自転車事故にあったら賠償金はいくら?相場と高額事例

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

すり傷、軽い打撲程度の怪我であれば、賠償金は、数万円 ~ 数十万円程度となるかと思われます。

しかし、重大な後遺障害が残る怪我になった、被害者が死亡してしまった、という場合には、数千万円 ~ 1億円程度の賠償金が認められることもあります。

このように、自転車事故にあった場合の賠償金は、被害者の怪我の程度などによって大きく変わります。

今回は、自転車事故の賠償金の相場、内容、計算方法、算定基準、自転車事故の賠償金についてのポイントなどを解説するとともに、自動車事故で高額の賠償金が認められた事例をご紹介します。

自転車事故にあったら賠償金はいくら?

自転車事故も交通事故の一種ですので、請求できる賠償金の内容は、基本的に自動車による交通事故の場合と異なりません。

賠償金の額は、慰謝料、休業損害、治療費、通院交通費、逸失利益などの費目ごとに損害額を算定し、それらを合算して計算します。

自転車事故で請求できる賠償金の費目の中でも金額が大きく重要なものに、慰謝料があります。

まずは、自転車事故の慰謝料について解説していきます。

 

自転車事故の慰謝料の相場

慰謝料には3種類ある

自転車事故の慰謝料とは、自転車事故により怪我をした場合に、それによる肉体的・精神的苦痛を償うために支払われるお金のことをいいます。

自転車事故の慰謝料には、次の3種類があります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料) 被害者が入通院を要する怪我をしたことに対する慰謝料
  • 後遺障害慰謝料 被害者に後遺障害が残ったことに対する慰謝料
  • 死亡慰謝料 被害者が死亡したことに対する慰謝料

入通院をした後に死亡した又は後遺障害が残った、という場合には、死亡慰謝料・後遺障害慰謝料に加え、入通院慰謝料も請求できます。

それぞれの慰謝料の金額の相場は、以下のようになっています。

※なお、以下でご紹介する金額は、全て弁護士基準(弁護士が示談交渉の際に用いる算定基準)によるものとなっています。

弁護士基準は、他の算定基準に比べ、被害者に有利なものとなっています。

弁護士基準及び他の算定基準については、・賠償金は弁護士基準が最も高額化しやすいの項でご説明します。

交通事故の慰謝料全般についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

 

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、入通院した期間によって金額の相場が決まっています。

通院のみの場合の入通院慰謝料の金額は、以下のようになっています。

通院期間 重傷の場合 軽傷の場合
1ヶ月 28万円 19万円
2ヶ月 52万円 36万円
3ヶ月 73万円 53万円
4ヶ月 90万円 67万円
5ヶ月 105万円 79万円
6ヶ月 116万円 89万円
7ヶ月 124万円 97万円
8ヶ月 132万円 103万円
9ヶ月 139万円 109万円
10ヶ月 145万円 113万円
11ヶ月 150万円 117万円
12ヶ月 154万円 119万円

*上の表の「重傷の場合」とは、骨折など明らかに怪我が重い場合を、「軽傷の場合」とは、むちうちや軽度の打撲、挫傷などの場合を指しています。

入院もした場合は、入通院慰謝料の額は、以下の表のようになります。

  • 入院1か月、通院3か月の場合、入通院慰謝料は115万円(重傷の場合)
  • 入院2か月、通院2か月の場合、入通院慰謝料は139万円(重傷の場合

となります。

入通院慰謝料は、実際に入院又は通院を開始した日から入通院を終了した日までの期間(入院期間・通院期間)に応じて算定されます。

ただ、実際に通院した日数(実通院日数)が通院期間と比べて短すぎる場合には、実通院日数の3.5倍程度を通院期間とし、入通院慰謝料を計算することがあります。

例:通院期間300日の間に20日しか通院していなかった場合
⇒通院期間を20 × 3.5 = 70日として、入通院慰謝料を算定する。

通院期間に応じた慰謝料を得るためには、週2回程度の通院を続けることが必要になります。

入通院慰謝料に関する詳しい説明は、以下のページをご参照ください。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、自転車事故によって、治療しても良くならない後遺障害が残ってしまった場合に発生する慰謝料です。

