アスベストとは、天然にできる繊維状の鉱物のことで、これが体内に取り込まれると、長期間にわたり肺の中に滞留して、肺がんや中皮腫などの病気を発症させてしまいます。
現在では、アスベストは全面禁止されていますが、過去には建材や家電などの日用品にも使用されていました。
特に建設業や工場勤務でアスベストにさらされていた方は、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水などの病気を発症されています。
このページでは、建設アスベスト給付金制度、工場勤務での賠償金請求、その他アスベストの救済制度について詳しく解説していますので、ご参考にされてください。
この記事でわかること
- アスベストとは何か
- アスベストの人体への影響と発症する病気
- アスベスト被害に関する補償制度
- アスベストに関する法規制
アスベストとは何か?
アスベストとは、天然にできる繊維状の鉱物(せんいじょうこうぶつ)のことです。
アスベストは、単一の鉱物の名前ではなく、いくつかの繊維状鉱物の総称のことをいいます。
日本で主に使用されていたアスベストは、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)です。
1本1本がとても細い繊維(髪の毛の5000分の1程度)でできており、石ではあるものの軽く、耐熱性や絶縁性、保温性、耐久性に優れているため、建築資材や家庭用品などに利用されてきました。
石綿とは?
アスベストと石綿との違い
石綿は、「せきめん」あるいは「いしわた」と読みます。
石綿は、天然にできる繊維状の鉱物のことを指し、アスベストと同じものです。
アスベストと石綿との違いは、呼び方だけです。
アスベストは、オランダ語です。
石綿をオランダ語でいうとアスベストというのです。
アスベストの何が問題なのか?
アスベストは、それ自体が何か有害な物質を出しているわけでは有りません。
しかし、アスベストは、上記したように髪の毛よりも細い繊維でできており、空気中に浮遊しやすく、人がそれを吸い込んでしまうことが問題なのです。
以下では、アスベストを吸い込んでしまった場合の人体への影響や発症リスクが有る病気について説明します。
アスベストの人体への影響
浮遊したアスベストを人が吸い込んでしまうと、肺の中で長くとどまってしまいます。
アスベストの繊維は丈夫なので、体外に排出されづらいのです。
アスベストが長く肺に滞留することで、肺がんや悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)などの病気を引き起こすことになります。
こうしたアスベストの健康被害は、30年から50年という長い潜伏期間を経て発症します。
アスベストの病気の種類と症状
アスベストを吸い込むことによって、以下のような病気になる可能性があります。
石綿(アスベスト)肺とは、肺が線維化してしまい、呼吸がしづらくなる病気です。
重症化すると、重度の息切れや呼吸不全を引き起こします。
アスベストを大量に吸い込んでしまった場合に発症する危険性があり、吸い込んだ量が多いほど肺の線維化が起こりやすいと考えられています。
一般に、職業上、アスベストを10年以上、吸い込んでいる労働者が発症すると言われています。
潜伏期間は、15年〜20年といわれており、仕事でアスベストを吸い込む状況がなくなった後も進行することがあると考えられています。
肺がんは、肺にがんができてしまう病気です。
肺がんの症状としては、咳や痰、痰に血が混ざっている、発熱、息苦しさ、動悸、胸が痛くなるなどの症状があります。
