B型肝炎は治る?治療法や費用も解説

B型肝炎は完治が難しい病気として知られています。

しかし、適切な治療によって症状をコントロールし、健康的な生活を送ることはできます。

また、近年ではB型肝炎の完治を目的とした新薬の開発も進められているため、将来的にはB型肝炎も治る病気になるかもしれません。

この記事では、B型肝炎の従来の治療法や治療にかかる医療費に加えて、新薬の開発状況などについて、わかりやすく解説をしていきます。

B型肝炎は治る?

B型肝炎は、今のところ完全に「治る」病気とはいえません。

B型肝炎ウイルスを完全に排除する治療法がまだ確立されていないためです。

しかし、B型肝炎ウイルスを体内から完全に排除するための新薬が研究され続けていますので、将来的には治る病気になっているかもしれません。

 

B型肝炎が治る時代は来る?

現時点では、B型肝炎を完全に治す治療法はまだ確立されていません。

B型肝炎ウイルス(HBV)は、一度感染するとウイルスが体内に残り続けるため、現在の治療法では「ウイルスを完全に排除する」ことは難しいとされています。

しかし、「B型肝炎ウイルス(HBV)のmRNAを標的とするペピロビルセン300mgを週1回24週間投与することにより、B型慢性肝炎患者の9~10%において24週間にわたる持続的なHBs抗原およびHBV DNAの消失が認められ」たとの研究報告があります。

今後、もっと研究が進めば、B型肝炎が治る時代も来るかもしれません。

引用:日本赤十字社|広島赤十字・原爆病院

 

B型肝炎を完治する新薬の開発状況

B型肝炎を完治させることを目標として、新たな治療法の研究が進められています。

B型肝炎の治療薬の開発は、主に2つのアプローチから進められています。

1つは、「肝細胞でのHBV感染複製を標的」とするアプローチです。

これは、B型肝炎ウイルスが肝臓の細胞内で増殖する過程を阻止することを目標とするものです。

もう1つは、「免疫修飾を介した」アプローチです。

これは、体の免疫システムを調整したり変化させたりすることで、B型肝炎の治療を行うことを目標とするものです。

開発中の代表的な治療薬とその開発状況については、以下の表をご覧ください。

肝細胞でのHBV感染複製を標的とした治療薬候補
Bulevirtide 欧米を中心に臨床第II相試験中
VIR-2218 中国やオーストラリア等で臨床第II相試験中
Bepirovirsen 臨床第II相試験においてHBs抗原低下の有効性が報告
Morphothiadin 中国で臨床第II相試験中
Bersacapavir 臨床第II相試験中
REP2139 欧州で臨床第II相試験中
EYP001(Vonafextor) 欧州、中国、オーストラリア等で臨床第II相試験中

 

免疫修飾を介した治療薬候補
NASVAC バングラデシュで臨床第III相試験中
BRII-179(VBI-2601) 臨床第II相試験中
Selgantolimod(GS-9688) 欧米を中心に臨床第II相試験中
Lenvervimab(GC1102) 韓国で臨床第II相試験中
ASC22(KN035、 Envafolimab) 中国で臨床第II相試験中

参考:国立感染症研究所

 

治験のステップ

治験は、通常以下の3つの段階を経て進められます。

  • 第I相臨床試験
  • 第II相臨床試験
  • 第III相臨床試験

第I相臨床試験は、健康な成人に薬を投与し、薬の安全性を確認する段階です。

第II相臨床試験は、少数の患者に薬を投与し、薬の安全性・有効性・使用方法などについて確認する段階です。

第III相臨床試験は、多数の患者に薬を投与し、第II相臨床試験で獲得した結果の最終確認をする段階です。

これらの段階を経て、新たな薬が開発されていきます。

 

 

B型肝炎とは?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって引き起こされる肝臓の病気です。

HBVは、主に感染者の血液や体液を介して感染します。

大人がHBVに感染した場合は、急性肝炎を発症した後、ほとんどの方が自然に治癒します。

これに比べて、乳幼児がHBVに感染した場合は、一生涯ウイルスを体内に保有したままの「HBVキャリア」となる確率が非常に高いという特徴があります。

適切な治療や管理を行わないまま放置してしまうと、慢性肝炎・肝硬変・肝がんといった病気へと進行する危険性がありますので、注意が必要です。

 

 

B型肝炎の治療とは?

B型肝炎の治療は、ウイルスの増殖を抑制し、肝炎の進行を防ぐことを主な目的としています。

現在の治療法では完全な治癒は難しいものの、適切な治療により症状をコントロールし、生活の質を維持することができます。

B型肝炎の治療では、主に「核酸アナログ製剤」と「インターフェロン製剤」が使用されます。

 

B型肝炎の治療薬について

B型肝炎の治療には、主に以下の2種類の薬が使用されています。

  • 核酸アナログ製剤
  • インターフェロン製剤

 

核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤は、B型肝炎ウイルスの増殖を直接抑える働きを持つ薬です。

代表的な薬として、「エンテカビル」や「テノホビル」が挙げられます。

この薬には、以下のような特徴があります。

  • 1日1回の内服のため負担が少ない
  • 副作用が比較的少ない
  • 長期間の服用が必要

服薬を中止するとウイルスが急増し、重篤な肝炎を発症する可能性があるため、服用や服用の中止をする場合は、必ず医師の指導に従ってください。

 

インターフェロン製剤

インターフェロン製剤は、ウイルスに直接作用するとともに、体の免疫機能を高めてウイルスと戦う力を強化する薬です。

インターフェロンには、「インターフェロンα」と「ペグインターフェロンα」の2種類があります。

この薬には、以下のような特徴があります。

  • 治療期間が限定的(ペグインターフェロン製剤の場合、通常48週間)
  • 注射による投与が必要

 

 

B型肝炎の治療費用はいくら?

