CRPSとは?原因・症状・診断基準・治療法をわかりやすく
CRPSは、複合性局所疼痛症候群のことです。
これは、以前はカウザルギー、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と呼ばれていた2つの疾患を1つに統合した際に付けられた総称です。
CRPSになると、交通事故などでのケガの後、痛み、腫れ、関節拘縮などが長期間続いてしまいます。
今回の記事では、CRPSに関する説明、CRPSの原因、症状、診断基準、治療法、CRPSの後遺障害等級認定に関する問題などについて説明していきます。
CRPSとは?
CRPS(英名のComplex regional pain syndromeの略称)は、複合性局所疼痛症候群のことです。
CRPSは、1994年に世界疼痛学会(IASP)が、カウザルギーと反射性交感神経性ジストロフィー(RSD:reflex sympathetic dystrophyの略称)の2つの疾病を総合して定めた呼称です。
ただ、現在でも、交通事故の賠償実務では「RSD」の名称を用いることもあります。
この記事でも、「CRPS」と並行して「RSD」の名称を用いることもありますので、ご承知おきください。
CRPSのⅠ型とⅡ型の違い
CRPSのⅠ型とⅡ型の違いは、神経損傷を伴うか否かにあります。
Ⅰ型は神経損傷を伴わないもの、Ⅱ型は神経損傷を伴うものになります。
Ⅰ型は以前の反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に対応し、Ⅱ型は以前のカウザルギーに対応します。
なお、2005年には、IASPではⅠ型・Ⅱ型の区別はなくなっておりますが、一般的には、従来の用語も未だに使われている場合があります。
CRPSの原因
CRPSが生じる原因としては、骨折、捻挫、打撲などの外傷があります。
交通事故や労災事故によってケガをした後に、CRPSを発症することもあります。
ケガのほかにも、手足の切断、急性心筋梗塞、脳卒中、がんなどが原因となってCRPSが生じる場合もあります。
なお、CRPSには、心理的な要因も関与している場合があり、診断は慎重に行われます。
CRPSの症状
CRPSの症状の中核となるのは、疼痛、焼けつくような痛み(灼熱痛)になります。
他にも、患部が著しく腫れあがる、関節拘縮が起こる、皮膚に変化が生じる(発赤、斑状、皮膚温の上昇・低下、発汗異常など)といった症状が見られる場合があります。
以上のほかにも、爪の亀裂や過剰な伸長、骨萎縮、筋力低下などが起こることもあり、CRPSの症状は非常に多彩です。
ただ、CRPSの場合、症状は片側性(左右の一方のみ)になるという特徴があります。
CRPSの診断基準
IASPが2005年に定めたCRPS診断基準は、以下のとおりです。
- A.内容きっかけとなった外傷や疾病に不釣り合いな持続性の痛みがある
- B.以下の4項目のうち3項目以上で1つ以上の自覚的徴候、2項目以上の他覚症状がある(感度0.85、特異度0.69)
- ① 感覚異常:自発痛、痛覚過敏
- ② 血管運動異常:血管拡張、血管収縮、皮膚温非対称、皮膚色調変化
- ③ 浮腫・発汗異常:腫脹、発汗増加または低下
- ④ 運動異常・神経性変化:筋力低下、振戦、ジストニア、協調運動傷害、爪・毛の変化、皮膚委縮、関節拘縮、軟部組織変化
医学的には、これらの症状が認められる場合に、CRPSと診断されます。
なお、CRPSの後遺障害認定のポイントでも解説するように、自賠責保険の後遺障害等級認定では、上でご紹介したものとは違う基準でCRPS(RSD)による後遺障害の有無が認定されています。
そのため、病院でCRPSと診断されても、後遺障害等級認定ではCRPS(RSD)による後遺障害があると認められないケースも出ています。
CRPSの治療法
CRPSの治療法には、次のようなものがあります。
①薬剤投与による治療
抗うつ薬、抗てんかん薬、コルチコステロイド、オピオイド鎮痛薬など様々な薬剤が試されています。
②理学療法
運動機能の維持・改善を目的に、運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
理学療法により、脱感作、筋力強化、可動域の増大などを目指します。
③交感神経ブロック
交感神経ブロックを行うことによって痛みをある程度軽快させることができる場合があります。
理学療法をより効果的に行うために交感神経ブロックを行うこともあります。
