遺族でもB型肝炎給付金請求はできる?請求の流れや必要書類を解説

ご遺族の方でもB型肝炎給付金は請求できる?

B型肝炎給付金は、過去に国の施策として行われた集団予防接種等をきっかけにB型肝炎に感染した方を救済するために支給される給付金です。

ご家族がB型肝炎ウイルスに持続感染し、給付金を受け取る前に亡くなった場合には、ご遺族(相続人)の方が、亡くなったご家族に代わってB型肝炎給付金を請求することができます。

ご遺族の方がB型肝炎給付金を請求するためには、以下の2つの要件をすべて満たすことが必要です。

  1. ① 亡くなったご家族がB型肝炎給付金の対象者に該当すること
  2. ② ご遺族が①のご家族の相続人に該当すること

以下では、それぞれの要件について詳しく説明していきます。

亡くなったご家族がB型肝炎給付金の対象者に該当すること

B型肝炎給付金の対象者は、B型肝炎ウイルスの一次感染者、二次感染者または三次感染者です。

一次感染者に該当する場合とは、亡くなったご家族自身が過去に集団予防接種等を受けたことでB型肝炎ウイルスに感染した場合をいいます。

これに対し、二次感染者に該当する場合とは、亡くなったご家族が一次感染者である母親(父親)からの母子(父子)感染によりB型肝炎ウイルスに感染した場合を、三次感染者に該当する場合とは、亡くなったご家族が二次感染者である母親(父親)からの母子(父子)感染によりB型肝炎ウイルスに感染した場合をいいます。

 

B型肝炎給付金を請求できるご遺族の範囲(相続人)

また、ご遺族の方がB型肝炎給付金を請求するためには、ご遺族の方が亡くなられたご家族の相続人に該当することが必要です。

相続人にあたるご遺族の範囲は、次のとおりです。

①亡くなったご家族の配偶者(夫・妻)

常に相続人となり、給付金を請求することができます。

②亡くなったご家族の直系卑属(子・孫)

亡くなったご家族の子は、配偶者とともに相続人となり、給付金を請求することができます。子が先にご家族よりも亡くなっている場合、さらにその子(孫)が相続人となります。

③亡くなったご家族の直系尊属(父母など)

亡くなったご家族の子がいない場合、その父母が相続人となります。また、父母がご家族より先に亡くなった場合、祖父母が相続人となります。

④亡くなったご家族の兄弟姉妹

亡くなったご家族について②直系卑属も③直系尊属もいない場合、ご家族の兄弟姉妹の方が相続人となります。また、兄弟姉妹がご家族より先に亡くなった場合、兄弟姉妹の子(甥・姪)が相続人となります。

相続人となる方が複数人いる場合、原則として、給付金は法定相続分に応じて相続されます。

例えば、亡くなったご家族に配偶者と子2名がおり、生前に軽度の肝硬変を発症していた場合、もらえる給付金の総額は2500万円となり、配偶者がそのうち1250万円(2500万円の2分の1)を、子がそれぞれ625万円(2500万円の2分の1をさらに2人で按分)を、請求することができます。

 

 

ご遺族の方がB型肝炎給付金を請求する場合の注意点

給付金の請求には期限がある

B型肝炎給付金を受け取るためには、国を相手に訴訟を提起して、受給対象者と認められる必要があります。

この請求には法律によって定められた期限があり、2027年(令和9年)3月31日までに訴訟を提起しなければならず、これを過ぎると請求できなくなります。

20年経過するともらえる金額が減る?

さらに、B型肝炎給付金には、病状に応じて「除斥期間(じょせききかん)」という一定の期間が定められており、この除斥期間を過ぎた後は、もらえる給付金の額が大幅に減ってしまいます。

例えば、亡くなったご家族が重度の肝硬変だった場合、除斥期間経過前は3600万円の給付金をもらうことができるのに対し、除斥期間経過後は給付金の額が900万円にまで減ってしまいます。

除斥期間は20年間で、その起算点は亡くなったご家族がどのような病状であったかによって異なります。

具体的には以下のとおりです。

  1. ① ご家族が肝炎、肝硬変、肝がんを発症していた場合:発症日から20年間
  2. ② ご家族が①の病気によって死亡した場合:死亡日から20年間
  3. ③ ご家族が無症候性キャリア※であった場合:一次感染者は予防接種時から20年間/二次感染者、三次感染者は出生日から20年間

