足首捻挫による後遺症のポイント|弁護士が解説
足首捻挫をした場合には、速やかに病院を受診し、医師の指示に従って適切な頻度で通院を継続することが重要です。
きちんと治療を継続しないと後遺症が残る可能性がありますし、痛みなどが残ってしまった場合には、適切な後遺障害認定がされない可能性があります。
足首捻挫は、交通事故や労災事故でよく見られる怪我の一つで、その後に残る後遺症については注意が必要です。
この記事を読むことで、足首捻挫の注意点や後遺障害の認定のポイントについて知ることができます。
是非とも参考になさってください。
目次
足首捻挫とは
足首捻挫とは、正確には足関節捻挫(そくかんせつねんざ)といい、足首を強く捻ったり曲げたりした際に、主に靭帯や周囲の筋肉に損傷が生じる怪我のことを指します。
この怪我は、通常、急激な運動やスポーツ中の不慮の着地などによって引き起ことが多いですが、交通事故によって足首に強い力が加えられることにより、引き起こされることもあります。
足首捻挫の症状や日常生活への影響
足首捻挫の症状は、軽度から重度まで様々であり、軽度の場合には痛みや腫れなどが見られますが、重度の捻挫の場合には、激しい痛みや腫れ、靭帯の損傷や筋肉の断裂などを伴う場合があります。
足首捻挫の後遺症?チェックリスト
足首捻挫の後遺症には、痛みや腫れが持続したり、歩行や運動時に不安定感があるなど、様々な症状があります。
足首捻挫の症状について、以下のチェックリストをご参照ください。
痛みや腫れが持続する
捻挫から時間が経っても、足首の痛みや腫れがなかなか治まらない場合があります。
特に負傷直後から数週間は腫れや痛みが酷い場合がありますが、それが長期間持続する場合は後遺症が残る可能性があります。
歩行や運動時に不安定感がある
足首捻挫の後、足首が十分に回復していない場合、歩行や運動時に足首の不安定感を感じる場合があります。
特に、捻挫によって足首の筋肉や靭帯が傷つくと、その部位の強度が低下し、足首の安定性が損なわれ、日常的な活動や運動の際に支障が生じることがあります。
足首の可動域が制限される
捻挫後、足首の可動域が制限されることがあります。
足首の筋肉や靭帯の弱体化により、足首の可動域は捻挫前よりも狭くなり、特に捻挫箇所の近くで制限が生じることがあります。
足首がポキポキとなる
足首がポキポキとなる場合は、靭帯や筋肉の損傷が原因の可能性があります。
もっとも、確定的な診断は専門家によるものが必要なため、医師や理学療法士などの専門家に相談されることをおススメします。
足首捻挫の原因
足首捻挫の原因は、足首の靭帯や周囲の筋肉に損傷を引き起こすことで発生します。
その主な原因は以下の通りです。
突然の足首の捻りや曲げ
足首を突然の方向転換や曲げる動作が、捻挫の主な原因の一つとしてあげられます。
例えば、歩行中に段差につまづいて足首を捻る、または重いものを移動させる際に足首を捻るなどの状況がこれに該当します。
これらの原因によって、足首の靭帯や筋肉に異常な負荷がかかり、それが損傷や捻挫を引き起こします。
足首を地面に踏み外す
不安定な地面や不規則な地形で足首を踏み外すことが、捻挫を引き起こす原因になります。
特に不均衡な地面での作業やアクティビティ中に、足首の安定性が失われることで、捻挫が発生することがあります。
足首捻挫の主な治療法
足首捻挫の治療法は、症状の程度や患者の状態に応じて様々な方法が用いられます。
以下は、一般的な治療法になります。
捻挫直後は、安静にして足首に負担をかけないようにすることが重要です。
また、氷や冷却パックを用いて足首を冷やすことで、炎症を抑え、腫れや痛みを軽減させます。
捻挫後、足首を安定させるために包帯やサポートテープ、またはギプスなどを使用することがあります。
これにより、足首の動きを制限し、再損傷を防ぐことができます。
捻挫後のリハビリテーションは、足首の機能を回復させるために非常に重要です。
物理療法やリハビリテーションプログラムでは、ストレッチや筋力トレーニング、バランス訓練などが行われ、足首の可動域や強度の回復につながります。