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級ごとに相場が決まっています。

各等級の後遺障害慰謝料の相場は、次のとおりです。

後遺障害等級 弁護士基準
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

ただ、自転車事故では、自賠責による後遺障害等級認定を受けることはできないため、診断書、カルテ等の資料を基に、当事者間でどの等級の後遺障害に相当するかを決めることになります。

当事者間の話合いで決まらない場合には、訴えを提起し、裁判所で決めてもらうことになります。

後遺障害慰謝料については、以下のページをご参照ください。

 

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、自転車事故によって被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料の額の相場は、以下のようになっています。

  • 被害者が一家の支柱だった場合 2800万円
  • 母親、配偶者などの場合 2500万円
  • 幼児、子供、独身者など 2000万円~2500万円

死亡慰謝料についてのより詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

 

自転車事故の賠償金とは?慰謝料以外の損害

まず損害額を確定する

自転車事故の賠償金とは、自転車事故によって生じた損害を補償するために支払うお金のことです。

自転車事故の賠償金には、上に挙げた慰謝料のほかにも様々な費目が含まれています(慰謝料は、損害賠償の費目の一つとなります。)。

これらの費目ごとの算定額を足し合わせたものが、損害額の総額となります(下図参照)。

自転車事故の賠償金とは?慰謝料以外の損害

自転車事故の賠償金に含まれる費目には、慰謝料のほかに次のようなものがあります。

  • 後遺障害逸失利益
  • 死亡逸失利益
  • 休業損害
  • 治療費
  • 装具費・器具費
  • 通院交通費
  • その他の積極損害(介護費用、リフォーム費用、葬祭費、弁護士費用など)

これらの費目について、わかりやすく解説していきます。

なお、賠償金に含まれる損害については、以下のページでも詳しく解説しています。

 

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、事故で後遺障害を負ったために得られなくなると見込まれる収入(利益)のことです。

後でご説明する休業損害も、逸失利益と同様に事故によって生じた減収を補うものです。

ただ、休業損害は症状固定前に発生した減収を、後遺障害逸失利益は症状固定後(死亡逸失利益の場合は死亡後)に生じる減収を対象にしているという点で違いがあります。

後遺障害逸失利益後遺障害逸失利益は、次の計算式で算定します。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

上の計算式にある基礎収入は、事故の前年の収入を基に定めます。

自営業者であれば、前年の確定申告書によって基礎収入を算定します。

主婦、無職者、学生などの場合は、現実の収入はなくとも、賃金センサスを用いるなどして基礎収入を算定します。

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われた労働能力の割合です。

労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに数値が以下のように決められています。

後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

なお、自転車事故では、後遺障害等級認定を受けることはできないことについては、後遺障害慰謝料の箇所でご説明したとおりです。

労働能力喪失期間は、原則として67歳になるまでの期間になります。

症状固定時に67歳を超える高齢者だった場合は、平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。

ただし、怪我がむちうちの場合、労働能力喪失期間は5~10年程度に短縮されることが多いです。

ライプニッツ係数は、中間利息を控除して損害額を計算するための係数です。

逸失利益は、「将来生じる減収」をあらかじめ補償させ、現時点でこれを受け取れるようにするものです。

そのため、現時点で「将来生じる減収」の金額そのままの損害賠償金を受け取ってしまうと、損害賠償金に利息(中間利息)が付き、本来その収入を得たであろう時期(将来)には、本来得られていたはずの収入額より大きな金額を得られていることになってしまいます。

こうした問題点を是正するため、ライプニッツ係数を用いて、逸失利益の算定結果から中間利息を控除するのです。

逸失利益に関する詳しい説明、ライプニッツ係数の早見表などは、以下のページをご覧ください。

 

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、事故で死亡したために得られなくなった収入(利益)のことです。

基礎収入 ×(1 - 生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入、就労可能年数については、後遺障害逸失利益の場合と同じように考えます。

