HBsAgとは、B型肝炎ウイルスの表面抗原のことです。
HBsAgが陽性だと、B型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。
ただし、B型肝炎ウイルスに感染していたとしても、適切な管理と治療によって、多くの場合、健康的な生活を送ることができますので、悲観しすぎる必要はありません。
この記事では、HBsAgの意味や陽性の場合の対処法、そしてB型肝炎に関する給付金制度について詳しく解説をしていきます。
HBsAgが陽性だと診断され、この先どうしたらよいのか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
目次
HBsAgとは?
HBsAgは、「B型肝炎表面抗原(Hepatitis B Surface Antigen)」の略称で、B型肝炎ウイルス(HBV)の一部を構成する抗原です。
HBsAgの検査結果が陽性だとどういう意味?
HBsAgの検査結果が陽性と出た場合、B型肝炎ウイルスに感染していることを意味します。
HBsAg陽性の状態は、一般的に以下の3つの感染状態に分かれます。
急性B型肝炎
急性B型肝炎とは、一時的にB型肝炎ウイルスに感染している状態のことです。
感染から数週間〜数ヶ月間はHBsAgが陽性となりますが、その後免疫システムがウイルスを排除することで、ほとんどのケースで陰性に戻ります。
急性B型肝炎では、発熱、疲労感、食欲不振、嘔吐、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などの症状が現れることがありますが、自覚症状がないことが一般的です。
成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合、ほとんどの方がこの経過をたどります。
ただし、成人が感染した場合でも、約5〜10%の方が慢性B型肝炎に移行します。
HBVキャリア
HBVキャリアとは、B型肝炎ウイルスに感染しているものの、自覚症状はなく、肝機能もほぼ正常に保たれている状態のことです。
乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスを体内から排除できないため、約90%の方がHBVキャリアとなります。
HBVキャリアのうち、約10〜15%の方が慢性B型肝炎へと移行します。
慢性B型肝炎
慢性B型肝炎とは、長期間にわたってB型肝炎ウイルスが体内に残り、肝臓に慢性的な炎症を起こしている状態です。
おおよそ6ヶ月以上HBsAgが陽性である場合に、慢性B型肝炎を発症していると診断されます。
初期には症状がほとんど見られないため、感染していることに気づかないことが多いのが特徴です。
慢性B型肝炎は、急性B型肝炎から移行する場合と、HBVキャリアから移行する場合の2パターンがあります。
慢性B型肝炎を発症すると、肝硬変や肝臓がんへ進行するリスクがあるため、定期的な検査や治療が必要です。
HBsAgの正常値・基準値とは?
CLIA法による検査の場合、「0.05IU/ml」がHBsAgの基準値となります。
HBsAgの数値が0.05IU/ml未満の場合は陰性と診断され、0.05IU/ml以上の場合は陽性と診断されます。
B型肝炎とは?
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝臓の病気です。
B型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスが肝臓の中で増殖していきます。
それと同時に、ウイルスに反応して体の免疫システムが活動を始め、ウイルスに感染した肝細胞を攻撃します。
この一連の流れにより、肝臓の炎症が引き起こされます。
B型肝炎の感染経路
B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。
感染経路には、大きく分けて「垂直感染」と「水平感染」の2つがあります。
垂直感染 | 病原体が親から子どもに伝播される感染様式 |
水平感染 | 病原体が感染源(人や物)から周囲に伝播される感染様式 |
垂直感染
垂直感染とは、病原体が親から子どもに伝播される感染様式のことで、「母子感染」ともいいます。
具体的には、妊娠中の「胎内感染」、出産時の「産道感染」、出生後の「経母乳感染」のことです。
水平感染
水平感染とは、病原体が感染源(人や物)から周囲に伝播される感染様式のことです。
B型肝炎ウイルスの水平感染は、以下のような場面で生じる可能性があります。
- 性交渉
- 注射針や注射器の共用
- 針刺し事故
- タトゥーやボディピアスの施術
- 剃刀や歯ブラシの共用
- 肉体的接触を伴うスポーツ
なお、日常生活での接触(握手、食器の共用、一緒に入浴するなど)では感染することはありません。
HBsAgが陽性の場合の対処法
HBsAgが陽性と診断された場合は、B型肝炎ウイルスに感染しているということなので、適切な対処が必要です。
HBsAg陽性であることがわかったら、まず感染状況の確認や感染拡大の予防、生活習慣の見直しを行うことが重要です。
特に、慢性化するリスクのあるB型肝炎では、感染の進行を防ぎ、健康な状態を保つための早期対応が欠かせません。
また、B型肝炎に関連した給付金制度があるため、受給できる可能性についても確認しておきましょう。
具体的には、以下の5つが重要なポイントとなります。
定期的な検査で肝臓の健康を管理する
HBsAgが陽性と診断された場合、定期的な検査を受けて肝臓の健康状態を管理することが大切です。
B型肝炎ウイルスが体内に存在する状態が続くと、肝臓にダメージが蓄積し、肝硬変や肝がんなどの深刻な疾患につながるリスクが高まります。
そのため、定期的に血液検査や画像検査を行い、B型肝炎ウイルスによる肝臓への影響を早期に発見して、適切な治療につなげましょう。
肝機能検査では、ALTやASTといった数値を調べることで、肝臓の炎症の程度を把握することができます。
