主婦の交通事故の慰謝料はいくら?計算機ですぐにわかる

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

主婦が交通事故に遭った場合の慰謝料の相場は、以下のとおりです。

死亡した場合の死亡慰謝料 2500万円
後遺症を負った場合の後遺障害慰謝料 後遺障害等級によって110万円~2800万円
ケガをして入通院した場合の入通院慰謝料 実際に入通院した期間による

このうち、死亡慰謝料の額には主婦であることが影響しますが、後遺障害慰謝料、入通院慰謝料については、主婦であるかどうかは影響しません。

主婦の方が交通事故の被害に遭った場合、「主婦で収入はない(又は低い)けれども、慰謝料などに影響はある?」と心配される方もおられるかと思います。

実は、慰謝料に関しては、死亡慰謝料を除き、主婦であるなど職業による影響はありません。

ただ、休業損害と逸失利益については、それぞれの方の職業、収入の状況に応じた算定方法が取られますので、主婦であることが影響してきます。

今回は、主婦が交通事故に遭った場合の慰謝料の相場、交通事故に遭った場合の慰謝料の種類と得られる賠償金の内容、賠償金を得るための手続き、慰謝料を得るためのポイントなどについて、わかりやすく解説していきます。

主婦の方が当事者となった交通事故で、当事務所において解決のサポートに当たった事例についても紹介してまいりますので、どうぞご参考になさってください。

主婦の交通事故の慰謝料の相場

主婦の方が交通事故の被害に遭った場合、その被害内容によって、以下の慰謝料が支払われるのが相場となっています(なお、以下の金額は全て弁護士基準によるものです。)。

死亡した場合の死亡慰謝料 2500万円
後遺障害が残った場合 後遺障害慰謝料110万円~2800万円(後遺障害等級によって定まる)
入通院治療を行った場合 実際の入通院期間に応じた入通院慰謝料

死亡慰謝料については、被害者が一家の収入を支えている(一家の支柱)か否かといった家族内の立場によって金額が変わってくることになっていますので、主婦であることが慰謝料額に影響してきます。

後遺障害慰謝料は、後遺障害の程度を示す後遺障害等級によって決まってきますので、主婦であることによる影響はありません。

入通院慰謝料についても、実際に入通院した日数によって算定されますので、主婦であることが慰謝料額に影響することはありません(入通院慰謝料の計算方法の詳細は、「主婦の交通事故慰謝料の計算方法」で解説いたします。)。

 

 

スマホで簡単!計算機で慰謝料を算定

交通事故の慰謝料を算定する際には、

  • 死亡した場合には家族内での収入への貢献度
  • 後遺症が残った場合には後遺障害等級
  • 入通院した場合にはその期間とケガの程度

など様々な要素を考慮しなければなりません。

そのため、一般の方が的確に慰謝料額を見積もろうとすると、労力がかかりますし、間違いも起こりやすくなります。

交通事故で慰謝料をはじめとした賠償金がどの程度もらえるのかについて知りたい場合は、早めに交通事故に強い弁護士に相談することが重要になってきます。

ただ、どの弁護士に相談してよいのかわからない、弁護士に相談する前に一応の目安だけでも知りたい、という方も多くおられるかと思います。

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当シミュレーターでは、けがの程度によって入力フォームを選択し、年齢、性別、収入、職業、入通院期間、休業日数、後遺障害等級、過失割合などを入力すると、賠償金の総額、内訳(含まれる項目:傷害(入通院)慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、休業損害、逸失利益)について、ご覧いただくことができます。

結果はすぐにご覧いただくことができ、後日当事務所からご連絡することはございません。

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どなたでも無料でご利用いただけますので、興味のある方は、以下のリンクから、ぜひ一度お試しください。

ただし、交通事故賠償金計算シミュレーターは、あくまで原則に従った算定結果を示すものにすぎません。

実際に賠償金を算定する際には、それぞれのケースにおける個別の事情を踏まえる必要がありますので、交通事故賠償金計算シミュレーターをご利用された場合でも、なるべく早く弁護士に相談することをお勧めします。

デイライト法律事務所でも、無料の法律相談を行っておりますし、LINEによる交通事故賠償金計算サービスも実施しております。

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主婦の交通事故慰謝料は3種類

交通事故の慰謝料には、次の3種類があります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

入通院慰謝料は、入通院を要するケガをしたことによる精神的苦痛を償うために支払われるものです。

後遺障害慰謝料は、後遺症が残ってしまったことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料は、生命を失ってしまったことによる精神的苦痛に対して支払われるものとなります。

それぞれの計算方法については、「主婦の交通事故慰謝料の計算方法」でご紹介します。

 

 

交通事故慰謝料は3つの基準がある

交通事故の慰謝料を算定する際の基準には、以下の3つの基準があります。

  • 弁護士基準(裁判基準)
  • 任意保険基準
  • 自賠責基準

弁護士基準は、弁護士が慰謝料などの賠償金を算定する場合に用いる基準です。

裁判になった場合にも同じ基準が適用されるので、裁判基準とも呼ばれます。

任意保険基準は、任意保険(運転者が任意に加入する自動車保険)を提供している保険会社が各社の内部で定めている算定基準です。

内部の基準であるため詳しい内容は分かりませんが、一般的に、自賠責基準よりは高いけれども、弁護士基準ほどには高額ではありません。

自賠責基準は、自賠責からの賠償金を算定する際に用いられる基準です。

自賠責は強制的に加入させられる保険であるため、加入者の負担を重くしすぎない観点から、賠償金額は低めに抑えられる傾向にあります。

そのため、自賠責基準により算定された賠償金額は、上の3つの基準の中で最も低くなる傾向にあります。

弁護士基準、自賠責基準についての詳細は、以下のページをご覧ください。

 

