後遺障害9級の逸失利益はいくら?弁護士が解説|計算ツール
後遺障害9級の逸失利益は、「基礎収入 ✕ 35% ✕ 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算します。
逸失利益とは、交通事故によって、被害者に後遺障害が残らなかければ・亡くならなければ、将来得られるはずであった収入・利益に対する補償のことをいいます。
損害賠償の対象となる後遺障害は、十分に治療をしても完治せずに残ってしまった症状について、後遺障害の等級認定を受けたものである必要があります。
逸失利益は、被害者の方の交通事故前における基礎収入をベースに、後遺障害を負ったことでどれだけ労働能力が落ちたか(労働能力喪失率)、及び、今後何年間に亘り労働能力が低下した状態が続くか(労働能力喪失期間)を掛け合わせることで算出されることになります。
以下では、後遺障害9級と認定された場合の逸失利益の金額やその計算方法などについてお伝えしていきますので、参考にされてください。
逸失利益とは?
後遺障害逸失利益とは
逸失利益とは、交通事故によって被害者に後遺障害が残らなかければ・亡くならなければ、将来得られるはずであった収入・利益に対する補償のことです。
交通事故の逸失利益は、後遺障害の逸失利益と、死亡の逸失利益の2種類に分けられます。
後遺障害9級で問題になるのは、後遺障害逸失利益です。
まず、後遺障害逸失利益とは、交通事故により後遺障害が残ることで、将来の収入が減ってしまうことに対する補償です。
交通事故により負傷して治療を継続するも、むなしくケガが完治せず後遺症が残ってしまうというケースは少なくありません。
事故の前と同じ業務を同じ時間続けられなかったり、仕事自体を退職せざるをえなかったりする可能性があります。
こうした場合、事故がなかったとすると稼ぎ続けられた収入が減少してしまうことになるため、そのような減少分が後遺障害の逸失利益として補償されます。
後遺障害逸失利益は、自賠責保険や裁判所から後遺障害の認定を受けなければ請求することはできません。
後遺障害の内容、被害者の方の職業、年齢、性別、事故以前の収入などによって金額は異なります。
詳しくは後ほどご説明しますが、逸失利益は、被害者の方の交通事故前における基礎収入をベースに、後遺障害を負ったことでどれだけ労働能力が落ちたか(労働能力喪失率)、及び、今後何年間に亘り労働能力が低下した状態が続くか(労働能力喪失期間)を掛け合わせることで算出されることになります。
後遺障害とは?
損害賠償ができる後遺障害は、一般的にいわれている後遺症とは異なる意味を持っています。
一般的に後遺症とは、交通事故でケガをして病院で治療したものの完治せずに残った症状のことを指すことが多いと思われます。
上記に対して、交通事故の後遺障害は、
- 受傷した傷害が治ったとき身体に存する障害が
- 交通事故とその症状固定状態との間に相当因果関係があり、
- その存在が医学的に認められるもので、
- その程度が自賠法施行令の等級に該当するもの
と定義されています。
症状固定とは、これ以上治療を継続してもその効果が期待できない状態で、残った症状がほぼ良くも悪くもならない最終状態のことをいいます。
保険会社から「そろそろ症状固定なので治療費を打ち切りたい」と打診を受けることがありますが、医学的な面での症状固定は医師が判断する事柄であるため、主治医と相談しながら適切に診断してもらうことが重要です。
後遺障害等級には1級〜14級があり、等級が上がるほど重い後遺障害とされます。
等級認定の基準は、身体の部位別に10種類に分類したうえで、各部位をさらに機能ごとに分類して全部で35の系列に分けられています。
後遺障害等級を認定するのは医師ではなく、通常は損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が行っています。
以上より、賠償を受けられる後遺障害というためには、十分に治療をしても完治せずに残ってしまった症状について、後遺障害の等級の認定を受けたものである必要があります。
なお、後遺障害についてより詳細にお知りになりたいという方は、以下のページ内で詳しく説明しておりますので、ぜひチェックしてください。
後遺障害9級で逸失利益はいくらもらえる?
