脅迫、強要、恐喝に関する質問
目次
お金をもらって電話中、命令に従わなかったら返金しろ、警察に言うと言われました。
電話を2時間すると言う内容で、先払いでお金をもらったんですが、電話をしている途中にはだかになれと命令してきて断ったら返金しないと警察に言うからと言われました。
お金を返金しないとダメなのでしょうか?
弁護士の回答
結論から申し上げますと、お金を返す必要はないと考えられます。
そもそも、電話を2時関するという内容でお金をもらい、実際に2時間話をしたのであれば、その時点で法的には何らの問題もありません。
むしろ、相手方のそういった要求は、相談者様に対し、警察に言う等といって、返金を求める、すなわち財物の交付を求めるものであり、恐喝未遂罪(刑法250条、249条1項)に該当するおそれのある行為でもあります。
「警察に言う」という発言も、警察に言うこと自体は当然適法な行為ですが、相手を脅すためにそのような言葉を発したということであれば、恐喝未遂罪の構成要件である恐喝行為に該当する可能性があります。
恐喝について、詳しくはこちらをご覧ください。
ご不安な際は、一度警察に相談されてもよいかもしれません。
出会い系で知り合った男に性交渉、高額なプレゼントまで強要された。何か制裁を加えられませんか?
出会い系アプリで知り合った男性と2度目の食事に行きました。
お酒が入ると甘えたくなると言うので、朝までコースを(朝まで飲むか、カラオケか、彼の家かなと思って)了承していました。
居酒屋から出て「次どこ行くー?」と歩いていると「寒い!ここ入ろう。あったまりたい。」とホテルに引っ張られ、酔っていたのもあり入室しました。
それぞれテレビを見たり映画を見たりお風呂に入ったりと好き好きに過ごしていましたが、寝ようとしていると半無理矢理性交渉されました。
そのような場に来てしまっているので半分仕方ないと思う気持ちも有りましたが、拒んでも避妊具もつけずにやられ、恐怖を感じた夜でした。
夜中で帰れないし、一緒に居ること自体は嫌でなかったのでそのまま朝まで眠りました。
そして次の日、バレンタインと彼の誕生日がもうすぐということで、プレゼントを買って欲しいと言ってきたのです。
初めは「合うものを選んで欲しい」と言っていたのに「先日買ったもののサイズが気に入らず後悔しているのでそれを買って欲しい」に変わっていました。
とりあえず見に行こう!とデパートに連れて行かれお目当ての物を教えられました。
それは20万近くもするバッグで、私はとても驚きました。
自分の気持ちを言葉にするのは苦手な私ですが、「フルネームも住所も電話番号も仕事も何も知らない、まだ会って2回目の彼氏でもない人に、安月給の私では買ってあげられない!」と断りましたが、「会った回数じゃない」とか「これから~」とか正直何を言われたかわからないくらいずーっと話をされ、怖くなって泣いてもずっと説得され3時間は経っていました。
もぅ、開放して欲しかったのでもう一度強めに断り、「デート代も駐車場代も半分出すから帰りたい」と言い、財布から8千円出すと万札じゃないと受け取らないと言う彼。
仕方ないのでATMでお金を下ろしに行き1万円渡して、やっと開放されると思ったのに…1万円をポケットに入れながら「別に1万円が欲しいわけじゃない…一緒に選んだ物をプレゼントしてほしくて…」「このお金も返すしプレゼント選んで欲しい…」と、何故か振り出しに戻り。
今度は5万円前後の物をねだられ、金銭感覚も普段とズレてしまっていたのと疲れとでGUCCIで5万5千円のベルトを買わされてしまいました。
ところが何だか不機嫌な彼。カフェで話そうと言われ言われたのは「一番欲しかったのわかる?不機嫌な理由はそれ!」と。そこからまた最初に欲しいと言っていたバッグを買うよう説得がはじまりました。
「このベルトも買い取ってお金かえすから…」等々色々言われましたが、はっきりと断ると「帰ろう!」と怒って会計せずにカフェから出て行ってしまいました。
ベルトと先程渡した1万円を返してもらおうと、会計して急いで追いかけて、駐車場に向かい、返金を求めるも返してくれず…。
そこからまたバッグを買いに行こうと説得され長々と色々と話しをされ…もぅ7時間ほども続くその状況に、負けてしまい結局買わされてしまいました。
ベルトとバッグとで結局25万円程貢がされてしまいました。
開放されて冷静になると、普段、無駄遣いなんてしない倹約家なので具合悪くなりました。
彼と発展でもあればと思ったのですが、連絡もこないんです。
そこで相談なのですが、そんな彼に何かしら制裁を加える事はできますでしょうか?希望はお金を返してくれたらそれでいいんです。
又、彼の情報で分かるのは車のナンバーと駐車場の場所と下の名前くらいです。
バッグもベルトもクレジット明細で金額と日時確認でき、バッグの方はレシートもあります。何か出来ることってありますか?