慰謝料請求は弁護士基準が最も高額

慰謝料額は、弁護士基準により算定した金額が最も高額になります。

例えば、死亡慰謝料は、自賠責基準では一律400万円(遺族の慰謝料を除く)とされています。

これに対し、弁護士基準では、死亡慰謝料額は2000万円から2800万円とされており、自賠責基準の5倍以上となっています。

後遺障害慰謝料についても、弁護士基準であれば110万円~2800万円、自賠責基準では32万円~1350万円と、2~3倍程度の違いがあります。

入通院慰謝料についても、以下の例のように、弁護士基準の方が高額になる傾向にあります。

具体例 1か月(30日)入院し、その後3か月(90日)の間に50日間通院した場合

自賠責基準

1日当たり4300円 ×(30日+90日)= 51万6000円

*自賠責基準では、入通院慰謝料の対象となる日数は、「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」とされています。

これは、「入通院日数 × 2」と「治療期間」のうち少ない方とされています。

上の例では、入通院日数 × 2 =(30日 + 50日)× 2 = 160日となり、治療期間(30日 + 90日 = 120日)の方が少ないので、治療期間を「入通院慰謝料の対象となる日数」として計算しています。

 

弁護士基準

115万円

ただし、むち打ち等他覚所見がない場合、軽い打撲や挫創等の場合は、83万円

 

主婦の交通事故慰謝料の計算方法

次は、主婦が交通事故に遭った場合に受け取れる交通事故慰謝料の計算方法をわかりやすく解説します。

なお、以下でご説明する計算方法は、被害者の方に最も有利な弁護士基準によるものとなっております。

主婦の死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料の相場は、以下のとおりとなっています。

被害者が一家の収入を支えている(一家の支柱)場合 2800万円
母親や配偶者である場合 2500万円
その他の場合 2000万円~2500万円

主婦の場合、「母親か配偶者である場合」に当たりますので、死亡慰謝料の相場は2500万円となります。

 

主婦の後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は、後遺症が残ってしまったことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料で、後遺障害等級に応じて、以下のように相場が決まっています。

後遺障害等級 弁護士基準での慰謝料の額
第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

後遺障害慰謝料の算定方法、請求する際の注意点などについては、以下のページで詳しく解説しております。

なお、主婦であるかどうかによって後遺障害慰謝料の額が変わることはありません。

 

主婦の入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、入通院を要するケガをしたことによる精神的苦痛を償うために支払われるもので、実際に入通院した期間に応じて支払われます。

ただし、医師の指示を超えて必要以上に多数回又は長期に通院した場合、実際に通院した日数全てが入通院慰謝料の対象とはならない場合がありますのでご注意ください。

通院回数が少なすぎる場合も、実際の通院期間全てが入通院慰謝料の対象とはならないことがあります。

入通院慰謝料の算定は、以下の表に基づいて行われます。

ただし、骨折・捻挫などの重傷の場合と、むち打ちなど他覚所見がない神経症状、軽い打撲・挫傷のような軽傷の場合とで、使用する表が異なりますのでご注意ください。

重症の場合

重症の場合

 

軽傷の場合

軽傷の場合の入通院慰謝料

入通院慰謝料の算定方法について、詳しくは以下のページで解説しております。

なお、主婦であることは、入通院慰謝料の金額には影響しません。

 

 

主婦が受け取れるのは慰謝料だけではない!

主婦の方が交通事故に遭われた場合、請求できる賠償金は慰謝料だけではありません。

  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 治療費などの積極損害

についても賠償を求めることが可能です。

それぞれの項目について、解説します。

休業損害

休業損害は、交通事故によるケガの影響で仕事を休んだ、又は十分に働けなくなった、といったことにより生じた減収のことを言います。

典型的なケースは、被害者が会社員だった場合です。

被害者が会社員であれば、入通院のために休業すると、その分給料を減らされてしまいます。

こうして給料が減らされた場合に、休業損害が発生します(なお、有休休暇を使用したために減収が実際には生じなかった場合も、休業したものとして休業損害が発生します。)。

ただし、休業損害は、実際の減額分がそのまま賠償の対象となるわけではありません。

連続して休業した場合、事故前直近の3か月分の給与を90日で割った金額を1日分として、休業した日数の分を休業損害と認定します(弁護士基準の場合)。

休業する日が飛び飛びになった場合には、事故前直近3か月分の給与を実労働日数で割って1日分の休業損害を計算します。

休業損害についての詳しい解説は、以下のページに掲載してあります。

 

主婦手当|専業主婦にも休業損害がある!

専業主婦が交通事故に遭った場合も、休業損害を請求することができます。

専業主婦には実際の収入はなく、交通事故に遭って家事ができなくなっても収入が減少するわけではないため、休業損害を請求することができるのか疑問に思われる方もおられます。

しかし、家事労働も金銭的に評価されうるものであり、他人に依頼すれば相当の対価を払わなければならないものなのですから、主婦も、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を上げているものと評価できます(最高裁判所昭和49年7月19日判決・民集第28巻5号872頁)。

そのため、実務上、主婦の方でも休業損害を請求できることは確立しており、裁判所もこのことを認めています(最高裁判所昭和50年7月8日判決・集民第115号257頁)。

保険会社は主婦としての休業損害を認めなかったけれども、裁判所で認められた事例について、次のページで紹介しております。

なお、主婦の休業損害について「主婦手当」という言い方で紹介しているサイトもありますが、正式にはそのような呼び方はいたしませんのでご注意ください。

 

