交通事故の慰謝料の相場とは?状況別にわかりやすく解説
交通事故の慰謝料の相場は、弁護士が示談交渉で用いる弁護士基準の場合、次のようになります。
- 死亡慰謝料 2000万円~2800万円程度
- 後遺障害慰謝料 110万円~2800万円程度
- 入通院慰謝料 通院1日当たり3300円~9300円程度
- 入院1日当たり8400円~1万7600円程度
※入通院慰謝料について、通院1日あたりの下限は別表Ⅱ12ヶ月の金額、上限は別表Ⅰ1ヶ月の金額、入院Ⅰ日あたりの下限は別表Ⅰ13ヶ月、上限は別表Ⅰ1ヶ月で計算しています。
交通事故の慰謝料の額は、原則的に、上記の相場を基準としながら、それぞれの方の被害の状況(ケガの程度、入通院日数、後遺障害等級など)に応じて決まっていきます。
上に挙げた金額は、弁護士が示談交渉の際に用いる弁護士基準によるものですが、慰謝料の算定基準にはほかに、自賠責基準、任意保険基準があります。
これらの算定基準の中では、ほとんどの場合、弁護士基準により算定した慰謝料額が最も高額になります。
今回の記事では、交通事故の慰謝料の相場、算定基準、種類、状況別の慰謝料の相場、慰謝料のほかに請求できる賠償金の内容、慰謝料請求の際のポイントなどについて解説していきます。
目次
交通事故の慰謝料の相場とは?
交通事故慰謝料の相場とは、加害者が支払うべき適切な慰謝料の金額であると考えられ、弁護士基準の慰謝料金額が相場であると考えられます。
慰謝料の算定基準には、
- 自賠責保険からの支払額を算定する際に用いられる自賠責基準
- 任意保険の保険会社各社が自社の内部で定めている任意保険基準
- 裁判所や弁護士が用いる弁護士基準
の3種類があります。
それぞれの基準による慰謝料の算定額は、原則的に、
となります。
保険会社が設定した基準ではなく、最も高い水準の弁護士基準が交通事故慰謝料の相場と考えるべきでしょう。
交通事故の慰謝料の種類
交通事故の慰謝料には、次の3種類があります。
- 被害者が死亡した場合に支払われる死亡慰謝料
- 被害者に後遺障害が残った場合に支払われる後遺障害慰謝料
- 被害者が入通院を要するケガを負った場合に支払われる入通院慰謝料(傷害慰謝料)
それぞれの慰謝料の相場は、次のようになります。
- 死亡慰謝料 2000万円~2800万円程度
- 後遺障害慰謝料 110万円~2800万円程度
- 入通院慰謝料 通院1日当たり3300円~9300円程度
入院1日当たり8400円~1万7600円程度
※入通院慰謝料について、通院1日あたりの下限は別表Ⅱ12ヶ月の金額、上限は別表Ⅰ1ヶ月の金額、入院Ⅰ日あたりの下限は別表Ⅰ13ヶ月、上限は別表Ⅰ1ヶ月で計算しています。
- 死亡慰謝料 400万円~1350万円
- 後遺障害慰謝料 32万円~1850万円
- 入通院慰謝料 1日当たり4300円
これらを見比べていただけば分かるとおり、弁護士基準で算定した慰謝料額の方が、自賠責基準による算定額よりも多くなる傾向にあります。なお、任意保険基準については公開されておりませんが、自賠責基準より少し高い程度になることが多いようです。
交通事故の慰謝料に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
自賠責基準での慰謝料に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
状況別の交通事故慰謝料の相場
様々な状況別に、交通事故慰謝料の相場をご紹介していきます。
なお、以下でご説明するのはあくまで典型的なケースについてであり、個別のケースでは、それぞれの方の事情によって慰謝料額が増減することがあります。
詳しくは、一度弁護士にご相談ください。
むちうちの慰謝料の相場とは?