アスベストによって肺がんを引き起こす原因は十分には分かっていませんが、肺の細胞の中に入ったアスベストの繊維が肺の細胞を刺激して肺がんを引き起こすと考えられているようです。
喫煙者の場合、アスベストと相まって、肺がんを発症するリスクが高くなるといわれています。
アスベストを吸い込んでから発症するまで、15〜40年の潜伏期間があるといわれており、アスベストを吸い込んだ量が多いほど、発症する可能性が高いといわれています。
中皮腫(ちゅうひしゅ)とは、肺、肝臓、胃、心臓などを囲む膜にできる悪性の腫瘍(しゅよう)のことをいいます。
肺を取り囲む胸膜に中皮腫ができることが最も多いです。
中皮腫の症状は、息切れや胸の痛み、咳、発熱、全身の倦怠感などがあります。
アスベストを吸い込んでから発症するまでの潜伏期間は、20〜50年、平均すると40年程度といわれており、とても長い潜伏期間があります。
びまん性胸膜肥厚とは、肺を覆っている胸膜(きょうまく)という膜が炎症をおこして、線維化する病気です。
びまん性とは、広く広がっている意味で、胸膜全体の4分の1以上に症状がある場合に、びまん性胸膜肥厚と診断されます。
びまん性胸膜肥厚の症状は、呼吸がしづらくなり、反復して胸の痛みが出ます。
びまん性胸膜肥厚の潜伏期間は、30〜40年といわれており、アスベストを吸い込んだ量が多いほど発症が早い傾向にあります。
良性石綿胸水(りょうせいせきめんきょうすい)とは、肺の膜と膜の間に液体がたまる病気のことをいいます。
症状は、呼吸のしづらさや、胸の痛みが出ることがありますが、自覚症状がないまま、レントゲン検査で分かることもあります。
潜伏期間は、30〜40年程度といわれています。
病名 | 病気の症状 | 潜伏期間 |
---|---|---|
石綿(アスベスト)肺 | 肺が線維化してしまう病気で、初期症状は、軽い息切れや運動能力の低下。次第に呼吸がしづらくなり、重症化した場合には重度の息切れや呼吸不全を起こす。 | 15〜20年 |
肺がん | 初期症状は、咳や痰などの自覚症状がある。痰に血が混じった血痰、胸の痛み、息苦しさ、動悸などの症状がある。 | 15〜40年 |
中皮腫 | 息切れ、胸の痛み、咳、発熱、全身の倦怠感など。 | 20〜50年 |
びまん性胸膜肥厚 | 呼吸がしづらくなる、反復して胸の痛みが生じる | 30〜40年 |
良性石綿胸水 | 呼吸のしづらさ、胸の痛みなど。自覚症状がないこともあり。 | 10〜40年以上 |
アスベストはどこに使われているの?
アスベストは、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能があり、しかも安価であったため、建築の材料として様々な建築物に使用されていました。
一般のビルや、一般住宅、学校、病院、工場などの建築物に使用され、駐車場や変電施設などの工作物にも使用されてきました。
アスベストが使用された製品の種類
現在、アスベストを使用して製造されている製品は、ほぼないと考えられます。
しかし、過去においては、アスベストを使用して日用品が製造販売されていました。
オーブントースターやアイロン、ミキサー、こたつ、エアコンなどの電化製品や、ファンヒーター、ストーブ、ガスコンロなどのガス・石油製品、その他にも自転車や金庫など広く使用されていました。
平成17年の経済産業省が行った調査では、185社774製品にアスベストを使用していることがわかりました。
メーカーによれば、774製品のうち、762製品については、アスベストが他の物と混合されて固められているので、アスベストが飛び散る心配はないとされています。
参考:経済産業省のアスベストを含有する家庭用品の実態把握調査
アスベストの使用禁止はいつから?