主婦の休業損害の計算方法

主婦の休業損害の計算方法について、弁護士基準と自賠責基準のそれぞれによる方法を解説します。

まず、弁護士基準では、主婦の休業損害は、賃金センサスを基に計算します。

賃金センサスとは、政府が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」の結果をもとに平均収入をまとめた資料のことです。

賃金センサスでは、年齢別、男女別、学歴別などの平均収入が記載されていますが、主婦の休業損害を算定する場合には、原則として、女性労働者の全年齢平均賃金が基礎とされます。

直近の2022年(令和4年)の賃金センサスでは、女性労働者の全年齢平均賃金は394万3500円となっております。

この金額を基礎とすると、主婦の1日当たりの休業損害は、

計算式  394万3500円 ÷ 365日 = 1万0804円

となります。

兼業主婦で収入もある場合は、得ている収入と賃金センサスの平均賃金の額を比較して、高い方の額を基礎収入とします。

一方、自賠責基準では、専業主婦の1日当たりの休業損害は6100円(2020年(令和2年)3月31日以前の事故で5700円)とされています。

このことからも、自賠責基準で算定した賠償金額は被害者にとって不利であることが見て取れます。

主婦の方の休業日数の捉え方についても、自賠責基準と弁護士基準では違いがあります。

自賠責基準で算定する場合、休業日数は「通院した日数」とされます。

これに対し、弁護士基準の場合、「通院日数」で計算することもありますが、「通院期間」で計算することもあります。

例えば、通院期間が100日あったうち、実際に通院したのは30日であった場合、自賠責基準では30日が休業日数とされますが、弁護士基準では、100日を休業日数とすることもあります。

ただ、通院期間全部を休業日数とする場合、全ての期間について100%の休業損害を認めるのではなく、「事故後〇日経過した後は50%、さらに○日経過した後は30%」というように、割合的に休業損害を算定することが多いです。

このように割合的に休業損害を算定する場合は、通院期間、実通院日数、ケガの内容、程度、通院状況、家事への影響度合いなどを具体的に考慮することになります。

主婦の休業損害の計算方法の詳しい説明、請求する際のポイントなどについては、以下のページをご覧ください。

 

逸失利益

逸失利益とは、交通事故で被害者が死亡した、又は後遺障害を負ったという場合に、それによって将来的に生じる減収のことをいいます。

逸失利益も、交通事故により生じた損害ですので、損害賠償を受けることができます。

「交通事故により生じた減収」であるという点で休業損害と似ていますが、両者は発生する時期が異なります。

休業損害は治療中に発生した減収であるのに対し、逸失利益は、死亡後又は症状固定後に発生する減収のことをいいます。

逸失利益のイメージ

上の「症状固定」とは、治療をしてもこれ以上症状が良くならない状態に至ることをいいます。

症状固定となると、残った痛みなどの症状は後遺症となります。

後遺症が残った場合は、自賠責に申請して後遺障害等級認定を受けてから逸失利益などを算定することになります。

被害者に後遺障害が残った場合、逸失利益は次の計算式で算出します。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

被害者が死亡した場合は、逸失利益は以下の計算式によって計算します。

計算式 基礎収入額 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

それぞれの項目について簡単に解説します。

まず、基礎収入は、被害者の年収によって定めます。

会社員、自営業、無職、高齢者の場合などで、それぞれ基礎収入の定め方が異なります。

主婦の場合の基礎収入の定め方については、次の「主婦にも逸失利益がある!」で詳しく解説しております。

基礎収入の算定方法について、詳しくは以下のページをご覧ください。

労働能力喪失率は、死亡した場合は100%、後遺障害が残った場合は、後遺障害等級ごとに定められた割合、となるのが原則です。

次の表が、後遺障害等級ごとの労働能力喪失率の早見表となります。

後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

原則として、労働能力喪失率は上の表のとおりとされますが、例外的に、上の表の数値を修正するよう加害者側から主張され、争いになる場合があります。

労働能力喪失率が争われることが多いのが、傷の跡が残ったケース、鎖骨骨折後の変形障害のケース、腰椎の圧迫骨折のケースです。

こうした症状については、労働能力に後遺障害等級ごとに定められているほどの影響が実際にあるか疑わしい、と主張されることが多いのです。

労働能力喪失率について争いが生じた場合には、日記や被害者の陳述書によって、実際の症状、稼働能力への影響を具体的に主張立証していくことになります。

労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数は、逸失利益の計算で中間利息を控除するために用いる係数です。

逸失利益は、賠償を行う時点よりも将来に生じる損害を対象とするため、実際に損害が生じる時点までに発生する利息(中間利息)を控除する必要があります。

たとえば、10年後に得られるはずだった収入500万円を現時点でそのままの金額で支払うとします。

そうすると、10年後には、受け取った500万円に利息が付いて、500万円を超える金額になってしまいます。

これでは公平性を欠く、とされ、10年間に発生する利息を差し引く=中間利息を控除する、という計算が行われます。

その際に利用されるのが、ライプニッツ係数なのです。

ライプニッツ係数は、労働能力喪失期間に応じて定められています。

労働能力喪失期間は、死亡または後遺障害によって労働能力に影響を受ける期間です。

死亡または症状固定の時から就労可能期間の終期(一般的には67歳)までが労働能力喪失期間となります。

ただし、むち打ちなどの神経症状(痛み)の場合、就労可能期間の終期まで痛みによって労働能力を喪失した状態が続くことは考えにくいとして、5~10年程度が労働能力喪失期間とされることが多いです。

また、被害者が67歳を超えて就労している場合は平均余命までの期間の半分を労働能力喪失期間とする、子どもや大学生の場合などには、死亡または症状固定の時からではなく18歳又は大学卒業予定の22歳から67歳までを労働能力喪失期間とするなど、被害者の状況に応じた労働能力喪失期間の算定が必要な場合もあります。

生活費控除率は、被害者が死亡している場合に、逸失利益から、被害者が生存していれば必要になった生活費を控除するために用いるものです。

生活費控除率は、被害者の家庭内での立場、年齢、性別などによって変わり、以下の数値が目安とされています。

被害者の立場 生活費控除率
一家の支柱 被扶養者が1名 40%
被扶養者が2名 30%
女性(主婦、独身者、幼児等を含む) 30%
男性(独身者、幼児等を含む) 50%

逸失利益の算定方法の詳しい解説、ライプニッツ係数の早見表などは、以下のページをご覧ください。

 

主婦にも逸失利益がある!

