整骨院の治療で交通事故の慰謝料をもらえる?相場と注意点
整骨院に通院した場合でも、交通事故によるケガの治療のための通院ですので、通院慰謝料を請求することができます。
交通事故に遭ってケガをした場合、打撲や捻挫などの比較的軽い症状だと、整骨院への通院もしたい、という方がおられます。
整骨院の方が痛みなどの症状の緩和に役立つ、開業時間も長く、立地も良いので通いやすい、といったことが背景にあるのではないかと思われます。
ただ、通院慰謝料を請求するためには、医師の指示を受ける、並行して病院にも通う、保険会社にも連絡しておく、といったポイントを押さえておく必要があります。
今回の記事では、交通事故による損害賠償の内容(慰謝料請求を含む)等についてご説明し、整骨院への通院慰謝料を請求する際の手続、注意点、ポイントなどについて解説していきます。
交通事故後に整骨院への通院をどうするか考える際の一助となれば幸いです。
目次
整骨院に通院して慰謝料を請求できる?
整骨院への通院でも、慰謝料を請求することは可能です。
ただし、いくつかの条件や注意点がありますので、気を付けなくてはなりません。
整骨院の通院で慰謝料を請求できる条件
まずは、整骨院に通院して慰謝料を請求できる条件についてみていきます。
整骨院に通院した場合に慰謝料が認められるのは、症状により有効かつ相当な場合(必要性・相当性がある場合)です。
参考:「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(日弁連交通事故相談センター東京支部編)2021年版3頁
より具体的にご説明すると、以下の条件を全て満たす場合になります。
- ① 施術の必要性がある
- ② 施術の有効性がある
- ③ 施術内容に合理性がある
- ④ 施術期間の合理性がある
- ⑤ 施術費の相当性がある
①施術の必要性がある、とは、身体状態から見て整骨院での施術が必要であることをいいます。
②施術の有効性がある、とは、施術を行うことで具体的に症状が緩和していることです。
③施術内容に合理性がある、とは、施術が受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われていることをいいます。
④施術期間の合理性がある、とは、受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術の内容及びその効果の程度等から、施術を継続する期間が相当であることをいいます。
⑤施術費の相当性がある、とは、施術費用が社会一般の水準と比較して妥当なものであることをいいます。
これらの要件は、整骨院への通院に関する医師の指示があると認められやすくなります。
また、これらの要件は、通院慰謝料に関する場面のみならず、整骨院での治療費を損害賠償の対象とする際にも満たす必要があります。
ただし、整骨院通院による通院慰謝料・治療費については、医師の指示があれば当然に全額が認められるわけではなく、場合によっては一部のみ認められることがあることにも注意しなければなりません。
交通事故の慰謝料とは?
交通事故によりケガをした、後遺症を負った、あるいは死亡してしまったということになると、被害者には大きな精神的苦痛が生じます。
そうした精神的苦痛への償いとして支払われるのが、交通事故の慰謝料になります。
慰謝料には3つの種類がある
交通事故の慰謝料には、次の3つの種類があります。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
それぞれについて解説します。
なお、交通事故の慰謝料に関する説明は、以下のページにも掲載しています。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、交通事故によるケガで入院・通院した場合に支払われる慰謝料です。
整骨院に通院した場合に支払われる慰謝料は、この入通院慰謝料に当たります。
入通院慰謝料は、実際に入院・通院した期間によって決まってきます。
通院が必要であると診断されていても、実際の通院がなければ、入通院慰謝料には反映されません。
逆に、実際に通院していた場合でも、頻度が多すぎるなど必要以上に通院していた場合には、入通院慰謝料額に反映されない可能性があります。
後遺障害慰謝料
交通事故によってケガをした場合に、治療しても改善しない症状(後遺症)が残ってしまう場合があります。
こうした場合には、後遺障害慰謝料を請求できます。
後遺障害慰謝料については、以下のページで詳しく解説しています。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて決められます。
後遺障害等級とは、交通事故により後遺症が残った場合に、その後遺症の態様、程度について認定・評価して等級を定めるものです。
後遺症が残った場合に重要となる後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益は、いずれも後遺障害等級を基準として決めらます。
そのため、後遺症が残ってしまったケースでは、後遺障害等級の何級に認定されるかが、大変重要になってきます。
弁護士による後遺障害等級認定のサポートについては、次の記事をご覧ください。
整骨院をメインにして治療しつつ、後遺障害認定を受けた事例について、以下のページでご紹介しています。
整骨院に通っている場合の注意点
上記の後遺障害等級の認定の際には、医師による後遺障害診断書が必要になってきます。
しかし、この診断書は、整骨院では作成してもらうことができません。
必ず、医師による診断が必要となります。
ここで、整骨院に通っているからといって病院通いをしなくなっていると、困ったことになります。
いざ病院で後遺障害診断書を作成してもらわなければならなくなった際に、それまでの症状の経過が分からない、病院での検査結果もない、治療も行っていない、となると、医師の方で適切な診断書を作成することができなくなってしまうのです。
これでは、適切な後遺障害認定を受けることもできません。
整骨院に通っている場合でも、病院には必ず定期的に(月一回程度)通院するようにしましょう。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、交通事故の被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。
死亡慰謝料の額は、被害者が一家の収入を支えていたかどうかなどによって変わってきます。
弁護士が損害賠償の算定基準として用いる赤い本での死亡慰謝料額の基準は次のようになっています。
- 被害者が一家の収入における支柱となっており、被害者の収入によって家計を支え、他の家族を扶養していた場合
⇒ 死亡慰謝料2800万円 - 被害者が一家の支柱とはなっていない場合(母親や配偶者など)
⇒ 死亡慰謝料2500万円 - その他
⇒ 死亡慰謝料2000万円 ~ 2500万円
整骨院への通院慰謝料は病院の半額!?