④心理学的治療
CRPSにつながる心理的要因に対応するため、心理学的治療を行う場合もあります。
ただし、CRPSの治療は必ずしも上手くいくとは限らず、治療を行っても完全に症状がなくならない方も数多くおられます。
事故によるCRPSの後遺症
CRPSの後遺障害等級
CRPSの場合、以下の後遺障害に認定される可能性があります。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
CRPSの後遺障害認定のポイント
CRPSで後遺障害等級認定を受けることは、必ずしも簡単ではありません。
以下では、CRPSで後遺障害等級認定を受ける際のポイントについて解説します。
- 後遺障害認定に必要な要素を理解する
- 病院ではCRPSと診断されていても後遺障害等級認定を受けられない場合がある
- 適切な後遺障害診断書を作成してもらう
- 交通事故にあったらなるべく早く病院に行く
- 医師の指示に従って通院を継続する
- 治療費を打ち切られたからといって治療をあきらめない
- 被害者請求を検討する
- 素因減額を主張されることがある
- 交通事故に強い弁護士に相談する
後遺障害認定に必要な要素を理解する
自賠責保険の後遺障害等級認定でCRPS(RSD)による後遺障害があることが認められるには、次の3つの要素の全てが揃うことが必要とされています。
②骨の萎縮
③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
これらの症状はいずれも、健側に比較して明らかに認められることが必要です。
- ① 関節拘縮については、後遺障害診断書に明記してもらう必要があります。
- ② 骨の萎縮については、両側の単純X線画像やDIP法(骨塩定量検査)の結果が必要になります。
- ③ 皮膚の変化については、患部を両側同時撮影したカラー写真やサーモグラフィが必要になります。
これらのうち一つでも欠けると、自賠責に申請しても、後遺障害等級認定を受けることは難しくなります。
病院ではCRPSと診断されていても後遺障害等級認定を受けられない場合がある
前の項目では、CRPS(RSD)について自賠責での後遺障害等級認定を受けるために必要な要素についてご紹介しました。
このうち、後遺障害等級認定を受ける際に必要とされる②骨の萎縮は、実は、医師の診断基準ではCRPSと診断する際の必須条件とはされていません。
このように、医学上の診断基準と自賠責での後遺障害等級認定の基準が異なっているため、病院ではCRPSと診断されていても、自賠責の後遺障害等級認定ではCRPS(RSD)と認められず、後遺障害等級認定が受けられないケースがあります。
なお、裁判所であれば、自賠責が用いている認定の基準に縛られることはありませんので、②の骨萎縮がなくてもCRPS(RSD)が認められる可能性があります(実際に②骨の萎縮がなくてもCRPS(RSD)が認められたケースとして、神戸地判平22.12.7など)。
適切な後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害等級認定を受ける際には、主治医に作成してもらった後遺障害診断書を提出する必要があります。
後遺障害診断書を作成してもらう際には、
- MRIだけでなく、単純X線写真を撮影してもらう
- 健側も撮影してもらう
など、CRPSと認められるために必要な検査を漏れなく行ってもらうようにしましょう。
それに加え、痛みなどによって日常生活にどのような支障が生じているかも医師に伝え、後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。
後遺障害診断書については、以下のページもご参照ください。
交通事故にあったらなるべく早く病院に行く
交通事故にあったら、なるべく早く病院へ行き、ひととおり検査を受けることが大切です。
「打撲程度だから受診や検査まで必要ないのではないか」と思われる場合であっても、後々CRPSを発症し、痛みなどが残ってしまうこともあります。
このように思わぬ症状が残ってしまった場合、事故後すぐに病院で検査を受けていないと、
「この症状が事故によるものか疑わしい」
「事故後に別の原因で負ったケガではないか」
などと事故と症状の因果関係を疑われ、損害賠償の支払を受けることができなくなるおそれがあります。