休業損害の場合と同様、主婦であっても逸失利益は請求できます。

専業主婦の場合であれば、休業損害の場合と同様、賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金額によって基礎収入を定めます。

2022年(令和4年)の女性労働者の全年齢平均賃金は、休業損害の項でもご紹介したとおり、394万3500円となっています。

仕事もしていて収入がある場合は、収入額と平均賃金額を比較し、高い方を基礎収入として逸失利益を計算します。

 

治療費などの積極損害について

交通事故でケガをすると、治療費、雑費、付添費用、通院交通費・宿泊費等、家屋・自動車改造費、弁護士費用などの出費が必要となってきます。

このような損害を積極損害といいます。

積極損害も、交通事故が原因で生じる損害ですので、加害者に賠償させることができます。

積極損害の費目、内容などについて、詳しくは以下のページでの解説をご覧ください。

 

適正な賠償金はいくら?自動計算機で算定しよう!

上でもご紹介しましたとおり、当事務所では、スマホで簡単に賠償金額の試算ができる交通事故賠償金計算シミュレーターを無料でご提供しております。

主婦の方の休業損害、逸失利益についても手軽にご覧いただくことができます。

個人情報を入力する必要などもなくご利用いただけますので、ぜひ一度お気軽にお試しください。

 

 

主婦の交通事故慰謝料・賠償金の取得手続き

主婦の方が交通事故に遭った場合の慰謝料・賠償金の取得手続きを見ていきましょう。

主婦の交通事故の慰謝料請求の流れ

主婦の交通事故の慰謝料請求の流れ

 

入通院治療・一括対応

事故によりケガをすると、入通院による治療を行います。

治療中に、加害者側の保険会社から病院などに対して直接治療費が支払われる一括対応が取られることも多くあります。

その場合、被害者は、窓口で治療費を負担することなく治療を受けることができます。

ただ、この一括対応での支払いはあくまで仮払いであり、後に、「不必要な治療が行われた」「過失相殺がある」などとして、既に支払った治療費の一部を最終的な賠償額から差し引かれることもあります。

被害者は、窓口負担がないからといって油断せず、医師から指示された範囲での通院のみ行うようにしましょう。

 

治療の終了・症状固定・被害者の死亡

ケガが完治すれば、治療は終了となります。

後遺症が残ってしまった場合、治療を継続しても症状が改善する見込みがなくなった段階で症状固定となります。

不幸にも被害者が亡くなってしまった場合も、治療終了となります。

治療終了となると、本格的に示談交渉を進めていくことになります。

後遺症がある場合は、次の後遺障害等級認定を受けることになります。

なお、保険会社から症状固定を主張されて治療費の支払いを打ち切られた場合でも、症状固定の時期を争うことができることについては、以下のページをご覧ください。

 

後遺障害等級認定

後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を請求するためには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定を受ける場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責に申請を行います。

自賠責への申請は、被害者のみならず、加害者側の保険会社から行うこともあります。

後遺障害等級については、以下のページで解説しております。

 

示談交渉

治療が終了し、後遺障害等級の認定も得られたら(後遺症が残った場合)、本格的な示談交渉を開始します。

多くの場合、加害者側の保険会社から示談案が提示されます。

この示談案は、ほとんどの場合、任意保険基準又は自賠責基準によって算定されており、弁護士基準で算定される金額よりも低額になっています。

保険会社からの提示額を鵜呑みにすることなく、一度弁護士に相談し、適切な賠償額について聞いてみましょう。

一度示談案に合意し、サインをしてしまうと、後から示談内容を変更することはほぼ不可能になりますので、ぜひ一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

 

示談成立又は訴訟提起

加害者側との間で示談内容について合意ができたら、示談成立となり、賠償金が支払われます。

示談内容について合意ができないと、訴訟を提起するなどして賠償金の支払いを請求することになります。

 