アスベストは、過去は規制なく使用されていましたが、段階に応じて規制がなされています。
規制の流れは下表のとおりです。
規制時期 | 規制内容 |
---|---|
1960年 |
〜じん肺法の制定〜 じん肺法は、アスベストを含む粉じんを長期間吸い込むことで発症するじん肺から労働者の健康を守るために制定された法律です。じん肺を予防するために、じん肺健康診断の義務付け、粉じんにさらされる程度を低減させるための措置の努力義務化などが規定されました。 |
1971年 |
〜特定化学物質等障害予防規則が制定〜 特定化学物質等障害予防規則(以下「特化則」)は、適正な取り扱いをしないと健康被害が生じる危険性のある特定化学物質から、労働者を守るために制定された規則です。この規則では、アスベストが飛び散る場所では、排気装置を設置することなどが規定されました。 |
1975年 |
〜特化則の改正〜 特定化学物質等障害予防規則が改正され、石綿含有率が100gあたり5gを超える建材を用いた吹き付ける作業が禁止されました。 |
1995年 |
〜安全衛生施行令、安全衛生規則、特化則の改正〜 石綿含有率が100gあたり1gを超える建材を用いた吹付け作業が禁止されました。 |
2004年 |
〜安全衛生施行令の改正〜 吹き付け作業だけでなく、アスベストが含まれている10製品 |
2006年 |
〜安全衛生施行令の改正〜 100gあたり0.gを超えるアスベストの製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。 |
アスベストの危険性は、昔から指摘されていたところではありますが、全面禁止になったのは2006年でした。
アスベストによる病気の発生リスクの高い職業
アスベストによる病気の発生のリスクは、アスベストを吸い込んだ量と関係します。
したがって、アスベストを取り扱う職業は、アスベストによる病気の発生リスクは高くなります。
石綿鉱山での作業や、石綿製品の製造に関わる仕事や、建築現場で吹き付け作業をしていた建設業などの仕事がリスクの高い仕事として考えられます。
しかし、アスベストは広範に使用されていたこともあり、様々な職種でアスベストにさらされていた可能性があります。
厚生労働省は、アスベストにさらされたおそれのある作業例について、公開しています。
- 石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業
- 石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業
- 石綿原綿または石綿製品の運搬・倉庫内作業
- 配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
- 造船所内の作業(造船所における事務職を含めた全職種)
- 船に乗り込んで行う作業(船員 その他)
- 建築現場の作業(建築現場における事務職を含めた全職種)
- 解体作業(建築物・構造物・石綿含有製品等)
- 港湾での荷役作業
- 発電所・変電所・その他電気設備での作業
- 鉄鋼所または鉄鋼製品製造に関わる作業
- 耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業
- 自動車・鉄道車両等を製造・整備・修理・解体する作業
- 鉄道等の運行に関わる作業
- ガラス製品製造に関わる作業
- 石油精製、化学工場内の精製・製造作業や配管修理等の作業
- 清掃工場または廃棄物の収集・運搬・中間処理・処分の作業
- 電気製品・産業用機械の製造・修理に関わる作業
- レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
- 吹きつけ石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業(教員 その他)
- エレベーター製造または保守に関わる作業
- ランドリー・クリーニングに関わる作業
- ガスマスクの製造に関わる作業
- 上下水道に関わる作業
- ゴム・タイヤの製造に関わる作業
- 道路建設・補修等に関わる作業
- 映画放送舞台に関わる作業
- 農薬・バーミキュライト等を扱う作業
- 酒類製造に関わる作業
- 消防に関わる作業
- 歯科技工に関わる作業
- 金庫の製造・解体に関わる作業
- その他の石綿に関連する作業
- タルク等石綿含有物を使用する作業
厚生労働省:石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ
上記は、アスベストにさらされたおそれのある作業例であり、各作業によってさらされた程度には差があります。
アスベスト被害に遭った場合の対応
アスベスト被害に関する補償制度
建設アスベスト給付金
建設アスベスト給付金とは、アスベストを使用する作業をしていた建設業の従事者に対し、アスベストが原因で肺がんや中皮腫などを発症した場合に支給される給付金の制度です。
アスベストの健康被害は、国に一部責任があると認めた最高裁判決(令和3年5月17日)に基づいて、法律が作られ、建設アスベスト給付金の制度が設けられました。
給付金の対象となる方は、給付金の申請を行って支給を受けましょう。
対象者は、以下の条件を満たす人です。
- ① 以下の期間に各石綿にさらされる建設業務を行っていること
・昭和47年10月1日〜昭和50年9月30日 → 石綿の吹付け作業にかかる建設業務
・昭和50年10月1日〜平成16年9月30日 → 一定の屋内作業場で行われた作業にかかる建設業務 - ② 以下の石綿関連疾病にかかっていること
・中皮腫
・肺がん
・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
・石綿肺(じん肺管理区分が管理2〜4)
・良性石綿胸水 - ③ 労働者、一人親方、中小事業主(家族従事者を含む)であること
給付金の主な内容は以下のとおりです。
対象内容 | 給付金額 | |
