足の指の骨折|過ごし方や治療法・対応法を解説
足の指の骨折は、足の指を強くぶつける、足の指の上に重いものを落とす、といった原因で起こります。
足の指を骨折した場合は、強い痛みや腫れが続くなどの症状がありますので、おかしいと思ったらなるべく早く、整形外科を受診しましょう。
足の指の骨折では、多くの場合、テーピングにより患部を固定する治療を行います。
交通事故、労災事故などで足の指を骨折した場合は、損害賠償や労災保険を請求することが可能です。
損害賠償や労災保険を請求する場合、足の指の可動域が狭くなった、痛みや痺れが残ったなどの後遺障害があれば、後遺障害等級認定を受ける必要もあります。
今回は、足の指の骨折の症状・原因・治療、骨折と打撲などの見分け方、交通事故・労災事故で足の指を骨折した場合の対処法や注意点について解説していきます。
目次
足の指の骨折の症状
足の指を骨折すると、次のような症状のいずれかが現れます。
- 強い痛みがある
- 大きく腫れあがる
- 少し触っただけで強く痛む
- おかしな方向に曲がっている
- 内出血で紫色になっている
こうした症状がある場合は、骨折が疑われますので、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。
足の指の骨折の見分け方と診断
足の指の骨折は、最初は単なる打撲だと思われて見過ごされることもあります。
しかし、次のような症状がある場合は、足の指の骨折を疑う必要があります。
腫れが大きい・痛みが強い
骨折していると、その部分が大きく腫れてきます。
痛みも、通常の打撲よりも強くなります。
場合によっては、歩けないほど痛む場合もあります。
痛みや腫れが引かない
骨折があると、痛みや腫れが簡単には引いていきません。
痛みや腫れが長引くようであれば、骨折を疑いましょう。
指が不自然な箇所で曲がっている
足の指が関節以外のところで曲がっている場合は、骨折があると思われます。
そのまま放置しておくと、不自然な形のまま骨がくっついてしまいますので、なるべく早く整形外科を受診し、処置してもらうようにしましょう。
レントゲン・CT検査で骨折の形跡がある
病院でレントゲンやCTを撮ってもらえば、骨折があるかどうかが診断できます。
画像で見れば、骨折の跡が写りますので、骨折か打撲かの診断ができます。
足の指の骨折の原因
足の指の骨折の原因としては、次のようなものがあります。
- 足の指を固いものにぶつけた
- 重いものを足の指の上に落とした
例えば、仕事中に、持っていた荷物を足の指に落とし、足の指を骨折してしまうこともあります。
このように仕事中にケガをした場合は、労災となり、労災保険を請求することができます。
労災について、詳しくは以下をご覧ください。
交通事故でも、足の指を骨折することがあります。
交通事故によって足の指を骨折した場合は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
交通事故による損害賠償を請求する手続の流れについては、以下のページをご覧ください。
交通事故や労災で足の指を骨折した場合、完治すればよいのですが、痛みやしびれ、変形が残った、足の指を動かせる範囲(可動域)が狭くなった、などの後遺障害(治療しても良くならない症状)が残ることがあります。
そのような場合には、後遺障害等級認定を受けた上で、損害賠償、労災保険などを求めていく必要があります。
足の指の骨折の治療
テーピングのみでも大丈夫?
足の指の治療は、基本的に、骨折した指と隣の指を一緒にテーピングすることにより行います。
ただ、足の指が曲がってしまっているような場合には、医師に、正しい位置に戻してもらう必要があります。
骨の損傷が激しい場合には、手術をすることもあります。
なお、テーピングのみで済む場合でも、素人が自分の判断でテーピングをすると、正しい形に戻らない、変形するなどの危険がありますので、骨折が疑われる場合は、必ず整形外科を受診しましょう。
骨折を早く治す方法はある?
骨折を早く治す方法としては、骨折している部位以外の身体を適度に動かす、十分な睡眠をとる、骨折の回復を促す食べ物を食べる、といったことが、効果があると言われています。
ただし、ケガの状況や健康状態によっては、身体を動かすことが不適切な場合もあり得ますので、担当の医師に確認してから行ってください。
足の指の骨折は全治何週間?
足の指の骨折の全治までにかかる期間は、ケガの状態により様々ですが、通常は、全治5週間前後といわれています。
足の指の骨折の日常生活への影響
足の指が骨折しても歩ける?
足の指が骨折していても、歩くことはできる場合が多いです。
ただ、足の親指を骨折している場合、他の足の指の骨折よりも重症になる傾向があり、歩けなくなる場合もあります。
足の指の骨折により歩くことができなくなっている場合には、専用の靴やブーツをはくと、歩きやすくなる場合があります。
仕事はできる?
仕事ができるかは、仕事の内容とケガの程度によって変わってきます。
座っていることが多い仕事であれば、特に問題なく続けられるかもしれません。
しかし、歩き回ることが多い仕事であれば、骨折による痛みがひどい間は、仕事をすることは難しいかもしれません。
足の指を骨折したらギブスはいつまでつける?
ギブスは、医師が「外してよい」と言うまでつけておきましょう。
足の指を骨折したときの過ごし方
足の指を骨折した場合は、以下のような過ごし方を心がけるとよいようです。
ただし、骨折の状況や健康状態によっては、以下のような過ごし方が適切でない場合もあります。一度、担当の医師に確認してから、行うようにしてください。
多くの場合、足を上げておくことで、足に血が貯まらなくなり、むくみ・腫れが軽くなるようです。
入浴・飲酒を控えるように医師から指示がある場合は、医師の指示に従いましょう。
骨折した箇所以外については、身体を動かすように心がけると良いことが多いようです。
他にも、十分な睡眠をとる、骨折の回復を促す食べ物を食べる、といったことも、心がけると良いでしょう。
交通事故・労災事故などが原因の足の指の骨折
足の指の骨折の後遺障害認定の特徴と注意点
足の指を骨折した場合の後遺障害
交通事故・労災事故などで足の指を骨折し、治療しても良くならない症状(後遺障害)が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受け、損害賠償や労災保険給付を請求することになります。
足の指の骨折で認定される可能性のある後遺障害等級には、以下のようなものがあります。
(なお、「第1の足指」とはいわゆる親指のことであり、「第2の足指」が人差し指、「第3の足指」が中指です。)
足の指の可動域が制限される後遺障害
- 第7級11号 両足の足指の全部の用を廃したもの
- 第9級15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
- 第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
- 第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
- 第13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの
第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの
第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの - 第14級8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
痛み、痺れなどが残る神経障害
- 第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 第14級9号 局部に神経症状を残すもの
参考:後遺障害等級|一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構
なお、上の「足指の用を廃したもの」の意味については、「後遺障害別等級表・労働能力喪失率」別表第2の備考⑤に以下のように説明されています。
「第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節(第一の足指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。」
第1の足指とは親指のことです。
また、ここにいう「著しい運動障害」とは、関節の可動域が健側(ケガをしていない側)の2分の1以下に制限されるものをいいます。
第1指以外の足指の先端から1番目の関節が遠位指節間関節、2番目が近位指節間関節です。
第1指については、先端から1番目の関節が指節間関節、2番目が中足指節関節です。
足の指の骨折の後遺障害認定の注意点
以上のことより、足指の骨折により後遺障害が生じたと認定されるためには、
- 中足指節関節若しくは近位指節間関節(第一の足指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すこと
又は、
- 神経症状(痛み、痺れなど)が残っていること
を明らかにする必要があることが分かります。
こうした症状について明らかにするためには、以下の資料が重要になります。
- レントゲン、CT、MRIなどの画像検査の結果
- 担当医に作成してもらう後遺障害診断書(痛み、痺れなどについても記載)
- 可動域検査の結果
つまり、画像検査、可動域検査など必要な検査を漏れなく受け、痛み・痺れなどの症状や生活への影響についても医師に伝え、それらの内容を後遺障害診断書にしっかりと記載してもらう必要があるのです。
そのためには、後遺障害等級認定に詳しい弁護士に相談し、対応方法についてアドバイスを受けることが大切です。
後遺障害等級認定を受ける際のポイントについては、以下のページをご覧ください。
足の指の骨折で適切な賠償金を得る5つのポイント
①我慢せずに治療を受ける
