B型肝炎キャリアの寿命とは?リスクと対処法

B型肝炎のキャリアになってしまった場合の寿命は、発症する病気によって大きく異なるため、一概には言えません。

しかし、B型肝炎のキャリアがどのような経過をたどるのか、どのような病気を発症しやすいのかを知ることで、病気の予防・早期治療をすることができます。

病気の予防や早期治療をすることができれば、結果的に寿命を延ばすことに繋がります。

この記事では、B型肝炎キャリアの方が発症しやすい病気とその死亡率、対処法について解説をしていきます。

ぜひ参考になさってください。

B型肝炎キャリアとは

B型肝炎キャリアとは、B型肝炎ウイルスに感染したことがあり、現在もB型肝炎ウイルスを体内に持っている状態の方のことを指します。

B型肝炎ウイルスに感染した場合、感染がどれくらい持続しているかによって、①一次的な感染(一過性感染)か②持続的な感染(持続感染)かが判断されます。

B型肝炎キャリアは、おおよそ感染時から6ヶ月以上経ってもB型肝炎ウイルスが体内に残っている方のことをいいます(持続感染)。

B型肝炎キャリアかどうかはどうやってわかる?

B型肝炎キャリアであるかどうかは、血液検査をして調べることができます。

B型肝炎キャリアであるかを診断する際には、血液検査の中でも、「ウイルスマーカー検査」という検査方法が用いられます。

ウイルスマーカー検査は、地方自治体(都道府県、市町村等)の実施するウイルス検査、妊婦検診、手術前検査などのほか、任意の医療機関でも受けることが可能です。

B型肝炎キャリアであるかは、ウイルスマーカー検査で「HBs抗原」が体内にあるか否かを調べることになります。

CLIA法による検査の場合、HBs抗原が0.05IU/ml未満であれば陰性、0.05IU/ml以上であれば陽性※と診断されます。

※検査方法により基準値は異なります。

もっと詳しくB型肝炎の血液検査について知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

 

 

B型肝炎キャリアはどのような経過をたどるの?

B型肝炎キャリアの経過

 

成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合、そのうち約70〜80%の方は、自らの免疫の働きによってウイルスを排除することができます。

この場合、なんらかの症状が現れることはありません(不顕性感染)。

B型肝炎ウイルスに感染した成人の中でも、約20〜30%の方は急性肝炎を発症しますが、ほとんどの方は一過性の感染を経て、そのまま治癒します。

ただし、急性肝炎を発症した方のうち、約1%の方は急性肝炎から劇症肝炎になることがあり、この場合は命に関わりますので注意が必要です。

これに対して、出産時や乳幼児期にB型肝炎に感染すると、免疫機能が未熟なために体がB型肝炎ウイルスを異物と判断できず、B型肝炎ウイルスを排除できないままになってしまうことが多いです。

出産時や乳幼児期にB型肝炎に感染した場合、約90%の方が、症状のないまま体内にウイルスを持ち続ける「無症候性キャリア」となってしまいます。

そして、B型肝炎の無症候性キャリアのうち、約10〜15%が慢性肝炎を発症し、年率約2%の割合で肝硬変、さらに年率約1.2〜8.1%の割合で肝臓がんに進行してしまいます。

 

 

B型肝炎による肝硬変の死亡率

肝硬変とは、慢性肝炎の長期化によって、幹細胞の破壊と再生が繰り返されることで、肝臓内に硬い組織が増えて(線維化)、その結果として肝臓が硬く小さくなる病気のことです。

慢性肝炎とは、肝炎が6ヵ月以上にわたって持続している状態を指します。

B型肝炎キャリアのうち、約10‐15%の方が慢性肝炎を発症し、その後、年率約2%の割合で肝硬変へと進行します。

肝硬変は、①代償性肝硬変と②非代償性肝硬変の2種類があります。

①代償性肝硬変と②非代償性肝硬変の違いと、死亡率については以下の表をご覧ください。

区別 死亡率
①代償性肝硬変 肝機能があまり低下しておらず、症状が出ないことが多い 5年後死亡率 = 約20%
②非代償性肝硬変 肝機能が低下している
以下いずれかの症状が出ている

  1. ⑴黄疸
  2. ⑵腹水
  3. ⑶門脈圧亢進症
  4. ⑷肝性脳症
5年後死亡率 = 約50%

 

 

B型肝炎による肝臓がんの死亡率

肝臓がんは、その名の通り肝臓にできたがんのことです。

B型肝炎キャリアのうち、約10〜15%の方が慢性肝炎を発症し、その後年率約2%の割合で肝硬変、さらに年率約1.2‐8.1%の割合で肝がんに進行します。

肝臓がん患者の約80%の方が慢性肝炎や肝硬変を合併して発症しています。

肝臓がん患者の症状や死亡率については、以下の表をご確認ください。

症状 死亡率
肝臓がん ⑴初期症状
腹部のしこり・圧迫感・痛みなど
⑵進行後
腹水・むくみ・黄疸・肝性脳症など
5年後死亡率 = 約64%

 

 

B型肝炎による劇症肝炎の死亡率

劇症肝炎は急性肝不全とも呼ばれ、急性肝炎を発症した方のうち、約1%の方が発症します。

また、B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの方が急に発症することもあります。

劇症肝炎を発症した場合の症状や死亡率については、以下の表をご確認ください。

症状 死亡率
劇症肝炎 肝臓の機能が急激に低下
意識障害など
約70%

 

 

B型肝炎の再活性化の死亡率

B型肝炎の再活性化とは、B型肝炎キャリアの方や感染歴のある方が、自己免疫異常をきたした際や、免疫抑制・化学療法などを行った際に、B型肝炎ウイルスが再増殖してしまうことをいいます。