※症状のないまま体内にウイルスを持ち続ける状態をいいます

 

 

給付金請求に必要な資料の収集が難しい

B型肝炎給付金を受け取るためには、訴訟を提起し、受給対象者にあたることを証拠によって証明することが必要です。

この証明のために必要となる証拠(資料)は、亡くなったご家族が一次感染者、二次感染者または三次感染者のいずれであったのかによって異なり、また、多岐にわたる資料を収集する必要があります。

ご家族が亡くなっている場合には事実関係の確認が困難になるため、証拠の収集はさらに難しくなります。

証拠の収集には専門的な知識も必要となることから、困ったらB型肝炎訴訟に精通している弁護士等に相談してみることをおすすめします。

 

ご遺族の方もB型肝炎に感染していないか確認

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するため、母子感染等により、ご遺族自身もB型肝炎に感染していた、というケースが少なくありません。

B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。

一度も検査を受けたことがない方は、病院などで検査を受けてみましょう。

仮に、ご遺族自身もB型肝炎ウイルスに感染しており、B型肝炎給付金の対象者の要件を満たす場合には、証拠等が共通する部分も多いため、亡くなったご家族の請求と一緒にご自身の請求をするのが効率的です。

 

 

給付金っていくらもらえる?

もらえるB型肝炎給付金の金額は、病状によって異なります。

また、上で説明したように、除斥期間を経過しているかどうかによってもらえる金額が大きく異なります。

具体的な金額は下表のとおりです。

除斥期間経過前 除斥期間経過後
死亡・肝がん・重度の肝硬変 3600万円 900万円
軽度の肝硬変 2500万円 600万円(治療中の場合)
300万円(治癒している場合)
慢性肝炎 1250万円 300万円(治療中の場合)
150万円(治癒している場合)
無症候性キャリア 600万円 50万円

 

 

B型肝炎の給付金請求の流れ

B型肝炎の給付金請求の流れとそれに要する時間の目安は、以下のとおりです。

  1. ① 訴訟の準備(医療機関などからの証拠収集):約3カ月から5カ月
  2. ② 国を相手とする訴訟の提起~国との交渉~和解成立:約1年から1年6カ月
  3. ③ B型肝炎給付金の請求~給付金の支払い:約2カ月

このように、準備期間を合わせると、1年6カ月から2年ほどかかり、場合によっては2年以上かかることもあります。

給付金請求の期限や除斥期間があることを考えると、できるだけ早く準備を始め、できるだけ早く訴訟を提起することが大切です。

 

 

まとめ

  • 亡くなったご家族がB型肝炎給付金の対象者に該当しており、かつ、ご遺族が亡くなったご家族の相続人に該当する場合には、ご遺族の方が亡くなったご家族に代わってB型肝炎給付金を請求することができます。
  • 亡くなったご家族がB型肝炎給付金の対象者に該当する場合とは、ご家族がB型肝炎ウイルスの一次感染者、二次感染者または三次感染者にあたる場合です。
  • 亡くなったご家族の相続人となり得るのは、ご家族の配偶者(夫・妻)、直系卑属(子・孫)、直系尊属(父母・祖父母)、兄弟姉妹です。
  • 給付金の請求には期限があり、また、20年の除斥期間を経過するともらえる金額が大幅に減ってしまうため、できるだけ早く訴訟を提起することが大切です。
  • 給付金請求に必要な資料の収集は難しく、専門的な知識を要する面もあるため、困ったら弁護士等の専門家に相談してみましょう。
  • 母子感染等によりご遺族自身がB型肝炎に感染しているケースが少なくないことから、一度も検査を受けたことがない方は、病院などで検査を受けてみることをおすすめします。
  • ご遺族自身もB型肝炎に感染していた場合、亡くなったご家族の請求と合わせてご自身の請求を行うのが効率的です。
  • もらえる給付金の額は、症状や除斥期間経過の有無によって異なり、50万円から最大3,600万円です。
  • B型肝炎給付金を受け取るためにかかる期間は、準備期間を合わせると1年6カ月から2年ほどです。

 

 

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