B型肝炎訴訟とは、国の集団予防接種等が原因でB型肝炎になった人が、国に対して給付金を請求するために起こす訴訟のことです。
受け取ることができる給付金の額は病状などによって異なりますが、最大で3600万円を受け取ることができます。
給付金を受け取るためには、訴訟の中で、自らが給付金受給の対象者であることを国に認めてもらう必要があります。
国に対して自らが給付金受給の対象者であると証明するためには、様々な書類を証拠として提出しなければなりません。
また、国に給付金受給の対象者であると認められたとしても、すぐに給付金を受け取ることはできません。
給付金を受け取るためには、和解が成立したあと、社会保険診療報酬支払基金に対して支払いを請求することが必要です。
この記事では、B型肝炎訴訟に必要な書類や手続きの流れについて詳しく解説をしていきます。
目次
B型肝炎訴訟とは?
B型肝炎訴訟とは、国の集団予防接種が原因でB型肝炎になった人が、国に対して給付金を請求するために起こす訴訟です。
訴訟の中では、B型肝炎の給付金の対象となるかどうか、提出された証拠に基づき、国が審査します。
必要に応じて、国から必要書類の追加を求められ、条件を満たすと判断されれば和解が成立し、B型肝炎訴訟は終了となります。
B型肝炎訴訟の歴史
昭和23年から昭和63年までの期間では、国が行っていた集団予防接種等(集団予防接種およびツベルクリン反応検査)の際、注射器(注射針、注射筒)が使いまわされていました。
このような注射器の使いまわしが原因で、B型肝炎ウイルスの感染が拡大することになったのです。
国の注射器の使いまわしという行為によって、B型肝炎ウイルスの感染が拡大したことが最高裁判所によって重く判断され、2006(平成18)年に国の賠償責任が確定しました。
そして、2012(平成24)年には国からの賠償金を「給付金」という形で支給することとする「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が制定されました。
この特別法の規定により、要件を満たす人は、国から最大で3600万円を受け取ることができることになったのです。
B型肝炎とは?
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することが原因で肝臓に炎症が起きてしまう病気のことです。
B型肝炎ウイルスに感染した場合、発症する病気としては「急性肝炎」と「慢性肝炎」が挙げられます。
急性肝炎を発症した方の場合は、自分の免疫機能によってB型肝炎ウイルスを体内から排除できる方が多いため、B型肝炎ウイルスのキャリアとなることは稀です。
これに対して、慢性肝炎を発症した方の場合は、感染時にウイルスを排除できなかったということですので、ほぼ一生涯ウイルスを体内に保有するキャリアとなります。
日本では、およそ100人に1人の方がB型肝炎のキャリアであると推定されています。
B型肝炎の症状について、詳しく知りたい方は以下の記事も合わせて参照してください。
B型肝炎訴訟がなぜ必要なのか
B型肝炎給付金は、かつて国が集団予防接種等を行った際に注射器の使いまわしをしたことによって、国民にB型肝炎ウイルスが蔓延したことから、このような国の行為によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった被害者の方に対して、国がお金を支払う性質のものです。
B型肝炎ウイルスのキャリアとなってしまった場合、ほとんどの方が死ぬまでウイルスと付き合っていくことになります。
症状が出ないまま生涯を終えることができる方もいますが、中には慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんといった病気を発症してしまう方もいます。
肉体的な被害ももちろんですが、いつB型肝炎ウイルスが活性化するかわからない不安や、自分の身の回りの方にウイルスを感染させてしまうかもしれない不安といった精神的な被害も到底軽視できるものではありません。
このような肉体的・精神的な被害を少しでも回復させるために、国は被害者の方に対して、B型肝炎給付金を支払うこととしました。
B型肝炎訴訟を起こすケース
B型肝炎給付金は国に対して訴訟を起こさなければ受け取ることができません。
そのため、B型肝炎給付金の受給対象者の方は、全ての方が訴訟を起こすべきです。
受給対象者の方は、以下の4つのどれかに当てはまる方です。
一次感染者 | 集団予防接種等を受けたことでB型肝炎ウイルスに感染した人 |
二次感染者 | 母または父が一次感染者であり、母子(父子)感染した人 |
三次感染者 | 母または父が二次感染者であり、母子(父子)感染した人 |
これらの方のご遺族 | ※感染者の方が給付金を受け取らずに死亡した場合のみ |
B型肝炎訴訟の結果もらえる給付金
B型肝炎訴訟で受け取ることができる給付金は病状などによって異なりますが、最小50万円から最大3600万円の給付金を受け取ることができます。
死亡、 肝がん、重度の肝硬変 | 発症後20年を経過していない方 | 3600万円 |
発症後20年を経過している方 | 900万円 | |
軽度の肝硬変 | 発症後20年を経過していない方 | 2500万円 |
20年が経過し現に治療を受けている方等 | 600万円 | |
発症後20年を経過した上記以外の方 | 300万円 | |
慢性肝炎 | 発症後20年を経過していない方 | 1250万円 |
20年が経過し現に治療を受けている方等 | 300万円 | |
発症後20年を経過した上記以外の方 | 150万円 | |
無症候性キャリア | 発症後20年を経過していない方 | 600万円 |
発症後20年を経過している方 | 50万円+定期検査費用など(※1) |