通院先が病院であっても整骨院であっても、通院慰謝料額には変わりはありません。
整骨院への通院であるからといって、病院の半額しか通院慰謝料がもらえない、ということはないので、ご安心ください。
ただ、症状や所見により、原則と異なる通院慰謝料額の算定基準が適用される場合には、入通院慰謝料が低めに算定されることはあります。
この点につき、少し詳しくご説明します。
通院慰謝料を算定する際、弁護士が慰謝料等の算定に用いる弁護士基準では、赤い本にある入通院慰謝料の別表Ⅰ又は別表Ⅱを使用します。
別表Ⅰは、入通院慰謝料を算定する際に原則的に使われるものです。
これに対し、別表Ⅱは、むち打ち症(頸椎捻挫、頸部症候群、腰椎ねん挫など)で他覚所見がない場合や、軽い打撲・挫創(ケガ)の場合に用いられます。
別表Ⅱで算定される入通院慰謝料は、原則的なものである別表Ⅰで算定される入通院慰謝料の3分の2程度と低額になります。
整骨院に通院しているケースでは、本人が痛みを訴えるだけで他覚所見がないケースや軽い打撲・ケガのみの場合が比較的多いと考えられますので、別表Ⅱの基準が適用されるケースが多いでしょう。
整骨院への通院したときの慰謝料の相場
整骨院に通院した場合には、(入)通院慰謝料の対象となります。
通院慰謝料の額は、上でもご説明した通り、通院期間によって決まります。
まず、自賠責保険からの賠償額の基準となる自賠責基準についてご説明します。
自賠責基準において、入通院慰謝料は日額4300円とされています。
対象となる日数は、「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」とされています。
自賠責の実務上の扱いとしては、「入通院実日数×2」と「治療期間の日数」のいずれか少ない方とされています。
次に、弁護士が賠償額算定の際に用いる弁護士基準についてご説明します。
弁護士基準は、赤い本に記載されているものになります。
通院のみの場合の通院慰謝料額は、弁護士基準では以下のようになります。
期間 | 別表Ⅰ(原則) | 別表Ⅱ(むち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創(ケガ)の場合) |
---|---|---|
1ヶ月 | 28万円 | 19万円 |
2ヶ月 | 52万円 | 36万円 |
3ヶ月 | 73万円 | 53万円 |
4ヶ月 | 90万円 | 67万円 |
5ヶ月 | 105万円 | 79万円 |
6ヶ月 | 116万円 | 89万円 |
7ヶ月 | 124万円 | 97万円 |
8ヶ月 | 132万円 | 103万円 |
9ヶ月 | 139万円 | 109万円 |
10ヶ月 | 145万円 | 113万円 |
11ヶ月 | 150万円 | 117万円 |
12ヶ月 | 154万円 | 119万円 |
13ヶ月 | 158万円 | 120万円 |
14ヶ月 | 162万円 | 121万円 |
15ヶ月 | 164万円 | 122万円 |
16ヶ月〜 | 以後1ヶ月ごとに2万円ずつ増額 | 以後1ヶ月ごとに1万円ずつ増額 |
整骨院に通院しているケースでは、別表Ⅱの対象となる、むち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創(ケガ)の場合が比較的多いと思われます。
その場合、上の表をご覧いただけばわかる通り、別表Ⅰが適用される場合よりも慰謝料額が低くなってきます。
次のページでは、むち打ちで別表Ⅱにより慰謝料額を算定した事例について紹介しています。
スマホで簡単!慰謝料の自動計算ツール
交通事故で問題となる賠償金は、通院慰謝料に限られません。
後遺障害慰謝料、休業損害、後遺障害による逸失利益など様々な項目について考えて計算する必要があります。
しかも、それぞれの項目において、それぞれに注意すべき点、考えておかなければならない点などがあり、専門家でない方が交通事故による損害賠償額について正確に見積もることは、大変困難になります。
そのため、交通事故に遭われた場合、特にケガをしてしまった場合には、なるべく早く、交通事故による損害賠償の案件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めいたします。
しかし、できれば弁護士に相談する前に、賠償金として請求できる金額の概算だけでも知りたい、という方もおられるかと思います
そこで、当事務所では、無料で、スマホでもご利用いただける交通事故賠償金計算シミュレーターをご用意いたしました。
この交通事故賠償金計算シミュレーターでは、けがの状態、年齢、収入、入通院期間、休業日数、後遺障害の等級、過失割合などをフォームに従って入力することで、ケガをしたことによる賠償金の概算をその場でご覧いただくことができるようになっています(物損に関する損害賠償額は含まれておりません。)。
このシミュレーターでご覧いただける賠償金額は、
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
を含む金額となっており、項目ごとの内訳もご覧いただけます。
このシミュレーターは、氏名、メールアドレスなどの個人情報を入力する必要なくご利用いただけますし、後日当事務所からご連絡させていただくことなどもございません。
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整骨院への通院慰謝料の計算方法
慰謝料の計算は3つの基準がある
