B型肝炎ワクチンとは、B型肝炎に感染してしまうことを予防するためのワクチンです。
B型肝炎ワクチンを適切に接種することで、B型肝炎に感染するリスクを軽減することができます。
この記事では、B型肝炎ワクチンを接種した方がよい人とはどんな人か、B型肝炎ワクチンを接種した際に起こりうる副作用、接種費用などについて解説をしていきます。
ぜひ参考になさってください。
目次
B型肝炎ワクチンとは?
B型肝炎ワクチンとは、B型肝炎に感染することを予防するためのワクチンです。
B型肝炎ワクチンを接種することで、B型肝炎に対する抗体が体内に作られるので、B型肝炎に感染するリスクを下げることができます。
B型肝炎ワクチンの種類
B型肝炎ワクチンは、「不活化ワクチン」と呼ばれる種類のワクチンです。
不活化ワクチンとは、ウイルスの毒性や感染する能力を失わせたもの(=生きていないもの)を原材料として作られます。
日本で使用されているB型肝炎ワクチンは、以下の2種類です。
製造所 | 製造国 | 注意事項 | |
---|---|---|---|
ビームゲン | 化血研 | 日本 | 発熱、発疹、疼痛、関節痛、筋肉痛などの副作用の可能性あり |
ヘプタバックス-Ⅱ | MSD | 米国 | ラテックス過敏症の方はアレルギー反応が出る可能性あり |
いずれのワクチンを接種するかについては、かかりつけ医などに相談しながら決めることをオススメします。
予防できる感染症
B型肝炎ワクチンは、その名の通りB型肝炎ウイルスへの感染を予防することができます。
B型肝炎とは?
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することで発症する肝臓の病気です。
B型肝炎ウイルスに感染した場合、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんといった死亡リスクのある病気を発症する可能性があります。
なぜワクチンが必要なの?
B型肝炎に感染してしまった場合、B型肝炎キャリアになる可能性があります。
B型肝炎キャリアは、B型肝炎ウイルスに感染したことがあり、感染から6ヶ月以上経過してもB型肝炎ウイルスを体内に持っている状態の方のことです。
B型肝炎キャリアになってしまった場合、ほとんどの方は完治することができません。
そのうえ、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんといった死亡リスクのある病気を発症してしまうリスクもあります。
また、自らの大切な人にB型肝炎ウイルスを感染させてしまうおそれもあります。
そのため、B型肝炎ウイルスに感染してしまう前に、予防としてワクチンを接種することが重要です。
副作用はある?
B型肝炎ワクチンには、以下のような副作用が起きる可能性がありますが、いずれも数日程度で回復します。
- 発熱
- 発疹
- 局所の疼痛
- かゆみ
- 腫脹
- 硬結
- 発赤
- 吐き気
- 下痢
- 食欲不振
- 頭痛
- 倦怠感
- 関節痛
- 筋肉痛
- 手の脱力感など
また、極めて稀ではありますが、以下のような重大な副作用が起きる可能性もあります。
- アナフィラキシー
- 急性散在性脳脊髄炎
予防接種を受けた後に、体調の変化などが気になった場合には、すぐにかかりつけ医などに相談することをオススメします。
B型肝炎ワクチンの対象
平成28年10月1日より、平成28年4月1日以降に生まれた0歳児については、定期予防接種が開始されています。
しかし、定期予防接種の対象となっていない方であっても、B型肝炎ワクチンを接種することは可能です。
WHO(世界保健機関)からも、全ての国民がB型肝炎ワクチンを接種することが推奨されています。
現在、日本でも約110万〜140万人の方がB型肝炎ウイルスのキャリアであるといわれています。
日本の人口から計算すると、約100人に1人がB型肝炎ウイルスに感染していることとなります。
約100人に1人の割合と考えると、意外と身近に感じませんか?
自らと自らの大事な人を守るためにも、B型肝炎ワクチンの接種は重要です。
受けたほうがいい人とは?
B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに感染している方の血液・唾液・精液・膣分泌液などの体液を介して感染します。
また、B型肝炎ウイルスは、人間の身体の外でも、少なくとも7日間は生存することが確認されています。
そのため、日常的に血液・唾液・精液・膣分泌液などの体液に接する機会のある方については、特にB型肝炎ワクチンを接種することをオススメします。
ここからは、B型肝炎ワクチンを受けた方がいい人について、ご説明します。
医療従事者
医師・看護師などの医療従事者は、日常的に患者の血液・唾液などに接する機会があります。
B型肝炎ウイルスは、血液・唾液などの体液に多く含まれていますので、これらに接する機会が多い医療従事者は、特にB型肝炎ワクチンの接種が推奨されます。
一般社団法人日本環境感染学会が発行するガイドライン「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版」でも、全ての医療関係者がB型肝炎ワクチンを接種することが推奨されています。
セックスワーカー
日常的に不特定多数の人と性的関係を持つことになるセックスワーカーにおいても、B型肝炎ワクチンを接種することは重要です。
なぜなら、B型肝炎ウイルスは感染者の血液だけでなく、唾液・精液・膣分泌液などの体液からでも感染するリスクがあるからです。
また、B型肝炎ワクチンの接種とともに、コンドームを適切に使用することも大切です。
B型肝炎キャリアの父母を持つ子ども
B型肝炎ウイルスのキャリアの父母がいる場合、出産時や家庭内で感染が起こるリスクが高いため、B型肝炎ワクチンの接種が重要です。
特に、母親がB型肝炎キャリアの場合には、出産時に母子感染するリスクがあります。
母子感染を防ぐためには、出産直後(24時間以内)に子どもに対してB型肝炎ワクチンを接種することが推奨されています。
また、父親がB型肝炎キャリアの場合であっても、幼少期の親子のふれあいの中で、血液・唾液などに接触する機会は多々あると思います。
そのため、この場合もB型肝炎ワクチンを接種して、B型肝炎ウイルスに感染しないようにすることが必要です。
B型肝炎ウイルスの感染者が多い国への渡航者
B型肝炎ウイルスは全世界で蔓延しています。
東南アジアやアフリカなど、感染者が人口の約8%を上回っている国もあります。
B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに感染している方の血液・唾液・精液・膣分泌液などの体液を介して感染します。
例えば、諸外国で事故に遭った場合など、不衛生な環境での医療行為を受けた際に、血液を介してB型肝炎ウイルスに感染してしまうことが考えられます。
そのため、B型肝炎ウイルスの感染者が多い国へ旅行に行く場合には、念のためにB型肝炎ワクチンを接種することが推奨されます。
また、できる限り不特定多数の人との性交渉は避け、コンドームを正しく使用することが必要です。
不衛生な場所でピアスの穴を開けたり、入れ墨を入れたりすることも避けることをオススメします。
その他、他人の血液や体液に触れる機会の多い仕事をしている方
警察官・救急救命士・保育士・介護士など、他人の体や血液・体液に触れる機会の多い職業の方も、B型肝炎ワクチンを接種することが推奨されます。
B型肝炎ウイルスは血液・体液などを介して感染しますので、手袋の着用なども必要に応じて検討してください。
受けないほうがいい人とは?
