交通事故で通院4ヶ月。慰謝料はいくら?わかりやすく解説

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

交通事故で4ヶ月通院した場合、慰謝料の相場は、骨折などの重傷の場合は90万円、むちうちや打撲などの軽傷の場合は67万円です。

この記事では、交通事故における慰謝料の適正な計算方法のほか、慰謝料を受け取るために知っておいていただきたいポイントや手続き等について詳しく説明しています。

交通事故の被害者の方が受け取るべき慰謝料の正しい金額がわかると思いますので、参考にしていただければと思います。

通院4ヶ月の交通事故の慰謝料は?

通院4ヶ月の慰謝料の相場

交通事故の被害に遭った方は、加害者に対して慰謝料を請求することができます。

慰謝料は、交通事故に遭った方の精神的な損害を償うための賠償金のことです。

交通事故によって4ヶ月通院した場合にもらえる慰謝料の相場は、骨折などの重傷の場合は90万円、むちうち(捻挫)・打撲などの軽傷の場合は67万円です。

これは、「弁護士基準」に基づいて計算した金額となります。

一方、加害者側の保険会社は、この弁護士基準に基づいた相場よりも低い金額の慰謝料の支払いを提示してくるのが一般的です。

相場どおりの高額かつ適正な慰謝料を支払ってもらうためには、慰謝料の適正な計算方法や気をつけるべきポイント、その他必要となる手続きなどをしっかりと理解しておく必要があります。

 

交通事故入通院慰謝料の早見表

交通事故入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をした被害者が、入院や通院をした場合に加害者側に請求できる慰謝料のことです。

この後で説明する弁護士基準という慰謝料の計算基準では、入通院慰謝料は、入院期間・通院期間を基礎として算定しています。

弁護士基準は、以下のように、重傷(骨折、脱臼など)の場合に用いられる表と、軽傷(むちうち、打撲など)の場合に用いられる表の2種類の表によって、入通院慰謝料を計算するものです。

表1:重症(骨折・脱臼など)の場合

重傷(骨折、脱臼など)の場合に用いられる表

表2:軽傷(むちうち・打撲など)の場合

軽傷(むちうち、打撲など)の場合に用いられる表

早見表はこう見る
  • 早見表の「1ヶ月」とは、30日を意味します。(そのため、通院した月数が「4ヶ月」の場合は120日となります。)
  • 入院はせずに、通院のみの場合における慰謝料は、この表の一番左の列の「通院した月数」の欄を見て、該当する通院月数の部分の金額が基準となります。
  • 入院と通院の両方をした場合の慰謝料は、「入院した月数」と「通院した月数」とが交わる欄の金額が慰謝料の基準となります。

この早見表によれば、4ヶ月通院した場合における慰謝料の相場は、骨折などの重傷の場合は90万円、むちうちなどの軽傷の場合は67万円です。

 

 

スマホで簡単!慰謝料の自動計算ツール

この後の説明をお読みいただければ、交通事故の慰謝料の適正な計算方法などについて詳しく知ることができます。

しかし、ご自身が支払ってもらえる慰謝料の概算額を少しでも早く知りたいという被害者の方もいらっしゃると思います。

以下の自動計算ツールでは、交通事故の慰謝料を含めた賠償金の適正額をスマホで簡単に計算することができます

この自動計算機は慰謝料以外の賠償金についても計算することができます。

ご利用は無料ですので、ご自身の慰謝料や賠償額の概算額を知りたい方はぜひご利用ください。

 

 

通院4ヶ月の慰謝料の計算方法

慰謝料には3つの基準がある

交通事故によって通院や入院をした被害者の方は、加害者側に入通院慰謝料を請求することが可能です。

入通院慰謝料が具体的にどれくらいの金額となるかに関しては、①自賠責保険基準、②任意保険基準、③弁護士基準(裁判基準)という3つの計算基準があります。

慰謝料の3つの基準

①自賠責保険基準とは、自賠責保険における慰謝料などの賠償金の計算の基準です。

3つの基準のうち、最も低い金額となっています。

②任意保険基準とは、各任意保険会社が個別に定めている慰謝料などの賠償金の計算の基準です。

任意保険会社ごとに金額は若干異なりますが、自賠責保険基準と同程度か、少しだけ高額となっています。

③弁護士基準(裁判基準)とは、これまでの交通事故において裁判所が判断した内容に基づき定められた慰謝料などの賠償金の計算の基準です。

弁護士が被害者に代わり加害者側と示談交渉をする場合に用いる基準なので、「弁護士基準」といいます。

実際の裁判では裁判所もこの基準によって賠償額を算定しているため、「裁判基準」とも呼ぶことがあります。

以下で説明するように、3つの基準の中で最も慰謝料が高額となるのは、弁護士基準です。

 