交通事故の慰謝料の計算方法には、次の3つの基準があります。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
それぞれについてご説明します。
自賠責基準について
自賠責基準とは、自動車損害賠償責任保険(自賠責)からの賠償金の支払いの際に用いられる基準です。
自賠責保険は、いわゆる「強制保険」で、自動車やバイクを運転する場合には加入しなければならない保険となっています。
自動車社会となり、交通事故による人身事故も増えたため、交通事故の被害者が全く補償を受けられない事態を無くすために、自賠責保険が設けられています。
ただ、強制的に加入させる保険であるために、保険料をあまり高くするわけにはいきません。
そのため、自賠責保険による賠償金は低めに抑えられることになっており、自賠責基準による算定額は、他の2つの基準によるものより低くなる傾向にあります。
入通院慰謝料について、自賠責基準は、
日額4300円 × 対象となる日数(「入通院実日数 × 2」と「治療期間」の少ない方)
と定めていますが、これも、弁護士基準と比べると低額になる傾向にあります。
任意保険基準について
任意保険基準は、自動車損害賠償責任保険を提供している保険会社が、各社の内部で定めている基準のことです。
自動車損害賠償責任保険は、運転者が、交通事故による損害賠償の支払いに備えて、各自で任意に加入する保険です。
自賠責(強制保険)と区別して、任意保険とも呼ばれます。
任意保険基準は、各社の内部基準であるため、その内容は外部からははっきりとはわかりません。
ただ、一般に、任意保険基準により算定した損害賠償額は、自賠責基準によるものよりも高額だけれども、次にご説明する弁護士基準によるものよりは低額となることが多いです。
任意保険基準は、保険会社を通じた示談交渉で用いられます。
示談交渉では、加害者側の任意保険会社が賠償額の提案をしてくることが多いのですが、その際、各社の任意保険基準に基づいて算定が行われています。
ただ、ときには、任意保険会社からの提案であっても、自賠責基準により算定されていることもありますので、ご注意ください。
また、既にご説明したとおり、任意保険基準による提案は、弁護士基準により算定された賠償金額よりは低額になっていることがほとんどであり、適正な水準の金額となっていない可能性が十分あります。
弁護士基準について
弁護士基準は、弁護士が通院慰謝料などの賠償金を算定する際に用いる基準です。
弁護士基準は、裁判所が判決をする際に用いる基準と同一のものとなっており、裁判基準とも呼ばれます。
弁護士基準は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(日弁連交通事故相談センター東京支部編)(通称「赤い本」)に記載されています。
弁護士基準での入通院慰謝料額は、以下の表のとおりです。
表①骨折などの場合の早見表
表②むちうちなど軽傷時の早見表
弁護士基準と自賠責基準との違い、弁護士基準による慰謝料の算定については、以下のページもご覧ください。
慰謝料は弁護士基準が最も高額で適正であること
慰謝料額は、弁護士基準により算定したものが最も高額なものとなっています。
加えて、弁護士基準と裁判基準は一致していますので、弁護士基準による算定額が、法に則って適正に算定した慰謝料額となっているともいえます。
このように弁護士基準により算定した賠償額が、3つの基準の中で最も高額かつ適正なものであり、被害者にとって有利なものとなります。
ただ、弁護士基準で賠償額を算定することは、専門家でなければ難しいです。
弁護士基準を示す赤い本では、原則的な取扱いは表などで示されており、一見定型的に簡単に算定できるように見えます。
しかし、実際には、それぞれのケースの特殊性を勘案する必要もあり、また、細かい注意事項などもあるので、一般の方が容易に算定できるものではありません。
実際、専門家である弁護士も、それぞれのケースについて損害賠償額を検討する際には、赤い本のみならず各種裁判例などを含めた資料に当たり、入念に検討して算定を行っているのです。
弁護士基準を用いた算定額で、適正かつ高額な慰謝料等を請求したい場合には、専門家である弁護士に依頼した方が有利です。
交通事故に遭ってしまった場合には、早めに交通事故に強い弁護士を探して相談するようにしましょう。
なお、加害者側に弁護士がついて示談の提案をしてくる場合があります。
この場合に、安易に、「弁護士が算定した金額なのだから、弁護士基準で高額・妥当なものになっているのだろう」と考えてしまうのはお勧めできません。
損害額の算定は、加害者側から見るか被害者側から見るかによって大きく異なる結果となることが珍しくありません。
裁判においても、双方の弁護士が主張を戦わせて損害額について争っていることが少なくなく、「弁護士基準」を用いれば自動的・客観に損害額が算定されるようなものではないのです。
そのため、加害者側の弁護士からの提案額は、必ずしも被害者にとって適正かつ高額なものとなっているとは限りません。
適正な損害賠償を請求したいのであれば、自ら弁護士を立てて交渉することが大変重要になってきます。
整形外科と整骨院を併用したときの慰謝料の計算
整骨院に通う場合でも、整形外科(病院)にも並行して通う必要があります。
さもないと、慰謝料額が減額される、治療費が打ち切られる、後遺障害が認められない、といった様々な不利益が起こってくるおそれがあるためです。
では、整形外科と整骨院の両方に通院した場合、慰謝料の計算はどのようになるのでしょうか?