基本、電話には出られないのでメールでの連絡がたすかります。
弁護士の回答
①ベルト及び鞄を購入させられた点につきまして
上述の点につきましては、相談者様のお話を前提とする限り、何らかの犯罪が成立する可能性は高くはないと思われます。
仮に、相談者様が相手方から何らかの形で騙され、若しくは自らの生命や身体などに害を加える旨の告知を受け、相手方に対し畏怖の念を抱いた状態で、無理やり購入させられた場合などは、詐欺罪(刑法246条1項)若しくは恐喝罪(刑法249条1項)が成立する可能性はあります。
詐欺罪が成立するには、相手方が相談者様に対し、欺罔行為、すなわち、交付の判断の基礎となる重要な事項(物を渡すかどうかを判断する上で重要な事柄)について欺くことを行い、相談者様が錯誤に陥った、すなわち騙された上で、ベルトや鞄を購入したという事実が必要になります。
また、恐喝罪が成立するには、相手方が、相談者様の生命・身体・財産などに対し害悪を加える旨の告知を行い、相談者様がこれに畏怖して財物を交付したという事実が必要になります。
恐喝罪について、詳しくはこちらをご覧ください。
しかし、相談者様のお話の内容を前提とする限り、今回は騙された・脅されたなどではなく、しつこく購入を説得され、相談者様がそれに折れて購入してしまったというものですので、どちらにも該当しない可能性が高いと考えられます。
もっとも、説得の際にどのような言葉を使われたかにより、この結論は変わり得る可能性があります。
②ベルト及び鞄の購入代金を返してもらえるかどうかにつきまして
この点につきましては、半ば強引にとはいえ、相手方へのプレゼントとして鞄やベルトを購入してしまっている以上、これらはいずれも民法上の書面によらない贈与(民法550条)に該当すると考えられます。
そして、鞄やベルトは既に相手方に渡してしまっていますので、履行が終わったといえ、当該贈与を撤回して返還を求めるといったことはできないと考えられます。
相談者様にとっては辛い話ばかりとなってしまいますが、高い勉強料と思って頂き、ネット上の出会いには細心の注意を払った上、今後また同様の被害に遭うことのないよう、気持ちを切り替えて頂くのが最善の手ではないかと考えます。
③半ば無理矢理に性行為をされた点につきまして
直接の質問とはやや離れますが、この点についても恐怖を感じられたとのことですので、念のため回答いたします。
相談者様が抵抗しているにもかかわらず、相談者様を押さえつけるなどして無理矢理性行為に及んだ場合、相手方については不同意性交罪(刑法177条)が成立する可能性があります。
不同意性交罪について、詳しくは下記ページをご覧ください。
ただし、上記の罪が成立するには、不同意性交罪についての故意、すなわち、相談者様が拒否していることを認識しつつ、あえて無理矢理性行為を行うという意思を、相手方が有していたといえる必要があります。
こうした事情は、相手方の内心のことであり、相手方が「不同意性交の故意を有していた」と認めない場合、客観的な事実から相手方がそのような故意を有していたかどうかを判断することになります。
相談者様のお話を前提としますと、確かに半ば無理矢理に、避妊具もつけずに性行為をされたとの事情はあるかもしれません。
ですが、相手方の誘いに応じてホテルに一緒に入っていること、行為の後に終電もなかったとはいえ同じ部屋で一緒に朝まで過ごしていること、次の日も一緒に買い物をしたりして過ごしていることなどの事情があることも確かです。
