受け取れない可能性がある。
  • 提出される資料の内容が不透明である。
被害者請求
  • 後遺障害の認定のために必要な書類を自分で集めることができるため、被害者にとって有利な資料を提出できる。
  • 示談前に自賠責基準の賠償金を受け取ることができる。
  • 必要書類を自分で収集することになるため、手間と時間がかかる。
  • 適切な賠償を得るために必要な書類を、被害者自身で取捨選択していくのが難しい。

 

後遺障害の認定にかかる期間

後遺障害の申請をしてから、後遺障害が認定されるまでの期間としては、一般的には1か月から3ヶ月かかります。

また、損害保険料算出機構が出している「自動車保険の概況(2021年度版)」によると、約92%の場合で90日以内に認定結果が出るということになっています。

もっとも、高次脳機能障害など複雑な事案については、6ヶ月以上かかる場合もあります。

参考:自動車保険の概状2021年度版(P37)|損害保険料率算出機構

後遺障害の認定期間について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

後遺障害の認定にかかる金額

実費

後遺障害の認定にかかる実費について、後遺障害診断書の作成料があります。

後遺障害診断書の作成料は病院によって異なり、相場としては5000円〜1万円程度の病院が多いです。

もっとも、病院によっては、3万円以上するという病院もあるようです。

後遺障害診断書の作成費用は、後遺障害が認定された場合には、保険会社や加害者に作成費用を請求することができます

一方で、後遺障害が認定されなかった場合は、交通事故とは関係のない不要な費用であるとして、保険会社や加害者に請求することはできません。

その他に、被害者自身で自賠責用の診断書や診療報酬明細書、画像データ等を取り寄せる場合は、その費用についても別途発生します。

もっとも、後遺障害が認定された場合には、保険会社や加害者に作成費用を請求することができます。

 

弁護士に依頼する場合の料金

後遺障害の申請を弁護士に依頼している場合、弁護士から直接医者に対して後遺障害の作成依頼を行うことがあります。

法律事務所にもよりますが、後遺障害診断書の作成依頼のための追加の弁護士費用が発生しない事務所が多いでしょう。

 

 

等級認定から賠償金提示までの流れ

事前認定の場合

①症状固定

後遺障害申請をするには、「症状固定」(これ以上治療しても良くも悪くもならない状態)になっている必要があります。

症状固定は、医学的概念なので、原則としてその時期は医師に判断してもらうことになります

②主治医が後遺障害診断書を作成

症状固定となり、主治医が後遺障害があると判断した場合、その主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことになります。

後遺障害診断書については、後遺障害の認定に大きく影響するため、後遺障害診断書の内容をよく吟味するようにしましょう

後遺障害診断書について、詳しくはこちらをご覧ください。

③任意保険会社(加害者側)が必要書類を損害保険料率算出機構に提出

任意保険会社(加害者側)が、「事前認定」の必要書類を集め、同書類を損害保険料率算出機構に提出します。

④自賠責損害調査事務所にて調査後、任意保険会社に結果を通知

後遺障害等級は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所によって審査が行われ、等級が決定されます。

自賠責損害調査事務所において後遺障害等級の該当性について調査した後、相手方の任意保険会社に対して、結果を通知します。

⑤加害者側の任意保険会社から被害者へ事前認定の結果を通知

後遺障害等級について事前認定を受けた加害者側の任意保険会社は、被害者に対して事前認定の結果を通知します。

⑥示談交渉or異議申立て

「事前認定」により後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益について示談交渉を行います。

示談が成立すれば、賠償金が支払われることになります。

「事前認定」の結果に納得がいかない場合は、相手方の保険会社を通して異議申立手続を行うこともできます

⑦訴訟or紛争処理機構へ

後遺障害認定は、損害保険料率算出機構が行うことになりますが、その認定に必ず従わなければならないわけではありません。

認定が不服である場合には、訴訟提起をして裁判所に判断してもらうことや、紛争処理機構に対して申立てを行うことができます。

後遺障害の申請について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

被害者請求の場合

「被害者請求」の手続きの流れについては、以下の図表のようになります。

①症状固定、②主治医が後遺障害診断書を作成

①症状固定、②主治医が後遺障害診断書を作成することについては、事前認定の場合と同じです。

③被害者が必要書類を相手方の自賠責保険に提出

被害者の方は、主治医から後遺障害診断書を作成してもらった後、必要書類を相手方の自賠責保険に提出することになります。

また、被害者請求の場合は、その他にも「交通事故証明書」や「事故発生状況報告書」などの書類を自分で提出する必要があります。

「被害者請求」の必要書類について、詳しくはこちらを御覧ください。

④相手方の自賠責保険が損害保険料率算出機構に対し調査を依頼

被害者側から必要書類を受領した相手方の自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構に対し後遺障害等級の調査を依頼します。

⑤損害保険料率算出機構から相手方の自賠責保険に対し調査結果を通知

自賠責損害調査事務所によって審査が行われ、等級が決定された後、損害保険料率算出機構から相手方の自賠責保険に対し調査結果が通知されます。

⑥相手方の自賠責保険から被害者へ後遺障害等級の結果を通知

損害保険料率算出機構から相手方の自賠責保険に対し調査結果が通知された後、相手方の自賠責保険から被害者へ後遺障害等級の結果が通知されます。

⑦自賠責保険から賠償金の振込(認定された場合)

後遺障害等級が認定された場合、被害者の方が指定した口座に対して、自賠責基準による賠償金が振り込まれることになります。

「被害者請求」の結果に納得がいかない場合、自賠責に対して異議申立手続を行うことや、訴訟提起をして裁判所に判断してもらうことも可能です。

後遺障害の異議申し立てについて、詳しくはこちらを御覧ください。

 

 

後遺障害の認定の5つのポイント

①交通事故の初期の段階から適切な検査を受けましょう

交通事故の初期の段階から、レントゲン写真やMRI画像などの検査を受けることが重要になります。

交通事故から数ヶ月以上経過した段階で、レントゲン写真やMRI画像で異常が見つかったとしても、交通事故とは別の原因で生じたものだという疑いが生じます。

また、医学的な治療という観点から必要な検査と、後遺障害の認定を得るために必要な検査とは異なる場合があります。

つまり、医師は、ケガの治療に主眼をおいて必要な検査をしますが、後遺障害の立証という観点からすると、そうした検査だけでは不十分な場合があるのです。

したがって、必要な検査について不安がある場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

 

②症状をしっかりと主治医に伝えましょう

症状をしっかりと主治医に伝え、カルテに記載してもらいましょう。

特に、むちうちの場合、画像所見がないことが多いため、普段から症状をしっかり伝える必要があります

また、後遺障害の有無の判定については、症状固定時の症状だけでなく、通院期間中における経過状況も見られるため、症状をしっかりと伝えることが重要となります。

 

③過不足のない後遺障害診断書を書いてもらう

後遺障害の審査は、後遺障害診断書の内容にそって審査されます。

つまり、後遺障害診断書に記載のないことは基本的に審査されません

したがって、自分の症状が漏れることなくきちんと記載されているかを十分に確認する必要があります。

記載漏れが多い項目の例としては、可動域検査の結果の記載が漏れていることが多いように思います。

後遺障害診断書に、可動域検査の結果が記載されていない場合には、それらの後遺障害の審査すらされないため十分注意しなければなりません。

 

④症状から想定される等級内容を踏まえて証拠を準備する

症状固定時に残ってしまった症状に応じて、的確な証拠を集める必要があります。

例えば、12級13号の場合には、画像の異常所見が必須となるので、画像を提出することはもちろんのこと、必要に応じて画像に関する報告書や医師の意見書、画像鑑定報告書などの提出も検討することになります。

このように、想定される後遺障害の内容を踏まえて、必要となる検査や資料を提出することが大切です。

 

⑤交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼を検討しましょう

適切な後遺障害認定が期待できる

弁護士が後遺障害申請をする場合には、後遺障害申請にあたって必須の書類だけでなく、認定に有利となる証拠も添付して申請します。

例えば、医療照会の結果や医師の意見書、画像鑑定書なども提出することがあります

12級の認定を受けるには、症状の存在を医学的証明しなければならないので、こうした医学的な資料が重要なのです。

そのため、交通事故に詳しい弁護士に被害者請求を依頼することで、適切な後遺障害認定が期待できるのです。

賠償額の増額が期待できる

仮に後遺障害が認定されたとしても、相手側の保険会社は、自賠責基準に少し上乗せした程度の慰謝料額を提示してくることが多いです。

弁護士が入ることによって、弁護士基準に近い慰謝料額を請求することができ、賠償額の増額が期待できます

弁護士費用特約の活用

弁護士費用特約とは、交通事故に遭った場合に相手方との交渉や裁判等を弁護士に依頼する際の費用を保険会社が被害者の方に代わって支払うという保険です。

つまり、被害者の方は、自己負担なく交通事故に対する対応を弁護士に依頼することができるということです(なお、保険金額には 300万円の上限金が定められていることがほとんどです。)。

弁護士費用特約は、自動車保険を契約している契約者(被保険者)のみだけではなく、家族や同乗者も使用することができます。

弁護士費用特約について、詳しくはこちらを御覧ください。

 

 

後遺障害の認定のよくあるQ&A

むちうちの後遺障害の認定は難しい?