結論からいうと、慰謝料額の計算は、整形外科のみに通っていた場合と、整骨院と整形外科の両方に通院した場合とで違いがあるわけではありません。
具体的な例を挙げてご説明しましょう。
自賠責基準の場合
この場合、自賠責基準では、入通院慰謝料は以下の計算式で計算されます。
「対象となる日数」は、上でもご説明した通り、「入通院実日数×2」と「治療期間」のいずれか少ない方とされています。
上の例の場合では、入通院日日数(36日)×2=72日の方が、治療期間(122日)より短くなりますので、「対象となる日数」は72日となります。
そのため、自賠責基準で計算した通院慰謝料は、
4300円 × 72日 = 30万9600円
となります。
任意保険基準の場合
任意保険基準は、保険会社ごとに内容が異なりますので、具体的な金額についてご説明することはできません。
ただ、一般的には、自賠責基準よりも多少高額になる程度のことが多いです。
弁護士基準の場合
弁護士基準の場合、上の例では、「通院期間4か月」として通院慰謝料を算定します。
すると、通院慰謝料は、
別表Ⅰで算定する場合は、90万円
別表Ⅱで算定する場合(むち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創(ケガ)の場合)は、67万円
となります。
弁護士基準により入通院慰謝料を算定すると、自賠責基準によるよりも高額になることが分かります。
通院頻度が少ないと・・・
弁護士基準では、通院していた期間自体は長くても実際に通院をしていた日数が少ない場合は、通院慰謝料が減額される可能性があります。
赤い本では、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、別表Ⅰの場合には実通院日数の3.5倍程度、別表Ⅱの場合には3倍程度を、慰謝料算定のための通院期間の目安とする場合がある、とされています。
例えば、6か月間の間に15日しか通院していなかった場合に、上のような取り扱いをされると、実際の通院期間で通院慰謝料を算定するのではなく、
別表Ⅰの場合は、15日 × 3.5 = 52.5日
別表Ⅱの場合は、15日 × 3 = 45日
が、慰謝料算定の基礎となる通院期間とされます。
特に、通院が不定期で、不規則な場合に、上記のように扱われることがあります。
通院頻度が少ない場合の通院慰謝料の算定例については、以下のページでもご紹介しております。
交通事故では通院慰謝料以外も請求する
交通事故の損害賠償項目一覧
交通事故で損害賠償の対象となるのは、入通院慰謝料だけではありません。
交通事故で損害賠償の対象となる項目には、以下のものなどがあります。
- 後遺障害慰謝料
- 休業損害
- 逸失利益
- 治療費などの積極損害
それぞれの項目について解説します。
後遺障害慰謝料
治療を続けても改善が見込めない後遺症が残ってしまった場合、後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級を基に決められていきます。
各等級に応じた慰謝料額は、以下のとおりです。
後遺障害等級 | 弁護士基準 | 自賠責保険の基準 |
---|---|---|
1級 | 2800万円 | 1150万円〜1350万円 |
2級 | 2370万円 | 998万円〜1168万円 |
3級 | 1990万円 | 861万円〜1005万円 |
4級 | 1670万円 | 737万円 |
5級 | 1400万円 | 618万円 |
6級 | 1180万円 | 512万円 |
7級 | 1000万円 | 419万円 |
8級 | 830万円 | 331万円 |
9級 | 690万円 | 249万円 |
10級 | 550万円 | 190万円 |
11級 | 420万円 | 136万円 |
12級 | 290万円 | 94万円 |
13級 | 180万円 | 57万円 |
14級 | 110万円 | 32万円 |
後遺障害慰謝料に関する詳しい解説は、以下のページにて掲載しています。
休業損害
交通事故によるケガやその治療のために仕事を休まなければならなくなったり、十分に働くことができなくなったりした場合に、それにより生じた減収を休業損害といいます。
休業損害は、現実に休業している、あるいは、現に収入が減少している場合に認められます。
なお、有休を使用した場合であっても、休業したものとして損害賠償を受けることができます。
休業損害の算定方法については、以下のページで詳しく解説しています。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害が残った場合や死亡した場合に、これによって得ることができなくなった収入のことをいいます。
逸失利益と休業損害は、いずれも収入が減少したという損害になりますが、損害の発生する時期が異なります。
休業損害は、症状固定時又は死亡時までに発生した減収を対象とします。
一方、逸失利益は、症状固定後又は死亡後に発生する減収を対象とします。
治療費などの積極損害
交通事故でケガをしたことにより必要となった出費は、積極損害として損害賠償の対象となります。