弁護士基準が最も高額かつ適正な算定方法

以下では3つの基準による慰謝料の算定方法を説明します。

以下の説明により、弁護士基準が最も高額でありかつ適正な算定方法であることがわかります。

自賠責基準による算定方法

自賠責基準の場合、通院慰謝料の算定は1日あたり一律4300円で行われます。

ここでの日数は、通院期間の日数と実際に通院した日数(実通院日数)の2倍の日数のうち、少ない日数を用いることとなります。

具体例 通院期間が4ヶ月(120日)、実通院日数が45日の場合の通院慰謝料

通院期間の日数(120日)よりも実通院日数の2倍の日数(90日)のほうが少ない日数ですので、次の計算で慰謝料を算定することとなります。

4300円 × 90日 = 38万7000円

したがって、自賠責基準による通院慰謝料の金額は38万7000円となります。

任意保険基準による算定方法

任意保険基準は、任意保険会社ごとに独自に設定された算定基準です。

各保険会社が設定している任意保険基準については非公表のため、あらかじめ具体的な金額を知ることはできません

自賠責保険基準と同程度か少しだけ高い金額となっています。

弁護士基準による算定方法

上で説明しましたとおり、弁護士基準に従って算定した場合、通院4ヶ月の場合の通院慰謝料は、重傷なら90万円、軽傷なら67万円となります。

弁護士基準は、3つの基準の中で慰謝料が最も高額となる算定基準です。

また、弁護士基準は、裁判になった場合に裁判所によって認められるであろう金額を示していることから、適正な算定基準であるといえます。

そのため、被害者の方は加害者側に対して、弁護士基準に基づいて算定した金額の慰謝料を請求するべきです。

 

 

通院4ヶ月の被害者が取得できるのは通院慰謝料だけではない!

通院4ヶ月の被害者の方は通院慰謝料以外にも、怪我が完治せずに後遺症が残った場合に遺障害に認定されれば、通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料を取得することができます

ただし、むちうちや打撲などの場合、後遺障害に認定されるためには6ヶ月程度の通院の継続が必要となることが一般的です。

また、治療費や通院のための交通費のほか、仕事を休んだりしたことによって生じた財産的な損害について、一定額の賠償金も支払ってもらうことができます。

 

後遺障害の慰謝料について

交通事故によって4ヶ月通院したものの怪我が完治せずに後遺症が残った場合は、後遺障害の等級認定の申請を行うべきです。

ただし、むちうちや打撲の場合には、4ヶ月の通院では後遺障害に認定される可能性は低いため、保険会社に治療費対応を打ち切られた後も自費で通院するなどして、一定期間治療を継続してから、後遺障害申請すべきでしょう。

後遺障害に認定されれば、入通院慰謝料に加えて、さらに後遺障害慰謝料を取得することが可能となります。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことについての精神的な苦痛に対する賠償金のことをいいます。

後遺障害とは、交通事故によって労働能力が低下または喪失して働きづらくなってしまう程度の障害であり、将来も回復の見込みがない障害のことをいいます。

後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級の程度によって、一定の金額が定められています。

弁護士基準と自賠責保険基準による後遺障害の等級ごとの慰謝料は以下の表のようになっています。

等級 弁護士基準 自賠責保険基準
14級 110万円 32万円
13級 180万円 57万円
12級 290万円 94万円
11級 420万円 136万円
10級 550万円 190万円
9級 690万円 249万円
8級 830万円 331万円
7級 1000万円 419万円
6級 1180万円 512万円
5級 1400万円 618万円
4級 1670万円 737万円
3級 1990万円 861万円
2級 2370万円 998万円
(要介護の場合、1203万円)
1級 2800万円 1150万円
(要介護の場合、1650万円)