逸失利益をシミュレーターで簡単に計算
ご自身の事故の事案で逸失利益の金額を素早く計算したいという場合には、以下でご紹介する交通事故賠償金計算シミュレーターで計算することができます。
逸失利益は、被害者の方の交通事故前における基礎収入をベースに、後遺障害を負ったことでどれだけ労働能力が落ちたか(労働能力喪失率)、及び、今後何年間に亘り労働能力が低下した状態が続くか(労働能力喪失期間)を掛け合わせることで計算することができます。
計算式を解説されてもどのような数字を当てはめていいのかよく分からないと思います。
そこで、この自動計算機を用いれば、ご自身の収入や後遺障害等級などの必要項目を入力するだけで、おおよその逸失利益の金額を算出することができます。
さらに、後述するとおり、交通事故の被害者は逸失利益以外の損害についても賠償請求をすることができます。
具体的には、医療費や休業損害、慰謝料などもあわせて賠償請求しなければ、十分な損害の補償を受けたことにはなりません。
そこで、この交通事故賠償金計算シミュレーターを利用すれば、逸失利益以外の賠償金についても概算を算出することができます。
加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は、適正・妥当な金額よりも低額なものである可能性があります。
提示された金額を鵜呑みにして安易に示談に応じてしまわないように、ご自身が受け取れる適正な賠償金の相場を示談前に確認しておく必要があります。
逸失利益の計算方法
逸失利益の計算式
逸失利益の計算は、次の計算式で算出されます。
逸失利益を求めるには、以下の3つの要素を適切に判断する必要があります。
- ① 基礎収入
- ② 労働能力喪失率
- ③ 喪失期間に対応するライプニッツ係数
上記3つの要素について、わかりやすく解説いたします。
①基礎収入とは、被害者がどの程度の収入を得る見込みがあるかどうかということです。
つまり、被害者が交通事故にあった時点でどの程度の年収額であったかということがポイントとなります。
以下は主な職業についての基礎収入の考え方をまとめたものです。
- 会社員の場合
会社員などの給与所得者は、事故前年の源泉徴収票の「支払金額」の金額を基礎収入とします。
手取りではなく、税金などが差し引かれていない額面の金額です。 - フリーランスの場合
事故前年の確定申告の「所得金額」を基礎収入とします。 - 会社役員の場合
会社役員の場合、事故前年の報酬額を参考にして基礎収入を決定します。
役員報酬は、働いていることに対する報酬として「労務対価部分」、会社の利益を配当する意味合いでの報酬として「利益配当分」があります。
逸失利益の基礎収入として認められる分としては「労務対価部分」のみです。 - 専業主婦の場合
専業主婦の場合は、女性の平均賃金額を基礎収入として計算します。
賃金センサスについて詳しくはこちらをご覧ください。
基礎収入について、くわしくお調べになりたい方はこちらのページをご参照ください。
労働能力喪失率とは、事故前の健康な状態を100%として、後遺障害が残ったことで、どの程度、仕事がやりづらくなったかを表すものです。
労働能力喪失率は、認定された後遺障害の等級に応じて、一応の喪失率の目安が決まっています。
後遺障害9級の場合は「35%」と決められています。
逸失利益の補償を受ける場合、未来に得るはずだったお金を先に一時金としてもらうことになります。
先にもらったお金を運用すれば、利息がつくことになるので、公平の観点から、この将来の利息による増額分は控除すべきと考えられています。
この利息のことを、中間利息といいます。
中間利息を控除するための係数をライプニッツ係数というのです。
ライプニッツ係数表(法定利率3%)
労働能力 喪失期間 (年) |
係 数 | 労働能力 喪失期間 (年) |
係 数 |
1 | 0.9709 | 44 | 24.2543 |
2 | 1.9135 | 45 | 24.5187 |
3 | 2.8286 | 46 | 24.7754 |
4 | 3.7171 | 47 | 25.0247 |
5 | 4.5797 | 48 | 25.2667 |
6 | 5.4172 | 49 | 25.5017 |
7 | 6.2303 | 50 | 25.7298 |
8 | 7.0197 | 51 | 25.9512 |
9 | 7.7861 | 52 | 26.1662 |
10 | 8.5302 | 53 | 26.3750 |
11 | 9.2526 | 54 | 26.5777 |
12 | 9.9540 | 55 | 26.7744 |