積極損害の項目は、主に以下のようなものになります。
- ① 治療関係費
- ② 付添費用
- ③ 将来介護費用
- ④ 雑費
- ⑤ 通院交通費・宿泊費等
- ⑥ 学生・生徒の学習費用
- ⑦ リフォーム代・自動車改造費
- ⑧ 弁護士費用
- ⑨ 遅延損害金
それぞれについて簡単に解説します。
①治療関係費
治療関係費とは、治療費、薬品代、器具代、整骨院の施術費などのことになります。
治療関係費が損害賠償の対象となるには、事故によるケガなどと出費の間に因果関係があると認められる必要があります。
整骨院での施術費は、ケガとの因果関係がよく問題になります。
整骨院での施術費も賠償の対象とさせるためのポイントは、並行して医師の診察も定期的に受けておくことです。
そうして医師から、「整骨院での施術を受ける必要性、相当性が認められる」との指示をもらうなどできれば、整骨院での施術とケガの因果関係を裏付ける重要な要素となります。
なお、医師の指示があったからといって、必ずしも整骨院の施術費が損害賠償の対象となるとは限りませんので注意してください。
ところで、交通事故の場合、治療中に、加害者側の保険会社から整骨院などに直接施術費が支払われることもあります(一括対応)。
しかし、一括対応はあくまで仮払いなので、後になって、「整骨院の施術費は賠償の対象ではないから、残りの賠償金から既に払った施術費の額を差し引く」と言われることがあります。
加害者側の保険会社が支払っているからといって、「整骨院の施術費も賠償してもらえる」と安易に考えず、きちんと医師の診察を受け、診断書、診療報酬明細書もきちんと保管しておくことが重要です。
交通事故によるケガの治療のために整骨院に通う場合の注意点などについては、以下のページをご参照ください。
②付添費用
被害者が看護や介護を要する状態になった場合には、そのために付き添う人のための費用(付添費用)が損害賠償の対象となります。
付添費用が損害賠償の対象となり得る代表的なケースは、以下のようなものです。
- 入院中で、医師の指示がある場合
- 入院中で、けがの程度が大きく身体の自由がきかない場合
- 被害者が子どもで入院中の場合
- 自宅療養中で、日常生活に介護・看護が必要な場合
- 通院時に、足を怪我して歩行が困難、被害者が子どもであるなどの事情があり、付き添いが必要な場合
③将来介護費用
重い後遺障害が残ったことにより、将来にわたって介護が必要となった場合、将来の介護費用も損害賠償の対象となります。
将来介護費用の賠償は、通常は、「後遺障害の別表第1の1級又は2級」の場合に認められます。
「後遺障害等級の別表第1の1級、2級」に当てはまらない場合であっても、具体的な状況によっては、将来の介護費用が認められる可能性もありますので、まずは弁護士にご相談ください。
参考として、当事務所の解決事例で、将来の介護費用を獲得できたケースを、次のページでご紹介しております。
④雑費
治療などのために発生した入院雑費(寝具、衣類、洗面具、電話代、テレビの賃借料など)、将来の雑費(重い後遺障害により、おむつなどの衛生用品が継続的に必要となった場合)は、雑費として損害賠償の対象となります。
ただし、入院雑費は、実費ではなく、1日1500円(弁護士基準の場合。自賠責基準では1日1100円)の定額で計算するのが通常です。
将来の雑費については、ケースバイケースで考えることになります。
⑤通院交通費・宿泊費等
通院に必要な交通費も、損害賠償の対象となります。
公共交通機関を利用した場合であれば、実費が損害として認められます。
ただ、タクシーを利用した場合には問題があります。
タクシー代は、ケガによる症状や交通機関の便からみて公共交通機関の利用が難しい、というような状況でなければ、実費を賠償させることができません。
タクシー代の実費が損害と認められない場合、公共交通機関を利用した場合の交通費を限度として損害賠償額が算定されます。
治療や看護のために宿泊が必要となる場合には、宿泊費も損害賠償の対象となります。
タクシー代が通院費用として認められるかどうかについては、以下のページで詳しく解説しています。
⑥学生・生徒の学習費用
事故によるケガのために、進級や卒業が遅れてしまった場合、通常以上にかかってしまった学費等については損害賠償の対象となる場合があります。
事故のせいで入学できなくなった場合も、既に支払った入学金や制服代についても損害賠償の対象とできる可能性があります。
⑦リフォーム代・自動車改造費
後遺症が残ってしまい、自宅や自家用車をバリアフリー化しなければ生活が難しいため、リフォームする必要が生じる場合があります。
この場合には、リフォーム費用は、必要性が認められる範囲内で損害賠償の対象に含まれます。
必要性を立証するためには、後遺症の具体的な症状、生活における支障、リフォームが生活上の支障を解消するために必要であることなどを示す証拠が必要となります。
⑧弁護士費用
損害賠償請求のために弁護士に依頼をした場合、弁護士に支払う費用(弁護士費用)を賠償させることができる場合があります。
訴訟を起こした場合であれば、判決の中で、弁護士費用も賠償額に含められることが多いです。
