B型肝炎とC型肝炎はどちらが怖い?わかりやすく解説


B型肝炎とC型肝炎は、いずれもウイルスが原因で起こる肝臓の病気ですが、それぞれ異なる点があるため、一概にどちらが怖いかを決めることは困難です。

しかし、重症化リスクが高いという点を考慮すれば、C型肝炎の方が怖いと言えます。

2つのウイルスの特徴を簡単にまとめると、B型肝炎ウイルスは感染力が強く感染しやすいが重症化する確率はそこまで高くなく(C型肝炎との比較)、C型肝炎ウイルスは感染力はそこまで強くないが1度感染すると重症化しやすいという特徴があります。

ただし、ワクチンの有無や完治可能性などにも異なる点があります。

この記事では、B型肝炎とC型肝炎のそれぞれの特徴について詳細に解説を行います。

B型肝炎とC型肝炎はどちらが怖い?

B型肝炎とC型肝炎の違い

B型肝炎とC型肝炎にはそれぞれ異なる点があるため、一概に言うことは困難ですが、重症化リスクが高いという点からすれば、C型肝炎の方が怖いと言えます。

B型肝炎とC型肝炎は、いずれもウイルスが原因で起こる肝臓の病気です。

ウイルスの特徴として、B型肝炎ウイルスは感染力が強く感染しやすいが重症化する確率はC型肝炎ウイルスと比較して、そこまで高くなく、C型肝炎ウイルスは感染力はそこまで強くないが1度感染すると重症化しやすいという特徴があります。

ただし、B型肝炎には感染を防ぐためのワクチンがあるがC型肝炎にはワクチンがなく、B型肝炎は感染が持続すると完治困難であるがC型肝炎は感染が持続しても完治可能という特徴もあります。

そのため、どちらのウイルスが怖いと感じるかには個人差があるかもしれません。

あくまでも重症化リスクという点から考えた場合には、C型肝炎の方がリスクが高く、怖いと言えるでしょう。

 

 

B型肝炎とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに起因する肝臓の病気です。

日本では、B型肝炎ウイルスに感染している方は約100万人いると推計されています。

B型肝炎ウイルスは、血液や体液を媒体として感染が広がります。

B型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓で炎症が起こります(肝炎)。

B型肝炎ウイルスが原因で起こる肝炎には、一過性のものと慢性のものがあります。

一過性の肝炎の場合には、基本的には特別な治療を施す必要はありません。

これに対し、肝炎が慢性化した場合には、肝硬変や肝がんに進行するおそれがあるため、経過観察と治療が必要となります。

B型肝炎の治療法には、主に「抗ウイルス療法」と「肝庇護療法」の2つの方法があります。

どのような治療を行うかは、肝臓の状態などによって大きく異なりますので、かかりつけ医と治療方針についてよく話し合うことが大切です。

 

B型肝炎の感染経路

B型肝炎ウイルスは、感染者の血液や体液(精液・膣分泌液・月経血・唾液など)が粘膜や傷口等から体内に入ることで感染します。

そのため、母子感染や性行為、血液の付着した医療器具(注射針、手術器具など)の共有などが主な感染経路となります。

成人の場合は、B型肝炎ウイルスに持続感染している人(B型肝炎キャリア)との性行為が最も多い感染経路です。

また、不特定の人の血液や体液に触れる機会のある医療従事者、救急隊員、警察官などの職業に従事している方の場合には、気づかないうちに感染してしまうこともあります。

B型肝炎ウイルスに感染しないためには、他人の血液や体液にむやみに接触しないように心がけることが大切です。

また、他人の血液や体液に接触する機会があるという方の場合には、B型肝炎ウイルスのワクチンを接種することで感染を防ぐことができます。

 

B型肝炎に感染したらどうなる?

