B型肝炎の症状について、「急性肝炎」の場合は、全身の倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などの症状があり、「慢性肝炎」の場合は、食欲不振、疲労、微熱、腹水、消化管からの出血、褐色尿、黄疸などの症状があります。
B型肝炎ウイルスに感染してしまった場合、どのような症状が出るかは発症する病気によって異なります。
B型肝炎ウイルスが原因で発症する病気で一般的なものとしては、「急性肝炎」と「慢性肝炎」があります。
この記事では、B型肝炎の主な症状や感染経路、B型肝炎に感染してしまった時の対処法について解説をしていきます。
B型肝炎ウイルスに感染しているかを知りたい方向けにチェックリストも記載していますので、ぜひ参考になさってください。
B型肝炎の症状
B型肝炎ウイルスに感染してしまった場合、どのような症状が出るかは発症する病気によって違いがあります。
B型肝炎ウイルスが原因で発症する病気の中でも、特に発症数が多いものとしては、「急性肝炎」と「慢性肝炎」が挙げられます。
まずは、急性肝炎と慢性肝炎の症状について解説をしていきます。
急性肝炎の症状
急性肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染してから比較的短期間で発症する病気です。
急性肝炎を発症した際には、以下のような症状が出ることが一般的です。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 悪心
- 嘔吐
- 褐色尿
- 黄疸など
急性肝炎を発症した際には、基本的には一過性の感染となり、ほとんどの方はそのまま治癒します。
そのため、急性肝炎を発症した方の場合、B型肝炎ウイルスが長期間体内に残ったままになる(キャリアになる)ことはほとんどありません。
ただし、急性肝炎を発症した人のうち、約1%の方は劇症肝炎へと進行するおそれがあります。
劇症肝炎を発症してしまった場合、急性肝炎の症状に加えて、意識障害の症状が現れます。
劇症肝炎を発症した際には、生命に関わりますので、すぐに医療機関を受診することが必要です。
慢性肝炎の症状
慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染してからある程度長期間経ってから発症する病気です。
慢性肝炎を発症した場合には、初期症状はあまり現れないことが一般的です。
慢性肝炎が進行してくると、以下のような症状が現れます。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 疲労
- 微熱
- 腹水
- 消化管からの出血
- 褐色尿
- 黄疸など
慢性肝炎を発症した方の場合、年率約2%の割合で肝硬変に進行し、さらに年率約1.2‐8.1%の割合で肝がんに進行しますので、定期的に医療機関を受診することが大切です。
B型肝炎のチェックリスト
ご自身がB型肝炎ウイルスに感染しているのかが気になる方は、以下のチェックリストで確認してみてください。
ただし、急性肝炎ではなく慢性肝炎を発症している場合には、初期の段階では症状が現れないことが多いので、チェックリストに当てはまらないからといって、感染していないとは限りません。
ご自身がB型肝炎ウイルスに感染しているかが心配な方は、保健所や医療機関で血液検査をして、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを診断してもらうことをオススメします。
B型肝炎の潜伏期間とは?
B型肝炎ウイルスの潜伏期間は、感染した方の免疫状態によって異なります。
成人の方がB型肝炎ウイルスに感染した場合と、幼児や免疫がうまく機能していない方(透析患者、免疫抑制剤の投与を受けている方など)が感染した場合とでは、潜伏期間や発症する病気が大きく異なってきます。
ここからは、B型肝炎の潜伏期間について解説をしていきます。
急性肝炎の潜伏期間
B型肝炎ウイルスに感染して急性肝炎を発症する方は、自己免疫機能がしっかりと備わっている成人の方がほとんどです。
急性肝炎を発症する場合は、B型肝炎ウイルスに感染してから約1〜6ヶ月の潜伏期間を経てから、以下のような症状が現れます。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 悪心
- 嘔吐
- 褐色尿
- 黄疸など
急性肝炎を発症した場合には、基本的には自己の免疫によりB型肝炎ウイルスを体内から排除できる状態ということですので、ほとんどの方はB型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)とならないという点に特色があります。
慢性肝炎の潜伏期間
B型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎を発症する方は、幼児や免疫がうまく機能していない方(透析患者、免疫抑制剤の投与を受けている方など)がほとんどです。
慢性肝炎を発症してしまう場合には、B型肝炎ウイルスに感染してから約数年〜十数年の潜伏期間を経てから以下のような症状が現れます。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 疲労
- 微熱
- 腹水
- 消化管からの出血
- 褐色尿
- 黄疸など
慢性肝炎を発症した方の場合、自己の免疫でB型肝炎ウイルスを体内から排除できなかったということですので、一生涯体内にB型肝炎ウイルスを保有する持続感染者(キャリア)となってしまいます。
B型肝炎ウイルスのキャリアに対する根本的な治療法は現在では存在しないので、現れた症状に対する対症療法を行っていくことになります。
感染初期は症状がない?