後遺障害慰謝料は、認定される後遺障害の等級ごとに金額が定められています。

例えば、交通事故の後遺障害のうち認定件数が多いのは後遺障害の等級14級ですが、14級と認定された場合、後遺障害慰謝料の弁護士基準による相場は110万円です。

しかし、加害者側の保険会社は、この弁護士基準による後遺障害慰謝料の相場での金額を提示してくることはほぼありません

このことから、最も高額かつ適切な計算方法である弁護士基準による後遺障害慰謝料の取得を目指すべきです。

 

慰謝料以外の損害項目について

交通事故の慰謝料とは、被害者が交通事故で怪我をしたことに対する精神的な損害に対する賠償金ですので、交通事故による経済的な損害を賠償するものではありません。

そのため、交通事故で通院4ヶ月の被害者は、慰謝料のほかにも、経済的な損害についての賠償金を請求することができます。

以下では、交通事故の被害に遭われた方が経済的な損害について賠償請求することができるものについて説明します。

損害項目 内容
積極損害 治療費 怪我などの治療にかかる費用
通院交通費 通院のための交通費
通院付添費 通院の際に付き添いが必要な場合の費用
装具・器具の購入費 コルセットや車椅子などの購入費
弁護士費用 裁判になった場合の弁護士費用
休業損害 仕事を休んだことによる損害
逸失利益 後遺症により将来得られるはずなのに得られなくなった利益

 

治療費や通院交通費などの積極損害

積極損害とは、交通事故の被害者の方が実際に支払った費用のことです。

例えば、治療費、通院の際にかかった交通費、コルセットや車椅子の購入費などが積極損害に該当します。

治療費

交通事故による怪我の治療をした場合、加害者側に治療費を請求することができます。

治療費は、必要かつ相当な範囲である場合は全額請求できます。

通院交通費

交通事故の怪我の治療のために通院し、交通費がかかった場合、加害者側にその交通費(通院交通費といいます)も請求することができます。

電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、その実費を請求することができます。

自家用車を利用した場合は、自宅から病院等の医療機関までの距離1kmあたり15円を請求することができます。

通院付添費

通院付添費は、被害者の方の状況(怪我の程度や年齢など)により、通院する際に誰かの付き添いが必要だと認められる場合に請求することができます。

1日あたり3300円を請求できます。

装具や器具(コルセット、車椅子など)の購入費

コルセットや車椅子などの装具・器具などの購入費は、医師の指示によって購入したのであれば、加害者側に請求可能です。

ただし、被害者の方の判断によって購入した場合には、保険会社から購入費の支払いが拒否される可能性があります。

弁護士費用

弁護士費用については、訴訟を提起して裁判となった場合、裁判所が認める損害額の約10%が損害として認められる可能性あがあります。

 

休業損害

休業損害とは、交通事故に遭い怪我をして通院や入院をしたために、仕事を休んだり遅刻や早退をすることを余儀なくされ、給料の全部または一部をもらうことができなかった損害のことです。

休業損害の基本的な計算方法は以下のようになります。

休業損害 = 収入日額 × 休業日数

収入日額や休業日数は、被害者の方の職業に応じてカウントの仕方が異なります

休業損害についても、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準のそれぞれで金額が異なっており、最も高額なのは弁護士基準となっています。

自賠責保険基準の場合

自賠責基準の場合、休業損害の金額は原則として1日あたり6100円で計算します。

ただし、6100円を超えることを給与明細や源泉徴収票などによって証明することができた場合には、1日あたり1万9000円が上限額となります

任意保険基準の場合

任意保険基準は各保険会社が独自に設定している基準であり、非公開とされています。

自賠責保険基準と同程度か若干高い程度であり、弁護士基準よりも低い金額です。

弁護士基準の場合

弁護士基準では、被害者の方の勤務先の会社が作成した「休業損害証明書」を基礎として、休業損害を計算します。

具体的には、事故前直近3ヶ月の給与の総額を3ヶ月の稼働日数(出勤日数)で割って1日単価を算出し、休業日数を乗じて計算します。

 

逸失利益

交通事故に遭って後遺症が残った場合は、上で述べた後遺障害の慰謝料だけでなく、逸失利益も支払ってもらうことができます。

逸失利益とは、本来得られるはずの利益が後遺症によって得られなくなった場合の損害のことです。

逸失利益の計算は以下の計算方法によって行います。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力の喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入とは、被害者が得られる見込みがあった収入のことです。

基本的には事故前年の年収額を基礎収入として計算することになります。

サラリーマン等の給与所得者の場合は源泉徴収票の「支払金額」を、個人事業主の場合は確定申告の「所得金額」を基礎収入とするのが原則となります。

 

賠償金はいくら?自動計算機で算定しよう!