治療計画は個々の患者の状態に応じて行う必要があるため、医師や理学療法士との相談を通じて、最適な治療法を選択し、効果的なリハビリテーションプランを立てるようにしましょう。
後遺障害と認定されることの重要性
交通事故や労災事故において後遺障害と認定された場合、原則として、①後遺障害慰謝料、②逸失利益を請求することができます。
一方で、後遺障害が認定されなかった場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することは大変難しくなります。
後遺障害慰謝料や逸失利益は、認定される後遺障害等級によっても異なりますが、基本的には認定されなかった場合と比べて、損害賠償額が大きく上昇します。
例えば、会社員の男性40歳の方で、年収が500万円の場合、後遺障害等級14級9号の場合と非該当の場合で以下の様な違いがあります。
認定等級 | 後遺障害慰謝料 | 逸失利益 |
---|---|---|
14級9号 | 110万円(裁判基準) | 約114万円(労働能力喪失期間5年で計算) |
非該当 | 0円 | 0円 |
上記の場合、後遺障害に認定されるかどうかで、200万円以上の差額が生じます。
後遺障害が認定されるかどうかは、損害賠償額に大きく影響するため、非常に重要なものといえます。
後遺障害の認定について、詳しく知りたい場合は、交通事故や労災事故に詳しい弁護士に相談されることをおススメします。
足首捻挫の後遺障害認定の特徴と注意点
足首の捻挫により認定される可能性のある等級は14級9号です。
14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」に該当する場合に認定されます。
「局部に神経症状を残すもの」と認定されるかどうかは、治療の経過・内容、症状の一貫性・連続性、画像所見の有無、事故の規模・態様などの事情を総合考慮して判断されます。
以下では、足首捻挫の後遺障害認定の注意点について解説します。
受傷後なるべく早い段階(事故当日もしくは翌日)に病院へ行かれることをおすすめします。
受傷してから最初の通院までの期間が空きすぎると、交通事故と受傷箇所との因果関係に疑いがあるとして、保険会社は治療費の支払いを拒否してくる場合があります。
病院が空いてなかったり、どうしても外せない用事があったとしても、最低でも1週間以内に病院に行くようにしましょう。
症状の申告に漏れがあった場合、後から申告したとしても、事故との因果関係を否定される場合があります。
病院で受診した際には、少しでも痛みがある箇所については、躊躇することなく、初診の時からできる限り正確に伝えるようにしましょう。
初めて受診したときは、痛みのある部分について、なるべくレントゲンやMRI等を撮ることをおススメします。
なるべく早い段階でレントゲンやMRIを撮ることによって、事故と怪我との因果関係について認められやすくなります
医師の指示に従い、適切な頻度で通院・リハビリを行うことが重要になってきます。
例えば、医師が週1回程度のリハビリが必要といっているにもかかわらず、月に1回のリハビリしか行わなかった場合、怪我と後遺障害との因果関係が否定されることがあります。
通院頻度やリハビリについては、医師の指示に従って行うようにしましょう。
足首捻挫の慰謝料などの賠償金
交通事故によってケガをされた場合、治療はしたものの、ケガが完治せず、ケガをした箇所について痛みなどの症状が残り続ける場合があります。
このような後遺症について、交通事故では後遺障害という等級制度を設けており、後遺障害が残ったことに対する慰謝料や逸失利益は、かかる等級を参考にして決められます。
また、後遺障害等級は、自賠責基準から算出される賠償額と弁護士基準から算出される賠償額があります。
例えば、足首捻挫によって後遺障害が残った場合について、以下の後遺障害等級、及び慰謝料が考えられます。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
足首捻挫で適切な賠償金を得る4つのポイント
足首捻挫による適切な賠償金を得るためには、以下の4つのポイントが重要です。
①適切な治療を受ける
