B型肝炎訴訟の弁護士の選び方【5つのポイント】|弁護士費用についても解説

B型肝炎訴訟とは

B型肝炎訴訟とは、過去に国が施策として行った集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した方が、国に対してB型肝炎給付金を請求するために起こす訴訟のことです。

B型肝炎給付金を受け取るためには、訴訟を通じてB型肝炎給付金の対象者として認められ、国との間で和解を成立させる必要があります。

もらえるB型肝炎給付金の額は、病状等に応じて、50万円から3600万円です。

 

 

B型肝炎訴訟の弁護士の選び方【5つのポイント】

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼する場合、適正な金額の給付金を受け取るためには、弁護士選びが重要です。

しかし、どのような観点で弁護士を選べばよいのかわからない、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、以下では、弁護士を選ぶ際のポイントについて解説していきます。

弁護士を選ぶ際のポイントは、次の5つです。

B型肝炎訴訟の弁護士の選び方【5つのポイント】

B型肝炎訴訟の経験や実績があるか

B型肝炎訴訟の経験や実績がある弁護士に依頼することで、訴訟をスムーズに進められることが期待できます。

B型肝炎訴訟の場合、カルテをはじめとするさまざまな資料(証拠)を集めて裁判所に提出する必要があります。

そのため、法律の知識だけでなく、B型肝炎に関する医学的な知識が求められることとなります。

B型肝炎訴訟の経験・実績が豊富な弁護士であれば、B型肝炎訴訟を行うために必要な医学的知識をすでに習得しており、資料の収集にも慣れているため、スムーズに手続きを進められる可能性が高いといえます。

また、さまざまなパターンの案件に対処してきた弁護士であれば、イレギュラーなケースについても適切なアドバイスを受けることが期待できます。

B型肝炎訴訟の経験や実績があり、B型肝炎訴訟に力を入れている弁護士は、ホームページなどにB型肝炎の専用ページを設けていることが多いので、判断にあたって1つの目安にするとよいでしょう。

 

弁護士費用は明確か

弁護士費用や料金体系が明確に示されていない場合、「最終的にどのくらいの費用がかかるのだろうか」といった不安を抱きながら相談をすることになります。

費用に関する不安をかかえながら相談しなければならないという状況は、そもそも気持ちがよいものではありません。

さらに、後から当初想定していたよりも大きな金額を請求されたり、追加で費用を請求されるなどして、トラブルになる可能性があります。

安心して相談することができるよう、ホームページなどで弁護士費用や料金体系(計算方法など)を明確に示している弁護士を選ぶようにしましょう。

B型肝炎訴訟にかかる弁護士費用については、後で詳しく説明します。

 

コミュニケーションはスムーズか

B型肝炎訴訟の準備を進める上では、B型肝炎の病状や感染の経緯など、プライベートなことがらを弁護士に相談する必要があります。

そのため、コミュニケーションをスムーズにとることができ、安心して相談できる弁護士を選ぶことが大切です。

たとえば、丁寧に話を聞いてくれない弁護士では、訴訟に必要な情報をしっかりと収集することができるのか、不安が残ります。

的確に話を引き出してくれ、丁寧に話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。

また、質問したことに対して真摯に答えてくれない弁護士では、信頼関係を築くことは難しいのではないでしょうか。

相談したいことがあっても忙しすぎて連絡がつかない弁護士なども、安心して相談することはできませんよね。

正式に訴訟を依頼する前に、法律相談を活用して、スムーズにコミュニケーションをとれるかどうかを見きわめましょう。

 

リスク(不利益)の説明をしてくれるか

B型肝炎の給付金は、B型肝炎ウイルスに感染しているすべての人がもらえるものではなく、訴訟を通じて対象者にあたることが認められなければ、受け取ることができません。

そのため、訴訟の結果にかかわらず弁護士費用を請求する弁護士の場合、給付金がもらえなかったときは、訴訟の準備にかかった時間や労力が無駄になってしまうばかりか、完全な費用倒れになってしまうなどのリスクがあります。