再活性化から肝炎を発症した場合には、重症化・劇症化することが多いので注意が必要です。

再活性化から肝硬変・肝臓がん・劇症肝炎を発症した場合の死亡率については、上記の表を参考にしてください。

 

 

B型肝炎キャリアの対処法

ここからは、B型肝炎キャリアになってしまった場合の対処法について解説します。

 

専門の医療機関を受診する

B型肝炎の無症候性キャリアのうち、約10〜15%の方が慢性肝炎を発症し、さらには肝硬変や肝がんに進行していく可能性があります。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、不調をきたしても症状がなかなか現れません。

症状を自覚したころにはかなり病気が進行していた、ということも少なくありません。

そのため、B型肝炎の無症候性キャリアと診断された場合、症状がなかったとしても、定期的に専門の医療機関で血液検査や画像検査(超音波検査やCT検査など)を用いた適切な診断を受けることが必要です。

 

都道府県の助成を申請する

国と都道府県は、肝炎の重症化予防を目的とした「肝炎総合対策」を推進しており、専門医療機関の受診を促進する取り組みを行っています。

その一環として、検査費用や医療費の助成が行われています。

無症候性キャリアの方が利用することができるのは、検査費用のうち初回精密検査に関する費用の助成のみですが、病状が悪化して慢性肝炎等になった方に対しては、定期検査の費用や治療にかかる医療費の助成が行われています。

助成の内容や条件は都道府県によって異なる可能性がありますので、詳細は各都道府県の窓口にお問い合わせください。

 

B型肝炎給付金の申請を検討する

B型肝炎の給付金とは、過去に行われた集団予防接種やツベルクリン反応検査において、注射器の使いまわしがされたことによって、B型肝炎に持続感染している患者本人やその遺族に支給される給付金のことです。

もらえる給付金の金額は、病状に応じて50万円から3600万円と定められています。

B型肝炎給付金の請求をする場合には、国を相手に訴訟を提起する必要があります。

 

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実際に自分がいくら給付金をもらうことができるのか、気になりますよね。

無料ですので、ぜひこちらのページから診断してみてください。

B型肝炎に詳しい弁護士へ相談

ご自身がB型肝炎給付金の対象となるかを調べるにあたっては、大量の資料を収集する必要があります。

また、B型肝炎給付金を受け取るためには、①必要書類の収集、②国への裁判提起、③社会保険診療報酬支払基金への請求という3つの重要なステップを1つずつこなさなければなりません。

もちろん、これら全てをご自身で行うことも可能ですが、初めての方にはなかなか難しい点が多いと思います。

さらに、B型肝炎給付金を受け取るためには、2027年(令和9年)3月31日までに裁判を起こす必要がありますが、書類の収集などに時間をかけてしまうと、裁判を起こすのが間に合わなくなるおそれもあります。

法律のエキスパートである弁護士であれば、スムーズに裁判を起こすことができますので、給付金を受け取りたいという方は弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

B型肝炎キャリアについてのQ&A

B型肝炎キャリアについて、よくあるご質問についてお答えしていきます。

B型肝炎ウイルスキャリアは完治しますか?

残念ながら、B型肝炎ウイルスキャリアになってしまった場合、ほとんどの方は完治することができません。

 

しかし、適切な治療を受けることでウイルスの増殖を抑えることは可能です。

ウイルスの増殖を抑えることで、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんといった死亡リスクのある病気の発症リスクを下げることができます。

そのため、専門の医療機関への継続的な受診・治療がとても重要です。

 

B型肝炎のキャリアは何歳くらいですか?

83歳(令和6年時点)の方から若い方に至るまで、B型肝炎のキャリアである可能性があります。

 

B型肝炎給付金の対象となるB型肝炎のキャリアとしては、①一次感染者、②二次感染者、③三次感染者が考えられます。

一次感染者は、1941年7月2日から1988年1月27日生まれの方のうち、満7歳までに国が実施する集団予防接種等を受けたことが原因で、B型肝炎ウイルスに感染してしまった方のことをいいます。

二次感染者は、一次感染者の父母から父子(母子)感染した方のことをいいます。

三次感染者は、二次感染者の父母から父子(母子)感染した方のことをいいます。

そのため、83歳(令和6年時点)の方から若い方に至るまで、B型肝炎のキャリアである可能性があります。

 

 

まとめ

この記事では、B型肝炎キャリアの方の寿命やリスク、対処法について解説をしました。

B型肝炎キャリアの方は、肝硬変・肝臓がん・劇症肝炎など死亡リスクが高い病気を発症してしまう可能性があります。

このような病気を発症させないためには、専門の医療機関への継続的な受診や治療が必要不可欠です。

ですが、受診や治療にはお金がかかることもあり、気軽に受診等できない方もいらっしゃると思います。

B型肝炎給付金は、国がB型肝炎患者に対して支払うお金ですから、対象者の方は給付金を受け取る権利があります。

しかし、ご自身がB型肝炎給付金をもらえる対象者であるかの調査、B型肝炎給付金を受け取るための手続きなどはわかりにくいというのが現状です。

その上、B型肝炎給付金を受け取るために必要な国への裁判提起は2027年(令和9年)3月31日までに行う必要があります。

そのため、B型肝炎給付金を受け取るための手続きに精通した専門家のサポートを受けながら、迅速に手続きすることをおすすめいたします。

当事務所にはB型肝炎問題に注力する弁護士がおり、被害者やそのご遺族を強力にサポートいたします。

遠方の方にはオンライン相談等(LINEやZoomなど)にも柔軟に対応しておりますので、B型肝炎に関してお悩みの方は、当事務所にお気軽にご相談ください。

この記事が、B型肝炎キャリアの方やB型肝炎キャリアの寿命について関心のある方にとって、お役に立てれば幸いです。

 

 

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