痛みや運動障害などがある場合には、我慢してしまわず、通院を続け、しっかりと治療を受けましょう。
根気強く治療を継続することで、症状が改善すれば何よりです。
治療期間が長くなってくると、相手方の保険会社から「もう症状は固定している」として治療費の打切りを打診されることがあります。
しかし、そのようなことがあっても、必ずしも治療を諦めなければならないわけではありせん。
弁護士や医師と相談の上、治療が必要であれば、治療を続けるようにしましょう。
なお、後遺障害等級認定の申請をした後に行った治療・リハビリの費用は、加害者に請求することが大変難しくなります。
その意味でも、治療やリハビリは、後遺障害等級認定の申請前に、十分にしておきましょう。
必要な通院をきちんとすることで、適切な額の通院慰謝料を請求することもできるようになりますので、通院を続けることは大切です。
ただし、医師の指示がない限りは毎日通院する必要はなく、また、不必要に多く通院しても、通院慰謝料は増えませんので、ご注意ください。
通院と慰謝料額の関係については、以下のページをご覧ください。
②後遺障害を適切に認定してもらう
後遺障害等級の認定は、適切にしてもらうことが重要です。
どの後遺障害等級に認定されるかによって、逸失利益、慰謝料に大きな違いが出てきます。
上でも解説しましたが、足の指の骨折の場合、可動域の検査を受け、その結果を後遺障害診断書に記載してもらうこと、痛みや痺れの症状、日常生活への支障についても後遺障害診断書に具体的に記載してもらうことが大切です。
ところが、この後遺障害診断書は、医師に任せていれば十分なものができるとも限りません。
自ら医師と話し合い、どういった内容を盛り込んでほしいか、などについて伝えていかなければなりませんし、必要な検査をきちんと実施してもらう必要もあります。
後遺障害診断書の作成に当たっては、ご自身のケースで重要となるポイントを確認するためにも、早い段階で一度、弁護士に相談することをお勧めします。
後遺障害認定については、以下のページもご参照ください。
③適切な賠償金の金額を算定する
適切な賠償金の金額を自ら算定しておくことも大切です。
加害者側の保険会社が提示してくる金額は、被害者にとっての適正な額からはかけ離れている場合が多々あるため、自ら適正額を把握しておく必要があるのです。
賠償金に関する交渉をする際には、弁護士に相談するなどして、被害者にとって最も有利な弁護士基準により算定した適正額を把握しておくようにしましょう。
当事務所では、賠償金に含まれる慰謝料、逸失利益、休業利益の目安額を手軽に算定できる交通事故賠償金計算シミュレータ―を、皆様に無料でご提供しております。
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④加害者側が提示する示談内容は専門家に確認してもらう
加害者側から提示される示談内容は、被害者にとって十分な内容となっていないことが往々にして見受けられます。
そのため、加害者側から示談案を提示されたら、一度専門家である弁護士に見せて相談し、内容を確認してもらうことをお勧めします。
十分に確認しないままに示談書にサインをしてしまうことは、避けなければなりません。
一度サインをしてしまうと、「示談契約」が成立したこととなりますので、その後、示談の内容に不満が出てきても、内容を変えさせることはほぼ不可能になってしまいます。
十分にご注意ください。
以下のページでは、示談交渉の流れ、ポイントなどについて解説しています。
⑤後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談する
足の指の骨折について賠償金を請求する可能性がある場合は、なるべく早く後遺障害に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
早い段階から弁護士のサポートを受けることができれば、後遺障害診断書を作成する際にもしっかりと弁護士に相談することができ、必要事項を十分に盛り込んだ後遺障害診断書を医師に作成してもらいやすくなります。
そうすれば、順調に適切な後遺障害等級認定を受けることができ、賠償金も、十分に獲得することができる可能性が高まります。
交通事故の場合について、弁護士に早いうちから相談するメリット、弁護士を選ぶ際のポイントを以下のページでご紹介しています。
足の指の骨折についてのQ&A
足の指の骨にヒビが入った時の症状は?
足の指の骨にひびが入ると、痛みがあり、腫れも出る場合があります。
少し動かすだけでも強い痛みがある、押すと痛みがある、といった方もおられます。
骨にヒビが入っていた場合、こうした痛みや腫れは長引くことが多いです。
足の指に長引く痛みや腫れがある場合には、一度整形外科を受診することをお勧めします。
足の指を骨折したら入浴してもいいですか?
入浴によって血行がよくなり、痛みや腫れが強くなることがあるためです。
ただ、それぞれのケースでのケガの状況や健康状態によっても異なると思われますので、詳しくは、主治医に確認しましょう。
まとめ
足の指を強く打つ、足の指に重いものが落ちる、といったことがあった後、足の指が強く痛んだり、大きく腫れたりした場合は、整形外科に行き、骨折がないか調べてもらいましょう。
足の指の骨折が交通事故、労災によるものである場合は、早めに後遺障害に詳しい弁護士に相談し、十分な治療を受け、適切な賠償額を請求できるようにするためのアドバイスをもらうようにしましょう。
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