また、給付金と合わせて「訴訟等に係る弁護士費用」と「検査費用」についても別途受け取ることができます。
弁護士費用については、給付金額の4%の金額とされています。
※1
無症候性キャリアの方は、50万円の給付金に加えて以下のお金も受け取ることができます。
- (1) 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費用
- (2) 母子感染防止のための医療費
- (3) 世帯内感染防止のための医療費
- (4) 定期検査手当
B型肝炎給付金について、より詳しく知りたいという方は以下の記事もご覧ください。
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B型肝炎訴訟の手続き
B型肝炎訴訟は、大きく分けると①訴訟の準備段階、②訴訟段階、③給付金の請求段階の3つに分けられます。
ここからは、B型肝炎訴訟の手続きについて詳しく解説をしていきます。
B型肝炎訴訟の流れ
B型肝炎訴訟を提起して、国から給付金を受け取るための流れとしては、以下の通りです。
- (1) 訴訟の準備
- (2) 提訴
- (3) 和解成立
- (4) 社会保険診療報酬支払基金に給付金の請求
- (5) 給付金の支払い
訴訟の準備
まずは、訴訟の準備として書類の収集を行います。
裁判で提出した書類から国は給付金の対象者であるか否かを判断しますので、この時点でしっかりと書類の収集を行うことが重要です。
裁判の中で適宜書類を追加することも可能ですが、その場合、和解が成立するまでに時間がかかってしまいます。
なるべくスムーズに給付金を受け取るためには、準備段階で全ての書類を集めてしまうことが大切です。
提訴
必要な書類が集まったら、次は提訴を行います。
提訴するために、訴状や証拠説明書などの書類を作成して、裁判所に提出することになります。
和解成立
裁判が開始されたら、提出された書類をもとに、給付金の対象であるか否かを国が判断することになります。
無事に給付金の対象者であると国に認められたら、和解を成立させます。
和解が成立したら、裁判所が和解調書というものを作成します。
和解調書には、国との間で合意した和解の内容が記載されます。
社会保険診療報酬支払基金に給付金の請求
裁判所によって和解調書が作成されたら、支払請求書や住民票などの必要書類とともに、社会保険診療報酬支払基金に給付金の支払いを請求します。
給付金の支払い
社会保険診療報酬支払基金で提出した書類の審査が行われ、問題がなければ給付金が支払われます。
B型肝炎訴訟に必要な期間
B型肝炎訴訟は、必要な書類の準備などの期間も合わせると、平均して1年6ヵ月から2年ほどかかります。
訴訟が長引いた場合には、2年以上かかることもあります。
訴訟の準備~提訴までにかかる期間
事案によりますので一概にはいえませんが、一般的には、訴訟の準備から提訴までおよそ3ヵ月から5ヵ月程度かかることが多いです。
訴訟提起の準備として、まずは訴訟に必要な書類を集める必要があります。
必要な書類には、血液検査などの検査結果や、病院などで保管されている医療記録など、様々なものがあります。
中でも、医療記録は請求してから開示されるまでに時間がかかることが一般的です。
そのうえ、複数の医療機関に請求する必要があることも少なくありません。
給付金を受け取りたい場合には、早めに必要な書類を把握して、開示の請求をすることが必要です。
必要な書類が揃ったら、訴状や証拠の一覧など、提訴のため裁判所に提出する書類の作成をしていきます。
提訴~和解成立までにかかる期間
提訴から和解の成立までには、平均しておよそ1年から1年6ヵ月程度かかります。
訴訟では、給付金を支給するために必要な書類がそろっているかを国に確認されます。
国による書類の確認には、1年程度とかなりの時間がかかります。
また、追加で資料の提出を求められることもあります。
その場合、追加資料の収集と確認のために、さらに長期間がかかることになります。
和解成立~給付金の支払いまでにかかる期間
和解の成立から給付金の支払いまでには、平均しておよそ2ヵ月かかります。
訴訟で和解が成立した場合、裁判所が「和解調書」というものを作成します。
和解調書には、国との間で成立した和解の内容が記載されます。
和解調書の作成には約2週間程度かかります。
裁判所が作成した和解調書を、支払請求書や住民票などの必要書類と一緒に、社会保険診療報酬支払基金に提出します。
提出から約1ヵ月半程度で、給付金が支払われることとなります。
B型肝炎訴訟の必要書類
B型肝炎訴訟を提起するためには、様々な書類を集める必要があります。
一次感染者、二次感染者、三次感染者、これらの方のご遺族の4パターンに分けてご説明いたします。
一次感染者の場合
一次感染者の方がB型肝炎訴訟を提起するために必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- (1) B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- (2) 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類
- (3) 母親からの感染(母子感染)ではないことを証明する書類
- (4) 父親からの感染(父子感染)ではないことを証明する書類
- (5) 一次感染者のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類
- (6) 集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類
