手首が動かないときの後遺障害とは?弁護士が解説
手首の動かしづらさの程度に応じて8級6号、10級10号、12級6号に認定される可能性があります。
手関節とは?
手関節(しゅかんせつ)とは、手首のことです。
前腕の親指側に橈骨(とうこつ)と小指側に尺骨(しゃっこつ)があります。
橈骨・尺骨の上にあるのは、8つの骨で形成される手根骨(しゅこんこつ)です。
手根骨のうち舟状骨(しゅうじょうこつ)と月状骨(げつじょうこつ)が橈骨と接し、手関節を形成します。
右手関節機能障害で後遺障害が認められた事例は以下をご覧ください。
手関節の可動域制限の原因となるケガとは?
交通事故の際、手のひらを地面に強くついたとき、手首を過度に捻ったときに手関節を負傷することがあります。
傷病名としては、以下のようなものがあります。
- 橈骨遠位端骨折
- 手首の三角繊維軟骨複合体の損傷のTFCC損傷
- 舟状骨骨折
- 橈骨・尺骨骨幹部骨折
交通事故で、このような怪我を受傷すると手関節に可動域制限が現れる可能性があります。
後遺障害等級はどうなりますか?
交通事故により、手首を負傷して、手関節が動かしづらくなると後遺障害に該当する可能性があります。
ただ、可動域制限(動かしづらくなること)がある場合の全てが可動域制限による後遺障害として認められるわけではありません。
以下で記載しているとおり、一定以上の可動域制限がなければ後遺障害には該当しません(痛みについて別途後遺障害が認定されることはあります)。
また、一定以上の可動域制限があったとしても、その原因となる異常所見が認められなければ、認定はされません。
つまり、手首のレントゲンを撮影して、骨に異常が認められ、それが原因で可動域に制限がかかっているということが確認されなければならないのです。
手関節の機能障害の後遺障害等級は、以下の3つに該当する可能性があります。
「1上肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」
「上肢の3大関節」とは、手関節に肩関節、肘関節を加えた3つの関節を指します。
「用を廃したもの」とは、簡単に言うと、全く手関節が動かない状態、あるいは、動いたとしても、健側(ケガしていない方の手関節)の10%以下しか動かないような場合をいいます。
後遺障害慰謝料:830万円
労働能力喪失率:45%
10級10号
「1上肢の3大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、手関節の可動域(動く範囲)が、健側(ケガをしていない側の手関節)と比べ1/2以下に制限されているような場合です。
後遺傷害慰謝料:550万円
労働能力喪失率:27%
12級6号
「1上肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの」
「関節の機能に障害を残すもの」とは、手関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の手関節と比べ3/4以下に制限されているような場合です。
後遺傷害慰謝料:290万円
労働能力喪失率:14%
手関節の可動域の計測は?
関節の可動域の測定は、他動(他人の力で動かしてもらうこと)の主要運動を計測します。
手関節の主運動は、屈曲と伸展です。
「屈曲」・・・手を前に伸ばしたまま指先を下に向ける運動。
「伸展」・・・手を前に伸ばしたまま指先を上に向ける運動。
これらの運動の可動域を測定して、ケガをしていない健側とケガをした患側の可動域角度の合計を比較します。
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