その場合、一般的に、判決で認められた損害額(弁護士費用を除く。)の1割程度が弁護士費用として認められます。
⑨遅延損害金
損害賠償金には、交通事故の発生日以降の遅延損害金が発生します。
遅延損害金は、法定利率によって発生します。
法定利率、遅延損害金については、以下のページで解説しています。
ここまで、積極損害について簡単に解説しました。
積極損害について詳しい解説をご覧になりたい方は、以下のページをご覧ください。
整骨院への通院慰謝料等を受け取るための手続
整骨院への通院慰謝料等の請求の流れ
入通院治療・一括対応
事故によりケガをすると、入通院治療が始まります。
整骨院への通院も、この入通院治療に当たります。
入通院治療中に、加害者側の保険会社から病院や整骨院に対して直接治療費等の支払いをする場合があります(一括対応)。
一括対応が行われている場合、被害者は窓口で診療代の支払いをする必要はありません。
ただし、既にご説明したとおり、一括対応が行われているからといって、最終的に治療費全額を加害者側に負担させることができるかは分かりません。
一括対応は、「支払った分は加害者側の負担するべき費用と認めます」という意思表明ではないので、注意してください。
症状固定・後遺障害等級認定の申請
治療をしても痛み、可動域の制限などの症状が残ってしまい、これ以上良くなる見込みがないという場合、症状固定したものと扱われます。
症状固定後は、原則として治療・通院は打ち切り、後遺障害等級認定の申請をします。
示談交渉
治療が終わった時点(後遺症が残った場合には、後遺障害等級認が定まった時点)で、示談交渉を開始します。
示談交渉では、加害者側の保険会社から示談に関する提案を受けることが多いです。
この提案は、任意保険基準によっており、必ずしも被害者にとって適切・妥当なものとなっているものではないことは、既にご説明したとおりです。
被害者として十分な賠償を受けるためには、自らも弁護士を立てて交渉することが大変重要になります。
交通事故の示談交渉時の注意点については、以下のページで解説しています。
示談成立・訴訟提起
損害賠償の金額、支払条件について合意ができたら、示談を成立させることになります。
示談成立後賠償金が支払われるまでの期間は2週間程度となることが多いです。
示談ができなかった場合には、訴訟提起などにより対応します。
整骨院への通院慰謝料等の請求に必要な書類
整骨院への通院慰謝料等の請求に必要な書類は、主に以下のようになります。
以下の書類を必要に応じて収集し、加害者側に請求することになります。
交通事故自体に関するもの | 交通事故証明書 | 自動車安全運転センターが発行。 事故車両の運転者、被害者、人身事故・物件事故の別なども記載される。 |
人身事故証明書入手不能理由書 | 事故発生直後はケガはないと思っており、警察には物損事故として届け出たが、後日ケガがあることが分かった、という場合に、交通事故証明書の記載を人身事故に訂正することができない場合がある。 そのような場合に、人身事故証明書入手不能理由書を提出する。 |
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実況見分調書 | 人身事故についてのみ警察が作成。 事故現場、事故車両の状況などについての説明や、写真が掲載される。 |
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事故発生状況報告書 | 被害者請求をする場合、被害者において作成して提出する。 保険会社から書類をもらい、それに事故当時の状況、現場の見取り図などの必要事項を書き込む。 |
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ケガに関する必要書類 | 診断書 | 担当医に、入通院期間、症状の経過などについて記載して作成してもらう。 |
診療報酬明細書 | 治療内容、治療費の記載がある。 | |
調剤報酬明細書 | 病院で薬の処方を受け、薬局で薬を出してもらった場合に発行される。 | |
損害に関する書類 | 通院交通費明細書 | 通院に要した公共交通機関の利用料金、自家用車のガソリン代、タクシー代などに関する明細書。 |
タクシー代・駐車場代の領収証 | タクシー代や駐車場代の領収証は保管しておく。 | |
休業損害証明書 | 被害者が会社員の場合、保険会社が指定した書類を会社に提出し、記入してもらう。 | |
確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書の写し | 被害者が自営業者の場合、前年度の確定申告書等の写しによって収入額を証明する。 | |
後遺障害に関する書類 | 後遺障害診断書 | 担当医に作成してもらう。 適切な書き方になるよう、弁護士のアドバイスを受けながら依頼することが大切。 |
物損資料 | 事故車両の壊れ方などを示す写真、資料。 | |
レントゲン、MRIなどの画像 | 検査画像があれば、病院から開示を受け、提出する。 | |
カルテ | 病院から開示を受け、提出する。 | |
被害者の陳述書 | 被害者から、事故のこと、治療経過、現在の症状などを聞き取って陳述書にする。(被害者が自ら作成することもある) | |