---|---|---|
1 | 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がない者 | 550万円 |
2 | 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がある者 | 700万円 |
3 | 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がない者 | 800万円 |
4 | 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がある者 | 950万円 |
5 | 中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿胸水である者 | 1150万円 |
6 | 上記1及び3により死亡した者 | 1200万円 |
7 | 上記2、4及び5により死亡した者 | 1300万円 |
建設アスベスト給付金制度について、詳しくは下記をご覧ください。
アスベスト訴訟の和解手続
建設業の場合には、上記の給付金制度を利用して給付金の支給を受けることができます。
一方で、アスベスト工場にて働いていた労働者やその遺族については、アスベストによる健康被害の賠償金を受け取るには、国に対して訴訟提起をする必要があります。
国に対して訴訟提起をして、条件を満たす場合には、和解手続きを経て賠償金を受け取ることができます。
以下は、賠償金を得るための条件です。
- ① 昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと。
- ② 石綿による一定の健康被害を被ったこと。
→「石綿による一定の健康被害」とは、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚のことをいいます。 - ③ 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。
詳しくは、以下をご確認ください。
労災について
仕事が原因でアスベストにさらされて、その結果、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水を発症した場合には、労災保険給付が支給されます。
厚生労働省は、石綿ばく露作業(アスベストによる健康被害が出る作業)として下表の作業を掲げています。
- ① 石綿鉱山またはその附属施設において行う石綿を含有する鉱石または岩石の採掘、搬出または粉砕その他石綿の精製に関連する作業
- ② 倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
- ③ 石綿製品の製造工程における作業
- ④ 石綿の吹付け作業
- ⑤ 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
- ⑥ 石綿製品の切断などの加工作業
- ⑦ 石綿製品が被覆材または建材として用いられている建物、その附属施設などの補修または解体作業
- ⑧ 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
- ⑨ 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)など)などの取り扱い作業
これらのほか、上記作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業や上記作業の周辺などにおいて、間接的なばく露を受ける作業も該当します。
上記のような作業によって、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水を発症した場合で、石綿ばく露作業に従事していた期間などの条件を満たせば、労災認定されることになります。
詳細な労災認定条件について詳しくは、以下のページをご確認ください。
労災保険の給付としては、以下の療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、傷病補償給付、介護補償給付、遺族補償給付、葬祭料があります。
これらの給付には、それぞれ申請に期限がありますので、注意しなければなりません。
石綿健康被害救済制度
石綿健康被害救済制度とは、労災保険の対象とはならないものの、アスベストによって健康被害にあった人を救済するための制度です。
仕事でアスベストにさらされて中皮腫や肺がんなどを発症してしまった場合には、労災保険によって治療費などの給付を受けることができます。
一方で、アスベストに関わる仕事をしていた人の家族や、アスベスト製品が作られていた工場の近隣に住んでいた人がアスベストの健康被害にあった場合には、労災保険の給付は受けられません。
石綿健康被害救済制度は、こうした方々に対して医療費などの給付を行い救済する制度です。
給付内容としては、医療費、療養手当、葬祭料、救済給付調整金、特別遺族弔慰金、特別葬祭料があります。
仕事以外でアスベストにより健康被害を受けた場合には、石綿健康被害救済制度を利用することを検討しましょう。
石綿健康被害救済制度について、詳しくは、下記サイトをご確認ください。
会社に対する損害賠償
アスベストの健康被害の損害賠償請求を建材メーカーに対して請求することが考えられます。
アスベストが有害であることは分かっていたのに、建材にアスベストが含まれていることを適切に表示しなかった結果、アスベストによる健康被害が生じてしまったと主張して賠償金を請求します。
建材メーカーへの賠償請求は、建材メーカーの加害行為とアスベスト被害の関係性を証明することが難しい部分があります。
詳しくは、以下のサイトをご確認ください。
被害者がおさえておくべき3つのポイント
救済制度の概要を知る
アスベストによる健康被害に対して、適切な補償を受けるには、どのような救済制度があるのかを十分に知っておく必要があります。