主婦の交通事故の慰謝料請求に必要な書類

主婦の交通事故の慰謝料請求に必要な書類の主なものは、以下の表のとおりです。

保険会社が治療費の対応をしている場合には、多くの書類は保険会社が取得しているため、以下の書類を全て被害者が集めなければならないわけではありません。

交通事故自体に関するもの 交通事故証明書 交通事故の事実を確認したことの証明書。自動車安全運転センターから発行されます。警察に届出をしなければ、交通事故証明書を取得することはできません。
交通事故証明書には、事故車両の運転者の住所氏名、事故車両の情報、人身事故か物件事故かなどが記載されています。
人身事故証明書入手不能理由書 交通事故証明書には「物損事故」と記載されているが本当は人身事故であった場合(例:事故当時にケガがあることが判明していなかった場合など)、人身事故証明書入手不能理由書が必要になります。
実況見分調書 人身事故についてのみ警察官が作成します。
事故現場、事故車両の状況などが写真とともに記載されています。
事故発生状況報告書 自賠責保険に被害者請求をした場合に、被害者側で作成するよう求められます。
書式は保険会社から渡されます。
ケガに関する必要書類 診断書 ケガの状態、治療経過、入通院期間などを記載した診断書を、病院の医師に作成してもらいます。
整骨院の柔道整復師では作成できません。
診療報酬明細書 入通院時の治療内容、薬剤の処方、診療報酬点数などが記載されています。
損害に関する書類 通院交通費明細書 通院で使った公共交通機関(バス、電車など)の利用料金、自家用車のガソリン代、タクシー代などを記入します。
保険会社から書式が送られてきます。
タクシー代・駐車場代の領収証 タクシー代や駐車場代について請求する場合には領収証が必要となります
休業損害証明書 休業損害を証明するための書類です。
会社員であれば、保険会社から送られてきた書類を勤務先に提出し、記入してもらいます。
確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書の写し 被害者が自営業者の場合、前年度の確定申告書等の写しを提出し、これにより休業損害、逸失利益の算定をします。
後遺障害に関する書類 後遺障害診断書 医師に後遺症の症状などについて記載してもらう診断書です。後遺障害等級認定申請を行う際に重要になります。
作成してもらう際には、弁護士の助言を受けるなどしつつ、適切な書き方としてもらえるよう医師と話をしましょう。
物損資料 事故車両の破損状況などに関する写真や資料。事故の激しさを伝えるのに有用です。
レントゲン、MRIなどの画像 ケガに関する検査画像。病院から開示を受け、提出します。
カルテ 診療経過、検査結果、看護記録などが含まれます。病院から開示を受けて提出します。
被害者の陳述書 被害者の説明という形で、事故状況、治療中の経過、後遺症の症状、生活への影響などについてまとめます。
必要に応じて提出します。
支払請求書 自賠責保険に被害者請求する場合に必要事項を記入して提出します。
印鑑証明書 自賠責保険に請求する場合に必要になります。

 

主婦の交通事故慰謝料の証拠

主婦が交通事故の慰謝料を請求するための証拠は、基本的には上の表でご紹介したもので足ります。

ただ、加害者側の保険会社が慰謝料額、休業損害、逸失利益などについて争っている場合には、必要に応じて、ケガによる生活への影響の説明、身体的・精神的苦痛に関する説明、家族の状況、症状などについて、カルテ、陳述書、日記などにより立証する場合もあります。

特に日記は、定期的につけておけば証拠となりますので、その日の症状、通院の有無、医師に言われたこと、ケガのために生活に生じた支障、家族に及んだ影響などについて、簡単にでも記しておくと役立ちます。

また、食事を作れず惣菜を購入するなどした場合には、そのレシートを保存しておきましょう。

 

主婦の交通事故の慰謝料請求にかかる費用

 

実費

主婦の交通事故の慰謝料請求をするために裁判を起こす場合、必要となる実費には、

  • 裁判所への申立手数料
  • 郵便費用

 

があります。

申立手数料は請求額によって異なり、被害者1人の場合、数万円~30万円程度となることが多いです。

郵便費用は、原告・被告の人数、訴訟代理人(弁護士)の有無などによっても変わってきますが、数千円~数万円となります。

示談交渉のみの場合でも、通信費、郵便料金などが必要となる場合があります。

 

弁護士費用

弁護士に依頼をする場合、弁護士費用も必要となります。

弁護士費用の種類と相場は、以下のとおりです。

相談料 30分5000円程度
着手金 10万円程度~
報酬金 回収額の1割程度~

ただ、交通事故の場合は、自動車保険(任意保険)で弁護士費用特約に加入している方が多くおられます。

弁護士費用特約に加入している場合、実質負担なしで弁護士に依頼することができます(限度額あり)。

相談料についても、地方自治体や法テラス、弁護士会等で無料法律相談を利用することもできます。

最近は、初回の法律相談は無料としている法律事務所も多くあります。

こうした方法を利用すれば、なるべく負担の少ない形で弁護士に相談することができますので、交通事故に遭われた方はぜひ一度、弁護士に相談に行ってみてください。

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弁護士費用

 

 

主婦が慰謝料を請求するために注意すべきこと

整骨院に通院する場合は、病院の受診、保険会社への連絡を

むち打ちなどのケガをした場合、病院(整形外科)だけではなく、整骨院での治療も受けたいという方も多くおられます。

しかし、整骨院の受診には注意が必要です。

整骨院では医師による診察、診断、検査を受けられないので、整骨院にのみ通院していると、後に後遺障害等級の認定を受ける際に、治療経過、ケガの状況などを立証することができず、適切な認定を受けられなくなる可能性があります。

整骨院の施術費についても、整骨院で施術を行う必要性・相当性がなければ賠償の対象となりません。

そのため、整骨院への通院の必要性等を裏打ちする医師の指示を受けないまま通院を重ねてしまうと、後日、「整骨院への通院の必要性・相当性が認められないので、整骨院の施術費は負担できない」と加害者側の保険会社に言われてしまう可能性があります。

こうした事態を避けるため、整骨院に通う際は、まずは病院に行って診察を受け、整骨院に通うよう医師から指示してもらいましょう。

加害者側の保険会社にも「整骨院に通院する」と知らせておけば、一括対応によって整骨院の施術費も保険会社から直接支払ってもらえる可能性が高くなります。

そうして整骨院への通院を始めた後も、少なくとも月に1回程度(医師がそれ以上の頻度での通院を指示した場合は、その回数)は病院も受診するようにしましょう。

 

治療費を打ち切られてもあきらめない!