支払請求書 | 保険会社から送られてきた書類に必要事項を記載して提出する。 | |
印鑑証明書 | 被害者の印鑑証明書。 |
被害者請求をする場合の必要書類については、以下のページで詳しく解説しています。
交通事故による損害賠償の請求時に用意する明細については、以下のページもご参照ください。
整骨院への通院慰謝料等の証拠
整骨院への通院慰謝料等を請求する際に、上に挙げた以外の証拠が必要となることは、原則としてありません。
ただし、加害者側が通院の必要性について争っている場合には、症状に関する被害者の陳述書を補充したり、整骨院への通院の必要性に関する医師の診断書・意見書等を追加する場合もあります。
整骨院への通院慰謝料等請求にかかる費用
実費
入通院慰謝料等を請求するために必要な実費には、裁判を起こす場合については、
- 裁判所への申立手数料
- 郵便費用
などがあります。
申立手数料は請求額によって異なります。
交通事故の場合、被害者が1人であれば、申立手数料は数万円~30万円程度になることが多いです。
郵便費用は原告と被告の人数・訴訟代理人の有無などによって異なり、数千円から数万円程度となります。
示談交渉や被害者請求をする場合であっても、郵便料金、通信費などが実費として必要となる場合があります。
弁護士費用
弁護士に支払う費用には、主に、
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
があります。
相談料は、弁護士に法律相談をする場合に必要となります。
30分につき5000円程度の相談料とされていることが多いです。
ただ、最近では初回無料で相談できる法律事務所も多くあります。
自治体や法テラスが提供している無料法律相談もあります。
そうした無料相談を利用すれば、相談料の負担を抑えることができます。
着手金は、弁護士に交渉や訴訟提起を依頼する場合に必要となります。
着手金は10万円程度~となっていることが多く、請求額によっても変わってきます。
報酬金は、弁護士に依頼したことで得られた金額(回収額)の1割程度~となります。
これらに加え、弁護士が遠方まで出張した場合の出張費、交通費などの実費が発生してくる場合もあります。
以上のような費用については、交通事故の場合、任意保険に付帯している弁護士費用特約を利用できる方が多くおられます。
弁護士費用特約があれば、自己負担なしに弁護士に依頼をすることができます(限度額がある場合には、その範囲内)。
一度ご自身の保険証券を確認したり、保険会社に問い合わせたりしてみましょう。
以下のページでは、当事務所の弁護士費用に関し、弁護士費用特約の有無に分けてご紹介しております。
ぜひ一度ご覧ください。
整骨院への通院慰謝料等の請求で注意すべきこと
医師の定期的な診察を受ける
整骨院へ通院している間も、整形外科などで医師の定期的な診察は受けるようにしましょう。
医師による診断、検査を受け、治療経過を証拠として残しておくことが、その後の後遺障害認定、症状固定の判断などの際に役に立ちます。
逆に、医師の診察を受けていないと、後遺障害認定、症状固定の判断などの際に不利になることがあります。
医師の指示に従い、最低でも月1回程度は、医師の診察も受けるようにしましょう。
症状固定に注意する
ケガの治療を継続していても症状が残ってしまう場合、これ以上治療しても症状の改善が見込めない状態(症状固定)となってしまうことがあります。
症状固定となると、それ以後の通院は症状の改善に役立たず、意味がない、ということになってしまいますので、症状固定後の治療費、通院慰謝料は損害賠償の対象から外されてしまいます。
症状固定の時期は微妙な判断を要するものであるため、加害者側と被害者の間で争いになることも少なくありません。
場合によっては、治療している最中に、加害者側の保険会社から、「もう症状固定となりました」と主張されて治療費の支払いを打ち切られてしまうこともあります。
治療費の支払いを打ち切られてしまった場合には、自費で治療を続け、後日加害者側に請求するか、治療を打ち切るか、決めなければなりません。
自費で治療を続けた場合、最終的に治療費を加害者側に負担させられるかどうかは不確実なものとなりますので、結局全額自身で負担することになることも覚悟しなければなりません。
主治医が「治療を続けましょう」と言っていても、法律的には、必ずしも治療継続が認められるとは限らないので、この点も注意が必要です。
治療を継続するか否かを判断する際には、一度弁護士にも相談してみましょう。
一括対応が採られていても、油断しない
通院中、加害者側の保険会社から病院や整骨院に治療費が支払われる一括対応が採られていると、「この治療費は相手方に負担させることができるものだ」と思い、医師の診察を受けずに整骨院の通院を重ねてしまう、通院頻度を多くしてしまう、といった方がおられます。
しかし、一括対応での支払いはあくまでも仮払いであり、後に、加害者側の保険会社から、「整骨院の通院費は全額は支払えないので、最終的な賠償額から差し引かせてもらう」と言われてしまうことがあります。