13 | 10.6350 | 56 | 26.9655 |
14 | 11.2961 | 57 | 27.1509 |
15 | 11.9379 | 58 | 27.3310 |
16 | 12.5611 | 59 | 27.5058 |
17 | 13.1661 | 60 | 27.6756 |
18 | 13.7535 | 61 | 27.8404 |
19 | 14.3238 | 62 | 28.0003 |
20 | 14.8775 | 63 | 28.1557 |
21 | 15.4150 | 64 | 28.3065 |
22 | 15.9369 | 65 | 28.4529 |
23 | 16.4436 | 66 | 28.5950 |
24 | 16.9355 | 67 | 28.7330 |
25 | 17.4131 | 68 | 28.8670 |
26 | 17.8768 | 69 | 28.9971 |
27 | 18.3270 | 70 | 29.1234 |
28 | 18.7641 | 71 | 29.2460 |
29 | 19.1885 | 72 | 29.3651 |
30 | 19.6004 | 73 | 29.4807 |
31 | 20.0004 | 74 | 29.5929 |
32 | 20.3888 | 75 | 29.7018 |
33 | 20.7658 | 76 | 29.8076 |
34 | 21.1318 | 77 | 29.9103 |
35 | 21.4872 | 78 | 30.0100 |
36 | 21.8323 | 79 | 30.1068 |
37 | 22.1672 | 80 | 30.2008 |
38 | 22.4925 | 81 | 30.2920 |
39 | 22.8082 | 82 | 30.3806 |
40 | 23.1148 | 83 | 30.4666 |
41 | 23.4124 | 84 | 30.5501 |
42 | 23.7014 | 85 | 30.6312 |
43 | 23.9819 | 86 | 30.7099 |
令和2年3月31日以前に発生した交通事故の場合には、以下の係数表を使用して計算します。
▼こちらをクリック
-
令和2年3月31日以前に発生した交通事故の損害賠償請求に適用する表
ライプニッツ係数表(法定利率5%)ボタン
年齢 | 労働能力 喪失期間 (年) |
係 数 |
0 | 49 | 14.980 |
1 | 49 | 15.429 |
2 | 49 | 15.892 |
3 | 49 | 16.369 |
4 | 49 | 16.860 |
5 | 49 | 17.365 |
6 | 49 | 17.886 |
7 | 49 | 18.423 |
8 | 49 | 18.976 |
9 | 49 | 19.545 |
10 | 49 | 20.131 |
11 | 49 | 20.735 |
12 | 49 | 21.357 |
13 | 49 | 21.998 |
14 | 49 | 22.658 |
15 | 49 | 23.338 |
16 | 49 | 24.038 |
17 | 49 | 24.759 |
引用:別表Ⅱ-1就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省
逸失利益の計算には3つの基準がある
後遺障害逸失利益を計算するためには、
という計算式を用います。
事故の被害者が会社員の場合、1年あたりの基礎収入は、原則として事故前の実収入額(税金控除前)によります。
実収入には、給与のほかに賞与や諸手当が含まれ、源泉徴収票や所得証明書などにより証明することができます。
自営業者・フリーランスの方の場合には、事故前の確定申告の内容から1年あたりの基礎収入を決定します。
事故の被害者が専業主婦や収入を得ていない未成年の場合であっても逸失利益を請求することはできます。
そのような場合には、賃金センサスの平均賃金を基準に計算されることになります。
賃金センサスとは、政府が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、平均収入をまとめた資料のことです。
そして、後遺障害によってどれくらい労働能力が落ちたか示す割合を労働能力喪失率といいます。
後遺障害等級ごとに目安が決まっており、後遺障害9級の場合の労働能力喪失率は35%と定められています。
労働能力喪失期間は後遺障害が残ったことで十分に働けなくなった期間のことです。
基本的に「症状固定〜67歳」の年数が用いられます。