保険会社は、一定程度の期間が過ぎると、「もう症状は固定した(これ以上治療してもよくならない)」と主張して、治療費の支払いを止めることがあります。

被害者としては、それまで支払われていた治療費が止められるので動揺してしまいがちです。

実際、治療費の打ち切りをきっかけに弁護士に相談しに来られる方も多くおられます。

このように治療費を打ち切られてしまった場合も、必ずしもすぐに治療をストップしなければならないわけではありません。

特に、治療により症状に改善が見られており、主治医も治療の継続を勧めているような場合には、自腹で治療を継続し、後日保険会社に治療費を請求することも考えられます。

ただし、症状固定の時期について、保険会社の当初の主張どおりであったと最終的に(裁判などで)認められてしまうと、自腹で支払った治療費を加害者側に負担させることができなくなってしまうリスクがあることは、頭に置いておいてください。

また、症状固定がいつになるかは主治医の意見のみにより決まるわけではないので、主治医が「治療を続けましょう」と言っていても、必ずしも症状固定の時期を遅らせることができるとは限らないことも、知っておきましょう。

 

 

主婦の交通事故慰謝料の3つのポイント

主婦の交通事故慰謝料の3つのポイント

日記をつける

主婦の場合、会社員などとは違い、客観的に労働能力の喪失や休業による減収を見て取ることができません。

そのため、保険会社から、「後遺障害等級は〇級とされているが、後遺障害が主婦業に大きく影響するものではない」「痛みはあったけれども、家事労働を休まなければならないほどではなかった」などと主張されることが比較的多くなります。

こうした主張をされた場合、ケガによる痛みや症状の具体的な状況、家事や日常生活に生じている支障などを具体的に主張立証し、反論しなければなりません。

こうした反論を効果的にするためには、日記をつけるのが有効です。

ごく簡単なメモ程度でもよいので、その日の症状、家事や生活に生じた支障などについて書き記しておくと、後日、こうした点について主張立証しなければならなくなった際に大いに役立ちます。

主婦の方は、交通事故に遭った場合は、できるだけ日記をつけることをお勧めします。

また、自分で家事ができないことによる出費の証拠(総菜購入や外食のレシート、家事代行の領収証)なども役立つことがありますので、きちんと残しておきましょう。

 

後遺障害診断書を作成してもらうときは、医師とよく話し合おう

後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受けなければなりません。

この際に重視されるのが、後遺障害診断書です。

後遺障害診断書は主治医に作成してもらうのですが、残念ながら、医師に任せきりだと、適切な診断書にならないことがあります。

医師は、後遺障害等級認定の仕組みには必ずしも詳しくないので、悪意があるわけでなくとも、余計な記載をしてしまったり、必要な記載を欠いてしまったりして、適切な診断書にならないことがあるのです。

また、痛みなど検査ではわからない症状や、日常で生じている支障については、患者から医師にきちんと伝えなければ、診断書に反映してもらうことができません。

適切な後遺障害診断書を作成してもらうには、事前に弁護士と相談し、どのような内容を医師に伝えるか入念に打ち合わせておくことをお勧めします。

場合によっては、弁護士とともに、医師に渡すメモを作成することも有効です。

後遺障害診断書は非常に大切な書類ですので、適正な内容となるよう、しっかりと医師とコミュニケーションを図っていきましょう。

 

交通事故に強い弁護士に相談する

上のような注意点・ポイントを押さえて対応するには、人身事故における損害賠償の請求に関する専門的な知識が必要となってきます。

そのため、損害賠償請求を有利に進めるためには、事故後早いうちに、交通事故に強い弁護士に相談することが、とても重要になります。

交通事故に強い弁護士なら、通院の頻度や期間、整骨院に通院する場合の手順、後遺障害診断書を頼む際に医師に伝えておくべきことなどについてアドバイスしてくれるでしょう。

弁護士に依頼してしまえば、加害者側との交渉を任せてしまうことができるので、安心して治療や家事に専念できるようにもなります。

交通事故に強い弁護士に相談するメリット、交通事故に強い弁護士を探す方法などについては、以下のページで詳しく紹介しております。

 

 

主婦の交通事故慰謝料の知恵袋的Q&A

交通事故で通院 3ヶ月の主婦の慰謝料はいくら?

弁護士基準では、軽傷の場合は53万円、重傷の場合は73万円となります。

 

3か月間通院したときの慰謝料の相場は、弁護士基準では、

  • むち打ち症で他覚所見がない場合や、軽い打撲や挫創(キズ)の場合は53万円
  • 骨折や脱臼などの重傷の場合は73万円

となります。

自賠責基準では、

  • 通院実日数が45日以上の場合は38万7000円
  • 通院実日数が45日未満の場合には通院実日数の2倍×4300円

となります。

こうした通院慰謝料は、主婦であるか否かによって金額が変わるものではありません。

交通事故で3か月通院した場合の慰謝料の相場については、次のページで詳しくご紹介しております。

 

交通事故で通院 6ヶ月の主婦の慰謝料はいくら?

弁護士基準では、軽傷の場合は89万円、重傷の場合は116万円となります。

 

交通事故でケガをして6か月通院した場合、慰謝料の相場は、弁護士基準では、

  • むち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創の場合は89万円
  • 骨折・脱臼など重傷の場合は116万円

となります。

自賠責基準では、

  • 通院実日数が90日以上あれば77万4000円
  • 通院実日数が90日未満の場合には通院実日数の2倍×4300円

となります。

6か月通院した場合でも、通院慰謝料は、主婦かどうかで金額が変わることはありません。

 

 

他の主婦はいくらもらった?主婦の解決事例

実際に交通事故に遭った主婦の方は、どの程度の賠償を得ているのでしょうか?