通院4ヶ月の被害者の方は慰謝料以外にもさまざまな経済的な損害についての賠償金を取得することができます。

加害者側との示談交渉に臨む際には、ご自身のケースにおける具体的な賠償金の額を計算しておくことが重要です。

以下の自動計算器を利用すれば、ご自身の慰謝料以外の賠償金についての概算額をいち早く知ることができますので、積極的にご利用ください。

 

 

通院4ヶ月の被害者が慰謝料を受け取るための手続

通院慰謝料を取得する流れ

以下は、交通事故の発生から通院慰謝料を取得するまでの流れです。

通院慰謝料を取得する流れ

交通事故によって怪我をしたり痛みを感じたりしたときは、必ずただちに病院に行くべきです。

治療の必要がある場合には、通院または入院をして、継続して治療をすることとなります。

治療継続の結果、怪我が治ったり痛みがなくなった場合には、治療は終了となり、その段階で加害者側との示談交渉を開始することとなります。

治療を継続しても怪我や痛みが治らない場合には、症状固定という状態になります。

症状固定とは、「これ以上治療を継続したとしても症状が改善することは見込めない状態」のことをいいます。

症状固定となった場合は、後遺障害の申請をします。

そして、後遺障害が確定した後に加害者側と示談交渉を行うこととなります。

加害者側との示談交渉については、加害者が任意保険に加入している場合には、その任意保険会社との間で賠償金の金額について話し合うこととなります。

加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者本人と直接、示談交渉を行います。

示談交渉によって示談が成立した場合、通院慰謝料を取得することとなります。

示談交渉がうまくいかず決裂した場合には、裁判などによる解決を目指すこととなるでしょう。

解決後に通院慰謝料を取得することとなります。

 

通院慰謝料を取得するための書類

示談交渉の際には、加害者側の任意保険会社が慰謝料の金額を提示してくるのが一般的です。

そのため、通常は被害者の方が明細や書類を用意する必要はありません。

ただし、任意保険会社に対して慰謝料を請求するのではなく、加害者の自賠責保険会社に対して被害者請求によって慰謝料を請求する場合には、被害者の方で以下のような書類を用意する必要があります。

  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診断書
  • 診療報酬明細書
  • 自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書
  • 印鑑証明書

