交通事故の被害者必見!慰謝料の相場・請求の流れと注意点

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

交通事故の被害者には、誰もが突然なる可能性があります。

交通事故の被害者になると、

  • 事故後はどのように対応したらよいのか
  • 病院には行った方が良いのか
  • 加害者側の保険会社とはどのように話をすればよいのか
  • 損害賠償としてどのような請求ができるのか
  • 損害賠償額の相場はどの程度か
  • どのようにして損害賠償を請求すればよいのか

など、対応しなければならない問題が数多く発生します。

今回の記事では、交通事故の被害者になったらするべきこと、損害賠償の相場・内容・請求方法、交通事故での弁護士費用、被害者の方が知っておくべきポイントなどについて、わかりやすく解説していきます。

交通事故の被害者となったら何をすればいい?

交通事故の被害者になってしまうと、突然のことに大変動揺されるかと思います。

まずは落ち着いて、次のような手順で事故対応を行っていきましょう。

交通事故の被害者となったら何をすればいい?

警察への通報、救急車の要請

交通事故の被害に遭ったら、まず警察に事故が発生したことを通報しましょう。

ケガをした場合には、必要に応じて救急車を要請しましょう。

いずれの連絡も加害者が行うことがあります。その場合は、加害者に任せておいてもよいでしょう。

 

加害者の連絡先、加害車両のナンバー、加入している任意保険等の確認

可能であれば、現場で、加害者の氏名、連絡先などを確認しておきましょう。

加えて、加害車両のナンバーなどの特徴と、加害者が加入している任意保険を確認しておくことも大切です。

稀に、一度は現場にとどまって事故対応をしていた加害者が、しばらくして怖くなり、車で逃げてしまう、ということがあります。

このような場合でも、加害車両のナンバーや色、車種がわかれば、警察に伝えることで、加害者を探し出すことができます。

加害者が加入している任意保険の確認も重要です。

事故当事者が加入している自賠責保険の保険会社は、後日発行される交通事故証明書に記載されますが、任意保険に関する情報は公的書類には記載されません。

そのため、加害者に直接任意保険会社について確認しておかないと、事故後加害者側の保険会社から連絡がこない場合に、弁護士に依頼して弁護士会照会を使って探してもらわなければならないなど面倒なことになります。

事故直後には、加害者の情報をできるだけ聞き出し、メモなどに残しておくようにしましょう。

 

証拠の確保

交通事故の被害者になったら、交通事故に関する証拠を確保しておくことも重要です。

主な証拠としては、以下のようなものがあります。

 

ドライブレコーダーの画像

自分の車両にドライブレコーダーを取り付けている場合は、画像のデータを確保することが大切です。

事故後もそのまま撮影を続けていると、事故時の画像が上書きされて消えてしまいかねませんので、きちんと保存しておくように気をつけましょう。

事故の衝撃でドライブレコーダー本体や保存用のSDメモリーカードなどが外れてしまった場合は、探し出して確保しておきましょう。

 

車両や現場の状況の写真

破損した車両の状況や現場の状況をスマホなどで撮影し、写真に残しておけると良いです。

車両については、壊れた部分を様々な角度から写真に撮っておくと、事故がどのようにして起きたかを証拠立てるのに役立ちます。

できるだけ、自分の車両だけでなく相手方の車両についても写真に撮っておきましょう。

現場についても、ブレーキ痕、壊れているガードレール・標識の柱などがあれば、事故の状況や激しさを証明するためにも、写真に撮っておきましょう。

 

目撃者に協力を依頼する

目撃者がいた場合は、「もうすぐ警察が来るので、目撃したことを話してほしい」などと協力してもらえるようお願いしましょう。

後日話を聞けるように、目撃者の名前、連絡先(電話番号、メールアドレス、LINEなど)なども教えてもらえると助かります。

ただし、目撃者の個人情報などを無理に聞き出そうとすると、トラブルになることもあるので気を付けましょう。

連絡先などを教えてもらえなくても、警察に協力してもらえれば十分だと考えて大丈夫です。

 