生活費控除率は、死亡しなければ必要になっていた生活費を、損害賠償額から控除するものです。

生活費控除率は、性別、年齢、家庭の状況などにより、以下のように決められています。

  • 被害者が一家の支柱の場合 被扶養者が1名 40%、被扶養者が2名以上 30%
  • 女性(主婦、独身、幼児等含む) 30%
  • 男性(独身、幼児等含む) 50%
  • 年金受給者 通常よりも高い割合(50~70%)

死亡逸失利益については、以下のページでも詳しく解説しています。

 

休業損害

休業損害は、事故による怪我の治療・療養のために休業を余儀なくされ、減少した収入のことです。

休業損害は、以下の計算式により算定します。

基礎収入(日額)× 休業日数 = 休業損害

基礎収入は、逸失利益の際とは異なり、事故前直近3か月間の給与の総額を90日又は実勤務日数で割って日額を計算します。

休業日数は、実際に休業し、収入が減ってしまった日数になります。

休業したけれども収入の減少にはつながらなかった、という場合には、休業損害は発生しません。

ただし、有給休暇を使用した日については、休業損害の発生が認められます。

有給休暇を使用した場合は、減収はないけれども、有給休暇を自由に使う権利を失ってしまいますので、その補償のため、休業損害が認められているのです。

休業損害に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

 

治療費

病院での治療に要した治療費は、損害賠償に含まれます。

ただし、先端的な治療・民間療法など特殊な治療を受けた場合、過剰に診療を受けた場合、不相当に高額な治療を受けた場合などには、相当と認められる以上の治療費については、損害賠償として請求できない場合があります。

自転車事故では、打撲などの治療のため整骨院に通う方もおられます。

整骨院での施術費等についても、医師の指示を得ている、病院にも月1回程度通っているなどの条件を満たせば、損害賠償に含めて請求することができます。

加害者側の保険会社が示談代行をしている場合に整骨院に通うときには、後でトラブルにならないよう、予め加害者側の保険会社に整骨院に通うことを連絡しておきましょう。

なお、整体、カイロプラクティックの費用は、損害賠償として認められない傾向にありますので、ご注意ください。

 

通院交通費

事故による怪我の治療で通院するために要したバス、電車などの交通費(通院交通費)は、損害賠償の対象となります。

ただし、タクシー代については、タクシーを利用する必要性が認められなければ、公共交通機関の料金の範囲内でしか請求できないおそれがあります。

 

装具費・器具費

事故による怪我のために、義足、車いす、補聴器、入れ歯、コルセット、身障者用ワープロなどの装具・器具の購入が必要になった場合、その費用も損害賠償として請求できます。

ただし、医師の指示もなく、必要性が明らかでない物を購入した場合は、損害賠償に含めることができないおそれもあります。

購入しようとしている器具・装具の代金が損害賠償の対象となるかわからない場合は、交通事故にくわしい弁護士に相談してみることをお勧めします。

 

その他の積極損害

治療費や器具費・装具費、通院交通費以外の事故により必要となった出費にも、積極損害として損害賠償に含めることができるものがあります。

どのような積極損害が生じるかは、事案によって様々です。

よく見られる積極損害としては、以下のものがあります。

  • 付添費用
  • 介護費用
  • リフォーム費用
  • 葬祭費
  • 弁護士費用 など

積極損害については、以下のページで詳しく解説しています。

 

賠償金は弁護士基準が最も高額化しやすい

ここまでは、弁護士が示談交渉の際に用いる弁護士基準に基づいて説明をしてきました。

しかし実は、慰謝料、後遺障害逸失利益、休業損害を算定する際には、弁護士基準以外にも実務上用いられている算定基準があり、場面によって、それぞれの算定基準を使い分け、算定額が決められていきます。

交通事故で用いられる算定基準には、以下の3種類があります。

 

自賠責基準

自賠責基準は、自賠責保険から支払われる賠償金を算定する際に用いられる基準です。

自賠責基準の内容は、法令によって定められています(自動車損害賠償保障法16条の3)。

自賠責保険は被害者に最低限の補償を確保するべく設けられているものですので、自賠責基準による算定額も、補償としては最低限の金額にとどまっています。

 