B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
B型肝炎給付金は、B型肝炎に持続感染している方に対する賠償金としての性質を有するお金ですので、B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類が必要です。
B型肝炎訴訟ウイルスに持続感染していることを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果※
HBs抗原陽性
HBV-DNA陽性
HBe抗原陽性 - ② HBc抗体陽性(高力価)を示す検査結果
- ※1回目の検査時から6ヵ月以上の期間が経過する前に死亡した場合などは、医学的知見を踏まえた個別判断でもよい場合があります。
なお、これら全ての書類が必要なわけではなく、①あるいは②のいずれか1点のみの提出で問題ありません。
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類
B型肝炎給付金は幼少期(満7歳)までに集団予防接種等を受けた方を給付の対象としていますので、満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類が必要です。
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 母子健康手帳
- ② 予防接種台帳(①が提出できない場合)
- ③ 以下全ての書類(①、②がいずれも提出できない場合)
- ア 予防接種台帳に接種記録がない旨の証明書
- イ 母児健康手帳を提出できない事情を説明する陳述書
- ウ 接種痕が確認できる旨の医師の意見書
- エ 住民票または戸籍の附票
母親からの感染(母子感染)ではないことを証明する書類
B型肝炎給付金は、国が行った注射器の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方に対する賠償金としての性質を有するお金ですので、国の行為以外に感染の原因がないことを証明する書類が必要です。
母子感染ではないことを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 母親の戸籍又は除籍謄本
- ② 母親が生きている場合
母親の血液検査結果の原データ - ③ 母親が亡くなっている場合
- ア 死亡した母親の血液検査結果の原データ
- イ アがない場合は以下3点
- 母親の血液検査結果の原データが残存していないことの陳述書
- B型肝炎ウイルスに感染していない兄や姉の戸籍謄本
- B型肝炎ウイルスに感染していない兄や姉の血液検査結果の原データ
父親からの感染(父子感染)ではないことを証明する書類
B型肝炎給付金は、国が行った注射器の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方に対する賠償金としての性質を有するお金ですので、国の行為以外に感染の原因がないことを証明する書類が必要です。
父子感染ではないことを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 父親の戸籍又は除籍謄本
- ② 父親が生存している場合
父親の血液検査結果の原データ - ③ 父親が死亡している場合
- ア 死亡した父親の血液検査結果の原データ
- イ アがない場合は、父親の血液検査結果の原データが残存していないことの陳述書
本人のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類
B型肝炎給付金は、集団予防接種等の際に国が注射器の使いまわしをしたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染した方を対象として支払われるお金です。
そのため、幼少期にB型肝炎ウイルスに感染したことを証明する必要があります。
「ジェノタイプAe型」のB型肝炎ウイルスの場合、成人が感染したとしても約1割の方が持続感染に移行します。
「ジェノタイプAe型」のB型肝炎ウイルスは、1996(平成8)年以降に日本で感染が確認されています。
そのため、1996年以降にB型肝炎ウイルスの感染が判明した方の場合には、本人のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類が必要となります。
本人のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 持続感染が確認されたのが、1996(平成8)年1月1日以降の場合
本人のB型肝炎ウイルスのジェノタイプの検査結果の原データ
ジェノタイプがAの場合には、サブジェノタイプの結果の原データ - ② 持続感染が確認されたのが、1995(平成7)年12月31日以前の場合
1995(平成7)年より前に持続感染したことが確認できる書類
集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類
B型肝炎給付金は、国が行った注射器の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方に対する賠償金としての性質を有するお金ですので、国の行為以外に感染の原因がないことを証明する書類が必要です。
集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 直近の1年分の医療記録
- ② 持続感染の判明から1年分の医療記録
- ③ 最初の発症から1年分の医療記録(発症者のみ)
- ④ 入院歴がある場合には、入院中のすべての医療記録
二次感染者の場合
