逮捕後、釈放された。その後、起訴されないですか?【弁護士解説】
逮捕された後、勾留されずに釈放されました。
もう起訴されることを心配しなくて良いですか?
勾留されないからといって、不起訴が決定したわけではありません。
釈放とは
釈放とは、刑事施設に収容されている受刑者・被疑者・被告人などの身柄の拘束を解くことをいいます。
釈放と保釈の違い
釈放と似た言葉に、保釈というものがあります。
保釈は、一定額の保証金の納付を条件として、被告人の勾留の執行を停止し、拘禁状態から解くことをいいます。
つまり、保釈は起訴された被告人のみに認められており、かつ、お金を納付することが条件となります。
勾留されずに釈放される場合とは
逮捕された後については、勾留される場合と勾留されずに釈放される場合とがあります。
勾留が認められるのは、法律上、以下の場合に限られます(刑事訴訟法207条1項、60条)。
- ① 被疑者が定まった住居を有しないとき
- ② 被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
- ③ 被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
すなわち、勾留されないからといって、当然には不起訴が決定したわけでも、犯罪の疑いが晴れたわけでもありません。
上記の①②③の要件をいずれも満たさないと判断されたに過ぎない場合は、身体拘束はされないまま捜査が進められ、後に起訴されることがあります。
在宅のまま捜査が進められるので、在宅事件と呼ばれることがあります。
なお、令和元年版犯罪白書によれば、全被疑者に占める身柄率は34.3%でした。
引用元:被疑者の逮捕と勾留|犯罪白書
したがって、在宅事件が以外に多いことがわかります。
不起訴処分を獲得するためには?
犯罪名によって異なりますが、起訴されないために重要なのは、示談を成立させたり、同様の犯行を繰り返さないための計画を実行したりすることです。
無実である場合には、無実を示す有利な証拠を豊富に収集することが重要でしょう。
在宅事件の場合、いつ処分決定がされるのか全く読むことができません。
いつ起訴・不起訴が決定されるのかわからない以上、可能な限り早期から弁護活動を開始し、検察官による起訴決定の前に、起訴すべきでないことを示す証拠を提出することが重要です。
また、重大事件である場合、逮捕しない理由が、身体拘束の時間制限(最大23日)にある場合があります。
時間制限を回避するために、可能な限り任意の取調べを継続し、逮捕を後送りするのです。
この場合、在宅で捜査され続けても、後に逮捕されることになります。
釈放後の呼び出し、どう対応する?
在宅事件でも、捜査機関は捜査を続けます。
容疑者からは事情を聴取するため、警察や検察庁に呼び出しがあることが多いです。
この場合、事実を捻じ曲げられないように注意しなければなりません。
捜査機関には、思い描いたストーリーがあります。
例えば、計画的だった、常習者である、故意があった、などのストーリーです。
事情聴取の際、捜査機関のストーリーと異なることを話すと、「嘘を付くな!」「刑務所に入れるぞ!」などの暴言が出ることも想定されます。
また、暴言はなかったとしても、聴取の時間が長時間に及ぶことがあります。
このような捜査によって、疲れ果て、事実とは異なる供述調書にサインしてしまうことがあります。
この供述調書が裁判に証拠として提出されると、これを後から覆すのは困難な場合が多いです。
このような違法・不当な捜査とならないように、できれば事前に弁護士に相談されたほうが良いでしょう。
まとめ
以上、逮捕後に勾留されず、釈放された場合について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
勾留されなかったとしても、通常、捜査は在宅事件として続きます。
したがって、不起訴を獲得するために、防御のための活動をできるだけ早く開始された方がよいでしょう。
また、釈放後、捜査のために呼び出しを受けることがあります。
弁護士と相談し、どのように対処することがもっとも望ましいかを考え、適切な対応をすることが重要になります。
当事務所には、刑事事件に注力する弁護士が在籍していますから、起訴されるかどうか不安な方、任意出頭の要請に応じるべきかお悩みの方は、まずはお気軽に当事務所にお越しください。