交通事故でケガをした(又はケガをした可能性がある)場合は、たいしたことはないと思われても、念のために一度、事故後数日以内には病院を受診し、検査を受けるようにしましょう。
医師の指示に従って通院を継続する
交通事故などでCRPSを発症した場合は、医師の指示に従って根気強く通院を継続しましょう。
CRPSの治療では、簡単には症状の改善が見られないことも多く、通院を続けることが辛く感じられるかもしれません。
しかし、CRPSの治療を十分に尽くしていないと、痛みなどが残った場合に、後遺障害等級認定を受けることができなくなるおそれがあります。
後から後遺障害等級認定を受ける可能性がある場合は、適切な後遺障害等級認定を受けるためにも、症状の改善が見られなくとも、医師と相談しながら、治療による改善の見込みがある限り、諦めず治療を続けましょう。
治療費を打ち切られたからといって治療をあきらめない
交通事故でケガをした場合、多くのケースでは、加害者側の任意保険会社が病院に治療費を直接支払ってくれます(一括対応)。
ところが、CRPSを発症するなどして治療が長引いてくると、加害者側の保険会社は、「これ以上の治療は必要ないと思われるので、治療費を打ち切ろうと思う」などと、治療費の打切りを打診してきます。
保険会社からこのように言われると、被害者の方の中には、「もう治療は打ち切らなければいけないのか」と考えてしまう方がおられます。
しかし、保険会社から治療費が打ち切られたからといって、治療をあきらめてはいけません。
治療の要否は、保険会社が決めることではないのです。
治療費の打切りを告げられたからといって治療をあきらめてしまうと、後々後遺障害等級認定を受けようとしたときに、「十分な治療が尽くされていない」として、後遺障害等級認定を受けられなくなる可能性があります。
治療費の打切りを打診された場合は、簡単に了承してしまわず、医師の意見を聴くなどした上で保険会社と話し合い、治療費を打ち切らないように交渉してみましょう。
こうした交渉は、弁護士に依頼して行うこともできます。
保険会社に治療費の支払いを打ち切られてしまったら、弁護士や主治医に相談し、必要のある限りは自費で治療を続けるようにしましょう。
その際には、健康保険を使うことができると、負担額を抑えることができて助かります。
なお、治療費の打切り後に被害者が負担した治療費は、治療を続けたことの必要性が認められれば、後から加害者側への損害賠償に含めて請求することができます。
治療費の打切り後も自費で治療を継続し、後遺障害等級認定を受けることができた当事務所での取扱い事例を、以下のページでご紹介しております。
どうぞご参照ください。
被害者請求を検討する
CRPSについて後遺障害等級認定を申請する際は、被害者請求を行うことを検討しましょう。
被害者請求は、被害者自ら資料などを揃えて提出し、後遺障害等級認定に関する審査を受ける手続です。
CRPSで後遺障害等級認定を受けることは、必ずしも容易ではありません。
適切な後遺障害等級認定を得られる可能性を上げるためにも、被害者請求を行い、自ら十分な資料を整えて提出することをお勧めします。
被害者請求を行う際には、適切な資料を作成するためにも、交通事故に強い弁護士に相談し、サポートを受けることをお勧めします。
素因減額を主張されることがある
素因減額とは、被害者が事故前からもっている疾患などによって、発生・損害が拡大した場合には、賠償額を一定の割合差し引くという考え方です。
CRPSの場合、後遺障害等級認定を受けることができた場合でも、加害者から、「CRPSの発症・悪化には、発症した人の持っている素因も発症に影響しているのではないか」として、素因減額を主張されることが比較的多くあります。
このような主張がなされる理由としては、
- CRPSが交通事故により外傷を受けた人のごく一部に発生する傷病であり、他の大部分の人は発症しないこと
- CRPSの発症などには心理的要因も影響している可能性があること
があると考えられます。
しかし、CRPSは、交通事故による外傷が原因で発症するのであり、安易に素因減額が認められるべきではありません。
被害者としては、特殊な事情がない限りは、素因減額の主張については、強く争っていくべきです。
素因減額についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
交通事故に強い弁護士に相談する