弁護士基準による入通院慰謝料の相場
むちうちの場合、多くのケースでは通院治療を行います。
弁護士基準では、入通院慰謝料は、入通院期間又は入通院日数とケガの程度によって決まります。
むちうちの治療では、通院期間は、1~6か月程度となることが多いです。
1~6か月の通院による入通院慰謝料(弁護士基準)は、以下のようになります。
通院期間 | 弁護士基準(他覚所見がない場合) | 弁護士基準(他覚所見がある場合) |
---|---|---|
1か月 | 19万円 | 28万円 |
2か月 | 36万円 | 52万円 |
3か月 | 53万円 | 73万円 |
4か月 | 67万円 | 90万円 |
5か月 | 79万円 | 105万円 |
6か月 | 89万円 | 116万円 |
上の表の「他覚所見がある場合」とは、CT、レントゲン、MRIなどで異常が見られる画像所見がある場合になります。
また、通院期間と比較して実際に通院した日数が少ない場合、実際に通院した日数の3.5倍程度(他覚所見がない場合は3倍)を通院期間とする修正が行われる場合があります。
週2回程度通院していれば、通院期間の修正は行われず、上記の表のとおりの入通院慰謝料が支払われると考えて良いと思われます。
上の表の金額は、弁護士基準で入通院慰謝料を算定する際に用いられる算定表により算出しています。
次に、一般的な弁護士基準での入通院慰謝料の算定方法を、簡単にご説明します。
入通院慰謝料の算定表(弁護士基準)
弁護士基準で入通院慰謝料を算定する際には、原則的に、以下の表1を用いて算定します。
他覚所見のないむちうち、軽い打撲、軽い挫創の場合には、以下の表2を用います。
上の表を用いる際、「通院した月数」(通院期間)は、原則的には、通院を始めた日から通院が終了した日までとなります。
ただし、通院期間と比較して実際に通院した日数が少ない場合、実際に通院した日数(実通院日数)の3.5倍程度を通院期間とする修正を行うことがあります。
たとえば、通院期間は100日間あるけれども、その間14日しか実際に通院していなかった、という場合には、弁護士基準で入通院慰謝料を算定する際には、通院期間は14日 × 3・5=49日と修正される可能性があるのです。
自賠責基準による入通院慰謝料の相場
むちうちの場合の自賠責基準による入通院慰謝料は、以下のようになります。
通院期間 | 自賠責基準 |
---|---|
1か月(2日に1回以上通院した場合。以下同様) | 約12万9000円 |
2か月 | 約25万8000円 |
3か月 | 約38万7000円 |
4か月 | 約51万6000円 |
5か月 | 約64万5000円 |
6か月 | 約77万4000円 |
弁護士基準による入通院慰謝料の相場の表と見比べていただくと、自賠責基準での入通院慰謝料は、弁護士基準での軽傷の場合の入通院慰謝料(19万円~89万円)をも下回ることがお分かりいただけるかと思います。
自賠責基準での入通院慰謝料の算定方法
自賠責基準で入通院慰謝料を算定する場合、入通院期間と実際に通院した日数によって入通院慰謝料が変わってきます。
自賠責基準での入通院慰謝料は、1日当たり4300円として計算します。
計算式は、
です。
対象日数は、以下の2つの日数を比べて少ない方とされます。
- 実際に入通院した日数の2倍の日数
- 入通院期間の日数(入通院を始めた日から入通院が終了する日までの日数)
そのため、たとえば、通院期間が100日だったとしても、実際に通院した日数が60日と20日の場合では、以下のように入通院慰謝料が異なります。
実際に通院した日数が60日の場合
通院期間(100日)と実際に通院した日数の2倍の日数(120日)では通院期間の方が日数が少ないので、対象日数は100日となり、
4300円 × 100日=43万円
の入通院慰謝料が支払われます。
通院期間(100日)と実際に通院した日数の2倍の日数(40日)では実際に通院した日数の2倍の日数の方が日数が少ないので、対象日数は40日となり、
4300 × 40=17万2000円
の入通院慰謝料が支払われます。
後遺障害慰謝料の相場
むちうちでは、治療を続けても治らない痛み、痺れなどの症状(後遺症)が残ってしまう場合があります。
こうした後遺症について、後遺障害等級認定を受けることができれば、後遺障害慰謝料も請求できます。
むちうちの場合に認定される可能性のある後遺障害等級は、次のいずれかになります。
- 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14級9号 局部に神経症状を残すもの
それぞれの等級での後遺障害慰謝料は、次のとおりです。
弁護士基準 | 自賠責基準 | |
---|---|---|
12級13号 | 110万円 | 32万円 |
14級9号 | 290万円 | 94万円 |
上の表からもわかるとおり、弁護士基準で算定した後遺障害慰謝料は、自賠責基準による後遺障害慰謝料額の約3倍となります。
むちうちの場合の慰謝料の相場については、以下のページもご参照ください。
骨折の慰謝料の相場とは?