任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社が各社の内部で定めている支払基準です。

任意保険基準は公開されていませんので、詳細は分かりません。

ただ、一般的に、任意保険基準による算定額は、自賠責保険よりは少し高額になるけれども、弁護士基準よりは低額になる傾向があります。

 

弁護士基準

弁護士基準は、弁護士が示談交渉を行う際に用いる算定基準です。

裁判所が損害額を算定する際にも用いられているので、裁判基準ともいわれます。

弁護士基準による算定額は、ほとんどの場合、ほかの2つの算定基準によるものよりも高額になります。

そのため、弁護士基準は、被害者に最も有利な算定基準となっています。

以上のように、上の3つの基準による算定金額は、多くの場合、

①自賠責基準 < ②任意保険基準 < ③弁護士基準

となります。

賠償金は弁護士基準が最も高額化しやすい

被害者に最も有利な弁護士基準は、自動車事故でも自転車事故でも、変わらず適用されます。

なお、自転車が加害者となった自転車事故の場合、自動車事故が対象となる自賠責保険は使うことができませんので、自賠責基準が直接適用されることはありません。

任意保険基準については、示談代行サービスが付いた自転車保険もあり、自転車事故でも任意保険会社が示談代行を行う場面もあることから、自転車事故についての示談交渉でも用いられることがあると考えられます。

 

自転車事故の賠償金の計算方法

自転車事故の賠償金は、次のような手順で計算します。

 

①各費目の損害額を弁護士基準によって算定する

まず最初は、上でご説明してきた方法で、慰謝料、逸失利益、休業損害など各費目の損害額を算定します。

損害額を算定する際は、弁護士基準を用いるようにし、被害者にとって最も有利かつ適正な賠償額を導き出すようにしましょう。

 

②①の金額を合計する

①で算定した金額を合計し、損害額の総額を確定します。

 

③過失相殺・損益相殺等による賠償金額の調整

損害額の総額が確定したら、事故当事者双方の過失割合にしたがって過失相殺を行い、最終的な賠償金の額を確定します。

具体的な例でご説明しましょう。


自転車側の過失90%:歩行者側の過失10%
損害額 300万円 の場合

歩行者が自転車側に請求できる損害賠償額は

300万円 ×(100 ― 10(自分の過失割合))÷ 100 = 270万円

となります。

過失相殺についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

他の保険(労災保険、傷害保険など)から既に補償を受けている場合は、受け取った額を控除する損益相殺を行う場合もあります。

損益相殺については、以下のページをご覧ください。

ほかにも、被害者に事故以前から身体的・体質的・精神的疾患があり、それが原因で損害が拡大したような場合には、素因減額が行われ、賠償額が減額される可能性があります。

このようにして賠償金額の調整を行い、最終的な賠償金額が確定されます。

 

自動計算ツールで簡単に賠償金を計算!

ここまでご説明したとおり、自転車事故の賠償金を計算するためには、慰謝料、逸失利益などの算定基準について調べ、それを自分のケースに当てはめて計算する必要があり、大変手間がかかります。

そこで、当事務所では、どなたでも簡単に賠償金額の目安を知ることができるよう、交通事故賠償金計算シミュレーターをご用意いたしました。

このシミュレーターを使えば、事故時のご年齢、性別、ご年収、入通院期間、休業日数、後遺障害等級、過失割合などの基本的な情報をご入力いただくだけで、慰謝料、休業損害、逸失利益の目安を自動で計算することができます。

結果はその場ですぐにご覧いただくことができ、後日当事務所からご連絡することはございません。

連絡先などの個人情報の入力も不要です。

スマートフォンなどから簡単に、何度でも無料でご利用いただけますので、関心がおありの方は、ぜひ一度お気軽にお試しください。

 

 

自転車事故の賠償金の高額事例

自転車事故というと、「双方ともにそれほど大きな怪我もなく、賠償金もたいした額にはならないもの」と思っている方もおられるかもしれません。

しかし、実は、自転車事故でも、被害者に重大な後遺症が残る怪我を負わせてしまった、被害者を死亡させてしまった、ということも起こっており、賠償金が高額化することも起こっています。

自転車事故で高額な賠償金が発生した事例を、一部ご紹介いたします。

事例 自転車同士の事故で約9260万円の損害賠償が認められた事例
このケースでは、一方の自転車(高校生)が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進していた自転車(20代会社員)と衝突してしまいました。この事故により、会社員は、言語機能を喪失するなど重大な後遺障害を負ってしまいました。裁判所は、このケースで、高校生側に、約9266万円の損害賠償を命じました。(東京地裁平成20年6月)
事例 自転車事故で9500万円の損害賠償が認められたの事例
このケースでは、坂道を下って走行していた小学5年生の自転車が、歩行者(62歳女性)と衝突してしまいました。この事故により、歩行者の女性は、意識不明の状態になってしまいました。このケースで、裁判所は、自転車側に、約9520万円の損害賠償の支払を命じています。(神戸地裁 平成25年7月)

参考:自転車事故により高額賠償事例(兵庫県ホームページ)

 

 

自転車事故の賠償金の8つのポイント

自転車事故の賠償金の8つのポイント

自転車事故の場合も警察に通報する

自動車事故の場合と同様、自転車事故についても、警察に報告する義務があります。

自転車事故の当事者となってしまった場合は、まずは警察に連絡するようにしましょう。

事故を警察に報告しておけば、自転車事故であっても、後日、交通事故証明書を発行してもらえます。

交通事故証明書は、事故があったことを証明する公的な書類であり、加害者や保険会社に損害賠償を請求する際にとても重要になります。

交通事故証明書を発行してもらうためにも、自転車事故の当事者になった場合は、必ず警察に通報するようにしましょう。

 

加害者の連絡先を確認する

自転車事故の被害にあってしまったら、加害者から連絡先を聞いておくことも大切です。

加害者の氏名、住所は交通事故証明書にも記載されますが、交通事故証明書は発行されるまでに日数を要しますので、事故直後に聞いておくようにしましょう。

 

自分が加入している保険会社に連絡する

ご自身の自動車の任意保険で人身傷害保険などに入っている場合や、傷害保険に入っている場合には、自転車事故で怪我をしたときに保険金を受け取ることができるかもしれません。

ただ、そのためには、自転車事故後早いうちに保険会社に連絡しておくことが大切です。

事故から日にちがたってから連絡すると、「本当に事故があったのか」「事故で怪我をしたと言っているが事故後に怪我をしたのではないか」などと疑われ、トラブルになるおそれがあります。

 

怪我をした可能性がある場合は、なるべく早く病院に行く

自転車事故で怪我をした可能性がある場合は、なるべく早く病院を受診しましょう。

受診が遅れると、損害賠償を請求した際に、「病院に行くまでに日が空いているが、事故後に他の原因で怪我をしたのではないか?」と疑われ、トラブルになるおそれがあります。

 

加害者が保険に入っていないケースもある

最近では、都道府県によっては、条例で自転車保険の加入が義務付けられているところもあります。

しかし、自動車の場合と違って、「保険に加入していなければ車検に通らない」といったことはありませんし、今のところ、保険に加入しなかったからといって罰則もありません(2024年6月現在)。

そのため、自転車保険の義務化が広がってきている現在でも、自転車保険に加入していない人は数多くいると考えられます。

それに、自動車事故の場合は、加害者が保険に入っていない場合でも、政府保障事業から一定の補償を受けることができますが、自転車の場合にはそれもありません。

そのため、自転車事故では、加害者が自動車保険に入っておらず、被害者が最低限の補償すら獲得することが難しいケースが出てきます。

加害者が自転車保険に加入しておらず、自発的に十分な損害賠償を支払おうとしない場合には、加害者に対して裁判を起こした上で、加害者の財産を調査し、差し押さえるなどの対応が必要になってきます。

ほかにも、自分が加入している保険(自動車保険の人身傷害保険、傷害保険など)を利用できないかも検討する必要があります。

通勤中又は業務中に自転車事故にあった場合であれば、労災保険を使うことができる場合もあります。

自転車事故の加害者が自転車保険に加入していなくてお困りのときは、早めに弁護士に相談し、裁判をするか、自分の保険を使っていくかなど、対応策を検討しましょう。

 