B型肝炎の治療費用は、使用する薬剤や治療法によって大きく異なります。

ここでは、主な治療薬の費用について解説します。

 

核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤の費用は、保険適用の3割負担で1錠あたり75円〜350円程度かかります。

毎日1錠を服用するケースが多いため、月額自己負担額は2,250円〜10,500円前後となります。

 

インターフェロン製剤

インターフェロンαの費用は、保険適用の3割負担で1本あたり2,500円〜12,000円程度かかります。

原則として週3回の注射が必要となりますので、月額自己負担額は30,000円〜144,000円前後となります。

ペグインターフェロンαの費用は、保険適用の3割負担で1本あたり約8,500円程度かかります。

原則として週1回の注射が必要となりますので、月額自己負担額は34,000円前後となります。

 

 

B型肝炎被害者が押さえておくべきポイント

B型肝炎の被害者の方が、適切な治療と補償を受けるために押さえておくべき重要なポイントは、以下の5つです。
B型肝炎被害者が押さえておくべきポイント
これらのポイントを押さえることで、B型肝炎被害者の方は、適切な治療を受けながら、可能な限りの補償を受けることができます。

 

定期的に検査を受ける

B型肝炎ウイルスに感染していることがわかったら、定期的な検査を受けることが非常に重要です。

なぜなら、B型肝炎は自覚症状がないまま進行し、肝硬変や肝がんといった重篤な病気に発展する可能性があるからです。

そのため、たとえ自覚症状がない場合でも、定期検査を怠らないことが長期的な健康維持と重症化予防につながります。

定期検査の頻度については、医師の指示に従ってください。

 

医療費助成制度を活用する

B型肝炎の治療は長期間を要することから、高額な医療費を負担に感じる方が多いと思います。

しかし、医療費助成制度を活用することで、経済的負担を大幅に軽減することができます。

B型肝炎の医療費助成制度を利用した場合、インターフェロンおよび核酸アナログ製剤を用いた治療を月額自己負担額10,000円または20,000円で受けることができます。※

※世帯の所得額によって異なります。

 

B型肝炎の給付金を申請する

B型肝炎の給付金は、集団予防接種での注射器の使い回しが原因でB型肝炎ウイルスに感染した方に対して、国から支払われる賠償金です。

B型肝炎の給付金の対象者の場合、最大で3600万円を受け取ることができます。

そのため、B型肝炎ウイルスに持続感染している方は、自分がB型肝炎給付金の対象者であるかを確認の上、給付金の申請をすることをおすすめします。

 

除斥期間の経過に注意する

除斥期間とは、権利を行使できる期間の上限を定めるものであり、通常はこの期間を過ぎると権利そのものが消滅してしまいます。

不法行為による損害賠償請求権の場合、不法行為の時から「20年」が経過すると、除斥期間によって権利を行使することができなくなります。

ただし、B型肝炎給付金の場合は、被害者救済のために20年を経過していても、一定額の給付金が支払われます。

しかし、20年を経過すると、受け取ることができる給付金の額が大幅に減額されてしまいますので、注意が必要です。

例えば、死亡時から20年以内であれば3600万円の給付金を受け取ることができますが、死亡時から20年が経過している場合は900万円しか給付金を受け取ることができません。

 

給付金をいくらもらえる?無料で診断!

B型肝炎の給付金を申請したら、一体どれくらいの金額がもらえるのか気になりますよね。

給付金は、感染の状況や病状などによって金額が異なります。

当事務所では、どの程度の給付金を受け取れる可能性があるかを簡単に確認できる無料診断サービスをご用意しています。

気になる!という方は、ぜひ以下のリンクから無料で診断してみてください。

 

B型肝炎に詳しい弁護士へ相談する

B型肝炎給付金の申請は複雑な面もあるため、B型肝炎に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 専門的な法律知識に基づいた適切なアドバイスが受けられる
  • 必要書類の収集や手続きの負担が軽減される
  • 給付金額の最大化や申請の成功率向上が期待できる

確実にB型肝炎給付金を受け取りたいという方は、ぜひB型肝炎に詳しい弁護士に相談してください。

 

 

B型肝炎の完治についてのQ&A

B型肝炎の完治に関するご質問にお答えします。

B型肝炎が完治しない場合のデメリットは?

B型肝炎が完治しない場合、いくつかの重要なデメリットがあります。
  • 肝硬変や肝がんへ進行するおそれがある
  • 長期的に治療を続ける必要がある
  • 家族やパートナーに感染するおそれがある

しかし、これらのデメリットは、全て最小限に抑えることができます。

定期的な診察を受けることで、肝硬変等の重篤な病気に進行する前に対処をすることができます。

医療費については、医療費助成制度の活用や給付金の受給などで負担を軽減することができます。

また、家族等にはB型肝炎ウイルスのワクチンを接種してもらうことで、感染リスクを下げることが可能です。

B型肝炎が完治しないからといって、悲観しすぎる必要はありません。

 

 

まとめ

現時点では、B型肝炎の完治は難しいため、長期間の治療で金銭的・精神的な負担を感じる方が多いかもしれません。

しかし、医療費助成制度やB型肝炎給付金を活用することで、金銭的な負担については軽減することができます。

当事務所にはB型肝炎問題に注力する弁護士がおり、被害者やそのご遺族を強力にサポートしております。

LINEやZoomなどによるオンライン相談等にも柔軟に対応しており全国対応していますので、B型肝炎に関するお悩み事については、当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。

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