刑事事件の流れ|捜査・裁判・示談の流れを刑事弁護士が解説
刑事事件は、捜査の端緒→捜査→逮捕→勾留→勾留延長→起訴→公判→判決と進んでいきます。
逮捕や勾留、勾留延長はされずに、在宅のまま捜査が進められ、起訴されるという場合もあります。
捜査の端緒とは
捜査の端緒とは、捜査機関である警察や検察が、ある特定の犯罪について、起訴に向けた証拠収集活動(捜査)を開始するきっかけとなる出来事のことをいいます。
例えば、被害者が交番に駆け込み、何者かにかばんを盗まれたことを告げたら、それが捜査の端緒となり、警察官は被害者から情報を聴き取り、犯行現場付近の防犯カメラを調べるなどの捜査を開始するのです。
捜査機関に犯罪そのものが発覚していない段階、もしくは犯罪は発覚しているが犯人が誰か発覚していない段階で自首をすれば、刑が減軽されることがありますし、逮捕されない可能性、不起訴とされる可能性が高まります。
私選で弁護士を選任し、自首に同行を求めることをお勧めしています。
逮捕とは
捜査の端緒から警察の捜査が始まり、警察は犯人・犯罪の特定をした後、逮捕に踏み切ります。
逮捕された場合、留置所等で、警察に48時間身体拘束され、警察から検察官に送致され、さらに24時間身体拘束を受けます。
すなわち、最大で72時間の身体拘束を受けることになります。
通常逮捕の要件は、以下の2つです。
逮捕の必要性というのは、逃亡のおそれがある場合や、罪証隠滅(証拠の破壊)のおそれがある場合に認められます。
逮捕され、留置所に入っている間、捜査機関は、被疑者を起訴するための証拠の収集活動を行います。
被疑者は、長時間の取調べを受けたり、犯行現場に連れていかれて犯行状況を再現させられたりします。
この間、被疑者と面会しサポートをできるのは、被疑者やその家族に選任された弁護士だけです。
不当な捜査に対抗するためにも、後述の勾留という長期間の身体拘束を免れるためにも、前科をつけないためにも、逮捕前の段階もしくは逮捕段階で刑事事件に注力する弁護士を選任することが重要となります。
勾留とは
逮捕の72時間の間に、検察官は、被疑者をさらに身体拘束し続ける必要があるかを判断します。
犯罪の嫌疑が晴れた場合、犯罪の嫌疑はあるが逃亡・罪証隠滅のおそれがないと判断した場合には、勾留されることなく、釈放されます。
身体拘束し続ける必要があると判断された場合、検察官が裁判官に対して、勾留請求を行います。
勾留は10日間とされていますが、勾留延長という手続があり、勾留延長されると、最大20日間の身体拘束を受け続けます。
逮捕の72時間の身体拘束に加えて、10日ないし20日の身体拘束となると、会社に犯罪の事実が知れ渡ったり、会社を解雇されたりするリスクが大幅に増加してしまいます。
早期釈放を望む場合には、検察官もしくは裁判官に、犯罪の嫌疑が晴れた、犯罪の嫌疑はあるが逃亡・罪証隠滅のおそれがないとの心証を抱かせなければなりませんから、刑事事件に注力する弁護士を選任することが重要となります。
勾留された場合、逮捕に引き続き留置所で身体拘束を受けながら、取調べ等の捜査を受け続けます。
警察官・検察官は、起訴に向けて、取調べに力を注ぎます。
被疑者としては、社会から隔離され、しかも密室で長時間の取調べを受け精神的に苦しい時間が続きますが、耐えぬかなければなりません。
やっていないことをやったと言ってしまったり、自分の本心と異なる内容が調書に書かれてしまったりすると、後の裁判で不利な状況に追い込まれます。
弁護士と緻密に連絡を取り合い、的確なアドバイスを受け、場合によっては弁護士から検事に抗議を入れることが求められます。
刑事事件に特化した弁護士によるサポートを望む方、国選弁護人の活動に不安・不満がある方、早期の身体釈放、不起訴処分を望む方は、すぐに、当事務所にご連絡ください。
勾留については、次のページでポイントを解説おります。
起訴とは
勾留期間終了までの間に、検察官は被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断することになります。
起訴には、
①公判請求
②略式手続
③即決裁判手続
の3種類が用意されています。
①公判請求
最も一般的なものであり、公開の法廷で、裁判官・検察官・弁護人・被告人が一堂に会し、検察官が立証しようとする公訴事実(犯罪の内容)が証拠によって証明できるかどうかを審議するものです。