それらを合わせ考慮すると、性行為を行うことについて合意があったか、少なくとも相手方は合意があったと認識していたのではないかと裁判所に判断される可能性もあります。
仮にそのような判断がなされれば、相手方には不同意性交の故意はなかったと判断される結果、同罪は成立しないことになります。
もちろん、恐怖から逃亡することもできず、朝まで同じ部屋にいるより他になかったという可能性もありますので、そういった心境にあったことを警察にしっかりと伝えれば、捜査を行ってくれる可能性は十分にあります。
ただし、基本的には密室での出来事であるため、証拠に乏しい面があることも確かであり、最終的に相手方の行為につき上述の罪が成立する見込みは高いとはいえません。
こちらも相談者様にとっては辛い話になってしまいますが、今後同様の被害に遭わないよう、お気を付けいただくのが最善かと思われます。
別れ話をした際に脅されて今までのデート費用を支払わされた。恐喝罪として認められる?
5年前の出来事になります。交際相手に別れ話をした際に、今までのデート費用を30万請求され、支払ってしまいました。
支払った理由として、日頃から暴力的で、請求時もお前の前で死ぬ、職場までいくぞなどと脅され、しまいには私が仕事から帰宅するまで玄関の前でずっと待っていて怖くて支払いました。
結局警察沙汰になり、二度と私には近付かないと警告されて別れることができましたが、お金はそのままです。
恐喝罪として認められないでしょうか?
弁護士の回答
結論から申し上げますと、相手方の行為が恐喝罪(刑法249条1項)に該当する可能性は高いといえるでしょう。
恐喝罪が成立するには、相手を「恐喝」すること、すなわち、相手方に対して、その反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫を加え、財物の交付又は財産上の利益の処分を要求することを行い、「財物を交付」させ、相手方に損害を生じさせた、という事実が必要になります。
そして、「脅迫」とは、相手方に恐怖心を生じさせるような害悪の通知を指します。
恐喝罪について、詳しくはこちらをご覧ください。
相談者様のお話を前提としますと、相手方は相談者様に対し、「職場まで行く」などと申し向けており、これらは相談者様に恐怖心を生じさせるような害悪の通知、すなわち「脅迫」にあたることは明らかであろうと思われます。
そして、このような脅迫を行った上で、30万円の支払いを要求しているのですから、「恐喝」についても認められる可能性は高いといえます。
そして、相談者様は相手方の要求どおりに30万円を支払ってしまっており、同額の損害が生じていると言えますから、恐喝罪の成立要件をすべて満たすということになります。
ただ、5年前のお話とのことであり、5年前に相談者様がおっしゃるとおりのやり取りが実際になされたことを示す証拠が存在しない限り、相手方が起訴され、有罪判決がなされる可能性は高くはないと言わざるを得ないでしょう。
なお、公訴時効(刑事訴訟法250条2項4号)との関係では、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役ですので、犯罪行為が終ったとき、すなわち30万円を請求してきた時点から起算して7年以内であれば、相手方を罪に問うことは可能です(刑事訴訟法253条1項、同法250条2項3号)。
そのため、当時の会話の録音等の証拠がもしまだ残存しているのであれば、諦めず早めに警察に相談してみると良いかもしれません。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか