刑事事件の示談書|書き方や注意点を弁護士が解説【自動作成機付】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

刑事事件の示談書とは

示談書とは、当事者間の合意(示談)の内容を記載した書面のことをいいます。

刑事事件の示談書は、刑事事件による損害賠償に関して、加害者と被害者との間で交わす示談書となります。

刑事事件の示談は、加害者が不起訴や執行猶予を獲得するために極めて重要となります。

そのため、他の事案(不倫や交通事故等)とは異なり、示談書の中に、被害届の取り下げ、口外禁止等の文言を入れることが多くあります。

 

 

刑事事件の示談書の簡単な作成方法

ここでは、示談書を簡単に作成するための方法をご紹介します。

刑事事件の示談書の書き方・テンプレート

刑事事件の示談書は、損害賠償の額や支払い方法等を確定するための合意書であり、極めて重要な法律文書です。

しかし、適切な内容の刑事事件示談書を作成するためには、刑事事件に関する様々な法律知識やノウハウを身につけておく必要があり、一般の方が自分の力だけで作成するのは難しいと考えられます。

以下に刑事事件の示談書のテンプレートを掲載していますので、参考にしながら作成されると良いでしょう。

示 談 書

●●●●(以下「甲」という。)と●●●●(以下「乙」という。)は、下記の事件(以下「本件」とする。)による甲の乙に対する損害賠償請求について次のとおり示談する。

(事件の表示)

日時:●●年●●月●●日 ●時●分

場所:●●県●●市●町●丁目●番地先路上

犯行内容:乙は甲に対して●●●●をした。

(示談の内容)

第1条 乙は、甲に対し、真摯に謝罪するとともに、解決金として、金●●万円の支払い義務があることを認め、これを●年●月末日限り、甲の指定する口座に振り込む方法によって支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。

第2条 甲は、乙の謝罪を受け入れ、今回に限り乙を許すものとし、被害届を取り下げ、一切の刑事処罰を求めない。

第3条 甲及び乙は、今後一切相互に接触しない。

第4条 甲及び乙は、本件について、正当な理由なく第三者に口外しないことを誓約する。

第5条 乙の保管する本書面は,甲の住所及び氏名を黒塗りにしたものとする。

第6条 甲と乙との間には、本件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

以上の示談成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

●年●月●日

甲  住所

氏名                  印

乙  住所

氏名                  印

 

 

 

自動作成機

当事務所では、刑事事件の示談書を手っ取り早く作成したいという方のために、オンラインで、かつ、無料で自動作成できるサービスをご提供しています。

以下の空欄にご入力いただくことで、刑事事件示談書のサンプルをご確認いただけますので、ご参考にされてください。

※基本的なパターン(よくある事案)には対応しているため、多くの方のお役に立てるものと考えています。

しかし、皆さまのおかれた状況は様々ですので、あくまで参考程度(刑事事件示談書の下書き)として捉えていただき、くわしくは刑事事件専門の弁護士へ相談されることをお勧めいたします。

当事者について
刑事事件の当事者の方の氏名を入力してください
被害者の氏名

氏名をご入力ください
 ※このままでも進めます

加害者の氏名

氏名をご入力ください
 ※このままでも進めます

事件の内容について
事件の日時・場所・犯行内容を入力してください
日時
日 
場所

場所をご入力ください
 ※このままでも進めます

犯行内容

犯行内容をご入力ください
 ※このままでも進めます

解決金について

金額

金額をご入力ください

支払方法

支払期限

支払期限を入力 ※このままでも進めます


その他の条項の追加
以下のうち、必要な条項があればチェックしてください。




合意締結の年月日

※このままでも進めます





必ずお読みください(免責事項)

この刑事事件示談書の自動作成機は、簡易迅速に刑事事件示談書の下書きを作成することを目的としているため、正確ではありません。
また、この自動作成機には下記のような問題点があります。
そのため、あくまで参考程度にとどめて、刑事事件に精通した弁護士にご相談されるようにしてください。