建設業の方でアスベストの健康被害にあった場合には、建設アスベスト給付金が支給される可能性がありますし、工場勤務の方は国に訴訟提起をすることで賠償金を受け取ることができる可能性があります。
さらに、労災保険をうけることができないアスベスト被害者の方は、石綿健康被害救済制度を利用して補償を受けることができる可能性があります。
中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水で治療中の方は、上記の制度で利用できるものがないか概要を確認することが大切です。
家族に救済されるべき人がいないか確認
アスベストが使用されていたピークは数十年前であることや、潜伏期間の長さなどから、アスベストによる健康被害が現実化しているのは高齢の方が多くいらっしゃいます。
したがって、近年のアスベスト救済制度をご存じないまま、適切な補償を受けることができていない可能性があります。
また、アスベスト被害を受けたご本人が亡くなっている場合もありえます。
その場合には、条件を満たせば、ご遺族が給付金の申請や賠償金の請求を行うことができます。
したがって、ご家族に中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といった病気にかかった人がいれば、給付金などの請求ができないか確認してみましょう。
アスベストにくわしい弁護士へ相談する
自分が補償の対象になるかどうかの判断がつかない場合には、アスベストに詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
特に、工場勤務でアスベスト被害にあった方は、国への訴訟提起が必要になるなど、被害者本人では手続面で難しい場面があります。
アスベストに詳しい弁護士に相談することで適切な手続きの進め方についてアドバイスを受けることができますので、アスベストの給付金や賠償金について気になることがあれば、一度相談されることをおすすめします。
アスベスト関連企業における対策
アスベストについての法律の規制
アスベストの有害性が認められて以降、アスベストに対しては様々な法規制がされています。
石綿障害予防規則
石綿障害予防規則は、労働安全衛生法と労働安全衛生法施行令の規定に基づく規則です。
この規則では、アスベストによる労働者の肺がんや中皮腫などの健康被害を予防することを目的としています。
事業者に、建築物を解体・改修する際に、事前にアスベストの使用の有無を調査することを義務付けるなどの規制が定められています。
大気汚染防止法
大気汚染防止法により、アスベスト等が含まれている建材が使用されている建築物等の解体、改造、補修作業を行う場合、石綿飛散防止対策を講じることが義務付けられています。
また、吹付け石綿、石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材に係る作業は、事前に都道府県等に届出を行わなければなりません。
参考:環境省「大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について」
労働安全衛生法施行令
労働安全衛生法施行令により、2006年9月から、アスベストを含んでいる建材(100gあたり0.1gを超えて含有するもの)は、製造、使用等が全面的に禁止されました。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、アスベストが含まれている廃棄物の処理について規制がなされています。
アスベストの調査とは
アスベストの調査とは、建築物にアスベストが使用されているかどうか、使用されているとして、アスベストの含有量や空気中の濃度を測定等することです。
こうした調査を通じて、アスベストによる健康被害を予防することが期待できます。
建築物に対するアスベストの調査に関しては、国も補助金制度を設けるなどして、調査の実施を促しています。
アスベストの事前調査とは
アスベストの事前調査とは、工事をする前に建築物に使用されている建材にアスベストが使用されているかどうか調査するものです。
令和4年4月1日から、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、施工する工事にアスベストが含まれる建材の有無について事前に調査して、その結果を都道府県等に報告することが義務づけられています。
その報告は、労働基準監督署にも行う必要があります。
報告対象となる工事は以下のとおりです。
- 建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80 ㎡以上)
- 建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
- 工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
石綿障害予防規則に基づく報告は、上記に加え、鋼製の船舶の解体又は改修工事(総トン数20トン以上)も必要。
アスベストの事前調査について、詳しくは下記のサイトをご確認ください。
まとめ
アスベストが原因で発症する病気は、いずれも潜伏期間が長いです。
したがって、実際にアスベストによって病気が発症してしまっても、アスベストが原因とは気づけないこともありえます。
肺がん、中皮腫、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水の病気になった場合には、アスベストが原因かもしれません。
ご自身が給付金や賠償金などの対象になるかどうか、ご不安な場合には、弁護士に相談されることをおすすめします。
弊所では、アスベストの相談について、面談での相談はもちろんのこと、LINE、ZOOM、フェイスタイムなどのオンライン相談、電話相談もお受けしています。
アスベスト相談は、初回無料で全国対応していますので、お気軽にお問い合わせください。