監視カメラの場所を確認する

現場近くに監視カメラがあるか、ある場合は場所はどこか、といったことも確認しましょう。

監視カメラの映像は、事故状況を立証するための有力な証拠になる場合があります。

監視カメラを見つけたら、臨場した警察官にその場所を示し、監視カメラの映像を確保しておいてもらえるよう依頼しておきましょう。

 

臨場した警察官に対応する

警察官が来たら、事故状況の話をするなどして対応しましょう。

この時話した内容は、警察の記録に残って証拠になる場合もありますので、しっかりと状況を思い出して、正確に話をするようにしましょう。

もし思い出せない場合には、不確かな話はせず、「今は思い出せないので、思い出せたら話します」などと回答するようにしましょう。

また、警察官は現場や車の状況を写真に撮りますので、気になるところがあれば、「ここも撮影しておいてほしい」などと頼むようにしましょう。

警察官は、当事者から話を聞く際、「相手はこう言っているが、相手の言うとおりだったのではないか」「現場の状況から○○だったと考えられるが、そうではないか」などと聞いてくることがあります。

このように聞かれると、(警察がそう言うのなら、そうなのかな・・・)と思い、「そうですね」などと答えたくなるかもしません。

しかし、このように答えてしまうと、後日「やはり違った」と思った時には、もう最初に答えた内容を前提に捜査が進んでおり、覆すことが困難になってしまっている可能性があります。

警察官から上のように言われた場合でも、自分の記憶と違う場合や、はっきりと分からない場合には、そのように答えるようにしましょう。

 

加入している任意保険会社への連絡

現場での対応がひとおとり済んだら、自分が加入している任意保険会社に電話をし、事故が発生したことを連絡しましょう。

このとき、保険会社からも事故の状況などについて聞かれることがあります。

これに答える際は、警察官に話した際と同様に、自分の記憶に従って話すようにし、記憶にないことや記憶があいまいなことは言わないようにしましょう。

事故のために車が走行できない状態になっているようであれば、保険会社に連絡した際に、レッカー車などの手配も頼むことができます。

 

もらい事故・物損事故などでも保険会社に連絡しましょう

もらい事故(自分に過失がない事故)に遭った場合に、「賠償金は相手からもらうだけで、自分が支払う必要はないのだから、自分の任意保険会社に連絡する必要はない」と考えて、連絡しない人がおられます。

しかし、もらい事故の場合でも、保険会社への連絡はしておきましょう。

保険には、損害賠償に対応する条項だけでなく、自分がケガをした場合に支払われる人身傷害保険や、弁護士費用を保険金から支払ってもらえる弁護士費用特約などが付帯されていることが多いです。

このような条項は、もらい事故の場合にも使うことができます。

特に、もらい事故の場合は保険会社の示談代行サービスを利用できないので、弁護士費用特約を使って弁護士に交渉を依頼する必要性が高くなります。

しかし、事故直後にきちんと保険会社に連絡を入れていないと、いざ弁護士費用特約などを利用しようとして連絡しても、「なぜもっと早く連絡しなかったのか」などと言われ、話がスムーズに進まなくなるおそれがあります。

物損のみの事故の場合にも、「たいした被害はないから、自分の車両保険を使わなくても大丈夫だろう」と考え、自分の任意保険会社に連絡をしない方がおられます。

しかし、車の修理費は、思いの外高額になることもあります。

それに、物損事故だと思っていた場合でも、後から、実はケガをしていたと分かることもあります。

そのようなことになって困った時にはじめて保険会社に連絡をすることになってしまうと、やはり、保険金の請求が難航するおそれがあります。

最悪の場合、保険金が支払われないことにもなりかねません。

どのような事故であっても、事故があった場合は、保険会社に早めに連絡するようにしましょう。

事故直後の対応については、以下のページもご参照ください。

 

病院の受診

交通事故の被害者となった場合は、なるべく早く病院を受診し、検査を受けることが大切です。

原則的に、事故後数日の間には病院に行くようにしましょう。

受診する診療科は、

  • 身体を負傷した場合には整形外科
  • 頭を打った場合には脳神経外科
  • めまいがする場合は耳鼻科
  • 目にケガをした場合は眼科
  • 症状が全身に及んでいる場合は、整形外科、脳神経外科、耳鼻科を有する総合病院

