私選弁護士の選び方とは?
「私選弁護士をどのようにして選べばよいでしょうか?」
「私選弁護士の選任は家族でもできますか?」
「私選弁護士の選任方法とは?」
当事務所の刑事弁護チームには、このようなご相談がたくさん寄せられています。
刑事弁護はスピードが勝負です。手遅れになる前に、まずはお気軽にご相談ください。
私選弁護士とは
私選弁護士とは、被疑者・被告人が自分の意思で選任することができる弁護人をいいます。
憲法34条は拘留、拘禁された者の弁護人依頼権を、憲法37条3項は被告人の弁護人依頼権を基本的人権として保障しています。
この憲法の規定を受けて、刑訴法30条1項は被疑者・被告人の弁護人依頼権を規定しています。
「刑事訴訟法の歴史は、正に弁護制度拡充の歴史であった」
といわれているように、治罪法以来徐々に拡大されてきた弁護人による弁護を受ける権利は、憲法上の保障にまで高められ、貧困その他の理由で弁護人を選任できない者の弁護人選任請求権が保障され、また、弁護人の活動範囲は、捜査段階まで拡大されています。
私選弁護人の選任権の告知
被疑者・被告人が逮捕、勾留、勾引されたときは、捜査機関及び裁判所は、被疑者・被告人に弁護人を選任することができる旨を告げなければなりません。
この告知義務は、弁護権保障のための重要な手続です。
なぜ刑事弁護人が重要なのか?
警察等の捜査機関は、法律を無視した違法捜査を行うことがあり、これによって被疑者の防御権が侵害されるケースが見受けられます。
このような違法・不当な捜査から被疑者の権利を護り、適切な防御活動を行っていくために、刑事弁護人の果たす役割は極めて大きいといえます。
以下、法律の定める被疑者の権利とこれを無視した違法・不当な捜査の問題点についてご紹介します。
被疑者の権利
法律は、在宅の被疑者について、出頭要求に応じるか否かは自由であること、また、取調べの途中でも退去できることを明記しています(刑訴法198条1項)。
さらに、供述を強要されないことは、被疑者の憲法上の権利であり、自己の意思に反して供述する必要はなく、裁判所は、強制や拷問など任意性に疑いのある供述を証拠とすることはできません(憲法38条1項2項、刑訴法198条2項、同319条1項)。
刑事訴訟法第198条
- 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。 - 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
- 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
- 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
捜査実務の問題点
上記のとおり、本来、出頭要求や取調べに応じるか否かは、被疑者の自由であるはずです。
しかし、捜査実務においては以下のような問題が生じています。
取り調べ出頭要求や取調べに応じない場合、まず、捜査官から執拗に説得される傾向にあります。
捜査官は、「正直に語るのが人の道である」などと言って、取り調べに応じるよう執拗に説得にかかることが多々あります。
捜査機関の出頭要求に応じない場合、捜査機関は逮捕状を得て、被疑者を逮捕するケースが見受けられます。
逮捕または勾留された被疑者は、在宅の場合と異なり、出頭を拒んだり、いつでも退去したりする自由を失ってしまいます。
その際、同居しているご家族や職場の同僚などに、「警察沙汰になっている」ことが知られてしまうおそれがあります。
また、自宅や会社に突然来られると、出頭要求を断りにくいという問題もあります。
このような事態を防止して、適切な防御活動を行っていくためには、刑事弁護人による違法・不当な捜査の抑制と被疑者への適格な助言等が必要となります。
私選と国選との違いとは?
選択の可否
私選と国選との大きな違いは、担当する弁護士を自分で選ぶことができるか否かという点です。
弁護士には、それぞれ専門分野や個性があります。
私選であれば、「刑事事件に強い弁護士」や「自分と相性が合う弁護士」、「フットワークが良くて親身になってくれる弁護士」を選ぶことができます。
例えば、刑事事件を注力分野とする弁護士にまず相談してみて、依頼するかどうかということを検討することも可能です。
他方、国選の場合は自分で弁護士を選ぶことができません。
また、途中で他の国選弁護士に変更したいと思っても、基本的に変更はできません。
専門性の有無
刑事事件は依頼者の一生を左右する可能性がある重大な案件です。
そのような状況では、専門性が高い弁護士に依頼したいと考えるのが当然と言えます。
私選の場合、上述したとおり、自分で選ぶことができるので刑事事件に注力する弁護士を選ぶことが可能です。
国選の場合、そのような選択ができません。
また、刑事事件に注力する弁護士に当たる確率は決して高くないと思われます。
そのため、専門性が高い弁護士をご自身で選びたいのであれば私選となります。
報酬の有無
国選の場合は、一定の資力要件がありますが、資力がない方の場合、国が弁護士費用を支払ってくれます。
私選の場合は、依頼する弁護士との間で締結する契約に基づいて、一定の報酬を支払う必要があります。
そのため、ある程度の資金がない方の場合、私選の選択肢の可能性は低くなってしまうでしょう。
私選弁護人の選び方
刑事事件における弁護人の役割は極めて重要です。
そこで、私選弁護人の選び方について、考慮すべき事項を紹介します。
POINT①刑事事件に注力していること
日本においては、多くの弁護士は専門分野を持たずに幅広く対応しているのが実情です。
しかし、刑事事件においては、刑法・刑事訴訟法等の専門知識のほか、刑事司法に関するノウハウなどが被疑者・被告人の弁護活動に大きな影響を及ぼします。
そのため、刑事事件を専門とする弁護士であることが大切なポイントとなります。
POINT②迅速に対応してくれること
刑事事件においては、起訴されると、99.9%は有罪となってしまいます。
したがって、刑事事件においては、「逮捕される前に適切な弁護活動を行うこと」が極めて重要といえます。
迅速な弁護活動を行うことによって、逮捕を回避できる可能性もあります。
そのため、刑事事件はスピードが勝負であり、迅速に対応してくれる弁護士を選ぶことが重要と言えます。
POINT③親身に対応してくれること
弁護士は、専門的な知識と経験があれば、それだけでよいというものではありません。
特に、刑事事件の場合、一生を左右するかもしれない事件の依頼となるので、きめ細やかな対応をしてくれる、親切な弁護士がよいと思われます。
何でも気軽に相談できると依頼後も安心感を持てるでしょう。
POINT④実際に相談してみる
依頼を検討している弁護士と実際に会って、直接相談することで、その弁護士の専門性の高さだけでなく、ご自身との相性がわかると思います。