骨折の場合、リハビリの期間も含め、通院期間は6か月程度又はそれ以上となる傾向にあります。
骨折で6か月~1年通院した場合の入通院慰謝料は、以下のようになります。
通院期間 | 弁護士基準 | 自賠責基準(2日に1回以上通院した場合) |
---|---|---|
6か月 | 116万円 | 約77万4000円 |
7か月 | 124万円 | 約90万3000円 |
8か月 | 132万円 | 約103万2000円 |
9か月 | 139万円 | 約116万1000円 |
10か月 | 145万円 | 約129万円(限度額超え) |
11か月 | 150万円 | 約141万9000円(限度額超え) |
12か月 | 154万円 | 約154万8000円(限度額超え) |
自賠責基準の場合、傷害部分(治療費、慰謝料、休業損害など)については120万円の限度額があります。
したがって、120万円を超える慰謝料は支払われませんし、仮に治療費が60万円かかっている場合には、差額の60万円までしか支払われません。
骨折の場合、治療終了後も、痛みや痺れ、関節の動きにくさ(可動域制限)といった後遺症が残り、後遺障害等級認定を受けることになる場合があります。
後遺障害等級認定を受けた場合、以下の後遺障害慰謝料が発生します。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
第1級 | 1150万円~1850万円 | 2800万円 |
第2級 | 998万円~1373万円 | 2370万円 |
第3級 | 861万円~1005万円 | 1990万円 |
第4級 | 737万円 | 1670万円 |
第5級 | 618万円 | 1400万円 |
第6級 | 512万円 | 1180万円 |
第7級 | 419万円 | 1000万円 |
第8級 | 331万円 | 830万円 |
第9級 | 249万円 | 690万円 |
第10級 | 190万円 | 550万円 |
第11級 | 136万円 | 420万円 |
第12級 | 94万円 | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
この表を使用すれば、通院期間ごとの「弁護士基準」と「自賠責基準(2日に1回以上通院した場合)」が見やすく表示されます。
自賠責基準の場合、第1級~第3級では、介護の要否、被扶養者の有無により、後遺障害慰謝料が変わってきます。
骨折の場合の慰謝料については、以下のページでも詳しく解説しています。
10対0事故の慰謝料の相場とは?
過失割合が10対0の事故(いわゆる「もらい事故」)の場合、慰謝料の相場は生じた結果(死亡したか否か、ケガの程度、後遺障害の有無など)によって大きく変わります。
ただ、過失がゼロだったからといって、被害者が、他の事故での慰謝料の相場より高額の慰謝料を請求できるわけではありません。
なお、慰謝料の増額事由(加害者の無免許運転、ひき逃げ、酒酔い運転、証拠隠滅など)が認められる場合は、相場より慰謝料額を増やせる可能性があります。
慰謝料が増額されるケースについては、以下のページもご参照ください。
10対0事故での慰謝料額が高くなる理由
大半の交通事故では被害者にも一定の過失があり、過失相殺が行われます。
一方、過失割合が10対0の事故の場合、被害者は過失相殺を受けることなく慰謝料全額を受け取ることができます。
そのため、過失割合が10対0の事故では、最終的に受け取れる慰謝料の金額は高くなる傾向にあります。
具体例でご説明しましょう。
例:交通事故による骨折で6か月通院した場合
過失相殺が行われるため、被害者が受け取れる入通院慰謝料額は、
116万円(弁護士基準での通院6か月の場合の入通院慰謝料額の相場)× 0.8 = 92万8000円
となります。
過失相殺は行われず、被害者は、116万円を受け取ることができます。
このように、10対0の事故では、過失相殺が行われないことにより、被害者が最終的に受け取ることができる賠償金が比較的多くなります。
後遺障害慰謝料の相場とは?