交通事故の後CRPSになってしまうと、治療が長引いて加害者側の保険会社から治療費を打ち切られる、後遺障害等級認定申請をする必要が出てくる、といったことが起こってくる可能性があります。
また、無事後遺障害等級認定を受けることができたとしても、加害者側から素因減額を主張されることもあります。
こうした事態に対応するには、交通事故に強い弁護士に相談し、助力を得ることをお勧めします。
交通事故に強い弁護士に相談、依頼すれば、
- 治療費の打ち切りについて交渉してもらえる
- いつまで治療を続ければ良いのかについて相談できる
- 後遺障害等級認定申請の手続についてサポートしてもらえる
- 加害者からの素因減額の主張に的確に反論してくれる
など、大変心強いです。
ほかにも、交通事故に強い弁護士に相談、依頼することには、次のようなメリットがあります。
- 被害者に最も有利な弁護士基準での算定額で示談交渉を進めることができ、損害賠償の増額が見込める
- 適切な過失割合になるよう資料などを揃え、交渉してもらえる
- 保険会社や加害者側との交渉窓口になってもらえる
- 治療中や示談交渉中に疑問に思ったこと、不安になったことについて、気軽に相談できる
- 裁判を起こす必要が出てきた場合にも、そのまま対応を依頼できる
以上のようなメリットもありますので、交通事故にあったら、なるべく早く、交通事故に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
交通事故について弁護士に相談するメリット、交通事故に強い弁護士を選ぶ際のポイントなどについては、以下のページで詳しくご説明しておりますので、どうぞご一読ください。
CRPSの後遺障害の賠償例
CRPSになり、後遺障害等級認定を受けることができた場合には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。
CRPSの場合に認定される可能性がある後遺障害等級は、上でもご説明したとおり、7級4号、9級10号、12級13号になります。
そこで、これらに該当した場合について、具体的なケースを前提に、それぞれ後遺障害慰謝料と逸失利益がいくらになるかをご紹介します。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料には、後遺障害等級ごとに一定の相場があります。
CRPSで認定される可能性がある後遺障害等級での後遺障害慰謝料の相場は、以下のとおりです。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
---|---|
7級4号 | 1000万円 |
9級10号 | 690万円 |
12級13号 | 290万円 |
他の後遺障害等級での後遺障害慰謝料の相場については、以下のページをご覧ください。
後遺障害逸失利益の計算方法
後遺障害が残った場合に、それにより減少する収入を、後遺障害逸失利益といいます。
後遺障害逸失利益は、次の計算式で算出します。
基礎収入は、会社員の場合は年収と一致します。
自営業者の場合は、前年の確定申告を用いるなどして算出します。
主婦、学生、子ども、無職者などの場合、賃金センサスを参考に、基礎収入を定めます。
労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに決められています。
CRPSで認定される可能性がある後遺障害等級での労働能力喪失率は、以下のとおりです。
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
7級4号 | 56% |
9級10号 | 35% |
12級13号 | 14% |
労働能力喪失期間は、原則的に、症状固定時から67歳までの期間とされます。
ただし、CRPSで後遺障害等級12級13号に認定された場合には、労働能力喪失期間が10年程度に短縮されることも多いです。
ライプニッツ係数は、中間利息を控除するために用いられる係数です。
逸失利益は、将来の収入の減少分を事前に一括して支払うものです。
そのため、逸失利益の受取時から、本来収入が発生するはずであった時点までの間に利息(中間利息)が発生します。
この中間利息をあらかじめ控除しておかないと、本来収入が発生するはずであった時点には、本来得られたはずの収入に中間利息を加えた金額を得られていることになってしまいます。
そこで、中間利息を控除するために用いられるのが、ライプニッツ係数です。