1 条件の妥当性を考慮していません

刑事事件を解決するためには、適切な賠償金で示談を成立させることがとても重要です。
適切な賠償金の額は具体的な状況によって異なります。一度示談書を締結すると、後からその合意の効力を否定することは困難となります。
したがって、最終的に合意される前に、専門家に相談されることを強くお勧めいたします。

2 例外的な事案や個別事情を考慮していません

この刑事事件示談書の自動作成機は、基本的な事案(典型的によくあるパターン)を前提としており、例外的な事案や個別事情は考慮していません。
そのため、参考程度にとどめ、専門家へご相談されることをお勧めいたします。

3 自動作成機を利用されたことにより生じた不利益な結果や損害などについては、一切責任を負いかねますので予めご了承ください

当事務所には、刑事事件に注力する弁護士のみで構成される刑事事件チームがあり、刑事事件に直面されている被害者を強力にサポートしています。
遠方の方については、LINEなどを利用したオンライン相談も可能です。刑事事件でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

無料相談の流れはこちらからご覧ください。

 

 

刑事事件示談書作成の5つの注意点

示談書は適切に作成すれば、法的な根拠がある書面として、とても有益なものとなります。

しかし、不適切な内容のものだと無効となってしまうので注意が必要です。

ここでは、刑事事件の示談書を作成する際に注意すべきことを紹介するので、ご参考にされてください。

①当事者を確定する

示談は、契約の一種であるため、契約の相手方を確定しなければなりません。

当事者の確定は、基本的には被害者及び加害者の氏名や住所で行います。

したがって、示談書には基本的には氏名や住所を記載するようにします。

【刑事事件の被害者情報を加害者に秘匿したい場合】

刑事事件では、被害者が加害者に自分の氏名・住所等の個人情報を知られたくない場合があります。

このような場合、刑事に精通した弁護士は、被害者の個人情報を依頼者にも知らせないように注意して示談書を作成します。

例えば、下記のような条項を示談書に入れるなどして対処します。

第●条 乙の保管する本書面は、甲の住所及び氏名を黒塗りにしたものとする。

加害者側(弁護士)は、このような条項を入れることを被害者に提案することで、その被害者が安心して示談に応じてくれる可能性があります。

したがって、この条項は、加害者側に弁護士がついていることが前提となります。

 

②日時、場所等で事案を特定する

示談の対象となった事案をできるだけ特定しましょう。

刑事事件の場合、通常、事件が発生した日時、場所及び犯行内容で特定します。

【犯行内容について】

犯行内容については、具体的な状況で記載内容が異なります。

ご相談が多い事案の記載例をご紹介します。

※一般の方が自分で作成しなければならない状況を前提としているため、作成しやすいように、<簡単な記載例>と<詳しい記載例>の2パターンを掲載しています。
もっとも、適切な記載内容は具体的な状況で異なるため、できるだけ刑事専門の弁護士に助言を受けるようにしてください。また、下記に記載がない犯罪についても、刑事事件専門の弁護士に相談されるとよいでしょう。

盗撮の示談

<簡単な記載例>

乙が甲を盗撮した

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、正当な理由なく、甲に対し、その背後から、動画撮影機能を起動させたスマートフォンを同人のスカートの下方に差し入れて、同人のスカート内の下着及び大腿部を撮影した。

 

淫行条例違反の示談

<簡単な記載例>

乙は甲が児童であることを知りながら、甲とわいせつな行為を行なった

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、甲(当時14歳)が18歳未満の者であることを知りながら、自己の性的欲望を満たす目的で、甲とわいせつな行為を行った。

 

児童買春の示談

<簡単な記載例>

乙は甲が児童であることを知りながら、甲に対価として●円を支払って、性交を行なった

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、甲(当時14歳)に対し、現金5万円の対価を供与する約束をして、甲と性交した。

 

痴漢の示談

<簡単な記載例>

乙が甲の身体を衣服の上から触った

<詳しい記載例>

乙は、正当な理由がないのに、上記日時ころ、A鉄道株式会社B駅から同県●●市同社C駅の間を走行中の列車内において、甲(当時17歳)に対し、その後方から、同人が着用していたスカートの中に右手を入れて甲の臀部を触った。

 

