暴行の無罪を主張するためにどうすればいい?【弁護士が解説】
暴行の事実がないのであれば全面的に争うべきです。
暴行の事実がない場合や相手にも落ち度がある場合は立証活動が重要となります。
暴行とは
暴行罪における「暴行」とは、人の身体に向けられた有形力の行使と定義されています。
例えば、殴る、蹴るなどの他にも、裁判例では、髪を根本から切る行為、故意に人に向かって農薬を散布する行為、女性に抱きつき帽子で口をふさぐ行為等も含むものとされています。
今後の進め方について
暴行の事実がない場合
暴行の事実がない場合としては、以下のような状況が考えられます。
当時、その犯行現場にいなかったのに犯人と誤解されている。
その犯行現場にはいたものの、自分ではなく別の者の犯行である。
被害者が嫌がらせや復讐の目的で犯行をでっち上げている。
被害者が飲酒酩酊等で精神が錯乱していたため誤解が生じている。
上記のようなに、暴行の行為がまったくない事案は、全面的に争うべきです。
しかし、このように犯行を否認している場合、捜査機関は過酷な捜査を行ってくる場合があります。
その場合、身も心も疲れ果て、虚偽の自白調書を作成してしまうことが見受けられます。
捜査段階で自白調書を作成すると、後の公判において無罪を主張しても信用してもらえず、有罪となる可能性が高いと思います。
したがって、決して虚偽の自白は絶対にしてはいけません。
このような事態に陥らないためにも、早めに刑事弁護士に相談し、弁護士を通じて違法・不当な捜査を抑制するように捜査機関に申し入れてもらうとよいでしょう。
被害者にも落ち度がある場合
被害者にも落ち度がある場合としては、以下のような状況が考えられます。
被害者から暴行してきた状況で、これを防御したという場合、正当防衛が成立する可能性があります。
正当防衛について、詳しくはこちらのページを御覧ください。
被害者からの暴力行為はなかったものの、被害者から罵声を浴びせられるなどしたため、ついカッとなったような状況です。
この場合、正当防衛の成立は難しいと思われますが、今後の対応しだいでは不起訴となる可能性はあるでしょう。
被害者の方から先に暴行行為があったわけではないものの、相手も手を出したような状況です。
この場合、正当防衛の成立は難しいと思われますが、今後の対応しだいでは不起訴となる可能性はあるでしょう。
上記のような被害者に落ち度があるケースでは、犯行当時の具体的な状況しだいでは、正当防衛が成立する可能性があります。
また、正当防衛は無理でも、被害者の落ち度について、具体的に主張すべきです。
捜査機関は、加害者側を疑ってかかると思われます。
事実をきちんと伝えていないと、悪質性が高い犯行と誤解されて罪が重くなるかもしれません。
古くは喧嘩両成敗という考え方もありますが、現在は、それぞれの行為態様などを勘案して起訴するか否かが決められていると思われます。
加害者側の行為態様が被害者側と比べて悪質性が高い場合は起訴される可能性もあります。
したがって、正当防衛の成立が難しい状況では、被害者の落ち度や過失相殺を主張しつつ、妥当と思われる慰謝料を支払う方向で示談を進めていくべきだと考えます。
弁護活動のポイント
POINT①人違いの場合
当時、その犯行現場にいなかったのに犯人と誤解されている場合、アリバイを主張し、その証拠を提出することがポイントとなります。
証拠としては、当時、一緒にいた方の証言などが考えられるでしょう。
また、その犯行現場にはいたものの、自分ではなく別の者の犯行であったという場合は、目撃者の証言を証拠とする方法が考えられます。
POINT②被害者の虚偽
被害者が嫌がらせや復讐の目的で犯行をでっち上げているような状況の場合、その被害者の動機を説明し、証拠を提出することがポイントとなります。
例えば、犯行前の被害者とのメールやLINEのやり取りが考えられます。
被害者が飲酒酩酊等で精神が錯乱していたため誤解が生じているような状況の場合、そのことを知る第三者の目撃証言などが証拠として考えられるでしょう。
POINT③被害者にも落ち度がある場合
正当防衛が成立する場合はもちろん、それ以外のケースでも、当時の状況を証明することがポイントとなります。
目撃者がいればその方の証言を得るようにします。
また、防犯カメラがあれば、その映像に状況が記録されているかもしれないので、捜査機関に伝えて調べてもらうようにすると良いでしょう。
まとめ
以上、暴行の無罪の主張について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。
暴行の事実がない事案の場合、無罪を全面的に争うべきです。
また、暴行の事実があったとしても、相手にも落ち度がある場合は状況をくわしく伝えることと、立証活動が重要となります。
そのため、できるだけ刑事事件を専門とし、暴行事件の経験が豊富な弁護士にご相談されるようにしてください。
当事務所には、刑事事件に注力する弁護士のみで構成される刑事事件チームがあり、暴行事件の弁護を強力にサポートしています。
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