を選ぶとよいでしょう。

交通事故によるケガの場合、

  • 当初は大した痛みはないと思われた場合でも、後日痛みが出てくる
  • 軽い打撲ですぐに治ると思っていたが、予想外に長引き、症状も悪化してしまう

といったことが起こることも珍しくありません。

このようなことになった後で病院に行くと、検査の結果ケガがあることが判明しても、「事故の後に他の原因で負ったケガではないか」と、交通事故とケガの因果関係を疑われ、保険金を受け取れなくなるおそれがあります。

交通事故の被害者となり、身体に少しでも違和感がある場合には、念のため、早いうちに病院を受診し、ひととおりの検査を受けるようにしましょう。

交通事故に遭って病院を受診する場合のポイントなどについては、以下のページをご覧ください。

 

 

交通事故の被害者はいくら請求できるの?

交通事故の被害に遭った場合は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

賠償金の金額は、慰謝料、逸失利益、治療費、車両の修理費などの費目ごとに金額を算出し、それらを合算して決めていきます。

それぞれの費目について、解説していきます。

 

被害者がもらえる交通事故慰謝料の相場

被害者がもらえる交通事故慰謝料には、以下の三種類があります。

  • 被害者が死亡した場合に支払われる死亡慰謝料
  • 後遺障害が残った場合に支払われる後遺障害慰謝料
  • ケガをして入通院した場合に支払われる入通院慰謝料

それぞれの慰謝料の相場について解説します。

交通事故の慰謝料に関する説明は、以下のページにも掲載しております。

 

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の金額は、用いる算定基準と、被害者の家族内での立場、年齢などによって決まってきます。

算定基準には、次の3つがあります。

  • 弁護士基準(裁判になった場合や弁護士が関与して示談交渉をする場合に用いる)
  • 任意保険基準(任意保険の保険会社が各社の内部で定めている)
  • 自賠責基準(自賠責保険からの支払い額を決める際に用いる)

算定額は、弁護士基準によるものが一番高くなり、次が任意保険基準、最も低額なのが自賠責基準となる傾向にあります。

弁護士基準による死亡慰謝料は、次のようになっています。

  • 被害者が一家の支柱だった場合 2800万円
  • 被害者が母親、配偶者の場合 2500万円
  • その他の場合(独身者、子供など) 2000万円 ~ 2500万円

死亡慰謝料については、以下のページでも詳しく説明しています。

 

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級と用いる算定基準によって変わってきます。

弁護士基準による後遺障害慰謝料額は、以下の表のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料の金額(弁護士基準)
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

後遺障害慰謝料については、以下のページでも詳しく説明しています。

 

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、実際に入通院した日数及びケガの重さと、どの算定基準を用いるかによって決まってきます。

例えば、むちうちや打撲の場合は、1ヶ月19万円、2ヶ月36万円、3ヶ月53万円、4ヶ月67万円、5ヶ月79万円、6ヶ月89万円といった感じで形式的に決まっています。

となります。

注意しなければならないのは、通院頻度が少ないと、慰謝料が減額される可能性があることです。

週に2回程度は通院しておくと、加害者側の保険会社から入通院慰謝料の減額を主張されることは少なくなります。

入通院慰謝料の算定方法の詳細、相場の早見表は、以下のページをご覧ください。

 

慰謝料以外の賠償金

慰謝料以外の賠償金としては、

  • 逸失利益
  • 休業損害
  • 治療費・入院費などの積極損害

があります。

慰謝料は、賠償金の項目の一つになります。

この点については、以下のページでも解説しています。

それぞれの項目について簡単にご説明します。

 

逸失利益とは

逸失利益は、交通事故によって被害者が死亡した、又は被害者に後遺障害が残った場合に、事故がなければ得られていたであろう収入のことです。

逸失利益が発生するのは、症状固定後又は死亡後になります。

逸失利益の計算式は、以下のとおりです。

  • 後遺障害逸失利益
    基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
  • 死亡逸失利益
    基礎収入 ×(1 - 生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