これらの書類の様式は、加害者の自賠責保険に連絡すれば郵送してもらうことが可能です。

加害者の自賠責保険会社は、交通事故証明書に記載されています。

なお、休業損害や通院交通費などを請求する場合は別途書類が必要になります。

交通事故証明書

交通事故証明書は、そこに記載された内容の交通事故が発生したことを証明する書類です。

交通事故を受けつけた警察署、事故発生日時や発生場所、事故の当事者である被害者および加害者の情報などが記載されます。

交通事故の発生時に警察に届け出をすることによって、交通事故証明書が作成されます

交通事故証明書は自動車安全運転センターから取り寄せて入手することができます。

なお、示談交渉を加害者側の任意保険会社との間で行うケースにおいては、任意保険会社がすでに交通事故証明書を取得しています。

この場合、任意保険会社から交通事故証明書の写しを、原本正面印を押してもらったうえで送ってもらうよう伝えましょう。

事故発生状況報告書

事故発生状況報告書は、被害者の方がご自身で、交通事故の発生状況を詳しく記載して作成する書類です。

作成にあたっては、交通事故が発生した場所の住所や、現場の道路状況(見通しの良し悪し、道路幅など)を記載します。

そのうえで、事故現場における加害者の自動車と被害者の方の状況を、図を作成することによって示してし、その図についての説明を文章で行います。

事故発生状況報告書の書式は入手することができます。

診断書

診断書は、診察した医師が被害者の症状等を記載した書類です。

診断書は病院が作成するため、病院に依頼することで入手することができます。

診断書も、加害者側の任意保険会社との間で示談交渉をするケースでは、任意保険会社がすでに診断書を取得していることがありますので、任意保険会社に確認しましょう。

なお、病院ではなく整骨院へ通院した場合には、整骨院に施術証明書の作成を依頼して入手する必要があります

診療報酬明細書

診療報酬明細書は、病院で行われた治療の内容等が記載されている書類です。

この書類も診断書と同じく病院が作成するため、病院に依頼することで入手することができます。

また、加害者側の任意保険会社がすでに取得して所持していることともあるため、任意保険会社に確認しましょう。

通院交通費明細書

通院交通費明細書は、通院の際における通院方法(徒歩、公共交通機関、タクシー、自家用車など)を被害者の方自身が記載した書類です。

通院交通費明細書の書式は保険会社から入手することができます。

自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書

自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書は、被害者の方が、ご自身と加害者の氏名や住所等や、賠償金の振込口座等を記載する書面です。

自賠責保険に被害者請求をする場合に必ず必要となる書類です。

印鑑証明書

被害者の方の印鑑証明書は、通院慰謝料の請求にあたっての必要書類となります。

 

通院慰謝料を取得するための証拠

通院慰謝料の具体的な金額の計算は、交通事故による怪我や体の痛みが発生してから治療の終了または症状固定までの間の通院期間を基礎として行われます。

そのため、通院慰謝料を取得するにあたっては、通院期間を証明する書類が証拠として必要となります。

通院期間を証明する証拠となるのは、診療報酬明細書、領収書などです。

 

通院慰謝料を取得するための費用

実費

通院慰謝料を請求する際には、交通事故証明書や事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書などが必要となります。

通院慰謝料を取得の際には、これらの文書を取得するための交付手数料、切手代などが実費としてかかります

これらの文書を取得するためにかかった費用は、慰謝料とは別に文書料・文書費用として加害者側に請求可能です。

弁護士費用

弁護士基準によって計算した通院慰謝料・損害金が最も高額で適正な金額ですので、被害者の方は弁護士基準に従った金額の支払いを受けるべきです。

もっとも、加害者側の任意保険会社は、高額な弁護士基準による金額を慰謝料として支払うことを簡単には受け入れてくれません。

そのため、説得力のある主張や根拠を提示して任意保険会社と示談交渉をする必要があります。

示談交渉の専門家であり経験が豊富な弁護士に依頼すれば、任意保険会社との示談交渉がまとまって弁護士基準による高額な通院慰謝料を取得できる可能性が高くなります

このように示談交渉を弁護士に依頼した場合には費用(弁護士費用)がかかります。

ただし、以下で説明するように、弁護士費用の負担を減らす方法があります。

 

弁護士費用の負担を減らすには

無料法律相談の利用

弁護士に依頼すると高額な弁護士費用がかかってしまい、通院慰謝料を取得してもほとんど手もとに残らないのではないかと不安になる方もいらっしゃるかと思います。

弁護士へ依頼する前に、まずは法律相談を利用してどのくらいの弁護士費用がかかるのかを確認しましょう

法律相談は基本的には有料となりますが、無料法律相談を利用することで、法律相談が一定の範囲で無料になります。

無料となった分だけ費用の負担が減ることとなりますので、積極的に無料法律相談を利用することをお勧めします。

弁護士費用特約の利用

弁護士費用特約とは、交通事故の加害者側との示談交渉や裁判等を弁護士に依頼する場合にかかる弁護士費用を、被害者に代わって保険会社が支払うという特約です。

弁護士費用特約を利用することで、被害者の方は弁護士費用を負担することなく、交通事故の示談交渉等を弁護士に依頼することができます

なお、弁護士費用特約の保険金額には上限額があります。

1つの事件で1名につき300万円まで支払われることが一般的です。

もっとも、通院4ヶ月の場合の慰謝料の請求では、弁護士費用がこの上限額を超えることはほぼありません

そのため、弁護士費用特約を利用することで、たいていの場合は被害者の方の自己負担がゼロ円で弁護士に依頼することができます。

積極的に弁護士費用特約を利用するとよいでしょう。

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通院4ヶ月の被害者が気をつけたいNG行動

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必要かつ適切な日数の通院をしない

通院期間が4ヶ月であっても、実際に通院した日数があまりにも少ない場合には、通院慰謝料が減らされてしまう可能性があります

通院日数が少ないということは、怪我はすでに治っている、通院の必要はなかった、もっと頻繁に通院していれば4ヶ月も通院する必要はなかった、などと判断されるおそれがあります。