二次感染者の方がB型肝炎訴訟を提起するために必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- (1) 母または父が一次感染者にあたることを証明する書類
- (2) 本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- (3) 母または父からの感染(母子または父子感染)であることを証明する書類
母または父が一次感染者にあたることを証明する書類
母または父が一次感染者にあたることを証明する書類としては、以下の6点が挙げられます。
- ① B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- ② 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類
- ③ 母親からの感染(母子感染)ではないことを証明する書類
- ④ 父親からの感染(父子感染)ではないことを証明する書類
- ⑤ 一次感染者のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類
- ⑥ 集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類
詳細につきましては、上記「一次感染者の場合」をご覧ください。
本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
本人がB型肝炎訴訟ウイルスに持続感染していることを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 6か月以上の間隔をあけた連続した2時点における、以下のいずれかの検査結果※
HBs抗原陽性
HBV-DNA陽性
HBe抗原陽性 - ② HBc抗体陽性(高力価)を示す検査結果
※1回目の検査時から6ヵ月以上の期間が経過する前に死亡した場合などは、医学的知見を踏まえた個別判断でもよい場合があります。
なお、これら全ての書類が必要なわけではなく、①あるいは②のいずれか1点のみの提出で問題ありません。
母または父からの感染(母子または父子感染)であることを証明する書類
母または父からの感染(母子または父子感染)であることを証明する書類としては、以下のような書類が挙げられます。
- ① 母子感染の場合、出生直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す書類
- ② 本人と母親(父親)のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査の結果
三次感染者の場合
三次感染者の方がB型肝炎訴訟を提起するために必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- (1) 母または父が二次感染者にあたることを証明する書類
- (2) 本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- (3) 本人が母または父からの感染(母子または父子感染)であることを証明する書類
(1)につきましては、以下のような書類が必要です。
- ① 一次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- ② 一次感染者が満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明する書類
- ③ 一次感染者が母親からの感染(母子感染)ではないことを証明する書類
- ④ 一次感染者が父親からの感染(父子感染)ではないことを証明する書類
- ⑤ 一次感染者のB型肝炎ウイルスが「ジェノタイプAe型」でないことを証明する書類
- ⑥ 一次感染者に集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する書類
- ① 二次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
- ② 二次感染者が母または父からの感染(母子または父子感染)であることを証明する書類
(2)(3)につきましては、二次感染者の方が提出するべき書類と同じものになりますので、詳細は上記「二次感染者の場合」をご覧ください。
ご遺族(相続人)の場合
ご遺族の方がB型肝炎訴訟を提起するために必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- (1) 亡くなった方が一次・二次・三次感染者であったことを証明する書類
- (2) 自らが相続人であることを証明する書類
(1)につきましては、それぞれ該当の部分を参照してください。
(2)につきましては、亡くなった方の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本などを提出することになります。
B型肝炎訴訟でかかる弁護士費用
B型肝炎訴訟でかかる弁護士費用は、法律事務所によって異なりますので、一概には言うことができません。
一般的には、①相談料、②着手金、③成功報酬、④実費というお金がかかることが多いです。
以下では、それぞれの費用の目安について解説しておりますので、ご参考にされてください。(※あくまで目安であり、下記記載の費用と当てはまらない事務所もあります)
相談料
多くの法律事務所は、B型肝炎訴訟の相談料は0円としています。
無料としていない事務所では、30分5500円〜 という事務所が多いです。
給付金の対象となるか分からないことも多いと思いますので、まずは無料相談を受けることをお勧めします。
着手金
着手金は、弁護士が仕事を始めるにあたって、必要となる費用です。