むちうちの後遺障害については、ほとんどの場合14級9号または12級13号に分類されますが、それぞれの等級の認定率から、認定は容易ではないといえます。

むちうちの後遺症認定の確率

むちうちの症状だけで正確な後遺症認定率を算出することは難しいですが、後遺障害14級9号または12級13号の認定件数から、目安となる認定率を導くことができます。

例えば、2021年度版「自動車保険の概況」(出版:損害保険料率算出機構)によると、2020年度に自賠責保険が賠償金を支払った件数は、89万8407件とされています。

その中で、何らかの後遺障害等級に認定された件数が4万9267件あり、14級のみの認定件数は2万8593件、12級のみの認定件数は8036件とされています。

したがって、14級のみの認定率は約3.2%で、12級のみの認定件数は0.9%ということになります。

もっとも、これは自賠責保険が賠償金を支払った件数に対する割合であるため、後遺障害を申請した場合の純粋な認定率でない点にご留意ください。

参考:自動車保険の概況2021年度版(2022年4月発行)

後遺障害14級の認定率について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

後遺障害が認定されなかったとき、どうすればいい?

後遺障害が認定されなかった場合には、①異議申立てを行う、②紛争処理機構を利用する、③訴訟提起する3つの方法をとることができます。

①異議申立てを行う

後遺障害が認定されなかった場合、異議申立てを行うことが考えられます。

事前認定の場合は相手方の任意保険会社、被害者請求の場合は自賠責保険会社に対して、異議申立てを行うことになります。

異議申立てには、回数制限がないため、時効にかからない限り、何度でも行うことができます

しかし、異議申立ては、後遺障害申請時と同じ資料を送ったとしても、後遺障害の異議申立てが認められるものではありません。

被害者にとって有利な証拠(カルテ、医師の意見書、画像鑑定など)を提出する必要があります。

また、異議申立てを行えば、その分、審査に時間がかかることになり、被害者が賠償金を受け取る時期が遅くなるというデメリットがあります。

後遺障害非該当から14級が認められた事例について、こちらをご覧ください。

②紛争処理機構を利用する

紛争処理機構とは、自賠責保険(共済)が下した判断に対して、誤りがないかを審査する機関です。

紛争処理機構には、東京本部と大阪支部があります。

紛争処理機構への申立てには、自賠責保険(共済)の判断が誤っていることを具体的に説明する必要があります。

そのため、自賠責保険(共済)がどのような理由で認定しなかったのかをしっかりと分析する必要があります。

具体的には、事実認定に誤りがないか、判断過程において矛盾はないか、事実の評価について偏った評価をしていないか等について、既に提出済みの証拠と認定理由を見比べながら分析する必要があります。

紛争処理機構への申立は、自賠責保険(共済)の判断に対して、正確に分析することが求められるため、被害者自身で行うには相当難しいといえます。

また、紛争処理機構への申立てについては、一度しか利用できないことから、利用する場合は、入念な準備をしてから利用する必要があります。

紛争処理機構への申立てを検討する場合は、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおススメします。

③訴訟提起する

異議申立てや紛争処理機構への申立てを利用しても、後遺障害が認定されなかった場合、最終手段として訴訟提起があげられます

訴訟提起した場合、裁判所が後遺障害等級の認定結果の妥当性について判断します。

裁判所に後遺障害等級が認められるためには、これまでの認定結果を覆すだけの証拠や資料を提出し、交通事故と後遺障害の因果関係を主張していく必要があります。

裁判については、裁判所を説得するため書面の作成や、提出する証拠の選別が非常に重要になってきます。

そのため、訴訟を提起する場合、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおススメします。

 

 

まとめ

  • むちうちとは、頚椎捻挫や腰椎捻挫などを総称したもので、交通事故による衝撃により、首が鞭(むち)のようにしなることによって生じる症状のことである。
  • 交通事故において後遺障害と認定された場合、原則として、①後遺障害慰謝料、②逸失利益を請求することができる。
  • 交通事故の後遺障害の申請には、「事前認定」と「被害者請求」がある。
  • 後遺障害が認定されなかった場合、事前認定の場合は相手方の任意保険会社、被害者請求の場合は自賠責保険会社に対して、異議申立てを行う。
  • 異議申立てや紛争処理機構への申立てを利用しても、後遺障害が認定されなかった場合、最終手段として訴訟提起があげられる。

当事務所には交通事故や労災案件に注力する弁護士で構成される人身障害部があり、苦しむ方々を強力にサポートしています。

LINEなどによる全国対応も行っていますので、むちうちによる後遺症でお困りの方はお気軽にご相談ください。

あわせて読みたい
無料相談の流れ

 

 

後遺障害


なぜ後遺障害を弁護士に依頼すべきか

続きを読む

 
賠償金の計算方法

なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

続きを読む