逸失利益に関する詳しい説明、上の計算式に関する解説については、以下のページをご確認ください。

 

休業損害とは

休業損害は、事故によるケガの治療・療養のために仕事を休まざるを得なくなって減少した収入のことです。

休業損害は、以下の計算式によって算出します。

基礎収入 × 休業日数(有給休暇を取得した日を含む)

休業損害は、交通事故後から治療終了(治癒、症状固定、死亡)までの期間に発生したものが対象となります(症状固定後の収入減少は、逸失利益となります。)。

休業損害及び上の計算式に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

 

積極損害とは

積極損害とは、交通事故に遭ったために出費を余儀なくされた費用のことです。

積極損害には、主に次のようなものがあります。

  1. ① 治療費・薬剤費
  2. ② 付添費用
  3. ③ 将来介護費用
  4. ④ 雑費
  5. ⑤ 通院交通費・宿泊費等
  6. ⑥リフォーム費用(家や車のバリアフリー化など)
  7. ⑦弁護士費用
  8. ⑧遅延損害金

積極損害についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

 

自動計算ツールで簡単にもらえる金額を算定!

これまでご説明したとおり、交通事故でもらえる損害賠償には様々な費目があり、計算するのに手間がかかります。

そこで、当事務所では、皆様に簡単に損害賠償額の相場をご覧いただけるよう、交通事故賠償金計算シミュレーターをご用意いたしました。

このシミュレーターでは、事故前の年収、ご年齢、性別、入通院期間、休業日数、後遺障害等級、過失割合などをご入力いただけば、自動的に、慰謝料、逸失利益、入通院慰謝料を算定することができます。

結果はその場ですぐにご覧いただくことができ、後日当事務所からご連絡することはございません。

ご利用に当たり、ご連絡先などの個人情報をご入力いただく必要もございません。

無料で何度でもご利用いただけますので、ご関心がおありの方は、以下のリンクから、ぜひ一度お気軽にお試しください。

 

 

交通事故の被害者の賠償金請求の流れ

交通事故の被害者となった場合の賠償金請求の流れは、以下のようになります。

交通事故の被害者の賠償金請求の流れ

 

事故発生~病院での治療

交通事故の被害に遭ってケガをした場合、なるべく早く病院を受診し、治療を開始します。

病院で治療を受けることになると、治療費については、加害者側の任意保険会社から病院に直接支払ってくれることが多いです(一括対応)。

なお、被害者の中には、「病院でなく整骨院に通いたい」という方もおられます。

整骨院に通うことも可能ですが、その場合には、

  • 医師の指示、許可をもらう
  • 加害者の任意保険会社にも連絡しておく
  • 病院(整形外科)にも月1回は通う

など、注意すべき点があります。

整骨院に通院する場合の注意点については、以下のページをご覧ください。

一方、整体やカイロプラクティックの費用は、基本的には賠償の対象となりませんので、注意が必要です。

詳しくは、以下のページをご参照ください。

 

治療終了(治癒・症状固定・死亡)

治療が進み症状がなくなると、治癒したこととなり、治療が終了します。

治療の甲斐なく被害者が亡くなられてしまった場合も、治療が終了します。

また、痛みや痺れなどケガによる症状(後遺症)が残ってしまい、これ以上治療しても改善しない状態になってしまった場合も、症状固定となり、治療が終了します。

治療中に一括対応が取られている場合、治療を始めてからある程度期間が過ぎると、「そろそろ症状固定となる時期なので、治療費の支払いを打ち切ります」などと言われてしまうことがあります(治療費の打ち切り)。

このように言われた場合でも、保険会社が言っているというだけで治療の継続をあきらめるのではなく、医師や弁護士に相談し、必要のある限り治療を続けることが大切です。

詳しくは、後の治療費を打ち切られてもあきらめないで治療を続けるでご説明します。

以下のページでも、交通事故で治療費の打ち切りを受けた場合の対応方法について説明しております。

 

