児童ポルノをダウンロード。削除しても単純所持?どのように発覚する?

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

 

児童ポルノとは

児童ポルノとは、18歳未満の者のわいせつな画像や動画のことをいいます。

実在しない架空の児童の画像などは,児童ポルノには該当しないことになります。

そして、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した場合や、提供した場合、製造した場合などに児童ポルノ法違反となります。

定義

第二条 3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの


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児童ポルノ単純所持の成立要件

児童ポルノ単純所持の罪が成立する要件は、下記のとおりです。

①児童ポルノを所持したこと

②自己の性的好奇心を満たす目的を持っていたこと

③自己の意思に基づいて児童ポルノを所持するに至った者であること

④③の事実が明らかに認められる者であること

⑤児童ポルノであることの認識(故意)

②について、警察の捜査目的や報道目的など、性的好奇心ではない目的で所持していた場合、単純所持罪は成立しないということになります。

③について、コンピュータウイルスに感染し、自分の意思に反して端末に児童ポルノがダウンロードされ保存されてしまったような場合、単純所持罪は成立しないということになります。

④について、自分の意思で児童ポルノを所持するに至ったことが明らかであることは、児童ポルノ単純所持が疑われる者が使用していたパソコンやスマートフォン等のアクセス履歴やダウンロード履歴、端末内の保存状況など諸事情を考慮して判断されます。

⑤について、児童ポルノであることを確信していた場合のみならず、「児童ポルノかもしれないが、それでも構わない」という認識を持って児童ポルノを所持するに至った場合も、単純所持罪は成立することになります。

要するに、自分の性的欲求を満たすために、児童ポルノである(または、児童ポルノであるかもしれない)という認識を持ちながら、自らの意思で児童ポルノにあたる画像や動画をダウンロードした場合に、単純所持罪が成立することになります。

 

 

 

児童ポルノ単純所持の罪とは

性的好奇心を満たす目的で、18歳未満の児童と知りながら、自己の意思に基づいて、児童ポルノをダウンロードした場合、単純所持の罪が成立します。

単純所持の場合、法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。

参考:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条1項

 

児童ポルノ所持、提供等

第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

 

 

 

児童ポルノをダウンロードして削除した場合も罪に問われる?

本事例のように、たとえ1枚のダウンロードであっても、児童ポルノ単純所持の罪が成立する可能性があります。

しかし、大量の児童ポルノをダウンロードしたわけではなく、かつ、それを既に消去していることを併せ考えると、家宅捜査などの警察の捜査は及ばないかもしれません。

 

 

どのような場合に単純所持が発覚する?

サイバーパトロールによって書類送検される可能性

児童ポルノが社会的に問題となっており、現在、警察等の捜査機関は、サイバーパトロールと呼ばれる捜査によって、児童ポルノを厳しく取り締まっています。

児童ポルノが掲載されているウェブサイトは、匿名性が高く、通常の検索エンジンでは見つからない場合が多くあります。

しかし、都道府県に設置されたサイバー犯罪対策課は、ITのプロフェッショナル部隊であり、このようなウェブサイトでも発見し、そのウェブサイトから女児の裸の画像をダウンロードした者を一斉摘発する場合があります。

参考:京都新聞

したがって、少量の画像であっても、ダウンロードの履歴から容疑者を特定し、捜査が及ぶ可能性は否定できません。

今後、児童ポルノと疑われるような画像をダウンロードせぬよう、ご注意ください。

繰り返しダウンロードしていれば、逮捕等の可能性が生まれてきます。

また、不安を感じている方は、弁護士に相談し、自首などの選択肢を含めて今後の対応を検討されることをお勧めいたします。

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その他の罪を犯した際に併せて発覚する可能性

上記に加え、例えば盗撮により逮捕された方が携帯電話を任意で提出し、警察が解析捜査を行った結果、児童ポルノが発見されるというケースも存在します。

捜査機関では、現在端末内に保存されているデータはもちろんのこと、既に削除したデータについても、データ復元などの処理を行い、過去に所持していた事実をも明らかにすることがあります。

この場合、児童ポルノ単純所持罪に加え、新たに犯してしまった罪に関する刑罰も考慮されることになるため、初犯でも比較的厳しい判断が下される可能性は高まります。

 

 

児童ポルノ単純所持の罪を認めた後はどうなる?

児童ポルノ単純所持の罪を認めた後は、警察による取調べなどを経て、検察庁に事件が送致されることになります。

検察庁においても、警察のときと同様に取調べを受け、証拠が揃った段階で、検察官が処分を決定することになります。

インターネット上でダウンロードした児童ポルノについては、被写体がどこの誰であるかを特定することはほとんど不可能であり、示談交渉を行うことは極めて困難です。

そのため、贖罪寄付や性障害に関する専門機関の受診などの手段により、本人の反省を示しつつ、処分を待つこととなります。

所持している児童ポルノの点数などにもよりますが、基本的には前科がない場合、略式起訴が選択され、数十万円程度の罰金刑が科されるケースが多いと考えられます。

 

まとめ

以上、児童ポルノの単純所持罪について、実際の相談事例をもとに解説しましたがいかがだったでしょうか。

たとえ1枚のみのダウンロードであり、現在、削除していたとしても、ウェブサイトの履歴から身元を特定されて捜査の対象となる可能性があります。

児童ポルノをダウンロードした方は、自首の要否を含めて、刑事専門の弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

 


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