このようなリスクをしっかりと説明せずに、「給付金がもらえます」などと都合のよい情報のみを与えて受任しようとする弁護士は、信頼できません。

リスクや依頼者の不利益についてもしっかりと説明してくれる弁護士を選びましょう。

 

説明は丁寧でわかりやすいか

本質をしっかり理解している弁護士ほど、誰にでもわかりやすく、かみ砕いた言葉で説明することができるものです。

また、訴訟を進めるうえでは、すべてを弁護士に任せきりにするのではなく、ご自身でも方針をしっかりと理解し、納得したうえで進めることが大切です。

専門的な言葉で説明を受けたために内容を十分に理解できず、「専門的なことだから法律の素人には理解できないのかも」、「よくわからないから全部弁護士に任せよう」などとあきらめてしまうのはとても危険です。

説明や質問の内容がよくわからないまま受け答えをしたために、本来は給付金の対象者に該当するにもかかわらず、弁護士から「給付金をもらえる対象者にあたらない」と判断されて請求のチャンスを逃してしまった、などといった不利益が発生する可能性もあるからです。

そのような不利益を避けるためにも、専門家にしかわからない言葉ではなく、誰にでもわかる言葉で丁寧に説明してくれる弁護士を選びましょう。

 

 

B型肝炎訴訟の弁護士の探し方

B型肝炎訴訟を依頼する弁護士の探し方としては、①家族や知人から紹介してもらう、②インターネットで検索する、③弁護士会や法テラスから紹介してもらう、などの方法があります。

家族や知人から紹介してもらう

この方法のメリットとしては、弁護士の人柄などを事前に把握できること、家族や知人とつながりがあるため誠実な対応を期待できること、などがあげられます。

デメリットとしては、家族や友人が法律関係者でない場合には弁護士の能力を把握しがたいこと、相性が悪かった場合に断りにくいこと、などがあげられます。

 

インターネットで検索する

インターネットの検索サイトや弁護士のポータルサイトを活用する方法です。

検索サイトを利用する場合には、「B型肝炎訴訟 弁護士 (地域名)」などのキーワードで検索することができます。

この方法のメリットとしては、さまざまな選択肢の中から比較検討して、自由に弁護士を選べることがあげられます。

デメリットとしては、選択肢が多いため比較検討に時間がかかることがあげられます。

 

弁護士会や法テラスから紹介してもらう

各都道府県にある弁護士会や、国が運営する「法テラス」に依頼して、弁護士の紹介を受ける方法です。

この方法のメリットとしては、信頼できる団体から紹介を受けられること、経済的に困難な事情がある場合には弁護士費用の立替払制度を利用できる場合があること(法テラス)、などがあげられます。

デメリットとしては、弁護士を自由に選べないこと、無料で法律相談を受けるには収入や資産について一定の条件があること、などがあげられます。

 

 

弁護士に依頼するメリット

B型肝炎訴訟は弁護士に依頼せずにご自身で行うことができ、その場合には弁護士費用を節約できるというメリットがあります。

他方、弁護士に依頼する場合には、ご自身で行うよりも手続きを圧倒的にスムーズに進めることができるため、時間と労力を節約することができるというメリットがあります。

弁護士に依頼する場合、具体的には次のようなメリットがあります。

訴訟の見通しを予測できる

B型肝炎訴訟の経験が豊富な弁護士に依頼する場合、給付金を受け取ることができる可能性などについて、ご自身で判断するよりも正確に予測することができます。

給付金は、B型肝炎患者であれば誰でももらえるわけではなく、一定の要件を満たす対象者のみがもらえるものです。

そして、対象者にあたるかどうか、訴訟で対象者にあたることを証明することができるかどうかを判断するためには、一定の経験や専門知識が必要となります。

対象者になると思って訴訟やその準備に時間と労力を費やしたにもかかわらず、まったく給付金がもらえなかった、ということもありうるのです。

そのため、ご自身が給付金の対象者にあたるかどうか、訴訟で対象者にあたることを証明することができるかどうかについて、事前に見通しを立てておくことが大切です。

B型肝炎訴訟の経験が豊富な弁護士であれば、過去に扱ったさまざまな案件に照らして、訴訟の見通しをより高い確率で予測することができます。

 