後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準と弁護士基準の場合で異なります。
それぞれの基準に沿ってご紹介します。
① 自賠責基準の場合
自賠責基準の場合の後遺障害慰謝料は、自動車損害賠償保障施行令別表第1、別表第2によって、以下のように定められています(具体的な慰謝料金額は令和元年金融庁・国土交通省告示第3号に定められています。)。
別表第1(介護を必要とする場合)
後遺障害等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 1650万円 |
第2級 | 1203万円 |
ただし、被害者に被扶養者がいる場合は、以下の金額となります。
後遺障害等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 1850万円 |
第2級 | 1373万円 |
別表第2(介護を不要とする場合)
等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 1350万円 |
第2級 | 1168万円 |
第3級 | 1005万円 |
後遺障害等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 1150万円 |
第2級 | 998万円 |
第3級 | 861万円 |
第4級 | 737万円 |
第5級 | 618万円 |
第6級 | 512万円 |
第7級 | 419万円 |
第8級 | 331万円 |
第9級 | 249万円 |
第10級 | 190万円 |
第11級 | 136万円 |
第12級 | 94万円 |
第13級 | 57万円 |
第14級 | 32万円 |
別表第2の1級〜3級まででは、被扶養者がいる場合には、以下の金額になります。
後遺障害等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 1350万円 |
第2級 | 1168万円 |
第3級 | 1005万円 |
② 弁護士基準の場合
弁護士基準の場合、後遺障害慰謝料は次のようになります。
後遺障害等級 | 弁護士基準 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
これらを比べると、後遺障害慰謝料は、弁護士基準で算定した場合、自賠責基準での算定額の1.5~3.4倍程度になることが分かります。
後遺障害慰謝料に関する詳しい説明は、以下のページもご参照ください。
軽症の慰謝料の相場とは?
軽症の場合の慰謝料の相場は、弁護士基準では、1~2週間程度の通院であれば4~10万円程度、1か月程度通院した場合は19万円程度です。
軽症の場合は、入通院慰謝料の算定表(弁護士基準)でご紹介した表2を用いて入通院慰謝料を算定します。
自賠責基準では、1~2週間程度であれば3万円~6万円程度、1か月では約12万9000万円となります(2日に1回以上通院していた場合)。
実際に通院した日数が2日に1回よりも少ない場合は、自賠責基準での通院慰謝料は、
となります。
通院した日が1日だけであっても、通院慰謝料を請求することができます。
軽症の場合の慰謝料についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
打撲の慰謝料の相場とは?
打撲の慰謝料の相場は、打撲の程度によっても変わってきます。
軽い打撲で、通院のみで治療した場合、弁護士基準では軽傷の場合の入通院慰謝料の算定表が適用されるので、通院慰謝料は以下のようになります。
通院期間 | 弁護士基準(軽傷の場合) | 自賠責基準(2日に1回以上通院した場合) |
---|---|---|
1か月 | 19万円 | 約12万9000万円 |
2か月 | 36万円 | 約25万8000円 |
3か月 | 53万円 | 約38万7000円 |
全身打撲など重傷の打撲の場合、入通院慰謝料は入通院慰謝料の算定表(弁護士基準)でご紹介した算定表の表1を基に算定します。
たとえば、1か月入院し、その後5か月通院した場合、141万円の入通院慰謝料が発生します。
痛みや痺れなどの後遺障害が残った場合は、後遺障害等級認定を受け、後遺障害慰謝料を請求することが考えられます。
後遺障害慰謝料の金額については、後遺障害慰謝料の相場とは?をご確認ください。
全治1週間の慰謝料の相場とは?
全治1週間のケガの場合、1週間通院をしたのであれば、自賠責基準では、実際に通院した日数に応じて、以下の通院慰謝料を請求できます。
自賠責基準での通院慰謝料 | |
---|---|
1日 | 8600円 |
2日 | 1万7200円 |
3日 | 2万5800円 |
4日 | 3万0100円 |
弁護士基準では、算定表で求められる慰謝料額をもとに、1か月を30日として日割計算します。
弁護士基準による通院慰謝料は、通院1か月の場合19万円~28万円ですので、通院期間が1週間の場合の通院慰謝料は、4万円~6万5000円程度となります。
28万円 ÷ 30日 × 7日=約6万5333円
死亡事故の慰謝料の相場とは?