後遺障害逸失利益や中間利息の控除に関する詳しい解説、会社員以外の方の基礎収入の算定方法などについては、以下のページをご覧ください。
具体例で解説!CRPSでの後遺障害の賠償額
ここでは、以下のケースにおいて、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益がいくらになるのか、実際に算定してみます。
※2020年3月31日より前の事故の場合、用いるライプニッツ係数が異なるため、後遺障害逸失利益の金額が変わってきますので、ご注意ください。
後遺障害等級7級4号と認められた場合は、労働能力喪失率は56%となり、労働能力喪失期間は67歳までの32年間となります。
この場合の後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を算定すると、以下のようになります。
- 後遺障害慰謝料・・・1000万円
- 後遺障害逸失利益・・・4567万0912円
(計算式 400万円(年収) ✕ 56%(労働能力喪失率) ✕ 20.3888(32年のライプニッツ係数)= 4567万0912円)
後遺障害等級9級10号と認められた場合は、労働能力喪失率は35%となり、労働能力喪失期間は67歳までの32年間となります。
この場合の後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を算定すると、以下のようになります。
- 後遺障害慰謝料・・・690万円
- 後遺障害逸失利益・・・2854万4320円
(計算式 400万円(年収) ✕ 35%(労働能力喪失率) ✕ 20.3888(32年のライプニッツ係数)= 2854万4320円)
後遺障害等級12級13号と認められた場合は、労働能力喪失率は14%となります。
労働能力喪失期間は、原則としては67歳までなのですが、12級13号の場合、10年程度に制限されることも多いです。
労働能力喪失率を10年間とすると、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の金額は、次のとおりになります。
- 後遺障害慰謝料・・・290万円
- 後遺障害逸失利益・・・477万6912円
(具体例 400万円(年収) ✕ 14%(労働能力喪失率) ✕ 8.5302(10年のライプニッツ係数)= 477万6912円)
CRPSが認められた裁判例
実際に、CRPSの発生が認められて損害賠償請求が認容された裁判例もあります。
たとえば、さいたま地方裁判所平成23年1月26日判決(裁判所HP)では、被害者の左下肢についてCRPSのⅠ型(RSD)を発症していると認められ、その他の症状にも鑑み、後遺障害等級9級10号に該当する状態であると認定されました。
このケースでは、損害額は、約3300万円と認定されました。
なお、裁判所は、上記の損害額を認定した後、被害者に生じた損害について心因的・精神的素因ないし性格的素因による減額を認め、2割の素因減額を行っています。
CRPSについてのQ&A
CRPSは難病指定されていますか?
CRPSの平均寿命は?
CRPSにかかる年齢は?
ただ、CRPSは若年成人で最もよくみられ、男性よりも女性の方が発症しやすいといわれています。
まとめ
今回は、CRPSの定義、原因、症状、治療法、後遺障害等級認定を受ける際のポイントなどについて解説しました。
CRPSは慢性的な痛みなどを伴うものであり、発症してしまうと、患者の生活に大きな影響を与える場合もあります。
交通事故でCRPSを発症してしまった場合には、後遺障害等級認定を受け、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の損害賠償を請求し、今後の生活の支えとすることが大切になります。
CRPSについて後遺障害等級認定を受けるためには、判定基準を理解し、適切な資料を整えていく必要があります。
CRPSで後遺障害等級認定を受けようとする場合は、交通事故に強い弁護士に相談し、サポートを受けるようにしましょう。
当事務所でも、交通事故でのケガで後遺障害等級認定を受ける際のサポートを数多く行っている人身傷害部の弁護士が、CRPSのことでお困りの皆様のサポートを行っております。
電話又はオンラインによるご相談もお受けしております。
CRPSについて後遺障害等級認定を受けることをお考えの方は、ぜひ一度当事務所まで、お気軽にご連絡ください。