B型肝炎ウイルスに感染したばかりの時期は、自覚症状が現れることは稀です。
そもそも、成人の方がB型肝炎ウイルスに感染した場合には、約70〜80%の方は肝炎を発症せず、自覚症状も現れないまま自然治癒します。
一定の潜伏期間を経て急性肝炎や慢性肝炎を発症すると自覚症状が現れますが、症状の現れ方は急性肝炎と慢性肝炎では異なります。
慢性肝炎の場合には、発症後も初期の段階では症状が現れないことが一般的です。
B型肝炎の感染経路とは?
B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液や唾液・精液・膣分泌液などの体液が傷口や粘液を介して体内に入ることで感染します。
中でも、特に感染リスクが高いのは、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液です。
唾液・精液・膣分泌液などの体液は、含有されているウイルス量が少ないため、血液に比べると感染リスクは低くなります。
しかし、体液からでも一定の感染リスクはありますので、体液に関しても体内に入らないように気をつけることが肝心です。
B型肝炎は空気感染する?
B型肝炎ウイルスが他者に感染するためには、一定量以上のウイルスが体内に入ることが必要です。
確かに空気中には他者の唾液等が多少含まれますが、この程度の微量なウイルスでは、B型肝炎ウイルスに感染することはありません。
そのため、B型肝炎ウイルスは空気感染することはありません。
B型肝炎はスポーツで感染する?
一般的には、スポーツや遊びの中でB型肝炎ウイルスに感染する可能性は低いとされています。
もっとも、感染の可能性はゼロではなく、激しい接触を伴うスポーツ(相撲やラグビー等)や保育園等における子ども同士の遊びについては、感染例が報告されています。
B型肝炎ウイルスは感染者の血液や体液が傷口や粘膜に接触し、体内に入ることで感染します。
激しいスポーツや子ども同士の遊びでは負傷して傷口ができることがあり、その傷口に血液や汗が触れることで感染する可能性があります。
そのため、傷口ができる可能性のないスポーツや遊びに関しては、それほど神経質になる必要はありません。
B型肝炎はキスで感染する?
軽く唇同士が接触する程度のキスの場合には、B型肝炎ウイルスが感染する危険性はそれほど高くありません。
しかし、ディープキスの場合には、他者の唾液等が粘膜から体内に入ってしまうことになるので、感染の危険性があります。
特に、口内に口内炎や歯肉炎、傷などがあり、出血している場合には、感染のリスクが高まります。
B型肝炎ウイルスに感染しないためには、不特定多数の人とのディープキスを避けることやB型肝炎ワクチンの接種が重要です。
B型肝炎は性行為で感染する?
性行為では相手の血液や体液に触れる機会が多くありますので、感染のリスクは高いと言えます。
特に、成人が新たにB型肝炎ウイルスに感染した場合、多くは性行為由来の感染であると言われています。
性行為でB型肝炎ウイルスに感染しないためには、コンドームの使用やB型肝炎ワクチンの接種が必要です。
B型肝炎は風呂で感染する?
B型肝炎ウイルスは、一定量以上のウイルスが体内に入らなければ感染しません。
公衆浴場などで他人の血液や体液がお湯に含まれている可能性はありますが、お湯で薄まりますので、この程度のウイルスの量では感染のリスクはありません。
そのため、通常の入浴ではB型肝炎ウイルスに感染することはありません。
B型肝炎がうつる確率とは?
B型肝炎ウイルスは、C型肝炎ウイルスやHIV(通称:エイズ)と比べても、感染力の強いウイルスと言われています。
B型肝炎ウイルスは、人の体外の乾燥した状態でも、7日間以上生存する(感染力がある)との研究報告があります。
そのうえ、B型肝炎ウイルスはHIVに比べ、50〜100倍も感染力が強いと言われています。
しかし、B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液・唾液・精液・膣分泌液などの体液が体内に入ることによって感染します。
つまり、他の人の血液や体液が、自らの傷口や粘膜に付着することに気をつけていれば、日常生活の中でB型肝炎に感染する危険性はほとんどありません。
B型肝炎への対処法
B型肝炎ウイルスに感染してしまった場合、少なくとも以下4点の対処法をとることをオススメします。
ここからは、B型肝炎ウイルスに感染してしまった方がとるべき行動について、説明をしていきます。
都道府県に対して助成金を申請
国や都道府県は、国民に対して肝炎の重症化予防を目的に「肝炎総合対策」を行っています。
肝炎総合対策では、専門医療機関の受診を促進するための取り組みが実施されています。
対策の中では、肝炎を重症化させないための検査費用や医療費の助成が行われています。
ただし、受給条件や助成内容については、お住まいの都道府県によって取り扱いが異なることがあります。
自分が受給の対象となるかなどを詳しく知りたいという方は、お住いの自治体の窓口に問い合わせてみてください。
医療機関を受診
B型肝炎ウイルスが自己の免疫によって排除できず、持続感染となってしまった方のうち、約10‐15%の方が慢性肝炎を発症すると報告されています。
さらに、慢性肝炎を発症してしまった方については、年率約2%の割合で肝硬変に進行し、さらに年率約1.2‐8.1%の割合で肝臓がんに進行してしまうリスクがあります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているとおり、不調をきたしていた場合であっても、症状が現れないことがよくあります。
自覚症状が現れた頃には、病気がかなり進行していたということも少なくありません。
そのため、B型肝炎ウイルスに持続感染していると診断された場合には、自覚症状が現れていない状態でも、定期的に専門の医療機関を受診することが大切です。
定期的に血液検査や画像検査(超音波検査、CT検査、MRI検査)を受けることで、早期に病気を発見することができ、病気の進行を防ぐことが可能です。
B型肝炎の給付金を申請
B型肝炎の給付金とは、過去に集団予防接種やツベルクリン反応検査が実施された際に、注射器(注射針または注射筒)の使いまわしがされたことが原因で、B型肝炎に持続感染した患者本人やその遺族に支給される給付金のことです。
受け取ることができる給付金の額は、病状などに応じて50万円から3600万円とされています。
これは、前述の検査費用や医療費とは別に請求することができます。
ただし、B型肝炎給付金を受け取るためには、国を相手に裁判を起こす必要があります。
この裁判は、2027年(令和9年)3月31日までに提起する必要があります。
B型肝炎給付金の詳細について興味のある方は、以下の記事もご一読ください。
給付金をいくらもらえる?無料で診断!
ご自身がいくらB型肝炎給付金を受け取ることができるのか、気になりますよね。
こちらのページでは、給付金をいくら貰うことができるのかについて無料で診断することができます。
気になるという方は、ぜひ1度診断してみてください。
B型肝炎に詳しい弁護士に相談
B型肝炎給付金は、以下の方が国に対して請求することができるお金です。
- B型肝炎ウイルスの一次感染者
- B型肝炎ウイルスの二次感染者
- B型肝炎ウイルスの三次感染者
- これらの方の遺族(相続人)
一次感染者とは、過去に集団予防接種等が行われた際に注射器の使いまわしがされたことが原因で、B型肝炎ウイルスに感染してしまった方のことを言います。
二次(三次)感染者とは、一次(二次)感染者の母親や父親から、母子(父子)感染してしまった方のことを言います。
国にB型肝炎給付金を支払ってもらうためには、自分が一次、二次、三次感染者であることやその遺族であることを裁判の中で国に証明する必要があります。
つまり、B型肝炎給付金を受け取るためには、必要な書類を集めた上で、国へ裁判を起こす必要があるのです。
国に対する裁判は、2027年(令和9年)3月31日までに提起する必要があります。
また、裁判の中で、国からB型肝炎給付金受給の対象者と認められ、和解が成立しただけでは、国からB型肝炎給付金を受け取ることはできません。
B型肝炎給付金を受け取るためには、社会保険診療報酬支払基金に対して、給付金の支払を請求しなければなりません。
もちろん、ご自身でこれらの手続き全てを行うことも可能です。
しかし、これまでこのような手続きをしたことがない方にとっては、これらの作業は複雑でなかなか難しいと思います。
国に対する裁判は2027年(令和9年)3月31日までに提起しなければなりませんので、書類の収集や裁判資料の作成に時間をかけすぎてしまうと、裁判提起が間に合わなくなってしまうおそれがあります。
書類の収集や作成といった裁判に関する手続きに慣れている弁護士であれば、このような手続きを迅速に行うことができます。
B型肝炎給付金を受け取りたいという方は、弁護士に相談の上で進めた方が良いでしょう。
まとめ
この記事では、B型肝炎の症状や感染経路等についてご説明しました。
B型肝炎ウイルスに感染してしまった場合、急性肝炎や慢性肝炎といった病気を発症するリスクがあります。
B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液や唾液・精液・膣分泌液などの体液が傷口や粘液を介して体内に入ることで感染します。
普通に日常生活を送る分には、感染に対して神経質になる必要はありませんが、日常的に他人の血液や体液に触れる機会がある方は注意が必要です。
B型肝炎ウイルスに感染してしまい、慢性肝炎と診断されてしまった方の場合には、肝硬変や肝臓がんといった病気に進行しないように経過観察をすることが大切です。
このような病気の発症を防ぐためには、専門の医療機関への継続的な受診や治療が必要不可欠です。
受診や治療にはお金がかかりますが、助成金などを適切に利用して負担を減らすこともできますので、お住まいの都道府県に確認されると良いでしょう。
また、一部の方はB型肝炎給付金を受け取れる可能性があります。
しかしながら、現在では、ご自身がB型肝炎給付金をもらえる対象者であるかの調査やB型肝炎給付金を受け取るための手続きなどは簡単なものではありません。
それに加えて、B型肝炎給付金を受け取るための国に対する裁判は2027年(令和9年)3月31日までに提起しなければなりません。
あまり時間的猶予がありませんので、絶対にB型肝炎給付金を受け取りたいという方は、専門家のサポートを受けながら、迅速に手続きすることをオススメします。
当事務所にはB型肝炎問題に注力している弁護士がおり、B型肝炎の感染者やそのご遺族を強力にサポートしております。
遠方にお住まいの方には、LINEやZoomなどを用いたオンライン相談等にも柔軟に対応しております。
B型肝炎に関しては、ぜひ当事務所の弁護士まで遠慮なくご相談ください。
この記事が、B型肝炎についてご興味のある方にとって、お役に立てば幸いです。