自賠責基準の場合
自賠責基準では、死亡慰謝料の相場は、亡くなった被害者本人の慰謝料については400万円です。
自賠責基準の場合は、これに加え、遺族の慰謝料として、1名の場合は550万円、2名の場合は650万円、3名以上の場合は750万円が支払われます。
慰謝料が認められる遺族は、被害者の父母、配偶者、子に限られます。
被害者に被扶養者がいる場合には、遺族の慰謝料にさらに200万円が加算されます。
具体的な計算例は次のようになります。
具体例 死亡した被害者に配偶者と子ども1人(被扶養者)がいた場合被害者本人の慰謝料:400万円
遺族の慰謝料:650万円 + 200万円=850万円
⇒合計額:1250万円
自賠責基準の場合、死亡慰謝料額は最大でも合計1350万円(400万円 + 750万円 + 200万円)となります。
弁護士基準の場合
弁護士基準による死亡慰謝料の相場は、家族内の立場によって以下のようになっています。
- 一家の支柱 2800万円
- 一家の支柱に準ずる場合(母親・配偶者など) 2500万円
- その他(独身者、幼児など) 2000~2500万円
このように、弁護士基準による死亡慰謝料額は、自賠責基準の最大額と比べても、1.4倍~2倍になります。
死亡慰謝料の相場については、以下のページもご参照ください。
慰謝料だけではない!交通事故で請求できる賠償金とは?
交通事故では、慰謝料だけではなく、以下のような費目についても損害賠償を請求できます。
逸失利益
逸失利益は、交通事故により死亡した、後遺障害が残った、という場合に、事故がなければ得られたはずの収入を補償するものです。
逸失利益には、死亡逸失利益と後遺障害逸失利益があります。
それぞれの逸失利益の計算式は、以下のようになります。
- 死亡逸失利益
基礎収入 × (1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
- 後遺障害逸失利益
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
上の計算式の詳しい解説、基礎収入の算定方法、生活費控除率、労働能力喪失率、ライプニッツ係数の数値などについては、以下のページをご覧ください。
休業損害
休業損害は、交通事故で受けたケガの治療・療養のために仕事を休まざるを得なくなり、収入が減少した場合に請求することができます。
休業損害は、次の計算式を用いて計算します。
有給休暇を利用した日も「休業日数」に含めることができます。
休業損害については、以下のページもご参照ください。
積極損害(治療費等)
積極損害とは、交通事故に起因して支出を要することになった費用のことをいいます。
積極損害の主なものには、主に次のようなものがあります。
- 治療費
- 入院雑費
- 付添費用
- 通院交通費
- 装具代
- 葬祭費
- 弁護士費用
積極損害に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
交通事故の賠償金に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
自動計算ツールで簡単に慰謝料を計算
ここまで、交通事故の慰謝料の相場について解説してきました。
交通事故の慰謝料を算定するには、自賠責基準や弁護士基準の内容を調べなければならず、手間がかかります。
それに、交通事故の損害賠償の際に問題になるものには、慰謝料だけではなく逸失利益、休業損害などもありますが、これらを算定する際にも、算定基準の内容を理解し、計算する必要があり、大きな労力がかかってしまいます。
そこで、当事務所では、皆様に簡単に損害賠償の相場を計算していただけるよう、交通事故賠償金計算シミュレーターをご用意いたしました。
このシミュレーターに事故時のご年齢、性別、ご年収、入通院期間、休業日数、後遺障害等級、過失割合などの基本的な情報をご入力いただけば、慰謝料、休業損害、逸失利益の目安を自動で計算することができます。
結果はその場ですぐにご覧いただくことができ、後日当事務所からご連絡することはございません。
連絡先などの個人情報の入力も不要です。
何度でも無料でご利用いただけますので、関心がおありの方は、ぜひ一度お気軽にお試しください。
交通事故で適正な慰謝料を請求するポイント
事故後できるだけ早く病院を受診する
交通事故にあってしまった場合は、事故後数日のうちには病院を受診し、ひととおり検査を受けるようにしましょう。
交通事故でのケガは、日数が経った後から痛みなどの症状が出ることもありますので、ケガをしたかどうかはっきりしなくても、違和感があれば、病院を受診しておきましょう。