ライプニッツ係数とは逸失利益で生じる利息を控除するための係数で、労働能力喪失期間に応じてあらかじめ決められた数値を用います。
そして、「基礎収入」や「労働能力喪失率」を算出する基準として、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3基準が存在しています。
自賠責保険で賠償額を計算する自賠責基準では、被害者が有職者の場合、基礎収入は事故前1年間の収入額か賃金センサスの年収額のいずれか高い方を選択することができます。
ただし、自賠責保険はあくまで最低限の補償のためのものですので、支払いの上限額が設定されています。
後遺障害9級の場合、自賠責保険の慰謝料の上限額は249万円で、逸失利益との合計額の上限は616万円にとどまります。
任意保険基準は、加害者が加入している任意保険会社が賠償金を算定する際に用いる基準です。
任意保険基準で算定される賠償金は、自賠責基準と同程度かやや高い基準となっていると考えられますが、次の弁護士基準と比べると低額なものにとどまっています。
逸失利益は弁護士基準が最も高額化しやすい
弁護士基準は、裁判基準ともいい、仮に裁判となった場合に認められるであろうという水準です。
公平な第三者である裁判所が判断する水準ですので、合理的な額となり、被害者の納得感も得られる場合が多いかと思われます。
上で解説した9級の逸失利益の計算についても弁護士基準を前提に解説しています。
また、他の項目、特に慰謝料の算定については3つの基準の中で最も高額な基準であり、自賠責保険のように上限が設けられていないことから、結局弁護士基準の方が賠償額の合計は高額化しやすいといえます。
なお、逸失利益について詳しくお知りになりたいという方は、次のページ内で説明しておりますので、ぜひチェックしてください。
後遺障害9級の場合の計算例
それでは、事故の後遺障害が9級と認定された場合の具体的な逸失利益はいくらくらいになるのでしょうか。
ここでは具体的な事例を用いて計算例をご紹介します。
前述のとおり、事故の逸失利益は上記のような計算式を用いて計算することになります。
労働能力喪失率は、後遺障害により労働能力がどの程度低下したかを数字であらわしたものです。
後遺障害等級9級の労働能力喪失率は35%とされています。
※以下の例は、あくまで概算であり、事案の個別事情によって金額は変動しますので、その点、ご留意ください。
具体例 男性・会社員・事故前年の年収500万円・症状固定時42歳 事故が原因で下半身不随となってしまった(後遺障害等級9級10号)
この男性の後遺障害等級は9級10号であることから、労働能力喪失率は35%です。
後遺障害によってこの男性が働けなくなった期間は42歳から67歳までの25年となります。
労働能力喪失期間25年に対応するライプニッツ係数は23.701と定められています。
したがって、この男性の後遺障害逸失利益は、
基礎収入500万円 × 労働能力喪失率35% × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数23.701 = 逸失利益4147万5750円
と算出されます。
以上より、この男性が加害者に請求できる逸失利益は4147万5750円です。
具体例 女性・専業主婦・症状固定時50歳 事故が原因で片目の視力が0.06以下になった(後遺障害等級9級2号)
この女性の後遺障害等級は9級2号であることから、労働能力喪失率は35%です。
後遺障害によってこの女性が働けなくなった期間は50歳から67歳までの17年となります。
労働能力喪失期間の17年に対応するライプニッツ係数は13.166と定められています。
そして、専業主婦の基礎収入については、女性労働者の平均賃金に相当する財産上の収益をあげるものと推定されているため、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金が用いられることになります。
そのため、この女性の基礎収入は、394万3500円となります(令和4年度の賃金センサスを用いています)。
したがって、この女性の後遺障害逸失利益は、
基礎収入394万3500円 × 労働能力喪失率35% × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数13.166 = 逸失利益1817万2042円
と算出されます。
以上より、この女性が加害者に請求できる逸失利益は1817万2042円です。
具体例 男性・大学生・症状固定時20歳 事故が原因で高次機能障害が残った(後遺障害等級9級10号)
