傷害罪で取調べを受けていたが、示談成立で不起訴処分の事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
罪名 傷害罪
解決までの期間 2ヶ月
弁護活動の結果 不起訴

事例人物

Sさん(50代)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

泥酔客に怪我をさせてしまったタクシー運転手Sさん

Sさんは、個人タクシードライバーとして、福岡で30年以上、タクシー業を行ってきました。

Sさんは、ベテランであることもあり、乗せるべきでない客の判別がつくところです。

タクシーSさんはある日、天神の交差点で右折しようと停車していました。

右折レーンにいるにもかかわらず、泥酔した男性グループが、道路を横切り、タクシーに乗せるよう要求してきました。

Sさんは、「ここは危ないから乗せられません」と窓を開けて伝えました。

すると一人の男性が、憤激し大声を上げ、再度乗せるよう要求してきました。

Sさんは身の危険を感じ、信号が青に変わったこともあり、右折を開始しました。

上記男性が、窓に手をかけていたことから、腕を怪我してしまい、警察沙汰となりました。

 

「タクシードライバーとして今後も生きていきたい」という強い気持ち

Sさんは法律事務所を複数訪ね、当事務所にも相談にいらっしゃいました。

Sさんの言い分としては、①信号が変わったのにその場に留まった場合、後続の車に迷惑をかけてしまうと思った、②泥酔者の様子から自分の身の危険を感じていた、③そして何より泥酔者が窓に手をかけているとは思っていなかったといったものでした。

傷害罪は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金という法定刑が定められており、決して軽い犯罪ではありません。

傷害罪について、詳しくはこちらからどうぞ。

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刑事弁護士また、傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯として考えられていますので、暴行の故意があるだけでも成立する可能性のある犯罪です。

そのため、本件で傷害罪の成立を争うためには、Sさんには暴行を行う故意すらなかったと主張する必要がありました。

信号が変わったにもかかわらず右折レーンで走行しようとする車の窓に手をかけているという、非常に危険かつ想定外な行為が行われていることから、Sさんが本当に窓に手をかけていると気付いていない可能性はあると考えました。

しかし、Sさんはなによりも「今後もタクシードライバーとして活動を続けたい」という気持ちを強くもっていました。

タクシードライバーの認可要件について調べたところ、福岡県では罰金刑であっても傷害罪で有罪判決を受けてしまうと資格を失うことになることが分かりました。

仮に裁判で争ったとしても、直前までのやり取りから相手方の手が窓付近にあったということを認識していたと認定される可能性も考えられるところであり、故意を争うことのリスクも含めた見通しをお伝えしました。

そのような見通しをSさんに伝えた結果、タクシードライバーを辞めなければならないリスクは避けたいということでしたので、犯罪の成否を真っ向から争うよりも、怪我をさせてしまったことに対する民事上の解決をして刑事処罰を避けるという方向で進めることが穏当であるとの結論に至りました。

私たちは、すぐに警察を通じて相手方の連絡先を入手し、以上のような民事的解決の意向を伝えました。

相手方は、自分の危険な行為は棚に上げて高額の示談金を要求する方でしたので、相手方の危険な行為に起因する事故であって相手の非が大きいこと、高額な金額を要求するのであれば交渉は打ち切り一銭も支払えないことになること、刑事裁判になった場合、無罪判決になる可能性も考えられる事案であるということを説明しました。

その結果、最終的には怪我の程度と相手方の過失に応じた妥当な示談金で示談を成立させることができました。

また、併せて被害届の取り下げも行ってもらいました。

示談が成立したことや相手方に非があることを十分に考慮してもらった結果、Sさんは不起訴処分となり、これまで通りタクシードライバーとして活動できるようになりました。

また、本件では妥当な金額が非常に低額でしたので、Sさんの経済的な負担も少なく済みました。

傷害罪の示談相場について詳しくは、こちらからどうぞ。

 

 

今回のポイント

ポイント

示談が成立したことによって、Sさんは不起訴となり、タクシードライバーとして活動を続けることが出来るようになりました。

Sさんが訪れた他の事務所では、Sさんの言い分を伝えた時点で、厳しく非難をされたということでした。

Sさんからは「事務所によってここまで対応・結果が違うのかと驚いています」とのお言葉も頂き、非常に満足して頂くことが出来ました。

最終的に私たちとSさんで決めた方針でも犯行を争うことはしませんでしたが、そこに至る過程として、Sさんに寄り添ってしっかりと説明を尽くしたことが結果以上に満足して頂けたポイントになったと考えています。

この事件のように、犯罪成立を争うことによるリスクが大きい場合、適切な見通しを立てて方針を決める必要がありますが、どの程度刑事事件を取り扱っているかによって、弁護士ごとに見通しが異なることもあります。

当事務所では、より適切な見通しをお伝えできるよう、日々精進しております。

暴行傷害事件でお困りの方、犯罪によってご職業を失ってしまうかもしれないという不安を抱えている方は、まずはお気軽に当事務所にご相談ください。

当事務所の相談の流れはこちらからご覧ください。

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