後遺障害等級認定

後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級認定の申請を行い、後遺障害等級認定を受けます。

後遺障害等級認定の申請方法には、

  • 事前認定(加害者側の保険会社から申請する)
  • 被害者請求(被害者自ら申請する)

の2つがあります。

事前認定の場合、被害者がするべきことはほとんどないため、手間がかからないというメリットがあります。

しかし、加害者側の保険会社は、必ずしも被害者にとって有利な資料を全て提出してくれるわけではありません。

納得のいく結果を得るためには、被害者請求を行い、

  • 交通事故の衝撃の大きさを示す資料(破損した車両の写真、ガードレールなどの破損状況の写真など)
  • 被害者に表れている症状の詳細を示す資料(被害者や家族の陳述書など)

などを自ら提出することをお勧めします。

被害者請求を行う場合は、どのような資料を揃える必要があるかなどについて、弁護士に相談することをお勧めします。

 

後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害等級認定では、主治医に作成してもらう後遺障害診断書が大変重要になります。

この後遺障害診断書を作成してもらう際には、医師に任せきってしまうのではなく、患者側からも、

「後遺障害診断書には、こういう症状や生活上の支障があることを記載してほしい」
「○○という記載は、誤解を招きかねず、審査で不利になりかねないので、しないでほしい」

などと相談したり、必要な検査を漏れなく行ってもらえるようお願いしたりすることが必要になってきます。

後遺障害診断書を作成してもらう際のポイントなどについては、以下のページをご覧ください。

 

示談交渉

治療(後遺症がある場合には後遺障害等級認定)が終わったら、示談交渉を始めます。

示談交渉では、加害者側の保険会社から示談案を提示されることが多いです。

しかし、この示談案は、被害者にとって十分な内容となっていないことが多くあります。

示談案は任意保険基準により算定されていることがほとんどであるため、弁護士基準と比べると、被害者にとって不十分な内容であることが多いのです。

示談案を受け取ったら、一度交通事故に強い弁護士に内容を確認してもらい、適切な内容となっているかアドバイスしてもらうようにしましょう。

示談交渉の流れ・ポイントなどについては、以下のページをご参照ください。

 

示談成立又は訴訟提起等

損害賠償に関する合意ができれば、示談成立となります。

加害者側の保険会社との間で示談が成立した場合には、示談書にサインをすることになります(軽い物損のみの事故などの場合、示談書を作成しないこともあります。)。

示談書にサインをしてしまうと、示談契約が成立してしまい、仮に内容が適切なものでなかったとしても、もはや内容を変更することができなくなってしまいますので、ご注意ください。

示談交渉をしても合意ができなかった場合には、示談は不成立となりますので、訴訟を提起するなどして損害賠償を請求することになります。

損害賠償を請求する法的手段としては、裁判のほかにも、民事調停、ADRなどがあります。

 

 

交通事故の被害者の弁護士費用はいくらかかる?

交通事故について弁護士に相談、依頼するための費用は、以下のようになります。

  • 相談料 法律相談の際に支払う費用
  • 着手金 事件を依頼する際に支払う費用
  • 報酬金 示談・和解の成立、判決などにより事件が解決した際に支払う費用
  • 日当 弁護士が出張した際に支払う費用
  • 実費 訴訟提起時に納める収入印紙代、切手代、交通費、通信費等

金額の目安については、以下の表をご覧ください。

相談料 30分5500円程度~
着手金 数十万円~
報酬金 得られた経済的利益に応じて定める(タイムチャージ制の法律事務所もある。)
日当 1日当たり1万5000円程度~
実費 訴訟提起時に納める収入印紙代:数千円~100万円程度(請求額による)郵便切手代、交通費、通信費等

弁護士費用の目安は上の表のとおりですが、実際には、初回相談は無料としている法律事務所も多くありますし、自治体などが開催している無料法律相談もあります。

さらに、着手金も無料とし、損害賠償金を得られた後に支払う報酬金だけでよいとしている法律事務所もありますので、手元にまとまったお金がなくても、弁護士に依頼することが可能です。