治療費の窓口負担がない場合でも、後に負担を迫られるかもしれないことを考え、病院も受診すること、適切な頻度で通院することなどを心がけましょう。
整骨院への通院慰謝料等の4つのポイント
①医師の診察も受ける
既にご説明しているとおり、整骨院に通う場合も、並行して医師の診察を受ける必要があります。
特に、最初は必ず医師(整形外科)の診察を受けましょう。
そうして、医師の指示を受けてから、整形外科に通うようにしましょう。
整骨院への通院中も、医師の指示に従い、少なくとも1か月に1回は病院を受診しましょう。
②医師の指示以上の通院はしない
整骨院に通院している方の中には、医師の指示以上の回数通院してしまう方もおられます。
しかし、そのようなことをすると、余分に通院した分については、施術費を自己負担とされてしまう可能性があります。
通院慰謝料の請求のためには、週に2~3回程度通院していれば十分なので、それ以上の通院は、医師とよく相談してから行いましょう。
③保険会社にも連絡する
整骨院に通う場合は、予め、保険会社にも、整骨院に通うことと通院先の整骨院の情報を伝えておきましょう。
そうすれば、整骨院の施術費を含めて一括対応をしてもらえる可能性が高まります。
④交通事故に強い弁護士に相談する
これまで解説したような注意点・ポイントを踏まえた対応をするには、専門的な知識が必要となってきます。
そのため、損害賠償請求を有利に進めたいのであれば、事故後なるべく早いうちに、交通事故に強い弁護士に相談することが、大変重要になってきます。
交通事故に強い弁護士であれば、治療中から、どの程度の通院にするべきか、病院への通院はどうするか、どのようなことを医師に伝えておくべきか、といったことについても助言してくれるでしょう。
弁護士に依頼すれば、加害者側との交渉も委ねることができるので、安心して治療に専念できるようにもなります。
交通事故に強い弁護士に相談するメリット、交通事故に強い弁護士を探す方法などについては、以下のページで詳しく紹介しております。
ぜひ一度ご覧ください。
整骨院への通院慰謝料等についてのQ&A
交通事故で整骨院だけに通うのはNGですか?
交通事故でケガをした場合に整骨院にだけ通うことはお勧めできません。
整骨院の柔道整復師では、ケガの状態の診断・検査ができないため、後々損害賠償を請求しようとしたときに、ケガや症状についての主張を根拠づける資料を用意することができないのです。
整骨院に通っている場合でも、月に1回程度は、整形外科などで医師の診察を受け、診断や検査をしてもらいましょう。
交通事故で整骨院に通院した場合、慰謝料は半額になりますか?
ただし、整骨院へ通院しているケースでは、ケガの状態が軽い(むち打ち症で他覚所見がない、軽い打撲・挫創)場合が多くなります。
そのような状態の場合には、弁護士基準では、赤い本の別表Ⅱにより通院慰謝料額の算定が行われることとなります。
この別表Ⅱによる算定額は、原則的に用いられる別表Ⅰによる算定額の約3分の2となっています。
そのため、整骨院に通うケースの多くでは、原則よりも通院慰謝料額が低くなってしまうのです。
事故で3ヶ月整骨院に通院したらいくら慰謝料がもらえる?
ただし、病院の受診をしていない、通院回数が少なすぎる、といった場合には、3ヶ月分すべては認められない可能性があります。
交通事故後、整骨院はいつから通院できますか?
しかし、整形外科の医師が、整骨院に通院するよう指示してくれることは稀です。
したがって、少なくとも、整骨院に通院を開始する前に、病院を受診しておくようにしましょう。
病院で医師に診断された負傷部位について、整骨院で施術してもらうことが大切です。
また、事前に保険会社に整骨院の施術を受けることについて了承を得た後で通院を開始することも大切です。
事前に了承を得ておくことで不要なトラブルを避けることができます。
まとめ
今回は、交通事故による損害賠償・慰謝料に関する説明をし、特に、整骨院への通院慰謝料を請求する際の手続、注意点、ポイントなどについて解説しました。
整骨院への通院は、損害賠償の対象と認められるかどうか、加害者側と争いになることが比較的多くなっています。
でも、被害者としては、症状の緩和に役立つ整骨院への通院も、きちんと損害賠償の対象に含めてほしいところです。
整骨院への通院を損害賠償の対象とさせるためには、医師の診察も受け、整骨院への通院についての指示ももらっておく、保険会社にも連絡しておく、といったポイントを押さえておく必要があります。
こうした点を含め、治療を続けている時点から、専門知識を持つ弁護士に相談できるようにしておくと大変心強いです。
交通事故に遭われた場合には、なるべく早く、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所においても、交通事故事件を日常的に取り扱う人身障害部を設け、被害者の方をサポートする体制を整えております。
事故直後からはもちろん、通院中に治療の打ち切りを通告された方へのサポート、後遺障害申請に関するサポートなども行っております。
交通事故に遭われた方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。