その結果、通院期間はもっと短いものと考えるべきだとして、通院慰謝料が減額されてしまうことがあります。

また、反対に、怪我の程度や症状に照らして通院回数が多すぎる場合、過剰な通院をしていると判断されて、保険会社から治療費の対応を打ち切られてしまうおそれがあります。

そのため、必要以上に通院することも控えるべきです。

具体的な通院期間は、怪我の程度や治療の経過などを考慮して主治医の指示に基づいて決定されますので、必要かつ適切な通院日数というのは個々のケースによって異なります。

一般的には週2回程度の通院を継続していれば、保険会社から慰謝料の減額を主張されるという事態はほとんど起きないでしょう。

 

保険会社の提示をそのまま受け入れ示談する

加害者側の任意保険会社の主張を鵜吞みにして、保険会社から提示された慰謝料や賠償金について、そのまま受け入れてしまうことは避けましょう。

保険会社は弁護士基準による相場よりも低額な慰謝料額を提示してくるのがほとんどです。

保険会社の提示する金額をそのまま受け入れて示談してしまったら、適正額よりもかなり低い額の慰謝料しか受け取ることができません。

このように一度示談が成立してしまったら、後からやり直しが認められるということはほぼありません

保険会社の主張が正しいのかどうか判断することができず、保険会社の言うとおりに示談が進んでしまうということにならないように、準備しておく必要があります。

そのため、ご自身で弁護士基準による通院4ヶ月の慰謝料の金額やその他の賠償額を計算したうえで、示談交渉に臨むことが重要となります。

 

弁護士などの専門家に相談せずに自分で全部解決しようとする

通院慰謝料やその他の損害賠償金についての示談交渉の相手となる保険会社は、示談交渉について簡単には譲歩してくれません。

被害者の方が保険会社との示談交渉を最初から最後まで一人で進めて、ご自身が納得できる金額の慰謝料を取得しようとしても、保険会社との示談交渉は容易ではなく、思うように進まないということも多いでしょう。

示談交渉のプロである保険会社にこちらの主張を認めさせるためには、保険会社に対抗するためのさまざまな専門知識や経験が必要となります

そのため、被害者の方が弁護士などの専門家に相談せずにご自身ですべてを解決することは、かなり難しいのです。

示談交渉には多大な時間や労力がかかりますので、ご自身一人だけで解決しようとすると、時間的にも精神的にも非常に大きな負担となってしまいます。

ご自身が納得できる解決をするためにも、分からないことや困ったことがあれば、弁護士などの専門家に早めに相談したほうがよいでしょう

 

 

通院4ヶ月の被害者が慰謝料を受け取る3つのポイント

通院4ヶ月の被害者が慰謝料を受け取る3つのポイント

① 適切な頻度や日数の通院をする

4ヶ月の通院期間において、実際に通院した日数があまりにも少ない場合や、反対に怪我や症状に比べて通院した日数が多すぎる場合、保険会社から通院慰謝料の減額を主張されてしまうおそれがあります。

ほとんどのケースでは、週2回程度の通院を継続しているならば、保険会社が慰謝料の減額を主張してくるということはありません。

適切な通院の頻度や日数はケースによって異なりますので、主治医の判断や指示のもと、治療のために必要な頻度や日数による通院をしましょう

 

② 弁護士基準によって算定した金額の慰謝料や賠償金をもらえるよう交渉する

弁護士基準が最も適正かつ高額な慰謝料や賠償金の算定方法ですが、加害者側の任意保険会社は、弁護士基準よりも低い金額の慰謝料を提示してきます

保険会社と示談交渉を行う場合には、弁護士基準による適切かつ高額な金額を支払ってもらうように明確に主張して交渉しましょう。

 

③ 交通事故に強い弁護士に相談する

交通事故の慰謝料は、最も適正かつ高額な弁護士基準による金額を主張するべきです。

しかし、被害者の方がご自身で、加害者側の任意保険会社に対して弁護士基準による金額の支払いを求めても、保険会社はその金額での支払いをすぐに了承するなどということはほとんどありません。

保険会社は多くの場合、弁護士基準よりもかなり低い金額の慰謝料の支払いを主張してきます。

保険会社から「今回のケースではこの金額以上支払うことはできません」などと強硬に主張されてしまい、被害者の方ご自身による交渉がうまくまとまらないケースも多いのです。

交通事故の専門家である弁護士が示談交渉を行えば、明確かつ妥当な根拠を示して説得的な主張によって、弁護士基準に従った慰謝料の支払いを求めることができます

その結果、被害者ご自身による示談交渉よりも多い金額の慰謝料を取得できる可能性が高まります

示談交渉は、交通事故に強い弁護士へ依頼することをご検討されたほうがよいでしょう。

 

 

通院4ヶ月と慰謝料に関する知恵袋的なQ&A

通院期間が4ヶ月の場合、慰謝料の支払いはいつ?