弁護士費用の詳細は、以下のページをご覧ください。

さらに、交通事故の場合、任意保険に付帯されている弁護士費用特約(弁護士特約)に加入していれば、保険会社から弁護士費用を支払ってもらえるので、自己負担なしに弁護士に依頼することができます(ただし、300万円程度が上限額とされている保険が多い。)。

弁護士特約は家族の保険で加入している場合にも利用できる可能性があります。

交通事故の被害者になったら、まずは、利用できる弁護士特約があるかどうか確認することをお勧めします。

弁護士特約についての詳細は、以下のページをご覧ください。

 

 

交通事故被害者が知っておくべき5つのポイント

交通事故被害者が知っておくべき5つのポイント

賠償金の相場を調べておく

示談交渉に臨む際には、賠償金の相場を調べておくことが重要です。

ここまでにご説明したとおり、加害者側の保険会社が提示してくる示談案は、被害者にとって十分なものにはなっていないことが多いです。

このような示談案に引きずられてしまわないためには、自ら賠償金の相場を調べ、適正額を把握しておくことが大切です。

弁護士に相談する、当事務所の交通事故賠償金計算シミュレーターをご活用いただくなどして、損害賠償の適正額をご自身で把握しておくようにしましょう。

 

事故後なるべく早く病院を受診する

上でもご説明しましたが、交通事故に遭った場合は、なるべく早く病院を受診することが大切です。

ケガはないように思われる場合も、交通事故では後から痛みなどの症状が出てくる場合もありますから、少しでも体に違和感があれば、念のために一度病院を受診し、検査を受けることをお勧めします(この際の診療費、検査費などは、ケガがなかった場合でも、加害者に損害賠償として請求することができます。)。

受診が遅れると、「事故の後、受診していない間に負ったケガではないか」と疑われかねませんので、ぜひとも事故後数日のうちに、一度病院を受診しましょう。

 

治療費を打ち切られてもあきらめない

一括対応が取られている場合に治療期間が長引いてくると、加害者側の保険会社から、「そろそろ治療費の支払いを打ち切りたい」と言われてしまう場合があります。

しかし、このように言われたからといって、治療を諦めてしまってはいけません。

保険会社が治療費の打ち切りを決める基準は、内部で決めている一般的・画一的なものであることが往々にしてあります。

そのため、実際にはまだ症状固定に至っていないにもかかわらず、個々の被害者の状況を考慮することなく、治療費打ち切りを打診してきている場合が多くあるのです。

それなのに、「保険会社がそういうのなら・・・」と治療を諦めてしまうと、被害者が次のような不利益を被るおそれがあります。

  • 痛み・痺れなどの症状が改善せず、その後の生活に支障が残る
  • 医師が「まだ治療を続ける必要がある」と判断しているにもかかわらず治療を途中でやめてしまうと、後遺障害等級認定を受ける際に不利になる

交通事故によるケガの治療を止める時期については、医師と弁護士に相談し、「これ以上必要ない」と言われる状態になるまで続けることが大切です。

なお、治療費打ち切り後も治療を続けた場合、いったんは自分で治療費を負担する必要がありますが、後から「治療費打ち切り後の治療も必要だった」と認められれば、加害者側に損害賠償として請求することができます。

自賠責保険に被害者請求をして早期に賠償金の一部を受け取り、治療費を賄うことも考えられます。

詳しくは、一度弁護士にご相談ください。

 

消滅時効に注意する

交通事故の損害賠償請求権は、一定の期間が過ぎると、時効により消滅してしまいます。

消滅時効が完成するまでの期間は、以下の表のとおりです。

ケガに関する損害賠償請求権 事故日又は加害者が判明した時点から5年

  • 加害者が判明していない場合でも、不法行為があった時から20年経過すると時効により消滅。
  • 後遺障害による損害については症状固定日から5年、死亡による損害については死亡日から5年
物損に関する損害賠償請求権 事故日又は加害者が判明した時点から3年

  • 加害者が判明していない場合でも、不法行為があった時から20年経過すると時効により消滅。
自賠責保険への被害者請求・共済金の請求権・保険金請求権 権利を行使できる時から3年