病院の受診が遅れると、「事故より後に別の原因でケガをしたのではないか」と事故とケガの因果関係を疑われ、示談交渉が難航したり、賠償金を減額されたりするおそれがあります。
治療費を打ち切られたからといって治療を諦めない
交通事故でケガをした場合、加害者側の保険会社から病院に直接治療費を払ってくれることが多いです(一括対応)。
ただ、一括対応がとられていると、治療期間が長引いてきたとき、加害者側の保険会社から「そろそろ治療費の支払いは打ち切りにしたい」などと、治療費の打切りを打診されることがあります。
しかし、このように言われたからといって、治療を諦めることはしないでください。
治療の要否は、保険会社が決めるわけではありません。
実際にはまだ治療が必要な段階だったのに、保険会社の言うことを鵜呑みにして治療を終了してしまうと、その後痛みなどが残って後遺障害等級認定申請をした時に、「治療が十分に尽くされていない」として、認定を受けられなくなる可能性があります。
後遺障害等級認定を受けることができないと、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することが大変難しくなります。
それに、十分な治療を行わないと、治療していれば治ったはずの痛みなどが残ってしまうこともあり得ます。
治療費の打切りを打診されたときは、主治医や弁護士に相談し、保険会社に対し、治療費の打切りを延ばしてもらえるように交渉しましょう。
こうした交渉は、弁護士に依頼することも可能です。
実際に治療費を打切られてしまった場合でも、治療により症状が改善する可能性があるのであれば、治療費をいったん自己負担してでも治療を続ける方が良い場合が多いです。
この場合には、健康保険に切り替えて負担額を減らすことも考えられます。
また、被害者自身で負担した治療費は、治療の必要性が認められれば、後から加害者に損害賠償に含めて請求することができます(治療の必要性が認められない場合、最終的に自己負担しなければならない可能性もあります。)。
治療費の打切りに対する対応方法については、以下のページもご参照ください。
慰謝料の相場を確認しておく
交通事故の示談交渉をする場合、加害者側の保険会社から示談案を示されることが多くあります。
この示談案は、原則的に任意保険基準によって算定されていますので、被害者に最も有利な弁護士基準から見ると、示談金額が低額に抑えられている傾向にあります。
このような示談案に引きずられてしまわないためにも、あらかじめ被害者の方でも慰謝料の相場を確認しておくことが大切です。
示談書にサインする前に弁護士に相談する
示談交渉が進むと、加害者側の保険会社から示談の条件を記した示談書(合意書、和解書などと書かれていることもあります。)が送られてきます。
この示談書にサインをすると、「示談契約」が成立します。
そうなると、示談金額などが不十分なものであったとしても、覆すことがほぼ不可能になります。
示談書にサインする前には、ぜひ一度弁護士に相談し、本当に示談内容が適正なものになっているのか確認するようにしましょう。
交通事故に強い弁護士に相談する
交通事故で慰謝料を請求する可能性がある場合は、なるべく早く、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
交通事故に強い弁護士に相談・依頼すれば、
- 慰謝料の算定額が最も高くなる弁護士基準で示談交渉を進めてもらえる
- 保険会社・加害者側との交渉窓口になって、やり取りを代わってもらえる
- 後遺障害等級認定申請の手続きのサポート、治療費の打ち切りへの対応も任せられる
- 治療中、示談交渉中に生じた疑問、不安などについて気軽に相談できる
- 過失割合についての交渉もしてもらえる
といったメリットがあります。
交通事故について弁護士に依頼するメリット、交通事故に強い弁護士の探し方については、以下のページで詳しく説明しています。
まとめ
今回は、交通事故の慰謝料の相場などについて解説しました。
交通事故の慰謝料は、弁護士基準によって算定して請求するのが最も有利になります。
交通事故で慰謝料を請求することを考えている場合は、なるべく早く交通事故に強い弁護士に相談し、示談交渉を依頼するようにしましょう。
当事務所でも、交通事故対応を集中的に担当している交通事故チームの弁護士が、交通事故の慰謝料請求に関するご依頼を受け付けております。
電話・オンラインによる全国からのご相談も可能です。
お困りの方はぜひ一度、お気軽に当事務所までご相談ください。