成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合は、約70〜80%の人は自身の免疫でウイルスを排除できるため、症状が現れないまま完治します(不顕性感染)。

残りの約20〜30%の人は急性B型肝炎を発症しますが、多くの場合は6ヵ月以内に体内からウイルスが排除され、治癒します。

つまり、成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合には不顕性感染もしくは一過性の感染となることが多く、肝炎が慢性化することは非常に稀です。

ただし、急性肝炎を発症した人の約1%は劇症肝炎を発症する可能性があり、この場合にはすぐに医療機関を受診する必要があります。

これに対し、乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染した場合には、免疫機能が未熟なため、約90%の乳幼児が自力でウイルスを排除できず、無症候性キャリア(持続感染者)になります。

無症候性キャリアとなった子どものうち、約10〜15%が将来的に慢性肝炎を発症します。

B型肝炎ウイルス由来の慢性肝炎を発症している方は、年率約2%で肝硬変に進行するリスクがあります。

また、肝硬変を発症した場合、年率約1.2〜8.1%で肝がんに進行するリスクがあります。

日本の肝がん患者のうち、約15%がB型肝炎ウイルスのキャリアだとの報告があります。※

※参考:肝臓病の理解のために|一般社団法人 日本肝臓学会

 

B型肝炎の治療

B型肝炎の治療については、主に「抗ウイルス療法」と「肝庇護療法」の2つの方法があります。

抗ウイルス療法 薬剤を使ってB型肝炎ウイルスの増殖を直接抑制する治療法
肝庇護療法 B型肝炎ウイルスを直接攻撃するのではなく、肝臓の機能低下を防ぎ、肝硬変への進行を遅らせることを目的とした治療法

抗ウイルス療法では、経口薬の「核酸アナログ製剤」と注射薬の「インターフェロン」が用いられます。

肝庇護療法では、「グリチルリチン製剤」「ウルソデオキシコール酸」「小柴胡湯」などが用いられます。

いずれの治療薬を用いるかは、肝臓の状態、ウイルス量、年齢などを総合的に判断して決定することになりますので、かかりつけ医とよく相談することが大切です。

 

 

C型肝炎とは?

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに起因する肝臓の病気です。

日本では、C型肝炎ウイルスに感染している方は約150万〜200万人いると推計されています。

C型肝炎ウイルスは、血液を媒体として感染が広がります。

C型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓で炎症が起こります。

C型肝炎ウイルスが原因で起こる肝炎には、一過性のものと慢性のものがあります。

一過性の肝炎の場合には、基本的には自然に治癒します。

これに対し、肝炎が慢性化した場合には、肝硬変や肝がんに進行するおそれがあるため、経過観察や治療が必要となります。

特に、C型肝炎ウイルスは肝がんに進行する確率が高く、日本の肝がん患者の約60%がC型肝炎ウイルスのキャリアとの報告もあります。

しかし、現在の医療ではC型肝炎は十分完治可能な病気となっているため、なるべく早く治療を受けることが大切です。

 

C型肝炎の感染経路

C型肝炎ウイルスは、感染者の血液が体内に入ることで感染します。

そのため、血液の付着した医療器具(注射針、手術器具など)の使用による感染が最も多い感染経路です。

かつては、不適切な滅菌処理による医療器具の汚染や、C型肝炎ウイルスの検査が義務付けられる前の輸血による感染が主な原因でした。

母子感染や性行為によって感染する確率はそれほど高くはありませんが、稀に感染することがありますので、注意が必要です。

また、B型肝炎ウイルスにはワクチンがあるのに対し、C型肝炎ウイルスのワクチンは開発されていませんので、感染を防ぐためには、他人の血液と接触しないようにするしか方法がありません。

 

C型肝炎に感染したらどうなる?

C型肝炎ウイルスに感染した場合、約30%の人は自身の免疫でウイルスを排除できるため、症状が現れないまま完治します(不顕性感染)。

残りの約70%の人はウイルスが自然に排除されることなく、慢性化し、「慢性肝炎」になります。

慢性肝炎のまま放置すると、約30〜40%の人が20年程度で肝硬変に進行します。

さらに、肝硬変を発症した場合、年率約7%で肝がんに進行するリスクがあります。

日本の肝がん患者のうち、約60%がC型肝炎ウイルスのキャリアだとの報告があります。※

※参考:肝臓病の理解のために(一般社団法人 日本肝臓学会)

 