ケガの程度、事故の態様などによって賠償の金額は大きく変わってきますが、当事務所での解決事例を参考にご紹介します。

休業損害150万円以上を獲得した主婦の事例(頸椎・腰椎捻挫)

被害者は、自動車を運転中に赤信号で停止していたところ、後続車両から追突されてしまいました。

この事故により被害者はケガをし、腰椎捻挫及び頸椎捻挫と診断されました。

これにより、被害者は、約8か月間通院治療を受けました。

この間、被害者は、ケガによって家事を行うのに大きな支障が出てしまいました。

被害者からの依頼を受けた当事務所の弁護士は、被害者に実際に生じていた家事における支障について、被害者の陳述書に基づいて主張し、休業損害を請求しました。

そうしたところ、加害者側の保険会社は、合計155万円の休業損害があることを認め、支払いに応じました。

ほかにも、この事例では、加害者側の保険会社が事故後半年の時期に治療費の支払いを打ち切っていたので、当事務所において、治療を継続するか否かの方針検討、未払治療費の請求なども行い、無事に未払治療費全額を加害者側の保険会社に支払わせることに成功しています。

後遺障害等級認定の申請についても当事務所の弁護士がサポートしました。

この際、弁護士は、必要書類に加え、痛みの具体的内容や生活上の支障をまとめた被害者の陳述書も作成するなどし、被害者の状況を積極的に主張立証しました。

これにより、被害者は、残存していた腰の痛みに関して14級9号の認定を受けることができました。

適切な後遺障害等級認定を得られたおかげで、逸失利益、後遺障害慰謝料などについても下の表の金額を得ることができました(ただし、この金額は、早期解決等のため、裁判基準よりは低額となっています。)。

このケースの被害者が得ることができた慰謝料、休業損害の額は、以下のとおりとなります(治療費等は別途支払われています。)。

費目 獲得できた賠償額
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 約90万円
後遺障害慰謝料 約90万円
後遺障害逸失利益 約66万円
休業損害 約155万円
合計額 約400万円

 

パートには出勤していたけれども、主婦としての休業損害が認められた事例

このケースの被害者は、横断歩道に歩行者がいたために停車したところ、後続車両に追突されてしまいました。

これにより被害者は、頸椎捻挫、腰椎捻挫のケガをしました。

被害者は、事故後、整形外科で治療・リハビリを受けていましたが、半年後、加害者側の保険会社から治療費の支払いを打ち切られてしまいました。

そこで、困った被害者は、当事務所に相談に来られました。

弁護士が事情を聴いたところ、被害者は治療を受けることで痛みが軽減しており、治療を継続したいと希望していたので、今後も自費で治療を継続することとしました。

その後2か月治療を継続したところ、痛みの改善が見られなくなったので、症状固定とし、後遺障害等級認定の申請をしました。

その結果、残存している首と腰の痛みについて、それぞれ後遺障害14級9号と認定され、最終的に併合14級(14級と同じ扱い)との認定を受けることができました。

これを基に、弁護士は、加害者側の保険会社に賠償金の支払いを請求しました。

しかし、当初、保険会社は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について弁護士基準(裁判基準)の80%しか認めず、労働能力喪失期間も2年だけと主張していました。

さらに、休業損害について、保険会社は、「被害者はパートには休まず出勤していたのだから、主婦としても稼働できた」とし、休業損害の発生を否定していました。

これに対し、当事務所の弁護士は、慰謝料との関係で、被害者に強い痛みが残ってしまっていること、自費で整骨院にも通院していることなどを主張し、いかに精神的苦痛を被っているかを具体的に説明しました。

休業損害についても、被害者がパートを休めなかった理由、家事にどのような支障が生じていたかの具体的な状況について説明をし、主婦としての休業損害が発生していることを主張しました。

その結果、保険会社も、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について弁護士基準(裁判基準)100%の額を認め、労働能力喪失期間は5年間とすることにも同意しました。

休業損害についても、主婦としての休業損害を認めるに至りました。

具体的な獲得金額は、以下のとおりです(金額は過失相殺後のもの。治療費等については別途支払いを受けています。)。

費目 獲得できた賠償額
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 約100万円
後遺障害慰謝料 110万円
後遺障害逸失利益 約70万円
休業損害 約70万円
合計額 約350万円

本件を見ればお分かりいただけるように、「パートには出ていたのだから主婦としても働けた」ということには必ずしもなりません。

仕事の方は、人手不足、繁忙期などの理由で、休みたくとも休むことができず、無理をして出勤しなければならない場合があります。

そして、仕事で無理をした分家事はこなせず、食事も買ってきた総菜や外食などで済ませる、ということも実際にあるのです。

そうした場合は、保険会社に対し、仕事に出なければならなかった理由、家での状況、痛みなどの症状の状況についてしっかりと説明し、主婦としての休業損害を請求していく必要があります。

この際、例えば、食事を作れず総菜や外食で済ませていたのであれば、そのレシートを保管しておき、証拠として活用することも考えられます。

 

弁護士が介入したことにより賠償額が3倍になった事例

このケースでは、被害者が原付バイクに乗って直進していたところ、反対車線から路外の駐車場に入るために右折してきた自動車と衝突してしまいました(被害者の過失割合は10%)。

この事故で、被害者は、左脚(左腓骨頭)を骨折してしまいました。

被害者は、6か月の通院治療(週1回)を経て症状固定となり、後遺障害等級14級9号の認定を受けました。

このケースで、加害者側の保険会社は、約100万円での示談を提案してきました。

保険会社の主張の要点は、

  • 通院日数が少ないので、休業損害は1か月未満である
  • 労働能力喪失期間は、痛み(神経症状)が残っているに過ぎないので、3年が妥当である
  • 慰謝料額は裁判基準の80%