B型肝炎訴訟について、ホームページで紹介されている事務所のほとんどが、着手金も無料で対応しています。
報酬金
報酬金とは、B型肝炎給付金の支給を受けた際に支払う費用です。
支給された給付金額の◯%といった定め方や、◯% + ◯万円といった定め方をしている事務所が多いです。
報酬金のパーセンテージは、法律事務所によってばらつきがありますが、10 〜 18%の間の事務所が多いです。
実費
実費とは、給付金を請求するために必要となる費用のことです。
例えば、裁判所に納める印紙代、医療記録の取得代、郵送代、印刷代などです。
法律事務所によっては、実費の支払いのために、先に数万円支払う必要があります。
他方で、給付金が支給された後に、給付金の中から差し引いて支払うことができる法律事務所もあります。
当事務所が採用している弁護士費用体系についてご興味のある方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
B型肝炎訴訟の弁護士の選び方
B型肝炎訴訟を提起する場合、資料の収集や裁判所に提出する訴状などの作成といった一般的な弁護士が有していると思われる能力に加えて、医学的な知識も必要不可欠です。
B型肝炎訴訟の経験がある弁護士であれば、B型肝炎ウイルスに関する医学的な知識も備えていると思われますので、安心して訴訟を任せることができると思います。
また、B型肝炎に感染した経緯など、どうしても私生活に踏み込んだ話をしなければいけませんので、ご自身が話しやすいと思える弁護士に依頼することが重要です。
B型肝炎訴訟の弁護士の選び方について、もっと詳しく知りたいという方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
B型肝炎訴訟の3つの注意点
B型肝炎訴訟を提起する際には、絶対に気を付けていただきたいポイントが3つあります。
- 給付金の請求には期限がある
- 必要書類は提訴の前に集める
- 社会保険診療報酬支払基金への請求を忘れない
この3つを忘れてしまうと、給付金を受け取れない可能性がありますので、注意しましょう。
給付金の請求には期限がある
B型肝炎訴訟は、2027年(令和9年)3月31日までに行う必要があります。
この期限までに訴訟の提起ができなかった場合、給付金を受け取ることができなくなるおそれが非常に高いです。
給付金を確実に受け取りたいという方は、必ず2027年(令和9年)3月31日までにB型肝炎訴訟を提起しましょう。
必要書類は提訴の前に集める
B型肝炎訴訟では、これまでご説明してきたように多数の資料の提出が求められます。
提訴の際に必要な資料を全て提出したとしても、国との和解が成立するまでには約1年〜1年6ヵ月程度の時間がかかります。
提訴の際に必要な書類全てを提出できず、訴訟の最中に追加で書類を提出した場合は、国との和解が成立するまでにさらに長期間がかかることになります。
そのため、必要書類は提訴の前に集めてしまうことが必要です。
社会保険診療報酬支払基金への請求を忘れない
国との間で和解が成立した場合、これで全て終わったような気持ちになる方が少なくありません。
しかし、B型肝炎給付金は、国との間で和解が成立しただけでは支払われませんので注意が必要です。
給付金を受け取るためには、社会保険診療報酬支払基金への請求が不可欠です。
これを忘れてしまうと、いつまでたっても給付金が支払われないこととなってしまうので、注意が必要です。
B型肝炎訴訟についてのQ&A
B型肝炎訴訟について、相談者の方などからよくご質問をいただく事項について、お答えします。
B型肝炎訴訟の和解の確率は?
その中で、国と和解が成立した人は8万5616名にものぼります。
つまり、国に対してB型肝炎訴訟を提起した人のうち、約78%の方が国との間で和解を成立させています。
また残りの約22%の方についても、まだ裁判で審理中のケースが多く、給付金が認められなかったというわけではありません。
参考:法務省|B型肝炎訴訟
B型肝炎訴訟は自分でできますか?
ただし、自分で訴訟を行う際の注意点として以下の3つが挙げられます。
- ① 訴訟提起には期限がある
- ② 必要書類は提訴の前に集めておく
- ③ 社会保険診療報酬支払基金への請求を忘れない
これら3つは、確実にB型肝炎給付金を受け取るために欠かせないポイントです。
特に、訴訟を2027年(令和9年)3月31日までに提起できなかった場合には、給付金を受け取ることができなくなるおそれが非常に高いです。
B型肝炎訴訟では多数の書類の提出が求められますので、資料の収集に思ったより時間がかかり、訴訟が提起できなかったということがないように注意が必要です。
まとめ
B型肝炎ウイルスへの感染は、感染者の方やご家族に、大きな経済的、精神的負担をもたらします。
そして、給付金制度が整っていても、必要な書類の準備や提出には、手間と長い時間がかかってしまいます。
できるだけ早く給付金を受け取るためには、提出する書類に不備がないよう、丁寧に準備することが非常に大切です。
書類に不備があった場合には、再提出や書類の確認に、さらに数ヶ月を要することがあるからです。
B型肝炎訴訟をお考えの場合、まずは専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人デイライト法律事務所の場合、相談料・着手金はかかりません。
必要な書類の準備や確認、裁判所に提出する書類の作成など、親身にお手伝いさせていただきます。
遠方にお住まいなどの事情で事務所に来所することができないという方のために、当事務所ではオンライン相談や電話相談にも柔軟に対応しております。
弁護士の適切なサポートを受け、手続きを迅速に済ませて、スムーズに給付金を受け取りましょう。