C型肝炎の治療

C型肝炎の治療については、主に「抗ウイルス療法」が行われ、補助的に「肝庇護療法」が行われるというのが主流になっています。

抗ウイルス療法 C型肝炎ウイルスの増殖を直接抑制し、体内からC型肝炎ウイルスを排除することを目的とした治療法法
肝庇護療法 C型肝炎ウイルスを直接攻撃するのではなく、肝臓の機能低下を防ぎ、肝硬変や肝がんへの進行を遅らせることを目的とした治療法

C型肝炎ウイルスの場合、適切な治療によって、ウイルスを体内から排除することが十分期待できるようになりました。

抗ウイルス療法では、経口薬である直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が主に使用されています。

肝庇護療法では、「グリチルリチン製剤」「ウルソデオキシコール酸」「小柴胡湯」などが用いられます。

いずれの治療薬を用いるかは、肝臓の状態、ウイルス量、年齢などを総合的に判断して決定することになりますので、かかりつけ医とよく相談することが大切です。

 

 

B型肝炎とC型肝炎の違い

B型肝炎とC型肝炎は、どちらもウイルスが原因で肝臓に炎症が起きる病気という点では共通しています。

しかし、その他の特徴は大きく異なっています。

詳しくは、以下の表をご覧ください。

B型肝炎ウイルス C型肝炎ウイルス
感染源 キャリアの血液・体液 キャリアの血液
感染経路 母子感染、性交渉、輸血、医療措置など 輸血、医療措置など
母子感染、性交渉での感染は稀
感染力 強い 弱い
持続感染の確率 成人の感染では稀
幼児の感染では約90%
約70%
ワクチンの有無 あり なし
完治可能性 完治困難(持続感染の場合) 完治可能
慢性肝炎に進行する確率 持続感染者のうち約10〜15% 持続感染者のほとんど
肝硬変に進行する確率 慢性肝炎患者のうち年率約2% 慢性肝炎患者うち約30〜40%が20年程度で肝硬変に進行
肝がんに進行する確率 肝硬変患者のうち年率約1.2〜8.1% 肝硬変患者のうち年率約7%
肝がん患者全体に占める割合 約15% 約60%

表を見ると、B型肝炎ウイルスは感染力が強く、感染源がC型肝炎ウイルスよりも多いことから、その分感染経路も多岐にわたっており、感染が広がりやすいウイルスだということがわかります。

しかし、成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合には持続感染に移行する可能性はほとんどなく、慢性肝炎・肝硬変・肝がんに進行する確率もそこまで高くないと言うことができます。

また、B型肝炎ウイルスにはワクチンがありますから、ワクチンを接種することで感染を防ぐこともできます。

ただし、B型肝炎ウイルスが持続感染した場合には、現在の医療では体内からウイルスを完全に排除できないという点には注意が必要です。

これに対し、C型肝炎ウイルスは、感染源がB型肝炎ウイルスよりも少なく、感染経路もある程度限定されている上、感染力はそこまで強くありません。

しかし、C型肝炎ウイルスに感染した場合、約70%の方が持続感染に移行し、そのほとんどが慢性肝炎を発症します。

また、慢性肝炎から肝硬変・肝がんに進行する確率も高いと言えるでしょう。

日本の肝がん患者のうち約60%がC型肝炎ウイルスに持続感染しているという報告からも、C型肝炎は重篤な病気に進行するリスクが高いと言うことができます。

さらに、C型肝炎ウイルスにはB型肝炎ウイルスのようなワクチンもありませんから、感染を防止するためには、他人の血液に接触しないようにするしかありません。

ただし、C型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスとは違い、治療によって体内からウイルスを完全に排除できる可能性が高いウイルスでもあります。

肝臓の病気であるため自覚症状に乏しく、病気に気づきにくいという点はありますが、早期に発見・治療を行うことができれば、肝硬変や肝がんといった重篤な病気に進行することを防ぐことができます。

 

 