基本的には全ての人が接種すべきとされているB型肝炎ワクチンですが、接種をする際に注意が必要な人もいます。
ここからは、B型肝炎ワクチンの接種を受けないほうがいい人について、ご説明します。
B型肝炎ワクチンを受けられない人
以下の方は、B型肝炎ワクチンを接種することができません。
- ① 発熱している人(37.5度以上の発熱)
- ② 重篤な急性疾患にかかっている人
- ③ B型肝炎ワクチンの成分でアナフィラキシー症状が出たことのある人
- ④ その他、予防接種を受けることが不適当な状態の人(医師が判断)
これらの人はB型肝炎ワクチンを接種すると体や命に危険が及ぶおそれがあるので、接種することはできません。
B型肝炎ワクチンを受けるときに注意が必要な人
以下の方は、B型肝炎ワクチンを接種してはいけないわけではありませんが、注意が必要な人です。
- ① 心臓血管系・腎臓・肝臓・血液などに疾患がある人
- ② 過去に予防接種の接種後2日以内に発熱やアレルギーを疑う症状が出たことがある人
- ③ 過去にけいれんの症状が出たことがある人
- ④ 過去に免疫不全の診断がなされている人や親族に先天性免疫不全症の人がいる人
- ⑤ B型肝炎ワクチンの成分に対してアレルギー症状が出る可能性がある人
- ⑥ 妊婦中または妊娠している可能性のある女性
- ⑦ 血小板減少症、凝固障害のある人など
- ⑧ 高齢者
これらに当てはまる方は、かかりつけ医などとよく相談の上、B型肝炎ワクチンを接種するかを判断することが必要です。
B型肝炎ワクチンの接種スケジュール
B型肝炎ワクチンは不活化ワクチンですので、複数回接種する必要があります。
B型肝炎ワクチンでは、B型肝炎ウイルスに対する抗体ができるまでに3回の接種が必要とされています。
接種の間隔
B型肝炎ワクチンは、①初回、②初回から4週間後、③初回から20〜24週間後の3回にわけて接種します。
そして、3回目の接種から約4-8週間後に、B型肝炎ウイルスの抗体検査をして、抗体ができているかを確認します。
抗体ができていなかった場合には、もう1度B型肝炎ワクチンの接種を行います。
その際のスケジュールについては、①〜③と同様です。
B型肝炎ワクチンの費用
定期予防接種でB型肝炎ワクチンを接種する場合には、無料で接種することができます。
任意にB型肝炎ワクチンを接種する場合には、基本的に自費診療となりますので、保険を使うことはできません。
自費診療の場合のB型肝炎ワクチンの費用は、1回あたり約5000〜8000円程度です。
つまり、3回B型肝炎ワクチンを接種した場合、合計で約1万5000円〜2万4000円程度のお金がかかることになります。
B型肝炎ワクチンはどこで受けることができる?
B型肝炎ワクチンは全ての医療機関で受けられるわけではありません。
どこでB型肝炎ワクチンを受けられるかについては、厚生労働省検疫所が検索フォームを提供しています。
B型肝炎ワクチンを受けたいという方は、こちらを利用して、B型肝炎ワクチンの接種を受け付けている医療機関を検索してみてください。
参考:B型肝炎ワクチンが接種できる医療機関|厚生労働省検疫所
B型肝炎についてのQ&A
ここからは、B型肝炎についてよくあるご質問についてお答えします。
B型肝炎ワクチンは大人でも受けた方がいい?
B型肝炎ワクチンは、大人であっても受けることを推奨します。
B型肝炎は血液・唾液・精液・膣分泌液などの体液を介して感染します。
つまり、子ども時代よりも、むしろ他人の体液に接する機会の増える大人の方が、より感染リスクは高いと言えます。
B型肝炎ワクチンは、40歳未満では約92%の方、40歳以上では約84%の方が抗体を獲得できたと報告されています。
大人になってからの接種でも、B型肝炎ワクチンの効果は十分に発揮されますので、なるべく早く接種することをオススメします。
まとめ
この記事では、B型肝炎ワクチンを接種するべき人や副作用・費用について解説をしました。
B型肝炎ウイルスに感染してしまうと、肝硬変・肝臓がん・劇症肝炎など死亡リスクが高い病気を発症してしまう可能性があります。
ご自身や、ご自身の大切な方にB型肝炎ウイルスを感染させてしまわないためにも、B型肝炎ワクチンを接種することをオススメします。
もしすでにB型肝炎ウイルスに感染している方の場合は、B型肝炎給付金を受け取れる可能性があるため、弁護士への相談をご検討ください。
当事務所にはB型肝炎問題に注力する弁護士がおり、被害者やそのご遺族を強力にサポートしております。
遠方の方にはLINEやZoomなどによるオンライン相談等にも柔軟に対応しておりますので、B型肝炎に関しては、当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。
この記事が、B型肝炎ワクチンに関心のある方にとって、参考になれば幸いです。