②略式手続
検察官の請求により、簡易裁判所が、公判手続を経ることなく、被告人に対して罰金または科料を科す手続です。
非公開で行われます。略式手続は、比較的軽微な事案であり、かつ被告人の自白がある場合に限られます。
③即決裁判手続
事案明白・軽微犯罪であり、被告人の自白があり、証拠調べが速やかに終わると見込まれるといった場合であって、検察官の申し立てがある場合に、なされる手続です。
この手続がとられる場合、懲役や禁錮の判決には必ず執行猶予がつきますから、判決直後に刑務所に入る必要はありません。
起訴されると、99パーセント以上の確率で有罪となります。
ですが、自白事件が多く含まれていますし、起訴前から弁護士が十分な証拠収集活動をし、被告人と入念に打ち合わせを行い、裁判において検察官証拠の信用性を弾劾することに成功すれば、無罪判決は取りえます。
最後まで諦めずに、無罪を信じて戦い抜くことが重要です。
身に覚えがないから不起訴処分となると信じていたのに、起訴されてしまい絶望している方、国選弁護人が無罪や執行猶予付き判決の獲得に向けて全力を尽くしてくれずに不安・不満を抱いている方、まずは、刑事弁護士が在籍する当事務所へ、お気軽にご相談ください。
また、起訴については、次のページでポイントを解説しております。
刑事裁判(第1回公判)の流れ
刑事裁判の多くは、犯罪事実自体に争いがない自白事件です。
自白事件の場合、第1回目の裁判(公判)期日で結審し、次回期日で判決が言い渡されることが多いです。
ここでは、第1回公判の流れをわかりやすく図示すると次のとおりとなります。
各手続きの詳細な解説については、次のページをご覧ください。
刑事事件の示談の流れ
被害者がいる事件では、捜査段階で示談が成立すれば、不起訴となる可能性があります。
また、起訴された後でも、示談をすることで情状が良くなるため執行猶予が付く可能性もあります。
一般的な示談の流れをわかりやすく図示すると次のとおりとなります。
不当な逮捕や裁判を回避するためには
現行犯などの場合を除き、通常、警察はいきなり逮捕することはなく、まずは捜査を先行させる傾向です。
これは、上記のとおり、逮捕や勾留には時間的な制限があるからです。
検察官は、逮捕してから23日以内に起訴するか否かを決定しなければなりません。
また、起訴して刑事裁判に移行すると、容疑者は被疑者から被告人という立場になり、法的には検察側と対等な立場におかれます。
そのため、起訴後、捜査機関は原則として、過酷な捜査ができなくなります。
このような制度のため、警察等の捜査機関は、逮捕前に十分な捜査を行い、刑事裁判で有罪に持っていくための証拠を集めようとするのです。
法律に基づく適正な捜査がなされれば問題はありませんが、しばしば違法・不当な捜査が行われます。
例えば、被疑者の権利を無視した過酷な取り調べが典型です。
違法な捜査では、事実と異なる、不利な供述調書が作られてしまうおそれがあります。
そして、一度、不利な供述を行うと、それを基に逮捕される可能性があります。
また、事実と異なる供述調書は裁判では不利な証拠となり、無罪を争うことが難しくなります。
このような状況のため、刑事事件の最大のポイントは、早期の弁護活動となります。
逮捕される前の捜査の初期段階において、適切な弁護活動を受けることで、過酷な取り調べを回避したり、事実と異なる不利な証拠の作成を防止できる可能性があります。
そのため、刑事事件では、早く段階での弁護士へのご相談をおすすめいたします。
まとめ
以上、刑事事件の流れについて、捜査段階、起訴後、示談に分けて、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。
刑事裁判は、起訴されると、99パーセント以上の確率で有罪となります。
そのため、起訴される前、すなわち、捜査段階からの弁護活動がポイントとなります。
この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。
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なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか