事故で警察呼ばなかった。後日連絡すべき?弁護士が解説
事故で警察を呼ばなかった場合には、後日であっても連絡すべきです。
事故で警察を呼ばなかった場合には、刑罰が課されたり、多額の賠償金を自身で負担したり、反対に相手方の加入している保険会社が賠償金支払いの対応をしないなどの大きな不利益が発生する危険性があります。
事故にあった場合、事故を起こした場合は即時に警察を呼ぶべきですが、不利益を少しでも小さくするために後日であっても警察に連絡をすべきです。
これから、警察を呼ばなかった場合のデメリットや後日であっても警察に連絡するべき理由について解説いたします。
目次
事故で警察呼ばなかった場合も連絡すべき?
結論として、事故で警察を呼ばなかった場合、後からでも連絡をすべきです。
事故で警察を呼ばなかった場合、報告義務違反として犯罪になる可能性がある上、保険会社が賠償金の支払いを拒否する可能性があります。
また、事故の現場で加害者から示談金として数万円支払う代わりに警察に通報しないでほしいと言われてそれに応じてしまうと、後に適切な賠償金を受け取れなくなるなどの大きな不利益を被る危険性があります。
事故で警察を呼ばなかったとしても、これらの不利益を少しでも小さくするために、後からでも連絡をすべきです。
事故報告はいつまでにすべき?
事故報告は、原則として、事故にあったらすぐに行うべきです。
事故を起こした後に、一度でも事故現場から立ち去ってしまうと、報告義務違反として、犯罪となる危険性があります。
もっとも、一度立ち去ってしまった場合でも後から警察に報告する方がまだ不利益が小さくなるでしょう。
事故で警察を呼ばなかったらどうなる?
事故で警察を呼ばなかったら、警察に事故の存在を把握されない可能性があります。
そのため、警察が事故を証明する書類の発行がされず、自分や相手の加入している保険会社が賠償金の対応しないなどの影響が出てくることがあります。
事故で警察を呼ばないメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
なし |
|
そのため、事故にあったら、警察に連絡をすべきですし、まだ連絡をしていない場合には、速やかに連絡すべきです。
事故で警察を呼ばないメリット
事故で警察を呼ばないメリットはありません。
事故の加害者となってしまった場合、警察に連絡せずに警察に知られることがなければ、道路交通法上の減点はされることはないと考える人もいるかもしれません。
しかし、後日警察に知られた場合には、安全運転義務違反の減点はもちろん、報告義務違反の減点1まで加算されますので、警察を呼ばないという選択を取ることは非常にお勧めできません。
そういった意味で警察を呼ばないメリットはないに等しいでしょう。
事故で警察を呼ばないデメリット
事故で警察を呼ばないデメリットは大きく3つあります。
①報告義務違反として犯罪になる可能性があること、②保険会社が賠償金の支払いを拒否する可能性があること、③裁判をしても賠償金が獲得できない可能性があることです。
報告義務違反として犯罪になる可能性がある
交通事故があったときは、警察に対して、事故に関する日時や状況などを報告する義務があり(道交法72条1項後段)、この義務が報告義務と呼ばれます。
交通事故とは、車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊をするとされています(道交法67条2項)。
つまり、物損だけでケガ人がいない場合にも警察に報告する必要があります。
人身物損事故にかかわらず、交通事故を起こして、警察に報告をしないと報告義務違反として犯罪となる可能性があります。
報告義務に違反すると、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます(道交法109条1項17号)。
後から報告をした場合にも報告義務違反となる可能性はありますが、警察に知られる前に自分から警察に届け出ていると、処罰が軽くなる可能性があります。
交通事故を起こした場合、遭った場合には、速やかに警察に報告をするべきですが、後から警察に知られてしまうよりは、遅くなっても警察には報告するべきでしょう。
保険会社が賠償金の支払いを拒否する可能性がある
交通事故が発生した後に、警察に届け出ないと保険会社が賠償金の支払いを拒否する可能性があります。
交通事故が発生したことを警察に届け出ると、交通事故証明書が発行されます。
交通事故証明書は、交通事故があったことを証明するものであり、保険会社は「交通事故証明書がないと対応ができない」という可能性があります。
そのため、保険会社に対応してもらうためには、警察に届け出る必要があります。
被害者の場合に、加害者側の保険会社が対応しないと、加害者に直接請求する手間がかかり、最悪の場合には、賠償金を払ってもらえないという事態にもなります。
反対に事故の加害者となった場合には、自身で被害者に賠償金を払うことになりかねません。
事故の賠償金は、事故内容によって異なりますが、数十万円以上、場合によっては数千万円までなることもあり、保険会社が対応しないと、この金額を自身で負担することになる可能性があります。
事故の賠償金が払えない場合には、民事裁判を起こされ、自身の財産や給料の一部を差し押さえられる可能性もあります。
加害者・被害者いずれの立場であっても、保険会社が対応しないことは大きなデメリットになりますので、事故にあったあとは速やかに警察に届け出すべきです。
裁判をしても賠償金を獲得できない可能性がある
事故の被害者となって相手方の保険会社が賠償金の対応をしない場合には、賠償金を獲得するために、裁判を起こすことになります。
しかし、裁判では、被害を受けた側が事故が存在したことや事故によって怪我をして治療をする必要があったことなどの損害について証明する必要があります。
事故の後に警察に通報しないと、警察が事故の存在を把握しておらず、最悪の場合には、裁判所から事故があったことが証明されていないとして、賠償金が一切認められないということになる可能性もあります。
警察へ後日連絡する場合の流れ
警察へ後日連絡する場合の大まかな流れは以下のとおりです。
-
- 1
- 警察へ連絡する
-
- 2
- 病院へ通院する
-
- 3
- 保険会社へ連絡する
-
- 4
- 相手方へ連絡する
-
- 5
- 目撃者などの関係者への連絡する
-
- 6
- 交通事故証明書を入手する
-
- 7
- 弁護士に相談する
警察へ連絡する
事故現場付近の警察署に電話をして、以下の情報を伝える必要があります。
- 交通事故が発生した日時、場所
- 交通事故による怪我人の数、怪我の状況
- 交通事故によって壊れた物及びその損壊の状況
- 自動車の積載物
- 事故後に講じた措置(救急車の要請など)
病院へ通院する
事故現場ではなんともないと思っていても、数日後に体に異常が現れ病院で診てもらった結果、実は重症だったといいうことがあります。
事故で体をぶつけたり、大きく揺さぶられたりしているのであれば、後になって痛みが発生することもあります。
本来であれば、事故の当日・翌日には診察を受けるべきですが、事故後であっても、少しでも体に異常があれば速やかに病院を受診し、必要があれば通院すべきです。
保険会社へ連絡する
ご自身の契約している保険会社に事故があったことを報告しましょう。
保険会社の担当者から、今後の治療や車の修理などで使える保険、これからの対応の流れなどについて案内してもらえます。
相手方にも損害が発生している場合には、保険会社に相手方の損害についての対応をお願いすることもできます。
弁護士費用特約に加入している場合には、弁護士に一度は相談することを強くお勧めしますので、今後の弁護士への相談・依頼をスムーズに行うためにも一度、保険会社に連絡をしておいた方が良いでしょう。
いずれにせよ、ご加入の保険会社へ連絡をしておくのが無難です。
相手方へ連絡する
交通事故の直後、相手と連絡先を交換していると思いますので、警察へ連絡したことや保険会社へ連絡したことを相手方へ連絡しましょう。
警察や保険会社へ報告をする際に相手方の情報の詳細が必要となるため、追加で確認が必要であれば適宜相手方に確認をすることになります。
目撃者などの関係者への連絡する
事故現場の目撃者と連絡先を交換している場合には、目撃者対しても、事故を警察へ報告したことを、伝えておいた方が良いでしょう。
例えば、目撃者に事故の状況について警察官に対して証言してもらえると、重要な証拠となります。
また、交通事故から時間が経つと、目撃者の記憶が薄れていきますので、可能な限り早く対応をしましょう。
交通事故証明書を入手する
保険会社に提出するために、交通事故証明書を入手する必要があることもあります。
通常の場合、交通事故後に警察に連絡すると、警察が事故に関する手続きを行い、後日、交通事故証明書が作成されます。
交通事故証明書は、自動車安全運転センターで入手することができます。
事前に保険会社に連絡をしている場合には、ご自身の代わりに保険会社が取得してくれることもあります。
弁護士に相談する
事故直後に警察に事故の連絡をせず、時間が経過して、賠償金の問題が難航しているなど自力での解決が困難な場合は、交通事故に詳しい専門家に必ず相談をしましょう。
弁護士に依頼を行えば、事故があったことを証明するためにどのような証拠が必要になるのかのアドバイスを受けたり、証拠集めを任せたり、相手方と交渉を任せたりすることができます。
事故で警察呼ばなかった場合の知恵袋
後日の警察連絡でも慰謝料の請求はできる?
慰謝料を請求するために必要な条件は、事故が原因で通院することなので、警察へ報告することは必須ではありません。
もっとも、警察への報告をしていない場合には、保険会社が事故が存在しているか確認できないとして、慰謝料の支払いを拒否する可能性もあります。
事故から時間が経ってしまうと、警察から事故の存在が確認できないと言われ、保険会社からも警察が確認できないなら支払いを拒否することもあります。
さらに、裁判を起こしても、事故が原因で治療がされたと認められず、被害者自身で治療費を負担する危険性もあります。
物損事故は後日に通報できますか?
もっとも、後日連絡すると以下のリスク・デメリットがありますので可能な限り速やかに通報するべきでしょう。
- 事故の存在が証明できない可能性がある
- 報告義務違反として犯罪になる可能性がある
- 事故と怪我との関係が証明できず、賠償金が受け取れない可能性がある
車事故で警察を呼ばなかった場合、後日連絡でも大丈夫?
車事故があった場合、速やかに警察に連絡をすべきです。
もっとも、後日であっても警察に連絡したほうが良いでしょう。
まとめ
これまで、事故で警察を呼ばなかった場合のデメリットや、後日でも警察に連絡をした方が良い理由について解説しました。
交通事故を起こしてしまって加害者となってしまった時には、気が動転して逃げたくなる気持ちは十分に理解できるところです。
しかし、警察に報告しないで逃げてしまうと、犯罪となったり、保険会社が対応してくれなかったりと非常にデメリットが大きいです。
もちろん、交通事故を起こさないのが一番ですが、万一、交通事故を起こしてしまった場合には、速やかに警察へ連絡したり、救急車を呼んだり、適切な対応をするべきです。
その後、何か困ったことがあれば、一度は、交通事故に詳しい弁護士に相談をすべきでしょう。
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