通院慰謝料は、基本的にはこれ以上治療を行っても症状が良くも悪くもならないであろう時点、すなわち症状固定日までの通院期間・通院頻度によって算出されます。
そのため、通院慰謝料について適切な賠償金を受けるためには、適切な治療を継続的に受けることが重要となります。
医師の判断を待たずに治療を中断させてしまうと、通院慰謝料の金額に大きく影響するだけでなく、症状が悪化することにもつながりかねません。
交通事故や労災事故によって足首周辺の痛みが続く場合は、早めに整形外科等の専門の医師に相談しましょう。
通院回数と慰謝料について、詳しくは以下をご覧ください。
②適切な後遺障害等級を獲得する
足首捻挫が原因となり後遺障害認定を受けた場合、後遺障害等級については14級から8級まであり、認定等級に大きな差があります。
例えば、後遺障害等級14級9号と12級13号のどちらが認定されるかだけでも、弁護士基準で150万円以上の差額があり、適切な後遺障害等級が認定されることがいかに重要かが分かります。
後遺障害の認定について少しでも不安や疑問を感じたら、交通事故に強い弁護士に相談されることをおススメします。
後遺障害の認定と賠償額の関係について、詳しくは以下をご覧ください。
③加害者側が提示する示談内容は専門家に確認してもらう
加害者側が作成した示談内容は、判例上認められる賠償額を大きく下回っている可能性があります。
一度サインして示談してしまうと、示談をやり直すことは非常に困難であるため、しっかりと内容を確認してからサインすることが重要となります。
加害者側の示談内容については、交通事故に強い弁護士に相談されることをおススメします。
④後遺障害の認定について詳しい弁護士に相談する
適切な後遺障害認定が期待できます
弁護士が被害者請求として後遺障害の申請を行う場合、後遺障害を申請するために必要となる書類を集めるだけでなく、後遺障害が認定されるために有利となる証拠等も添付して申請を行います。
また、早い段階で弁護士に依頼することで、治療や通院に関する相談を弁護士にすることができるというメリットがあります。
交通事故を弁護士に依頼するメリットや弁護士選びのポイントについて、詳しくは以下をご覧ください。
賠償額の増額が期待できます
仮に後遺障害等級が認定されたとしても、加害者側の保険会社は、自賠責基準もしくはそれに少し上乗せした程度の慰謝料を提示する場合が多いです。
弁護士が受任することで、最も高い基準である弁護士基準で交渉することになるため、賠償金のアップが期待できます。
弁護士費用特約の活用
弁護士費用特約とは、交通事故にあった場合に相手方との交渉や裁判等を弁護士に依頼する際の費用、法律相談費用等を保険会社が支払うという保険です。
弁護士費用特約の効果として、基本的には自己負担なしで交通事故の対応を弁護士に依頼できます(なお、弁護士費用について 300万円の上限金が定められている場合が多いです)。
弁護士費用特約の適用範囲について、多くの場合、自動車保険に加入している契約者(被保険者)に加え、契約者の家族や同乗者も使用することができます。
弁護士費用特約について、詳しくは以下をご覧ください。
まとめ
- 足首捻挫とは、正確には足関節捻挫(そくかんせつねんざ)といい、足首を強く捻ったり曲げたりした際に、主に靭帯や周囲の筋肉に損傷が生じる怪我のことを指す
- 足首捻挫の後遺症には、痛みや腫れが持続したり、歩行や運動時に不安定感があるなど、様々な症状がある
- 足首捻挫の原因は、足首の靭帯や周囲の筋肉に損傷を引き起こすことで発生する
- 交通事故や労災事故において後遺障害と認定された場合、原則として、①後遺障害慰謝料、②逸失利益を請求することができる
- 足首捻挫の後遺障害認定は、認定される等級によって、請求することができる慰謝料や逸失利益の金額が大きく異なるため、適切な後遺障害等級が認定されることが重要になる
当法律事務所の人身障害部は、交通事故に精通した弁護士のみで構成されており、後遺障害に悩む被害者を強力にサポートしています。
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