報道される事件とされない事件とは?|弁護士が解説
逮捕されたら報道されますか?
報道されることでどのような影響がありますか?
実名や顔を新聞などで報道されるのを回避するのはどうすればいいですか?
このようなご相談が多く寄せられています。
犯罪と一口に言っても、軽犯罪から殺人などの重大な犯罪まで様々なものがあり、これらがすべて報道されているわけではありません。
犯罪報道は明確な基準がありませんが、一定の重大事件や社会的地位が高い方の場合、報道される可能性が高くなります。
当事務所の刑事弁護士は、依頼者の方の名誉・信用を守り、スムーズに社会復帰できるようサポートしています。
ここでは、刑事事件が新聞、テレビ、ネット等で報道される場合やその対処法について詳しく解説します。
実名が報道される事件とは
犯罪と一口に言っても、軽犯罪から殺人などの重大な犯罪まで様々なものがあり、これらがすべて報道されているわけではありません。
マスコミが犯罪を報道する場合は、その報道に価値があると考える場合です。
「報道の価値」についてはマスコミによって捉え方が異なると考えられますが、概ね、次のような要素を重視していると考えます。
犯罪の重要性 | 殺人、強盗などの悪質・重大な犯罪は報道されやすい |
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社会的な関心 | オレオレ詐欺など、社会的に問題となっている犯罪や芸能人など話題になりやすい事件は報道されやすい |
公共性 | 公務員、大企業、社会的影響力のある人の場合は報道されやすい |
制限の有無 | 少年事件のような法規制がある場合は報道されにくい |
盗撮報道の具体例
栃木・那須塩原市の小学校教師が教室にスマートフォンを設置し、児童の下着を盗撮した疑いで逮捕された。
那須塩原市の小学校教師の●●※容疑者(26)は24日、教室内にスマートフォンを設置し、複数の児童の下着などを撮影した疑いが持たれている。
吉田容疑者は「撮影したが、盗撮目的ではない」と容疑を否認している。
出典:FNNプライムオンライン 2020/11/26 06:23
※当事務所にて修正
中国新聞社(広島市中区)は23日、盗撮行為をしたとして地域ビジネス局の男性契約社員(62)を懲戒解雇処分にしたことを明らかにした。処分は22日付。
男性は同局の元担当局長で、再雇用されていた。
出典:読売新聞 2020/12/24 09:01
ポイント解説
盗撮は、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)及び迷惑防止条例違反の犯罪ですが、殺人などと比べると軽微な犯罪です。
したがって、ただの会社員であれば実名報道まではされない可能性が高いといえるでしょう。
これに対して、教師のような公的な人の場合はたとえ容疑を否認していても、実名報道がなされる傾向にあります。
SNSなどインターネットでの拡散
さらに、このような情報は、現在、ツイッター、フェイスブック等のSNSを活用したインターネットでも拡散します。
インターネットの記事は、転載が繰り返され、ネット上から記事が消えるまでに長い時間を要するようになってしまい、不利益が極めて大きいです。
したがって、新聞やテレビよりも深刻な影響を長年月に渡って及ぼす可能性があります。
報道されるタイミングは?
多くの刑事事件において、報道されるのは共通しています。
報道されることの不利益とは
では、報道されるとどのような不利益が想定されるのでしょうか。
逮捕等の事実が報道されてしまうと、ご家族だけでなく、会社、学校、その他の知人等、広範囲にわたって、犯人であることが知れ渡ってしまいます。
家族に知られる
まず、家族に知られる可能性が高く、その場合、家族は不安に感じるでしょう。
配偶者がいる方の場合、離婚問題に発展するケースも見受けられます。
また、ご家族が学校や職場で、誹謗中傷されたり、好奇の目で見られることが心配されます。
会社に知られる
働いている方の場合、会社に知られる可能性が高いと考えられます。
会社に知られると、懲戒解雇の可能性が高いでしょう。
多くの会社では、就業規則の懲戒解雇事由として、犯罪を犯したことを規定しています。
下記は厚生労働省のモデル就業規則の記載内容です(第66条2項6号)。
労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停 止とすることがある。
(略)
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。
参考:厚生労働省ホームページ
一般に、厚生労働省のモデル就業規則は、従業員側に有利に策定されていると考えられますが、それでも懲戒解雇の可能性が高いことがわかります。
学校に知られる
学校に通学している場合、同級生や教師に知られる可能性があります。
犯罪行為が学校に知れると、退学処分となる可能性が高いと考えられます。
知人等に知られる
上記の他には、友人、取引先、各種習い事の生徒等の知人にも知られる可能性があります。
家族や職場ほどの問題はないと思われますが、不名誉な事実を知られることで、今後の関係に影響することが懸念されます。
事件を報道をされないためのポイント
報道されないためには、まずは、逮捕を避けることが1番大切です。
示談をする
被害者がいる犯罪では、示談をすることで逮捕を回避でき、結果として報道を回避できる可能性があります。
示談をすると、被害者の処罰感情が消失するため、捜査機関としても事件として捜査を継続する必要性が乏しくなります。
そのため、示談交渉は極めて重要なポイントとなります。
自首をする
示談が成功しない場合やそもそも被害者がいない犯罪の場合はどうすればよいでしょうか。
痴漢、盗撮などの比較的軽微な事案では、適切な方法で自首を行うことで、逮捕を避けて在宅のまま取り調べとなる可能性があります。
逮捕されないため、結果として報道されないで済むという場合があります。
そのため当事務所では、自首同行のサービスを提供しています。
早い段階で専門の弁護士に相談する
逮捕される場合でも、報道について、適切な対応ができる場合がありますので、早い段階で専門の弁護士に相談することが大切です。
例えば、当事務所では逮捕後に検察官に送致される際、容疑者の顔が撮影されないようにするために、接見時(弁護士が親族等からの要請を受けて容疑者と面会すること)に、警察署から護送車まで歩く際は顔を決して上げないように(下を向いたままにするように)助言しています。
まとめ
以上、刑事事件が報道される場合やその対処方法について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
犯罪報道は明確な基準がありませんが、一定の重大事件や社会的地位が高い方の場合、報道される可能性が高くなります。
報道されてしまうと、ご家族がつらい目にあることが懸念されます。
職場や学校に行かれている場合、解雇・退学等の処分の可能性もあります。
そのため、報道をどのように回避するかが重要なポイントとなります。
報道の完全な回避にはきめ細やかなサポートが必要となるため、刑事事件専門の弁護士に相談されることをおすすめしています。
当事務所には、刑事事件に注力する弁護士が在籍しており、刑事弁護を強力にサポートしています。
お困りの方は、まずはお気軽に、当事務所までご連絡ください。
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