過失割合について争いになるケースが多い

自転車対歩行者、自転車対自転車の事故では、自転車にはドライブレコーダーがついていることが少ないため、事故状況がはっきりしない場合が多いです。

そのため、自転車事故では、事故状況について争いになり、過失割合についての交渉も難航することが多くなります。

さらに、自転車対自転車の事故については、過去の裁判例も少なく、過失割合に関する基準が確立していません。

そのためにやはり、過失割合についての交渉が難しくなっています。

過失割合に関する話し合いをする際、事故時に警察で作成してもらった供述調書、実況見分調書などは重要な証拠になります。

こうした証拠を獲得するためにも、自転車事故の場合も、警察への通報は怠らないようにしましょう。

 

後遺障害等級認定を受けられない

自動車事故の場合は、自賠責に申請して、後遺障害等級認定を受けることができます。

しかし、自転車事故の場合にはこのような仕組みがなく、当事者間で話し合って、被害者の後遺症がどの後遺障害等級に当てはまるか決めていくことになります。

この後遺障害等級は、逸失利益、慰謝料に大きな影響を与えるため、後遺障害等級をどうするかについて当事者間で争いになることも少なくありません。

当事者間での話合いで結論が出なかった場合は、裁判を起こし、裁判所で判断してもらうことになります。

 

交通事故に強い弁護士に相談する

以上のように、自転車事故で賠償金を請求する際には、損害賠償額を適切に算定する、後遺障害の等級について話し合う、過失割合を定める、加害者が無保険の場合の対応を検討するなど、対応すべき様々な問題が生じてきます。

これらの問題に適切に対応し、できるだけ有利に示談交渉を進めるためにも、自転車事故の被害にあったら、なるべく早く、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。

交通事故に強い弁護士に相談・依頼すれば、

  • 損害額を弁護士基準で算定してもらえるので、賠償金の増額が期待できる
  • 適切な過失割合・後遺障害等級で合意できることが期待できる
  • 実況見分調書、供述調書、カルテなどの資料の収集を任せられる
  • 加害者や保険会社とのやり取りを任せることができる
  • 治療中や示談交渉中の不安・疑問について気軽に相談できる

といったメリットがあります。

ご自身の治療や生活の立て直しに注力するためにも、自転車事故の被害にあった場合は、交通事故に強い弁護士を探し、相談してみましょう。

交通事故を弁護士に相談・依頼することのメリット、交通事故に強い弁護士の探し方については、以下のページで詳しく解説しています。

 

 

自転車事故の賠償金についてのQ&A

自転車事故で怪我がなくても賠償金は発生しますか?

自転車事故で怪我がない場合も、賠償金が発生する可能性はあります。

怪我がない場合でも、持ち物が壊れた、衣服が汚れた、といったことがあれば、加害者に、壊れた物の修理代や価格相当の弁償金、クリーニング代などを請求することができます。

なお、怪我をしていない場合は、原則として慰謝料を請求することはできません。

ただ、大事にしていたペットが亡くなったり重い障害を負ったりした場合などには、人が怪我をしていなくても、慰謝料が認められる場合があります。

 

 

まとめ

今回は、自転車事故の賠償金について解説しました。

自転車事故といっても、場合によっては重大な結果を引き起こすこともあり、十分な注意が必要です。

万が一事故を起こしてしまった場合に備え、自転車に乗る場合には、自転車保険に加入することをお勧めします。

そして、自転車事故にあってしまった場合には、なるべく早く、交通事故に強い弁護士に相談し、対応を依頼するようにしましょう。

当事務所でも、多数の交通事故事件を扱い、豊富な経験を積んだ交通事故チームの弁護士たちが、自転車事故でお困りの方を強力にサポートします。

電話・オンラインによる全国からのご相談もお受けしております。

自転車事故の被害にあわれた方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

あわせて読みたい
無料相談の流れ

 

 

交通事故全般


 
賠償金の計算方法

なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

続きを読む