資料の準備がスムーズ

弁護士に依頼した場合、依頼者自身でなければ収集できない資料を除いて、弁護士が依頼者に代わって資料を収集します。

B型肝炎訴訟を提起するためには、住民票や戸籍謄本、予防接種台帳、各種血液検査結果、カルテなどの医療記録、事案によっては陳述書や卒業証明書など、多種多様な資料を収集する必要があり、その収集には膨大な時間と労力がかかります。

また、B型肝炎給付金をもらえる対象者にはいくつかの類型があり、ご自身がどの類型に該当するのかによって、収集すべき資料が異なります。

しかし、ご自身がどの類型に該当し、どのような資料を収集すべきかの判断に迷うケースは、少なくありません。

さらに、カルテ等の理解には医学的な知識が必要となるため、収集したカルテ等が証拠として必要十分かどうかを判断することは、なかなか難しい側面があります。

仮に、提出した資料に不足があった場合には、裁判所から資料の追加提出を命じられることとなり、給付金の受け取りまでにさらに長い時間がかかってしまいます。

経験豊富な弁護士に資料の収集を依頼することで、時間と労力を節約することができ、資料の準備をスムーズに行うことができます。

 

立証活動がスムーズ

弁護士に依頼することで、訴訟を通じた立証活動、すなわち給付金の対象者としての要件を満たすことを証明するための活動を、スムーズに行うことができます。

たとえば、訴訟においては、訴状や準備書面といった書類を作成する必要があり、その作成には一定の法律知識が必要となります。

また、訴訟の流れによっては、裁判所から途中で追加の主張や資料(証拠)の提出を求められる場合もあります。

ご自身で訴訟を行う場合、法的な手続きなどを調べながらこれらの対応を行うこととなるため、かなりの時間と手間がかかることが予想されます。

弁護士に依頼した場合、書類の作成はもちろんのこと、経験にもとづいて適時に適切な対応を行うことができるため、立証活動をスムーズに行うことができます。

 

裁判所に出廷しなくてよい

ご自身で訴訟を提起する場合、決められた日時に裁判所に出廷する必要があります。

裁判は平日の日中(午前10時頃から午後5時頃までの間)に行われるため、お仕事をされている方は、休暇を取得するなどして対応する必要があります。

弁護士に依頼する場合、弁護士が代理人として裁判所に出廷しますので、ご自身で裁判所に出廷する必要はありません。

 

 

B型肝炎訴訟の弁護士費用

B型肝炎訴訟にかかる弁護士費用は、大きく①法律相談料、②報酬、③実費の3つに分かれます。

③実費以外の弁護士費用については、各弁護士が自由に決めることができるため、弁護士によって金額が異なります

 

法律相談料

法律相談料とは、弁護士に法律相談(正式に訴訟を依頼する前に行う相談などがこれにあたります。)をする際にかかる費用のことです。

一般的な法律相談料の相場は30分〜1時間あたり5,0000円程度ですが、B型肝炎訴訟については、法律相談料を無料としている弁護士が多いです。

ただし、B型肝炎訴訟について法律相談料を請求する弁護士もゼロではありませんので、相談前によく確認しましょう。

 