時効完成を防ぐためには、示談を成立させる、又は、裁判を提起する必要があります。

時効の完成が迫っているようであれば、迅速かつ的確な対応が必要となりますので、できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

交通事故の保険金、損害賠償金の時効については、以下のページもご参照ください。

 

交通事故に強い弁護士に相談する

交通事故の被害者になると、しなければならないこと、気を付けるべきポイントがたくさんあります。

これらに被害者自身で適切に対応していこうとすると、その都度インターネットや書籍を調べるなどの必要がありますが、これは、交通事故問題に対応した経験が乏しい方にとっては、大変手間のかかることになります。

交通事故の被害者になってしまった場合は、なるべく早いうちに交通事故に強い弁護士に相談し、示談交渉などへの対応を依頼することをお勧めします。

交通事故に強い弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 被害者に最も有利な弁護士基準での算定額を基礎に示談交渉を行うことができ、損害賠償額の増額が期待できる
  • 適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高くなる
  • 保険会社・加害者側との交渉窓口になってもらえる
  • 後遺障害等級認定申請、治療費の打ち切りへの対応も頼める
  • 治療中、示談交渉中に疑問、不安などが生じた場合に、手軽に相談できる
  • 適切な過失割合での解決が期待できる

交通事故について弁護士に依頼するメリットに関する詳しい説明、交通事故に強い弁護士の探し方については、以下のページをご参照ください。

 

 

交通事故被害者についてのQ&A

車の事故で被害者と加害者はどちらですか?

事故当事者の双方が車を運転していた場合、一般的には、過失割合が大きい方の当事者を加害者といい、小さい方の当事者を被害者といいます。

ただ、法律上は、損害賠償請求権を有する者が「被害者」、損害賠償を請求される者が「加害者」とされます。

この呼び方の場合、交通事故では双方の当事者がお互いに損害賠償を請求し合うことが多いので、場面によって「被害者」と「加害者」が入れ替わります。

例えば、AがBに損害賠償を請求する場面では、Aが「被害者」、Bが「加害者」ですが、BがAに損害賠償を請求する場面では、Aが「加害者」、Bが「被害者」となります。

 

交通事故被害者は自分の保険を使わなければならないの?

交通事故の被害者は、加害者の任意保険や自賠責保険に治療費などの請求をすることも可能ですので、必ずしも自分の保険を使わなければならないわけではありません。

実際、多くの被害者は、加害者の任意保険から治療費や車の修理費を支払ってもらっています。

一方、被害者は、自分の保険を使うこともできます。

交通事故の場合に利用できる自分の保険には、次のようなものがあります。

  • 自分の任意保険の人身傷害保険、車両保険など
  • 健康保険
  • 業務上又は通勤中の事故の場合、労災保険(労災保険を使える場合には、健康保険は使えない。)
  • 傷害保険、生命保険

早期に賠償金を受け取りたい場合、自分の過失割合が大きい場合などには、自分の保険を使うことも積極的に検討しましょう。

 

 

まとめ

今回は、交通事故の被害者となった場合の対応のポイント、損害賠償に関する基礎知識などを説明しました。

交通事故の被害者となると、ケガの治療や車の修理だけでなく、加害者や加害者の保険会社との交渉などもしなければならなくなりますし、治療についても、どの程度の頻度で通院するか、いつまで通院を続けるかなど、考えなければならないことがたくさん出てきます。

こうしたことに被害者の方が独力で対応することは、大変負担の重いことです。

交通事故の被害者になった場合は、なるべく早く、交通事故問題に強い弁護士に相談し、対応を依頼することをお勧めします。

そうすれば、被害者の方は負担が軽くなり、ケガの治療や生活の立て直しに専念することができるようになります。

当事務所でも、交通事故対応を集中的に担当している交通事故チームの弁護士が、交通事故の被害者からのご相談に対応しております。

電話・オンラインによる全国からのご相談も可能です。

お困りの方はぜひ一度、お気軽に当事務所までご相談ください。

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