慰謝料は、示談交渉によって示談が成立した後に、または示談交渉では解決しないため裁判で解決を図る場合には判決が確定した後に、支払われます。

示談が成立した場合の慰謝料は、成立後から1~2週間で支払われることが一般的です。

示談が成立するまでの期間は、示談交渉の開始から早ければ1週間程度ですが、争点が複雑であったり賠償額が高額であったりする場合は、半年以上かかることもあります。

裁判で解決を図った場合の慰謝料は、判決が確定してから1か月程度で支払われます。

判決が確定するまでの期間は、通常、訴訟を提起してから1年以上かかります。

 

通院期間が4ヶ月の場合の通院回数に制限は?

通院回数には特に制限はありません

ただし、気を付けていただきたいのは、治療に必要な回数を超えて通院した場合、加害者側からその分の治療費を支払ってもらうことができないということです。

治療の必要がないのに通院をしても治療費はご自身の負担となってしまう可能性があるのです。

また、通院回数が過剰な場合、加害者側の保険会社から治療費の対応を打ち切られるおそれもあります。

そのため、主治医の指示に従って適切な回数の通院をするようにしましょう。

 

通院期間が4ヶ月の場合の通院の頻度は週何回が適切?

怪我の程度や治療の経過などにもよりますが、一般的には週2~3回の通院が適切でしょう。

通院期間が4ヶ月だとしても、例えば月に1、2回程度しか通院していないなど、通院回数や頻度があまりにも少なすぎる場合には、通院慰謝料の計算に際して4ヶ月よりも短い通院期間で計算されてしまうことがあります。

加害者側の任意保険会社としては、実際には4ヶ月も通院する必要はなかっただろうと判断するからです。

また、その反対に、ほぼ毎日通院するなどあまりにも多い回数の通院をした場合も、不必要な通院をしていると判断され、保険会社による治療費の対応が打ち切られてしまうこともあり得ます。

週2~3回の通院であれば、弁護士基準による適正な金額の通院慰謝料をもらうことができます。

なお、適正な通院の頻度については個別の事情によって様々ですので、主治医の判断・指示に従うようにしましょう

 

むちうちで4ヶ月で打ち切り、どうすればいい?

保険会社による治療費の打ち切りがあったとしても、それによって治療を終了しなければならないというわけではありません。

症状が残っており治療の必要性があるのであれば、治療費の打ち切り後も、完治するまで、または症状固定(これ以上治療を継続しても大きな改善が見込めない状態)となるまでの間、引き続き治療を継続することを検討しましょう。

なお、打ち切り後に治療を継続した場合、治療費は自己負担になります。

ただし、加害者側の保険会社に対して自己負担となった治療費を請求できる場合があります。

 

 

 

まとめ

以上が、通院4ヶ月の交通事故の慰謝料について、交通事故における慰謝料の適正な計算方法のほか、慰謝料を受け取るためのポイントや手続き等になります。

交通事故によって4ヶ月通院した場合の慰謝料は、骨折などの重傷の場合は90万円、むちうちや打撲などの軽傷の場合は67万円が弁護士基準による相場となります。

交通事故の被害に遭われた方は、加害者側の任意保険会社から提示された慰謝料の金額をそのまま受け入れるべきではありません。

慰謝料を含めた賠償金の適正金額を知ったうえで、適正な金額の賠償金を支払ってもらうよう交渉することが重要となります。

当事務所では、交通事故事件について経験が豊富な弁護士が、相談から事件処理までの全ての対応を行っています。

来所によるご相談はもちろんのこと、電話相談やオンライン相談(LINE、Meet、Zoomなど)によるご相談も全国対応しております。

交通事故の慰謝料についてお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

 

 

慰謝料


 
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