また、HBV-DNA量の測定によってウイルスの増殖状況を把握しておくことも重要です。
家族や周囲への感染予防策を講じる
HBsAgが陽性だということは、B型肝炎ウイルスが体内に存在しているということです。
そのため、家族や周囲に感染しないように予防策を講じることが重要です。
B型肝炎は、血液や体液を介して感染するため、日常生活の中で感染リスクを避けるための対策を意識しましょう。
血液や体液の接触を避けることはもちろんですが、家族やパートナーにB型肝炎ウイルスのワクチンを接種してもらうことも感染予防に効果的です。
特に、乳幼児や高齢者など免疫が弱い方がB型肝炎ウイルスに感染すると、B型肝炎ウイルスのキャリアとなってしまう可能性が高いため、このような方が家族にいる場合は、早めにワクチン接種を検討することが重要です。
生活習慣の改善で肝臓への負担を軽減する
HBsAgが陽性と診断された場合、適切な医療管理と並行して、日常生活における肝臓への負担を軽減することが重要です。
具体的には、以下のような対策を講じることをおすすめします。
- アルコールの摂取を控える
- バランスのとれた食生活を心がける
- 適度な運動を取り入れる
- 十分な睡眠時間を確保する
- 適切なストレス管理を行う
アルコールの摂取を控える
アルコールは肝臓で分解されるため、健康な人であっても、アルコールを飲みすぎると肝臓に負担がかかります。
B型肝炎により既に負担がかかっている肝臓にとっては、アルコールの分解がさらに大きな負担となります。
慢性的にアルコールを摂取すると、肝炎が悪化し、肝硬変や肝がんのリスクが高まる恐れがあります。
そのため、アルコールの摂取はできる限り控えるようにしましょう。
バランスのとれた食生活を心がける
肝臓の健康を維持するためには、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。
脂肪分や糖分の多い食事は肝臓に脂肪を蓄積させ、脂肪肝の原因となることがあるため、控えることが望ましいでしょう。
野菜や果物、たんぱく質を豊富に含む食品を積極的に取り入れることで、肝臓の機能をサポートすることができます。
適度な運動を取り入れる
適度な運動は体重管理や血糖値のコントロールに役立つため、肝臓にかかる負担を軽減することができます。
無理のない範囲でウォーキングや軽いジョギングなどを取り入れることで、免疫力の向上も期待できます。
ただし、過度な運動は逆に肝臓に負担をかける可能性があるため、医師の指導に従って行いましょう。
十分な睡眠時間を確保する
睡眠不足だと、肝臓を十分に回復させることができません。
そのため、十分な睡眠を確保し、肝臓が効率よく回復・再生する時間を確保することが大切です。
適切なストレス管理を行う
過度なストレスは、肝臓に悪影響を与える可能性があります。
日常的にストレスを軽減するためのリラクゼーション法や趣味を見つけ、適度にリラックスすることが肝臓の健康維持に役立ちます。
B型肝炎給付金の申請を検討する
HBsAgが陽性と診断された方は、国からB型肝炎給付金が支給される可能性があります。
B型肝炎給付金は、国がかつて行った集団予防接種やツベルクリン検査の際に、注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎に感染した方を対象としています。
B型肝炎給付金の支給額は病状等によって異なりますが、最大で3600万円が支給されます。
給付金をいくらもらえる?無料で診断!
HBsAgが陽性と診断され、B型肝炎ウイルスに感染していることがわかった場合、多くの方が気になるのが「給付金」のことではないでしょうか。
当事務所では、受け取ることができる可能性が高い給付金の額を簡単に診断できるツールをご提供しています。
自分がいくら給付金を受け取ることができるのか気になるという方は、以下のリンクより、ぜひ1度診断してみてください。
B型肝炎に詳しい弁護士へ相談する
HBsAg陽性と診断された場合、感染による影響や今後の生活について不安を感じる方も多いでしょう。
そんな時には、ぜひB型肝炎に詳しい弁護士に相談してみてください。
B型肝炎に詳しい弁護士に相談することで、給付金申請や医療費助成制度についての助言を受けることができます。
また、様々な手続きを代行してくれるため、スムーズに給付金を受け取ることもできます。
B型肝炎のことでお悩みがある場合は、B型肝炎に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
HBsAgについてのQ&A
HBsAgについて、よくあるご質問にお答えします。
HBsAgはどうやって検査する?
検査については、任意の医療機関や保健所などで行うことができます。
HBsAg陽性だと献血できない?
B型肝炎は血液を介して感染するため、HBsAg陽性者が献血を行うと、輸血を受けた方へB型肝炎ウイルスを感染させるリスクがあります。
このため、HBsAgが陽性である方は、血液の安全性を守るために献血が禁止されています。
まとめ
HBsAgは、B型肝炎ウイルスの感染を示す重要な指標であり、陽性である場合は体内にウイルスが存在することを意味します。
B型肝炎は長期的な健康問題を引き起こす可能性があるため、定期的な検査や適切な医療機関でのフォローアップが非常に重要です。
また、それと同時に、B型肝炎給付金の受給を検討することも大切です。
自身の健康状態をしっかりと把握し、必要な支援を受けるためには、医師や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。
弁護士法人デイライト法律事務所では、B型肝炎問題に注力する弁護士が在籍しており、被害者の方を強力にサポートしています。
電話やZoom等を利用したオンラインでのご相談にも対応しておりますので、B型肝炎についてご相談したいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。