暴行の示談

<簡単な記載例>

乙が甲の左腕を数回殴打するなどの暴行を加えた

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、甲(当時30歳)に対し、手拳でその顔面を数回殴打し、さらにその腹部を1回足でけるなどの暴行を加えた

 

傷害の場合

<簡単な記載例>

乙が甲の頭部を殴打するなどの暴行を加え、甲に対し、加療◯週間を要する〇〇の傷害を負わせた

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、甲(当時30歳)に対し、手拳でその顔面を数回殴打し、さらにその腹部を1回足でけるなどの暴行を加え、よって甲に対し、加療◯週間を要する〇〇の傷害を負わせた

 

窃盗の示談

<簡単な記載例>

乙が甲の所有する○○を窃取した

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、上記場所において、甲所有の現金1万円、時計及び財布(物品時価合計約10万円相当)を窃取した。

 

横領の示談

<簡単な記載例>

乙が甲の所有する○○を横領した

<詳しい記載例>

乙は、上記日時ころ、甲から同人のために取引銀行に預金する依頼されて現金100万円を預かり、同人のため預かり保管中、同日ころ、上記場所において、そのうち10万円を、自己の債務の弁済としてAに支払い、横領した。

 

器物損壊の示談

<簡単な記載例>

乙が甲の所有する○○を損壊した

<詳しい記載例>

乙は、甲の運転の態度が悪いとして憤慨し、付近にあった丸太棒で甲の自動車の前方右窓ガラス(時価合計10万円相当)を叩き割り、同人所有の器物を損壊した。

 

③金額やその支払い方法を明示する

示談で合意した金額を明記します。

また、その名目についても、できるだけ記載しましょう。名目としては、「慰謝料」「損害賠償」「解決金」などが考えられます。

刑事事件の場合、いずれの名目も考えられますが、上記テンプレートでは「解決金」としています。

財産的な損害がなく、精神的苦痛のみである場合は、「慰謝料」を選択する場合もあります。

金額に関しては、支払い方法も重要となります。

すなわち、いつ、どのようにして支払うか、という問題です。

一括払いか分割払いか

刑事事件の場合、通常、一括払いが基本となります。

しかし、加害者の支払能力が乏しい場合、分割払いとなるケースもあります。

上記の自動計算機は、いずれの場合でも対応可能となっています。

 

④清算条項を失念しない

示談書は、通常、権利義務を確定させて、紛争を解決するために作成するものです。

例えば、刑事事件の事案で、100万円で示談したとします。

加害者としては、100万円を支払うことで決着がついたと考えるでしょう。

ところが、示談成立後、被害者が追加で100万円を支払えと請求してくることがあります。

このとき、効力を発揮するのが清算条項と呼ばれるものです。


第●条 甲と乙との間には、本件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

清算条項というのは上記の例のように、示談書に記載されている以外のことについては、合意後は一切請求できなくなるということを確認する条項です。

 

⑤日付や署名を失念しない

示談書には、和解契約の年月日がわかるように、日付を入れるようにしましょう。

また、当事者の合意の存在を示すために、必ず署名するようにしましょう。

なお、弁護士が代理人となっている場合、弁護士名で署名することが通例です。

 

 

示談書のポイント

法的に有効な示談書を作成できたとしても、それがあなたにとってベストなものとは限りません。

ここでは、より良い示談を行うために、ポイントとなる点をご紹介いたします。

刑事事件の専門家にチェックしてもらう

刑事事件の示談書は、被害者と加害者の権利義務を確定する重要な法律文書です。

また、法的に有効な示談書を作成すると、後から取り消したいと思っても、基本的には取り消すことはできません。

そのため、示談書は慎重に作成すべきです。

上記でご紹介した刑事事件の示談書のテンプレートは一例に過ぎず、示談書に記載すべき文言は、具体的な状況によって異なります。

そのため、上記のテンプレートや示談書の自動作成機は参考程度にとどめて、刑事事件専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

刑事事件に精通した弁護士であれば、具体的な状況を前提として、依頼者にとって適切な示談書を提案してくれるでしょう。


なぜ弁護士選びが重要なのか

示談についてよくある相談Q&A