というものでした。

これに対し、当事務所の弁護士は、

  • 休業損害について、通院日数は少ないが、被害者は骨折箇所について装具固定を要する重傷を負っており、1か月以上にわたって家事に支障が出たのは明らか
  • 交渉段階でも被害者の痛みは継続しており、今後も継続することが見込まれるため、労働能力喪失期間は少なくとも5年間である
  • 装具固定を要した期間や症状の程度からして、慰謝料についても裁判基準の額を要求する

と主張して賠償金の増額を要求しました。

結局、保険会社は、当初の提示額の約3倍である約300万円での示談を提案してきました。

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料については、結局弁護士基準の90%程度の提示しかなされませんでしたが、その他の項目の金額が妥当であること、被害者が早期解決を希望していることなどから、保険会社が提示してきた金額で合意することになりました。

保険会社の当初の提示額と、弁護士が介入することによって得られた賠償額は、以下の表のとおりです。

費目 保険会社の提示額 弁護士の介入後の賠償額
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 30万円 105万円
後遺障害慰謝料 75万円 100万円
後遺障害逸失利益 約75万円(弁護士基準 5年間)
休業損害 約15万円(1日5700円(※)) 60万円(1日9696円)
過失相殺 自賠責基準のためなし(本来は10%) 10%
合計額 約110万円 約300万円

※自賠責基準による主婦の休業損害額。ただし、後に改定があり、2020年4月以降については1日6100円とされる。

この事例のように、加害者側の保険会社から当初提示された示談案は、被害者にとって大変不利な内容であることも珍しくありません。

実際、このケースでは、当初の保険会社からの提案は、弁護士基準(裁判基準)で算定される額の約3分の1に過ぎなかったのです。

妥当な賠償額が得られなければ、被害者は、その後の生活で生じる不便を十分に償ってもらうことができません。

特に、痛みなどの後遺障害が残った場合や、被害者が死亡してしまった場合には、本人にも家族にも、経済的に大きな負担がのしかかります。

事故後の生活を守るためにも、妥当な賠償金を得ることは大変重要です。

保険会社から示談案の提示があった場合は、「保険会社の言うことだから」と鵜呑みにせず、ぜひ一度、交通事故問題に詳しい弁護士にご相談ください。

 

妊娠中の被害者が傷害慰謝料を裁判基準よりも多く獲得できた事例

このケースの被害者は、妊娠9か月の時に、赤信号で停車している最中に後続車両から追突されるという事故に遭いました。

被害者は、この事故により、首と腰にケガをした上、切迫早産の可能性があるとも指摘されました。

切迫早産については薬を処方されて経過観察となりました。

一方、ケガについては、妊娠中であるため強い痛み止めを飲むことができない、レントゲンを撮ることも控えるなど、治療、診断の手段が限られる中で療養を続けました。

結果的に、幸いにして後遺症が残ることもなく完治することができました。

このケースで相談を受けた当事務所の弁護士は、保険会社に対し、切迫早産の危険があったこと、妊娠しているために治療面、日常生活面で支障があったことを具体的に主張し、慰謝料額の増額、休業損害の支払いを求めました。

その結果、被害者に対し、弁護士基準 = 裁判基準の79万円よりも高額な85万円の入通院慰謝料と休業損害25万円の合計110万円が支払われることになりました。

費目 獲得できた賠償額
入通院慰謝料(傷害慰謝料) 85万円(通院5か月 弁護士基準以上)
休業損害 25万円
合計額 110万円

このケースのように、被害状況が通常よりも重いことを具体的に主張立証し、裁判基準以上の慰謝料を得られることもあります。

慰謝料の増額を勝ち取るには、交通事故問題に強い弁護士に依頼し、個々のケースに沿った適切な主張・立証を行うことが大変重要になります。

 

主婦が被害者となった事故の解決事例のご紹介

当事務所では、以上の他にも、被害者が主婦の方である交通事故について豊富な解決実績がございます。

その一部を下のページでご紹介しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

 

 

まとめ

今回は、主婦の方が交通事故の被害に遭った場合の慰謝料その他の項目(休業損害、逸失利益)の算定方法についてご紹介し、慰謝料等を請求する際の手続、注意点、ポイントなどについても解説しました。

主婦の方が交通事故に遭われた場合、「収入もないから慰謝料や休業損害などもらえない(又は低額になる)のでは?」と思ってしまうかもしれません。

しかし、そもそも慰謝料はケガなどによる精神的苦痛に対して支払われるものなので、(死亡事故以外では)職業や家族内での立場が金額に影響することはなく、主婦の方も請求することができます。

また、主婦の方が行っている家事労働は、金銭的にも立派に評価されるべきものですので、休業損害なども支払ってもらえます。

ただ、目に見えた減収や休業の状況を示すことが難しいので、「ケガをしていても家事はできたでしょう」などと主張され、休業損害の減額等を迫られることはあります。

こうした主張に反論するには、具体的な状況を示す証拠を提示するといった活動が必要になりますので、交通事故に強い弁護士に依頼することをお勧めします。

上のような主張がなされなくとも、保険会社から提示された示談案は、弁護士基準により算定した賠償額よりも低額にされていることがほとんどなので、示談を成立させてしまう前に一度弁護士に相談してみる方が良いです。

当事務所でも、交通事故事件を日常的に取り扱う人身傷害部により、被害者のサポートを充実させる体制を整えております。

事故直後からのご相談はもとより、通院中に治療の打ち切りを通告された方のご相談、後遺障害申請に関するご相談なども承っております。

来所の相談に加えて、電話相談、オンライン相談(LINE、Zoom、Meet、FaceTime)にて全国対応しています。

交通事故に遭われた方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

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なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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