報酬

弁護士の報酬の請求方法は、大きく「着手金・成功報酬型」と「タイムチャージ(時間報酬)型」の2つのパターンにわかれます。

B型肝炎訴訟については、「着手金・成功報酬型」をとる事務所が多いです。

以下では、「着手金」、「成功報酬」、「タイムチャージ(時間報酬)」のそれぞれについて説明します。

着手金

着手金は、弁護士に訴訟などを依頼した段階で支払う弁護士費用で、訴訟などの結果に関係なく返還されないものです。

したがって、B型肝炎訴訟を提起したものの和解が成立せず、給付金が支給されなかった場合でも、着手金は返還されません。

B型肝炎訴訟については、着手金を無料とする弁護士が多いです。

報酬金(成功報酬)

報酬金(成功報酬)とは、訴訟で無事に和解が成立し、給付金が得られた段階で支払うものです。

B型肝炎訴訟の場合、得られた給付金の15%前後を報酬金(成功報酬)とする弁護士が多いようです。

仮に給付金が得られなかった場合、報酬金(成功報酬)を支払う必要はありません。

また、着手金・成功報酬型で着手金が無料の場合(完全成功報酬型)、訴訟に時間と労力をかけても給付金を得られなければ、弁護士も無報酬となってしまうため、事前にしっかりと訴訟の見通しを立ててもらえる可能性が高いといえます。

そのため、着手金・成功報酬型で、かつ、着手金が無料(完全成功報酬型)の弁護士を選ぶのがおすすめです。

タイムチャージ(時間報酬)

タイムチャージとは、案件の処理にかかった時間に、弁護士の1時間あたりの単価をかけた報酬を支払うものです。

たとえば、1時間あたりの単価3万円の弁護士が20時間稼働した場合、弁護士に支払う報酬は60万円となります。

 

実費・日当

実費は、B型肝炎訴訟のために実際に出費される必要経費で、弁護士報酬とは別に支払う必要があります。

具体的には、裁判所に納める印紙代や切手代、戸籍謄本・住民票の取り寄せにかかる費用のほか、カルテの開示請求などにかかる費用などがこれにあたります。

弁護士の出張が必要となる場合には、交通費や宿泊費、日当(出張手当)がかかることがあります。

 

 

訴訟手当金(弁護士費用の助成)について

B型肝炎訴訟を弁護士に依頼し、無事に給付金を受け取った場合には、給付金の4%に相当する金額が「訴訟手当金」として支給され、弁護士費用の助成を受けることができます。

たとえば、弁護士報酬について、着手金を無料、報酬金(成功報酬)を得られた給付金の15%とする弁護士に依頼した場合、弁護士報酬の実質的な自己負担額は、給付金の11%に相当する金額となります。

このような訴訟手当金の制度があることもふまえて、弁護士の活用を検討してみましょう。

 

 

まとめ

  • B型肝炎給付金をもらうためには、B型肝炎訴訟を提起して給付金の対象者として認められ、国との間で和解を成立させる必要があります。
  • B型肝炎訴訟を弁護士に依頼する場合、安心して相談することができ、信頼関係を築くことができる弁護士を選ぶことが大切です。
  • 具体的には、①B型肝炎訴訟の経験・実績があるか、②弁護士費用は明確か、③コミュニケーションはスムーズか、④リスク(不利益)の説明をしてくれるか、⑤説明は丁寧でわかりやすいか、といった5つのポイントに注目して選ぶとよいでしょう。
  • B型肝炎訴訟を弁護士に依頼するメリットとしては、訴訟の見通しを予測できること、資料の準備や立証活動をスムーズに行えること、裁判所に出廷しなくてよいこと、などがあげられます。
  • B型肝炎訴訟にかかる弁護士費用は、主に、①法律相談料、②着手金、③報酬金(成功報酬)、④実費に分けられます。
  • B型肝炎訴訟については、①法律相談料や②着手金を無料とする弁護士が多いようです。
  • 国との間で無事に和解が成立し、B型肝炎給付金を受け取ることができた場合には、弁護士費用の助成として訴訟手当金をもらうことができるため、積極的に弁護士の活用を検討してみましょう。

 

 

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