交通事故で足関節果部骨折。後遺障害に認定される?
足関節果部骨折は、外果や内果を骨折することを指します。
足首の周辺に強い痛み、腫れ、変形、皮下出血の症状があります。
この部分の骨折は、骨折だけでなく、足首の靭帯の損傷が合併することがあるため、足首の運動機能に障害を残存する可能性が高いケガです。
機能障害として10級11号、12級7号、神経症状として12級13号、14級9号が認定される可能性があります。
足関節果部骨折(そくかんせつかぶこっせつ)とは?
足関節とは足首のことです。
下半身には3つの関節があり、上から股関節、膝関節、足関節です。
膝から足首にかけては、親指側の脛骨(けいこつ)と小指側の腓骨(ひこつ)という2つの骨があります。
この2つの骨と足の骨が足関節を構成しています。
そして、足の小指側にあるくるぶしを外果、親指側のくるぶしを内果といいます。
外果と内果が足首の関節窩(ほぞ穴)をつくり、足関節を形作ります。
足関節果部骨折とは外果や内果を骨折することで、この部分の骨折は、足首の靭帯の損傷が合併することがあります。
足関節内果骨折についての解決事例はこちらをご覧ください。
足関節果部骨折の発生原因
交通事故の場合、体重をかけた状態で、足首にねじる力が加わると骨折が生じます。
歩いていて車にはねられた場合や、自転車やバイクから転倒して足を挫くような形になった場合には、足関節果部骨折のけがが起こります。
この部分は比較的発生頻度が多い骨折の1つといわれています。
実際自転車やバイクで転倒して足関節果部骨折のけがをされている方が多く、当事務所にも多くの相談が寄せられています。
足関節果部骨折はどんな症状?
骨折していますので、足首の周辺に強い痛み、腫れ、変形、皮下出血があります。
また、脛骨と腓骨を安定させる役割を果たしている靭帯が、骨折に伴って損傷することがあります。
足関節果部骨折の後遺障害について
機能障害
足関節果部骨折をした場合、足首の靭帯も一緒に損傷することがあり、足関節に機能障害(動かしづらくなる)が残ることがあります。
どの程度の等級に該当するかは、足関節の可動域(動く範囲)の程度によって変わってきます。
可動域が制限されていれば、必ず後遺障害に認定されるわけではなく、可動域制限が生じている原因がレントゲンやMRIなどで証明できることが必要です。
足関節果部骨折をした場合の機能障害の後遺障害は以下のとおりです。
- 8級7号
「1下肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」
「下肢の3大関節」とは、足関節に加えて股関節、膝関節の3つの関節のことをいいます。
「用を廃した」とは、簡単に言えば、全く足関節が動かない状態、あるいは、動いたとしても、ケガをしていない方の足と比べて10%以下しか動かないような場合です。 - 10級11号
健側(怪我をしていない側の肩関節)と比べ3/4以下制限されている - 12級7号
「1下肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの」
「関節の機能に障害を残すもの」とは、足関節の可動域(動く範囲)が、健側(ケガをしていない側の足関節)と比べ3/4以下に制限されているような場合です。
神経症状の後遺障害
足関節果部を骨折したとしても、機能障害は残らず、痛みだけが残るということもあります。
こうした場合には、神経症状(痛みやしびれ等)の後遺障害に認定される可能性があります。
認定される可能性があるのは、以下の2つの等級です。
- 12級13号
「局部に頑固な神経症状を残すもの」 - 14級9号
局部に神経症状を残すもの
一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構
2つの等級の違いは「頑固な」という文言の有無です。
具体的にどのような差があるかというと、14級9号は痛みや痺れが残っていることについて、医学的に説明できれば認定されるのに対して、12級13号は痛みや痺れが残っていることを医学的に証明できなければなりません。
つまり、レントゲンやMRIなどで異常が確認できて、その異常が原因で痛みや痺れが生じていることを証明できた場合には、12級13号が認定されるのです。
証明まではできなくても、事故規模・態様や治療内容、自覚症状の一貫性など諸事情を踏まえて、痛みや痺れの原因が事故によるものと医学的に説明できれば14級9号が認定されることになります。
痛みや痺れの原因が、医学的に説明すらできないものは後遺障害には認定されません。
交通事故での足関節果部骨折のポイント
このように足関節果部骨折のけがは後遺障害が残ってしまう可能性もあるけがです。
したがって、治療中の段階から以下の点に気をつけておくことが大切です。
リハビリをしっかりと行う
足関節果部骨折は、当初は骨折している部分を固定して、負荷がかからないように松葉杖を使用することになりますが、その後は荷重をかけてリハビリを行っていきます。
このときに、リハビリをしっかり行っていなければ、保険会社としても、通院をしていないからもう大丈夫だろうという判断になり、治療の打ち切りへと発展する可能性があります。
したがって、整形外科に定期的に通院して、しっかりと治療を行うことが大切です。
症状固定時には可動域検査を行ってもらう
可動域リハビリの結果、可動域の制限が残存してしまう場合には、後遺障害診断書に左右の可動域を測定して記載してもらわなければなりません。
後遺障害診断書に記載のない事項は、自賠責保険としても調査の対象と取り扱ってはくれません。
したがって、症状固定の段階で、足関節の可動域を最終的に測定し直してもらい、その結果を後遺障害診断書に記載してもらいましょう。
なお、可動域には被害者が自分で動かす「自動」と測定する医師や理学療法士の方が動かす「他動」がありますが、原則として他動の値で制限を判断します。