B型肝炎が疑われる場合

B型肝炎かもと思ったら、まずはB型肝炎ウイルスに本当に感染しているのかを検査しましょう。

B型肝炎ウイルスの検査は血液検査で簡単に確認することができます。

そして、本当にB型肝炎だった場合には、B型肝炎給付金の対象者であるかを確認してみることをおすすめします。

B型肝炎給付金の対象者であれば、病状等にはよりますが、50万円〜3600万円のお金を受け取ることができます。

B型肝炎給付金に関する悩み事については、B型肝炎給付金に精通している弁護士に相談することで解決することができるかもしれません。

 

B型肝炎ウイルスの検査をする

B型肝炎ウイルスの検査では、血液検査で「HBs抗原」の数値を確認します。

B型肝炎ウイルスの検査は、地方自治体が実施するウイルス検査や任意の医療機関で受けることができます。

妊娠中の方や手術前の方は、妊婦健診・手術前検査でB型肝炎ウイルスの検査が実施されます。

地方自治体が実施するウイルス検査では、対象者は無料で肝炎ウイルス検査を受けることができます。

各地方自治体が実施する肝炎ウイルス検査には、「健康増進事業による肝炎ウイルス検査」と「特定感染症検査等事業による肝炎ウイルス検査」があります。

詳細は、以下の表をご覧ください。

実施主体 実施場所 対象者
健康増進事業による
肝炎ウイルス検査
市町村 保健センター
市町村が委託する医療機関
40歳以上の方
※過去に肝炎ウイルス検査受けたことがある方は除く
特定感染症検査等事業による肝炎ウイルス検査 都道府県
政令市
特別区
保健所
都道府県等が委託する医療機関
肝炎ウイルス検査の受検を希望する方
※過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがある方や健康増進事業の対象者は除く

 

B型肝炎の給付金を申請する

検査によってB型肝炎だということがわかったら、B型肝炎給付金の対象者かを確認しましょう。

B型肝炎給付金の対象者であれば、病状等にはよりますが、50万円〜3600万円のお金を国から受け取ることができます。

ただし、B型肝炎給付金は受け取るための条件(受給要件)が複雑です。

しかも、確実にB型肝炎給付金を受け取るためには、2027年3月31日までに国に対して裁判を起こす必要もありますので、B型肝炎と診断された方は、今すぐB型肝炎の対象者かどうかを確認しましょう。

B型肝炎給付金については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてください。

 

給付金をいくらもらえる?無料で診断!

B型肝炎給付金を受け取るためには、2027年3月31日までに国を相手方として裁判を提起しなければいけません。

また、裁判所に提出する書類を集めるのにも時間がかかります。

B型肝炎給付金の対象者かも?と思っている方は、ぜひ以下のシミュレーターでB型肝炎給付金の対象者かどうか?いくらお金を受け取れる可能性があるのか?を簡単に診断してみてください。

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B型肝炎に詳しい弁護士へ相談

B型肝炎給付金の対象者かもと思ったら、信頼できる弁護士に相談しましょう。

実際はB型肝炎給付金の受給要件に当てはまっていたとしても、そのことを国に認めてもらわなければ、給付金を受け取ることはできません。

国を説得するためには、裁判の手続きの中で様々な書類を証拠として提出する必要があります。

書類の収集も大変ですが、収集した書類の中から裁判で価値の高い書類(=B型肝炎給付金の対象者であると国に認めてもらうために必要な書類)を選別するには、B型肝炎に関する知識と同じくらい法律の知識が重要です。

確実にB型肝炎給付金を受け取りたいという方は、B型肝炎に精通していて、信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

まとめ

B型肝炎とC型肝炎では、重症化リスクを考えるとC型肝炎の方がリスクが高く、怖い病気であると言うことができそうです。

しかし、C型肝炎に比べると、B型肝炎は重症化リスクは低いものの感染力が高く、家庭内で感染が起こるリスクもあります。

B型肝炎と診断された方については、詳しい調査等をすることでB型肝炎給付金の対象者かどうかを調べることができます。

B型肝炎給付金の対象者であれば、病状等にはよりますが、50万円〜3600万円を受け取ることができます。

B型肝炎給付金の対象者かどうかわからないとお悩みの方は、1度当事務所までご相談ください。

当事務所にはB型肝炎に注力する弁護士が多数在籍しております。

お話しすることで気が楽になることもあると思いますので、1人で悩まれている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

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