学生の場合、基本的には「基礎収入×労働能力喪失率×(67歳までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)」という計算式によって算定されることになります。
後遺障害等級は9級10号であることから、労働能力喪失率は35%です。
20歳から67歳までの47年に対応するライプニッツ係数は25.025と定められています。
20歳から就労開始年齢22歳までの2年に対応するライプニッツ係数は1.913となります。
そして、基本的に収入のない学生の場合は、賃金センサスの平均賃金額をもとに基礎収入の判断を行います。
被害者が高校卒業前の年少者である場合には、男性であれば男子の学歴計、全年齢平均賃金となります。
被害者が大学生の場合は、大卒の全年齢平均賃金が用いられます。
大卒の全年齢平均賃金は640万2700円です(令和4年度の賃金センサスを用いています)。
したがって、この学生の後遺障害逸失利益は、
基礎収入640万2700円 × 労働能力喪失率35% × (25.025 - 1.913)= 逸失利益5179万2720円
と算出されます。
以上より、この学生が加害者に請求できる逸失利益は5179万2720円です。
後遺障害9級で取得できる賠償金
逸失利益以外の損害賠償項目一覧
交通事故に遭われた方は、ここまで解説した逸失利益の他にも、次のような損害の賠償を請求することができます。
- 慰謝料
- 休業損害
- 積極損害
慰謝料
慰謝料とは、交通事故等によって被害者に生じた精神的損害(苦痛)を補償するものです。
慰謝料には、被害者が入通院した場合(入通院慰謝料)、後遺障害が残存した場合(後遺障害慰謝料)、死亡した場合(死亡慰謝料)の3種類があります。
慰謝料の算定基準には金額の異なる自賠責基準、保険会社基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、このうち算定金額が最も高いのが弁護士基準です。
休業損害
休業損害とは、交通事故によるケガが原因で、仕事を休んだために減ってしまった収入のことです。
有給休暇を取得した場合も休業損害による補償の対象となります。
補償額は、「1日あたりの基礎収入 × 休業日数」で計算されることになります。
治療費等の積極損害
積極損害とは、交通事故によって被害者が実際に支払わなければいけなくなった費用です。
実際に出費を余儀なくされているといえるので、積極損害と呼ばれます。
以下のような費用が積極損害に含まれる可能性があります。
- 入院通院費用、交通費、介護費用、器具の購入費等
- 診断書作成文書料、交通事故証明書、戸籍謄本や印鑑登録証明書等本人確認書類の取得にかかった手数料等
- 葬儀費用
このように、積極損害の対象となるものは多岐にわたるため、もれなく請求できるように記録やレシート・領収書を適切に保管しておくことが重要です。
逸失利益についてのQ&A
後遺障害9級16号の逸失利益はいくらですか?
後遺障害9級16号は、顔や首などに傷痕や瘢痕が残った場合に認定される等級です。
保険会社としては、顔や首に傷痕が残ったとしても、労働能力には影響しないから、逸失利益は0円であると主張してくるのです。
また、0円とまでは言わないものの、9級相当の35%の労働能力喪失率ではなく、より低い労働能力喪失率しか認められないと主張されることもあります。
こうした主張は、裁判所も認めることがあります。
したがって、被害者としては、顔に傷痕が残っていることで、仕事に支障が出ていることを具体的に主張していかなければなりません。
例えば、接客業などで、お客さんと接するような仕事に関しては、逸失利益を認めている裁判例があります。
9級16号の逸失利益の金額は、事案の個別事情によって大きく変わりますが、例えば、45歳(就労可能年数22年)、接客業、年収400万円、労働能力喪失率35%が認められる事案では以下の金額になります。
まとめ
以上、この記事では、後遺障害9級の場合の逸失利益の計算方法などについて解説しました。
交通事故で被害者の方が適正な賠償金を受け取るためには、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に依頼するべきでしょう。
当事務所には、交通事故案件を専門的に取り扱う弁護士が所属しており、相談から事件処理まで、全て専門弁護士が対応しています。
交通事故のご相談やご依頼後の事件処理は、すべて人身障害部の弁護士が対応いたしますので、安心してご相談ください。
電話相談、オンライン相談(LINE、Meet、FaceTime、Zoom)にて、全国対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。